コメディ・ライト小説(新)

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少女と海猫の少しだけ変わった日常
日時: 2019/04/10 17:41
名前: 空巫女 (ID: z.RkMVmt)

ある郷には、“獣人”という、人化ができる生き物がいる。

このお話は、人間界で暮らす猫の獣人、“海猫”と、海猫と共に暮らす独り暮らしの高校生の少女、“白鳥千影”。
そしてその仲間達が送る、普通の人間の日常とは少しだけ変わった日常。



ーーーーーーーーーーーーーーーー

こんにちは。はじめましての方ははじめまして。空巫女です

当作の略名は海日です。

各話サブタイトルリスト兼目次 >>24

4/8
あらすじ的な何かを変更しました

4/10
>>6 の#EX1のキャラクター紹介の紅実の部分に、“ツンデレ”という記述がありますが、もう今ツンすらないですね。
設定を変更しようと思って、修正のパスワードを打ち込んでも、間違ってるになって、修正ができないです...
その為、紅実の性格は葵達と接していくうちに、ツンが消えたと脳内補充願います。

#25 ほんばん ( No.30 )
日時: 2019/03/25 16:53
名前: 空巫女 (ID: n8TUCoBB)

どうでもいいですけど、別館のBL、GL板でも小説投稿を始めたした。
タイトルは「たとえ夢であっても」です。
良かったら是非見てください。
あと、この「少女と海猫の少しだけ変わった日常」は海猫達獣人組は性別が無いのでGLでは無いです

以下、本編
___________________________________



<#25 ほんばん>

「絶対、金賞取って全国いくよ!」
『おー!』

私達は部長を中心に円陣を組んだ後、各自楽器を持って舞台にあがる。

顧問の先生が、審査員の方々にお辞儀をして、式台に立ち、指揮棒を振り始める。
それに合わせて、金管楽器とサックスの音がなり始める。私も、周りに合わせて、楽譜通りにホルンを持っている指を動かす。

曲が中盤に入ると、クラリネットによるソロだ。そこにオーボエが加わり、さらに他の楽器の音色も順番に加わっていって、演奏は最高潮へ。
優しく、美しい演奏が会場を包み込む。
その時、私は今までにない満足感を感じて。
演奏が、楽しくなった。

私達は、県大会より上手くなってる。
それを実感して。
もっと吹いていたい。ずっとこの時間が続いてほしい。そう、思ったくらいに。
千影や先輩が言っていたのはこの事だったんだ。

故郷を出て、見知らぬ世界に一匹で居たところを千影に拾われて。紅実や瑠姫といった人間の友達が出来て。葵や瑠未といった、故郷での友達との再開して。今の私は、まさしくこの演奏の様____

しかし、夢のような演奏の時間はやがて終わる。
先生の指揮棒が降ろされ、演奏は終わる。
そしてそのまま、舞台袖へ。
終わってしまった...もっと、吹いていたかった。
そう思う私に、巽先輩が話しかけてくる。
「その表情だと、まだ演奏したかったのね。うんうん、楽しめたようで何より」
ポンポンと、背中を叩く巽先輩。
しかし、私は何故か、泣いてしまった。
「え、海!?」
「海猫、どうしたの!?」
狼狽える先輩。それに気付き、千影も駆け寄ってくる。

「怖い、怖いの...
今の演奏の様に、私達の生活もいずれ、終わってしまうと思うと、怖くて...」
とても自分の声とは思えない、か細い声。

今の演奏を通じて、演奏する喜びを知った。
しかし、それと同時に、終わってしまう寂しさを知った。
地獄のような時間でも、夢のような時間でも、いつかは必ず終わる。
いつかは郷に帰らなくちゃいけない。
でも、たった数ヶ月の千影達が居る日常が終わると思うと、怖い。

「私もよ」
千影からかけられた、意外な言葉。
千影は私の思いを否定するのでなく、肯定した。
「でもね、海猫。
未来の事を____終わる事を考えているくらいなら、今を見て。時間は限られているのだから、怖がっているより、このときを、大切にしましょ」
「千影ぇっ...!」
私は千影に抱きついた。そして、幼い子供見たいに泣いて。
それを、千影は優しく、慰めてくれたのだった____

#26 けっかはっぴょう ( No.31 )
日時: 2019/03/26 15:57
名前: 空巫女 (ID: CGuaQ/h8)

<#26 けっかはっぴょう>

「海猫、落ち着いた?」
「うん...ありがとう」
しゃがんでる私を心配して問う千影に私は笑顔を見せた。
「良かった。なら、会場に戻って他の楽器の演奏を見よ?」
「うん!」
千影は私の前に手をさしのべる。
私はその手を掴み、立ち上がる。
「二人とも!早くしないと他の人に迷惑だよ!」
遠くで瑠姫が私達を呼んでいる。
「解ってるよ!」
私はそう返事すると、千影と一緒に会場に戻った。



やがて、全ての出場校の演奏が終わる。
次は結果発表だ。
各校の部長が舞台に並び、順に賞状を受け取っている。
『8番、銀賞』
前の学校は銀賞か...
銀賞は言い換えれば2位だと思う人もいるだろうが、吹奏楽の大会では、全ての出場校が、金銀銅のどれかに分けられ、金賞を取った学校のうち、2、3校だけが、次の大会へと出られる。
つまり、銀賞では全国に出れない。だから、8番の学校の人達は泣いていた。

そして、次は私達の番。
『9番......金賞!』
「やったぁぁ!!」
“金賞”。そのアナウンスを聞いた瞬間、みんなはわっと、歓声をあげる。
やった...金賞だ!
私もとても嬉しい。皆で掴み取った金賞だから。
舞台で賞状を受け取っている部長も、嬉しいだろう。
「海、やったよ!やったやった!」
「先輩っ!気持ちは解りますけど痛いです!」
巽先輩は私の肩を叩く。が、嬉しさのあまり、手に力が入っており、痛い。
「やったぁ!」
千影や瑠姫も、同じパートの仲間達と喜びを共有していた。


そして、全ての出場校に賞状が渡された後...
ついに、全国大会に出場する3校が発表される。
『全国大会の出場校は...』
会場に緊張が走る、
先程まで盛大に喜んでいた巽先輩も、今や真剣な表情をしている。

『2番、○○高校、7番、○△△高校、15番、○□○高校!』
「えっ...?」
一瞬、私は自分の耳を疑った。
私達の高校の番号が呼ばれなかったのだ。
「嘘でしょ...?」
巽先輩も、現実が理解出来ず、唖然としていた。
いや、理解出来てないのではない。理解したくないのだろう。
そのまま、会場は歓喜と号泣に包まれた_____


その後。各自で学校へ戻りの音楽室にて。
「今回は本当に残念だった。何にしろ、全国に行けなかったのだから」
今はミーティングの最中。ただでさえ静かな音楽室に部長のそのセリフで、空気が更に重くなる。
「でも、まだ終わっちゃない!何せ、大会はまだ残っているのだから!」
部長は自慢気に胸を張り、部員全員にプリントを配る。
そのプリントは、今回の大会とは違う大会について載っていた。
「そのプリントに載っている大会はね、全国に行けなかった学校しか参加できないの。でも逆に考えれば、あと一度だけチャンスはある」
プリントを見ると、CD審査と言うものがあり、自校で演奏した物をCDに録音して、大会本部に届ける。そして審査に通るとそのまま全国大会だそう。
「そうね。部長の言う通りこれが3年にとって最後のチャンス...今回、何で駄目だったか考えて、この大会では絶対金賞を取ろう!」
『おぉっ!』
桐谷先輩が、立ち上がって皆の士気を高める。
この人も瑠姫と同様、獣人わたしたちが絡まなければいい人なんだよね...

そして、皆で今後の予定を確認して今日は解散となった。
時間はとっくに20時の、二人しか居ない校門にて。千影には、先に帰ってもらっている。
「海、やったよ!まだチャンスがある!」
巽先輩は先程金賞を取った時の様に私の肩を叩く。
「はいっ!今度こそ全国行きましょう!」
「おお!いい返事ね!」
私が思いっきり返事をしたら、今度は背中を叩かれた。
「痛い、痛いです」
「ごめんごめん。じゃ、お互いに頑張るわよ!また明日!」
私が注意すると、巽先輩は私の頭を撫で、逃げる逃げる様に帰っていった。

最後のチャンス、か...巽先輩の姿が見えなくなると、私は桐谷先輩が言った言葉を思い出す。
これが、私にとっても最後にならないよね...?

Re: 少女と海猫の少しだけ変わった日常 ( No.32 )
日時: 2019/03/26 23:58
名前: 友桃 ◆NsLg9LxcnY (ID: E616B4Au)

こんばんは。
はじめまして、友桃(ともも)と申します。

海猫ちゃんが可愛いです(*^^*)
獣人なのが学校中に知れ渡る展開、予想外でした!笑 びっくり笑 隠し通せない海猫ちゃんも可愛い笑

また続き読みにきます。
更新がんばってください^ ^

Re: 少女と海猫の少しだけ変わった日常 ( No.33 )
日時: 2019/03/27 00:36
名前: 空巫女 (ID: osQJhSZL)

>>32

はじめまして。感想ありがとうございます!
海猫が獣人の事が学校中に広がる所は、実はストーリーを考えてる段階では入れてなかったんですよ。

でも、入れてみたら尺的にもいいし、もふもふされて千影に助けを求める可愛い海猫を書けて私的にも満足してます。

ありがとうございます!
更新頑張ります!

#27 めっせっーじ ( No.34 )
日時: 2019/03/27 16:27
名前: 空巫女 (ID: joMfcOas)

<#27 めっせっーじ>

<<千影side>>

中部大会が終わり数日後。
吹奏楽部では中部大会が終わって直ぐ様、次の大会のCD審査に出すCDを録音した。まだ結果は知らされてないが、もし審査に通ったなら10月に東京で全国大会があるそうだ。

その為、ここ数日はいつも以上にハードスケジュールだったが、夏休みが終わる2日前である今日は久々の休みだ。
夏休み始めにプール云々の話しがあったが、それは結局、吹奏楽のハードスケジュールのせいで中止となった。

そして今、私と海猫は自宅で来月にある前期期末テストに向けて勉強していた。因みに、課題に関してはとっくに終わっている。

「千影っー!消しゴムが消えた!」
「私に聞かれても...そこら辺に落ちてないの?」
海猫は、中部大会があった日から少し様子がおかしかったが、ここ数日はそんな様子はない。演奏後に泣いていた印象が強くて、勘違いしちゃったのかな?
いや、それは無いな。あんな海猫、初めてみたもの。大会後の数日はあの出来事が頭から離れなかったのだろう。
「海猫がまた辛い思いをするようなら、私が助けてあげなくちゃ」
「千影?」
「な、なんでもないわ!」
海猫に不思議そうな顔をされたので、自分の考えてが声に出てきた事に気づく。必至に取り繕うとすると、スマートフォンが“ブーッ”と鳴った。
この音は、SNS等々の通知機能だ。
「紅実からか...」
私はアプリを立ち上げ、紅実からのメッセージを確認する。

『千影、中部大会どうだった?』
そんな、短いメッセージだったので、私も簡潔に送り返した。
『今更過ぎるわね。結果は金賞よ』
『そっか、全国は駄目だったかぁ』
『ちょ、何で全国行けなかったって解ったのよ!?』
伝えてない筈なのに、全国に行けなかった事を知られ、慌てて送り返す。

『いや、だってさ?今まで全国に行けたって解った時“ねぇ紅実!全国よ全国っ!”ってうざい程何度も送ってきたじゃないか』
そんな、若干事実が混じっている嘘が来たので、どう返事するべきか困る。
ふと思いつくと、私は指を動かし、送り返した。

『私が送ったのは“紅実!なんと全国行けるわ!”よ。あと、1回しか送ってないわ』
『あ、そういや、私、剣道で秋に全国大会行くことになった。海世先輩に勝った!』
無理な話題転換をしながら、文の後にドヤ顔があるメッセージが送られてきた。

『こら、話をそらさないで。でも、おめでとう紅実』
『へへっ、ありがと。千影』
私が祝福の言葉を、送ると、お礼の言葉が帰ってくる。

『まぁ私達はもう1つ大会があるんだけどね』
『ダニぃ!?』
ドヤ顔を送ってやると、紅実はどっかで聞いたことのあるセリフを送ってくる。
そこから、私はドヤ顔のスタンプを送る。

『こんなの絶対おかしいよ』
『知らないわ。大会委員会に訴えなさい』
某アニメのスタンプと、セリフが送られてきたので、私は送り返した。

『じゃあ私は勉強の続きするから。用件はこんだけ?』
『まだ1つ残ってる』
私がメッセージのやりとりを終わろうかと問うも、次のメッセージが秒で帰って来た。
なんか、嫌な予感がする。

『まだ1つ...って何?』
『かだいてつだってくださいおねがいしますまださんぶんのいちものこってるんです』
全て平仮名の文面が送られてきた。
読みやすくすると、
“課題手伝ってくださいお願いします。まだ3分の1も残ってるんです”となる。

葵に頼んだのに...あれ待てよ?
残り3分の1?いつもはほぼ全部なのだから、頑張ってるのか。

『解ったわ。大会も勝ち進んだ様だし、残り3分の1くらいなら手伝ってあげる。今夜、葵も連れて泊まりにきて?』
『やった!ありがと!じゃ、また今夜!』
了解をすると、紅実がやりとりを終わらせた。

「ね、海猫。今日紅実と葵泊まりに来ることになったわ」
「へ?」
決定事項を海猫に伝えたら、海猫は唖然としてしまったのであった。


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