コメディ・ライト小説(新)
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- 死神と、少女と。
- 日時: 2019/07/26 01:47
- 名前: 赤ずきん (ID: 1CRawldg)
あたたかい。
赤い。
あたたかい。
血がとまらない、血がとまらない。
とまらない血が、私の手を染めていく。
睫の先についた血が、月までも赤く見せていた。
赤く染まった月。
「ぅああぁああぁああぁああああぅぁああああぁぁぁぁああ!!!!!!!!!」
誰かの泣き叫ぶ声がする。
痛い、痛い。
「愛してるよ」
- Re: 死神と、少女と。 ( No.29 )
- 日時: 2019/09/08 00:26
- 名前: コウ (ID: kGl/oRxm)
いけず系が出てきましたね どんな風に展開してくのだろう 楽しみです だけど今の時期は学生も社会人も多忙で大変ですね リアを大事に頑張ってくださいね 気長に待ってますよー
- Re: 死神と、少女と。 ( No.30 )
- 日時: 2019/10/03 15:57
- 名前: 赤ずきん (ID: DMJX5uWW)
〒_コウ 様
コメントありがとうございます^^
励みになります。
リアルの方でバタバタしているうちに、あっという間に10月になってしまいましたね汗
定期的な更新がしたいと思っていても、やはり難しいものですね、、、
これからも、時間を見つけて完結まで走り切りたいと思っておりますので、これからもお暇なときに覗きに来てくださると赤ずきんはとても嬉しいです。
この度は、労いのお言葉感謝いたします^^
ありがとうございました。
_赤ずきん
- Re: 死神と、少女と。 ( No.31 )
- 日時: 2019/10/03 15:58
- 名前: 赤ずきん (ID: DMJX5uWW)
「佑磨さん」
昼休み。
ありすは佑磨のことが気になり、裏庭でその姿を見つけ声をかけた。
「…っな!お前何で1人でいんだよっ!他の奴らは!」
「あ…えっと」
三人には秘密で教室を抜け出してきた。
…これは、絶対に怒られる確信がある。
口が裂けても絶対に言えない。
ありすは無言を決め込んでいると、佑磨はありすの腕を引っ張った。
強い力だった為、ありすの顔が痛みに歪む。
「何かあったらどうすんだよ!!何かあってからじゃ遅いんだよ!!何かあってからじゃ…もう……お前を………」
佑磨の大きな身体で全身を包み込まれ、身動きがとれない。
「佑磨さん?」
佑磨の身体はカタカタと小刻みに震えていた。
戸惑いながらもありすは佑磨の背中に手を回し、トントンと優しく叩く。
ぴくりと反応を見せたが拒まれはしなかった。
「佑磨さん達は、時折私のことを知っているような言動をします…私たちは初めましてではないんですか?……私たちはお会いしたことがあるのですか?」
「…っ!!し、知らねーっ!俺は!!!思い出したくもないっ!」
「きゃっ!」
いきなりのことで受け身をとれず、佑磨に押し離されたありすはお尻から地面に落ちた。
「…何やってんの?」
ありすが尻もちをついて一秒も経たずで、後ろから聞き覚えのない低い声が聞こえた。
「梓君…?」
低い。
普段の梓からは想像できない憎しみの籠った声だった。
「…っ」
「佑磨…今、ありすに何した?」
佑磨はありすを押した両手を見つめ、俯いて返答がない。
「塁も、佑磨お前も…本当に【ゴミ】だな」
「え」
梓の呟いた言葉に耳を疑う。
「あいつと一緒にするな…」
先程まで微動だにせず俯いていた佑磨がゆっくりと顔を上げ梓の顔を見た。
《怖い》。
ありすの首元に冷や汗が垂れた。
「同じじゃないの?さっきありすを傷つけたじゃないか。…傷の大小なんて、関係ない」
「…っ」
梓の言葉に一瞬顔を歪ませた佑磨は壁を強く叩いて、ありすと梓へ背中を向けて歩き出した。
…†††…
「大丈夫?ありす」
佑磨の姿が見えなくなると、梓はいつもの笑顔でありすへと手をさしだす。
「い…っやっっ!!!」
咄嗟に梓の手を振り払ってしまった。
怖い。怖かった。
佑磨に、梓にもこんなにも明確な恐怖心をもったのは初めてだった。
梓に関しては、まるで違う人だった。別人だった。
振り払ってしまったことを後悔し、梓の顔を見たが梓の笑顔は徐々に消えていき、乾いた笑いをこぼした。
「はは…っそっか…怖いよね…僕。だけどね」
ー僕の存在意義は君を守ることだから…僕は君から離れないー
「たとえ君の恐怖の対象になったとしても」
【笑顔】でそう呟いた。
- Re: 死神と、少女と。 ( No.32 )
- 日時: 2020/03/24 23:10
- 名前: 赤ずきん (ID: ShMn62up)
―午後11時
ありすはベッドに入り、毛布を頭からかぶった。
『―僕の存在意義は君を守ることだから…僕は君から離れない―』
梓の言葉が頭から離れない。
「存在意義…」
これまであの四人と過ごしてきては違和感を覚えていた。
あの四人はありすのことを前から知っている。
明らかに言動や行動が怪しいのだ。
『塁も、佑磨お前も…本当に【ゴミ】だな』
この言葉にも引っ掛かる。
何故あの場にいなかった塁の名前が出たのか。
時折見せるありすへの四人の哀しい視線。
「私…何かを忘れている…?」
…†††…
夢をみている。
ふわふわと身体が妙に軽いのだ。
浮いているようで、気持ちが良い。
まるで、ゆりかごの上に寝ている感覚だった。
「アリス」
声がした方へ視線を向けると、目の前に丸い光が現れた。
それは認識すると同時にあっという間に消え、目の前に一人の男性が現れた。
「誰…?」
そう問うと、彼は悲しそうな笑顔を向けた。
頭に直接声が響く。
『やっぱり覚えていないのか』…と。
「覚えていない……やっぱり私は何か忘れているのですね」
彼はゆっくりと頷くと、自分の人差し指をありすの額に当てた。
「…ったぃっ」
強く押されたわけでもないのに、額から全体的に激痛がはしる。
温かい丸い光。
彼の顔。
「…どう、して」
そして、その額に人差し指を当てるしぐさ。
「どうして、《懐かしい》なんて感じるの…?」
彼に会うのは初めて。
「初めて…」
違う。
「私とこの人は――…」
「私は…」
お前の本当の父だ――。
- Re: 死神と、少女と。 ( No.33 )
- 日時: 2020/03/27 19:52
- 名前: 赤ずきん (ID: yLoR1.nb)
「お…とう、さま?」
この人は何を言っているのか。
いきなりの発言に、整理しきれていない脳内はパニック状態だった。
初対面の相手にいきなり父だと名乗られ信じる者がいるのか。
しかも、ありすには父と呼ぶ者がいた。
そんなバレバレな嘘等信じる余地もない。
…そうだ。
ここは夢の中だ。
夢にすぎない。
そう、反論しようとありすは息をゆっくりと吸い込んだ。
「………」
彼の顔を見て出かかった言葉を飲み込む。
ありすはまだ何も発ししていないはず。
ありすが言葉を発する前に、彼は首を左右に一回振ったのだ。
彼は人の心が読めるのか。
そんなことを考えてしまい、身体が硬直する。
そんな彼女の様子を見た彼は困ったように眉毛を下げて、ゆっくりと口を開いた。
「これは、夢ではない。しばし、お前の意識に入らせてもらったよ」
彼の雰囲気を裏切らないゆっくりとした優しい語り掛けだった。
「私は人間ではない。
そしてアリス。お前は神の私と哀れな人間の娘から生まれた。私の、娘だ」
「ま!!!!!待って…くだ、さ……っっい!ちょ、ちょっとあなたが何を言っているのか…。わ、私にはさっぱりで…っ」
必死に言葉を絞り出そうとして、咽そうだ。
「い、いきなり神だとか、あなたの娘だとか言われても、意味が分かりませんし、とても現実的なこととは思えません…っそれに…私にはセンリという父が…………………………」
父が……
父が…
その次の言葉が何故か出ない。
そういえば、私が小さい頃の記憶を思い出せない。
思い返せば、父に自分の小さい頃のことを聞いても、いつもうまくはぐらかされていた。
……あの人はいつから父だったのか。
背筋がぞっとした。
暑くもないのに身体中に汗が滲んでいる。
「な、なに…何なの……小さい頃の記憶なんて誰でも忘れてるはずでしょう…?」
なのにどうして。
…私はいつからあの人といたのか。
考えれば考えるほど、昔の自分の記憶が全くないことに気づく。
「【アレ】は私が作った私の紛い物だ。お前にとってアレも父になるのならばそうなのだろう。私もまた、センリなのだから」
思考が追い付いていけない。
目の前が徐々にゆらゆらと揺れ始めている。
目の前のセンリもスライムのようにぐにゃりと歪んだ。
「神の血を飲めば美しくなれる、肉を貪れば長寿が望まれる、神に愛されたものは永遠の幸福が待っている。…人間たちが勝手に作りだした幻想だ。今は神への信仰心や神話、こういった都市伝説とやらは時代とともに薄れていったとしても、信じているものは未だ世界中に蔓延っている」
だから、人間界にいる半神という存在のありすは狙われる。
それを阻止するための死神。
四人の死神の存在。。
「しかしそんなお前を守っているのも人間だよ…いや、正確には〈元〉人間だけどね。彼等はアリス、お前を守るために生かされ生き永らえられている存在。普通の人間のように簡単には死ねない人形」
「どうして彼等、なの……?私と、あの4人は何の接点も…」
「まだ、思い出していないんだね……そうか。うん…いいよ分かった。私はその為に来たんだからさ……お前に、お前が忘れている過去を、記憶を見せてあげよう」
センリはありすの手を取り、優しく自分の胸元へと引き寄せた。
「さぁ、過去へ行こうか。お前が失った記憶を取り戻すために」