コメディ・ライト小説(新)

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ファイティン・ラブ!~彼氏は推しでした~
日時: 2025/06/21 18:30
名前: このか ◆XqDKo6W48k (ID: hfVure16)

【重要 25.4/8追記】

<なりすましにご注意ください>
リク板を始め、様々な所で私のなりすましがいるそうですね。
私が荒らしに過剰反応&全てのスレをロックしてしまったことがきっかけかと思います。
『このか』を騙った荒らしによって、ご不快な思いをされた方がいらっしゃいましたら、本当にごめんなさい。
そして、本当の『このか』は、上記の名前のようなXから始まる、トリップを付けているもののみとなります。
以前はトリップを付けていなかったので、付けておいて良かった……。

以前書いていた作品を改稿します。
題名はとりあえず同じにします。
さらに読みやすくする予定です。
感想、頂けると嬉しいです!

【登場人物】

柴田美織しばたみおり⇨主人公。高2。茶道部。私立星川高校特進クラスの生徒でまじめな学級委員長。戦国オタクで宮城出身なため、伊達政宗推し。頭の良さから『神童』と呼ばれて育つ。『雑草のようにひっそり生きる』がモットー。

柴田沙絵しばたさえ⇨美織の妹。高1。囲碁部。県立湘南科学高校の生徒。美織とは対照的に目立ちたがり屋な節がある。

熊野陽花くまのはるか⇨美織の親友。高2。吹奏楽部のホルン担当。情報通で校内の情報を知り尽くしている。戦国オタクで、直江兼続推し。

咲坂杏さきさかあん⇨美織の親友。高2。料理部。とにかく優しい。戦国オタクで、上杉謙信推し。

三浦晴樹みうらはるき⇨学級副委員長。高2。バレー部の高身長イケメンで、とにかく人気者。

比留木貴史ひるきたかし⇨美織が宮城にいた頃の幼馴染。繊細な心の持ち主で、俳句や短歌を作るのが好きなので、美織によく俳句を添えてハガキを送ってくれている。

伊達政宗だてまさむね⇨美織たちの特進クラスにやってきた転入生。高2。武将と同じく、料理が好きで文化人。とにかく武将とそっくりだが理由は不明。

☆戦国武将そっくりさん達の紹介⇨>>34>>40

【目次】

【chapter1 仁にすぐれば弱くなる】

・第1話>>1 ・第11話>>11 ・第21話>>22
・第2話>>2 ・第12話>>12 ・第22話>>23
・第3話>>3 ・第13話>>13 ・第23話>>24
・第4話>>4 ・第14話>>14 ・第24話>>25
・第5話>>5 ・第15話>>15 ・第25話>>26
・第6話>>6 ・第16話>>16 ・第26話>>29
・第7話>>7 ・第17話>>17 ・第27話>>30
・第8話>>8 ・第18話>>18 ・第28話>>31
・第9話>>9 ・第19話>>19 ・第29話>>32
・第10話>>10 ・第20話>>20 ・第30話>>33

・第31話>>37
・第32話>>38
・第33話>>39
・第34話>>41
・第35話>>47
・第36話>>53
・第37話>>54
・第38話>>57

⭐第1話から第10話のまとめ読み>>1-10
⭐第11話から第20話のまとめ読み>>11-20
⭐️第21話から第30話のまとめ読み>>22-33
⭐第31話から第40話のまとめ読み>>34-

🌟第1話~第20話までのまとめ(作者による解説入り)>>21

【作品の歴史】

・2022年の秋に執筆開始(当スレとは異なるスレを立てていました)
・2023年の夏に本スレッドを立て、改稿中
(改稿前)🏅2022冬の小説大会にて銀賞…!
(改稿後)🏅2023冬の小説大会にて銅賞…!嬉しい限りです。
🏅2024夏の小説大会にて銀賞…!更新遅いですが、頑張ります。

【作者のつぶやき】

>>27(2024新年のご挨拶)
>>28(復活します)
>>36 >>43 >>45(感想ありがとうございます)

【訪問してくださった方】

・りゅ さん>>35
・謎の女剣士 さん>>42
・小説好きな医師 さん>>44
・運営 さん>>48

【あらすじ】

横浜の名門校に通う高2・柴田美織は、その頭の良さから神童と呼ばれ、育っていた。
そして、宮城出身であることから戦国武将の伊達政宗オタクだった。
そんな中、転入してきた転入生の名前は「伊達政宗」で……!?
戦国武将そっくりなエリート男子×戦国オタク神童女子が織りなす、[エリート×エリート]ラブコメディ!

Re: ファイティン・ラブ!~彼氏は推しでした~ ( No.15 )
日時: 2023/09/23 06:42
名前: このか ◆XqDKo6W48k (ID: v5g8uTVS)

《第15話》

「彼女、ほんと礼儀正しいよなぁ」
三浦くんにさっき気づいたことを話すと、共感してくれた。
「真面目で仕事もできるし、いろんな意味で頭が良い。今まで学級委員やってなかったみたいだけど、俺は学校のリーダーにふさわしいのは彼女───美織ちゃんだと思う。僕たち他の学級委員も委員長を見習って、頑張ろうと思わせてくれる存在だよ」
そう言って微笑んだ。
美織ちゃん、って下の名前呼び!?
と俺は少し驚愕したものの、三浦くんに頷く。
「そういえば茶道もうまいらしいよ」
「そうなんだ」
お抹茶というのは、きれいに泡立てたりするだけでも大変なのに、お点前もきれいにできてしまうなんて…。
それに、いろんな意味で頭が良くて、真面目で仕事もできるだと…?
彼女、一体何者なんだ───?

放課後、柴田さんに部活案内をしてもらった。
学校中広いので、歩くだけでも疲れてしまう。
グラウンドの外側のマラソンコースに目を向けると、三浦くんがかなり早いペースで走っていた。
「バレー部は外練もしてるみたいですね…。今日はいつもの15周からスタートかな?」
「15周もするの!?」
「運動部は練習が厳しいんですよ」
「な、なるほど…」
「すごいですよね。頭も良いし、運動もできるし、性格も良くて慕われている。三浦さんは星川生の鏡です。素直に尊敬します」
と柴田さんは頬を緩めた。
三浦くんも、すごい人なんだなぁと感心する。

家に帰ることになり、偶然にも同じ駅で降りることになった。
別の方向かな、と思ったらマンションまでの道のり同じだった。
本当はもっと驚くべきかもしれないが、帰ってから何しようかと考えていてぼーっとしていたのだ。
エレベーターのボタンを押して、3階のボタンを押す。
それから家の鍵を開ける。
隣を見ると、柴田さんの目線が鍵を開けながら僕の手元と顔を行ったり来たりしていた。

Re: ファイティン・ラブ!~彼氏は推しでした~ ( No.16 )
日時: 2023/09/30 11:36
名前: このか ◆XqDKo6W48k (ID: Yry.8Fde)

《第16話》

え…!?
隣に住んでるの…?
といった驚きと緊張が柴田さんの表情から読み取れる。
素直な性格のようで、可愛らしく見えた。

何とかこの気まずいような空気を振り払おうと、話しだす。
「あれ、隣に住んでるの?」
「あ、はい。伊達さんは最近引っ越してきたんですね」
「いとこみんなで集まって生活してるよ。でも人数が多いから思ったより狭いんだよね」
いとこ同士で集まって住むというのは、いとこの中で最年長である織田信長、という人が提案してきたものである。
大学生や社会人になったら、どうせ上京して1人暮らしをする。
いとこ同士で集まった方が、家賃が安くなる。
だから、高校生のうちから、みんなで集まって仲良くしておこうという考えらしい。

「そうなんですか、知らなかったです。そこの部屋の織田さんも教えてくれなかったです」
「そういえば最近、俺のいとこが茶道を極めてるらしくてさ、試しにその人のお抹茶飲んでみない?確か茶道部だったよね」
茶道を極めているのは豊臣秀吉、という名の茶髪の人だ。
柴田さんは目を見開いた。
数秒の間の後、
「はい」
という返事が聞こえて俺は安堵した。
また変な人と思われたら…と思っていたのでよかった。
「うん、じゃあ、上がっていいよ」
「え…!?あ、お邪魔します」
家に女子を招くのは恐らく初めての経験だが、いいだろう。
なぜか俺はそう思っていたのだ。

Re: ファイティン・ラブ!~彼氏は推しでした~ ( No.17 )
日時: 2023/09/30 11:39
名前: このか ◆XqDKo6W48k (ID: Yry.8Fde)

《第17話》

「なんか可愛い子来たね。初日から彼女できたの?」
廊下の壁にぴたーと背中をくっつけて体育座りをしながらリビングの方を見ていた俺に冗談混じりでそう話し掛けてきたのは、上杉謙信。
彼は夏だというのにいつもの白いパーカーのフードをかぶって、爽やかな笑みを浮かべている。
でも、三浦くんとは少し違うイメージだ。

「彼女なわけないだろ」
俺が少し怒り気味にそう答えると、
「ごめん。冗談だよ」
とあっさり謝ってきた。
彼もまた俺の隣に同じ姿勢で座る。
「彼女はキーマンだからでしょ?」
いきなり謎の質問をしてくる。
「は?」
「柴田美織。17歳。星川高校特進クラス所属。茶道部に在籍し、その実力はまさに鶏群の一鶴」
「なんでお前が知ってんだよ」
「だから…さっきから言ってるだろ、彼女はキーマンって。俺たちの成り立ちに関わることを何か知っているかもしれない」
彼は得意げに笑った。
「……」
俺は首を傾げた。
彼女がキーマンだとしても、なぜその情報を握っているのかわからない。

「…その情報、どっから知ったんだ」
「え―――!教えなきゃダメ?」
「教えろよ、情報は公平に扱うべきだろ?」
「しょうがないなぁ」
とため息をつきながら彼は機械が大量に並べられた自室へと向かう。
「これだよ」
俺がモニターを覗き込むと、熊野さんのSNSの画面が出てきた。
「なんで熊野さんのSNSが…?」
「お前がぼーっとしてるからだろ」
よく見ると、モニターの下には、今日、熊野さんからもらったばかりの名刺が置いてある。
「お前が台所でぼーっと水飲んでる間に拝借したんだよ。名門校ってのはなぁ、変わり者がいたりするんだよ。何か情報頂けるかもしれないと思って手帳のポケットとか見てみたら案外入ってた」
そんな言葉で、己の不甲斐なさに嫌気がさした。

Re: ファイティン・ラブ!~彼氏は推しでした~ ( No.18 )
日時: 2023/10/09 13:37
名前: このか ◆XqDKo6W48k (ID: niONRc09)

《第18話》

「いやー、今回はハッキングしなくても情報が頂けて良かったよ。ハッキングは目が疲れるからね」
そう、彼​──上杉謙信はハッカーだ。
ハッカー、といってもブラックではなくホワイトがメインで、たまに仕事を請け負ったりしている。
「まさかSNSからこんなに情報が頂けるとは」
と無邪気な笑顔を浮かべながら、1つ1つ解説してくれる。

まずは、学校の参考書だけが写る画像だ。
『友達と図書館で勉強。図書館なんて何年ぶりに行ったかなぁ』
というつぶやきが残されている。
「この参考書、特進クラスだけだよね」
「…そうなの?」
まだ、特進と一般の違いがなかなか分からないので、首を傾げる。
「柴田美織が星川っていうのは信長に聞いてたから分かったんだけどクラスまでは分からなくて…まさか、ここから分かるなんて驚いた。さっき信長に聞いたら、これは特進だけだって言ってたよ」
信長さんも、実は星川高校の卒業生なのだ。

次に、畳の上に可愛い女子のイラストと、その近くに抹茶が描かれているもの。
「この女子はたぶん柴田美織だろうね。それと抹茶が描かれてるから茶道関係かな?って。このパンフレット見たらそうだったよ」
と俺がもらったものをヒラヒラさせる。
そんなものまで持っていたなんて…。
「あとはお抹茶の泡の具合。綺麗に細かく描かれてたからもしかしたら上手いのかなって」

そんな簡単に情報を知っていたなんて…、と目が飛び出そうなほど驚いた。
「俺、星川の一般に転入してもっと探ってみるよ」
「は!?」
そんなハッカーさんの一言で、目が思いっきり覚めた。

Re: ファイティン・ラブ!~彼氏は推しでした~ ( No.19 )
日時: 2023/10/14 12:45
名前: このか ◆XqDKo6W48k (ID: 4VUepeYc)

《第19話》

「は!?お前、何を言ってるんだ…?」
まさか転勤してくるとは思わなかったから目が飛び出るほど驚いた。
いくらホワイトがメインとはいえ、ハッカーが大企業のお嬢様もいるらしい私立名門校に転入してしまったら…
日本の経済や政治が大ピンチに陥るのでは!
ホワイトだからって信用ならない!
「大丈夫だよ。よほどのことがない限りハッキングはしないから」
と余裕をかましている。
「お前の大丈夫は信用ないんだよ」

「まぁまぁ、落ち着いて」
そう言いながら、彼は両手を上げる仕草をしてみせる。
「柴田美織やその友人は今特進にいるけれど、一般に落ちる可能性も0ではない。その場合を考えてだよ」
俺が特進クラス、謙信が一般クラスを観察するということか。
うん…やってみてもいいだろう。
「それに、俺の学力じゃ多分一般が限界だし」
「2人で協力して観察するということか?」
「ご名答!」
そう言って無邪気な笑顔を浮かべる。
作戦の内容はだいたいわかった。

「でも、本当に…柴田美織を追うだけで俺たちの成り立ちがわかるのか?」
「さっきも言ったけど、柴田美織は本当にキーマンだ」
「……」
謙信はより1層声を潜めて言う。
「彼女、あの柴田佳奈実しばたかなみの娘だ」
「え…」
「佳奈実さんは美織が中1の時…。宮城から横浜に引っ越してきてすぐ事故死してる」
「そう…なんだ」
誰よりも真面目そうで、芯を持っている彼女の母親は既に───亡くなってしまっていたのだ。
彼女はそれからどのような人生を歩んだのだろう。
数秒の重苦しい沈黙が流れる間、彼女の人生に思いを馳せた。


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