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壊れたボクと儚い天使(グロアリ)
日時: 2009/10/09 16:34
名前: テト (ID: VZEtILIi)

シリアス&重たい&グロありです(汗)
それでもばっちこいやぁ!という人は、ご覧下さい。

■登場人物■

吉祥アキ(きちじょうあき)
17歳。5年前のある事件で、左目を失い、前髪で隠している。少年の割りにはキレイな顔立ちの為、時折噂される。あまり人と話さない。

鈴山梨乃すずやまりの
17歳。幼い性格の屋上登校。かなりの美人で、天真爛漫。8年前の監禁事件の被害者で、時折歪んだ表面を持つ。

東雲宇美しののめうみ
17歳。素行不良少年で、アキとは同じクラス。女子から異様にモテ、とっかえひっかえしている。アキは苦手らしい。

向坂安寿さきさかあんじゅ
16歳。他校の不良高校の1年。派手でその外見を裏切らない事も多々している噂。

主題歌
http://www.youtube.com/watch?v=-Wlg0VeBHus
エンディング
http://www.youtube.com/watch?v=vBCWe7nf3WY

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Re: 壊れたボクと儚い天使(グロアリ) ( No.18 )
日時: 2009/10/09 16:26
名前: テト (ID: VZEtILIi)

あの後、飛鳥川さんの埋葬が静かにひっそりと行われた。
「つか、何であんな奴の埋葬に行かなきゃなんねぇの?」
「死んでも別によくね?」
そんな生徒達の声もチラホラ聞こえる。
僕と東雲くん、梨乃は特別席に座らせてもらった。
梨乃は悲しげな顔もせず、特になんとも思っていない様子で、

「アキ、人が死ぬのは悲しい?」
「そりゃ、まぁ……悲しいね」
「でも、梨乃は全然悲しくない。心がないからね」
また、いつもの比喩表現だろうか。
この天使は何を思ってるんだろう。

埋葬が終わって、生徒たちが帰る中、僕たちは向坂さんに呼び止められた。
「あのさ……ありがと。何か、迷惑かけたし…」
「海斗さんは?」
「父さんは、今警察で、多分病院に入ると思う。あたしは、寮に入るつもり……」
必死で泣くのをこらえているのか、肩が震えている。

「ねぇ、これからもさ、相談に乗っていい?あたし、一人じゃないよね……ッ。ルイはあたしの天使だったんだよ」

それを聞いて、僕は全てがわかった。
飛鳥川さんにとって、向坂さんが天使だと思っていたけど、違うんだ。
向坂さんにとって飛鳥川さんは天使だった。
父親から歪んだ愛情を受け、それでも必死で耐えてきた飛鳥川さんが、向坂さんの憧れだったんだ。

「勿論だよ。だから、泣いてもいいよ」
僕はそう言うと、ぽろぽろ涙の粒を流し、向坂さんが抱きついてきた。
「……ありがと。またね」
「また、ね……」


           ♪


自分の血肉を見たとき、初めて思ったの。
生きたい、って。
でも、もう無理だったの。
私は永遠に夜の世界から抜け出せないから。
ごめんね、安寿。

あなたを一人にしちゃうね。でも、大丈夫。
一人じゃ、ないよ。
安寿は可愛いから、きっと安寿自身を好きになってくれる男の子が現れるよ。
海斗……お父さんのように、いつまでもいつまでもお母さんを愛する人のような。

もう行くね。
さようなら。

Re: 壊れたボクと儚い天使(グロアリ) ( No.19 )
日時: 2009/10/09 16:33
名前: テト (ID: VZEtILIi)

梨乃が手をふった。
「梨乃、こっちだから。バイバイ」
「ばいばい」
いつもの梨乃だった。

東雲くんと二人きりになって、突然
「なあ」
腕を引っ張られた。
「何?」
「あんさ、あいつの事“梨乃”って呼んでたよな」
「あー、うん」
東雲くんが訝しそうな顔で、

「あいつ、アレだろ?“鈴山梨乃”」
「え、梨乃の苗字知ってるの?」
「あんまあいつの存在自体知ってる奴はいねーと思う。なんか、昔事件の被害者みてぇで、感情捻くれて、全然授業にも出ないしさ」

梨乃が、被害者?
東雲くんの言っている意味を全く理解できずにいた。
「あの、梨乃って……何組?2年生だよね」
「何組って……。アホ。俺らと同じクラスじゃんかよ」
「!?」



           ♪


物語は、もう始まっていた。
全ては彼女と彼が出会ったのが原因だった。
どうしてこんなに捻れて、複雑で、絡み合った人間関係になったのか、彼女にも彼にもわからなかった。

彼女は彼を見て、こう言った。

「朝倉犀華は……生きてるんだね」

Re: 壊れたボクと儚い天使(グロアリ) ( No.20 )
日時: 2009/10/10 08:51
名前: テト (ID: VZEtILIi)

        第四章
     広がる波紋と揺れる想い



梨乃は僕と同じクラスで、昔に何か事件に巻き込まれて、全然授業に出なくなった。
そんなこと、信じられるだろうか。
でも、梨乃の昨日の態度を見ていると、少しだけぞっとした。
無邪気で残酷で、それでいて儚げな容姿で。

「アキ、今日は学校……休む?」
「え……?」
お母さんが心配そうに声をかけた。
飛鳥川さんの事もあったから、色々と心配してくれているんだろう。
「大丈夫だよ、行ってきます」
「……気をつけてね」


早く、屋上に行って今すぐ梨乃を抱きしめたかった。
何だか梨乃が去っていきそうで。
家から飛び出して、学校への道を急ぐ。
何人か登校中の生徒を追い越した。その時、
「おい。お前、“アキ”か?」
男子生徒に声をかけられ、足が止まる。

キツイ目で僕を睨み、中性的な整った顔立ちのその男生徒は、
「お前が、“あの”アキか?」
どうして僕の名前を知っているんだろう。
少し不気味だった。
「……あの、って?」
「……アキっていう名前か?」
僕が頷くと、その少年は皮肉気味に笑って、

「ちゃんと、高校生やってんだな」
一瞬で無表情になった。
僕は会った事もない人に「高校生やってる」と言われ、眉をしかめた。
「あの、僕急いでるんだけど」
「お前は、何も知らない愚かな人間なんだよなあ」
何が言いたいんだ?

突然現れた初対面の人にそう言われて、ムッとしない人はいないだろう。
僕は相手を睨みつけて、
「キミは誰?どうして僕の名前を知ってるんだ?」
なるべく低い声で聞いた。
少年は僕へと近づき、耳元で囁いた。

「俺は、あいつの“天使”だからな」



          ♪


彼女は孤独だった。
いつまでも笑っている彼が羨ましかった。
どうして、そんなに笑顔で透明でキレイでいられるの?
彼女はいつもいつも暗いお部屋で泣いているのに。

彼女とキミが出会ったのは、人気もまばらな公園だった。
彼女があまりにも酷い格好で泣いていたので、見かねたキミが声をかけた。

──どうして、泣いてるの?

キミはこの世界で自分が一番不幸だと思っていた。
だから、彼女が泣いているのが不思議なくらいだった。
自分より幸せな奴が、どうして少し傷ついただけで泣いているんだろう。そういった意味で聞いた。
すると、彼女はそっとキミを見て、

──この世界に、絶望してるんだよ。

疲れた声でそう答えた。
キミは彼女の隣に腰を下ろし、自分の不幸話を話した。
彼女も心を開いたのか、自分の今まで合った事を全て話した。
暗い牢獄で縛り付けられ、声も出せずにずっともがいていた。こうやって、誰かに自分の事を話すというのはなかった。

全て聞き終えたキミは彼女を抱きしめた。
彼女は人のぬくもりに怯えながらも、恐る恐るこう訊ねた。

──天使は、いると思う?

Re: 壊れたボクと儚い天使(グロアリ) ( No.21 )
日時: 2009/10/10 10:37
名前: てるてるボーズ (ID: X79pDgJG)

初めまして


影ながらいつも 読ませて頂いてます(*´∀`*)

小説お上手ですね…


応援していますッ


でわ See you again Ψ(*´∀`*)ノシ

Re: 壊れたボクと儚い天使(グロアリ) ( No.22 )
日時: 2009/10/10 13:14
名前: テト (ID: VZEtILIi)

ありがとうございます
影でも読んで下さい(笑


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