ダーク・ファンタジー小説 ※倉庫ログ

■漢字にルビが振れるようになりました!使用方法は漢字のよみがなを半角かっこで括るだけ。
 入力例)鳴(な)かぬなら 鳴(な)くまでまとう 不如帰(ホトトギス)

壊れたボクと儚い天使(グロアリ)
日時: 2009/10/09 16:34
名前: テト (ID: VZEtILIi)

シリアス&重たい&グロありです(汗)
それでもばっちこいやぁ!という人は、ご覧下さい。

■登場人物■

吉祥アキ(きちじょうあき)
17歳。5年前のある事件で、左目を失い、前髪で隠している。少年の割りにはキレイな顔立ちの為、時折噂される。あまり人と話さない。

鈴山梨乃すずやまりの
17歳。幼い性格の屋上登校。かなりの美人で、天真爛漫。8年前の監禁事件の被害者で、時折歪んだ表面を持つ。

東雲宇美しののめうみ
17歳。素行不良少年で、アキとは同じクラス。女子から異様にモテ、とっかえひっかえしている。アキは苦手らしい。

向坂安寿さきさかあんじゅ
16歳。他校の不良高校の1年。派手でその外見を裏切らない事も多々している噂。

主題歌
http://www.youtube.com/watch?v=-Wlg0VeBHus
エンディング
http://www.youtube.com/watch?v=vBCWe7nf3WY

Page:1 2 3 4 5 6 7



Re: 壊れたボクと儚い天使 ( No.3 )
日時: 2009/10/06 17:24
名前: テト (ID: VZEtILIi)

        第一章
      屋上登校少女と僕


校庭の桜がキレイに咲き乱れ、舞い落ちる花びらが開いている窓から教室内に入ってくる。
時々、ノートの上に気づけばちょこんっと乗っている。
僕はやっと、誓華学園の高校2年生になった。
校舎が少し変わって、1年生の時に行っていた校舎ではなく、別の北側の校舎に移った。
日当たりのいい一番奥の教室は、明るい日がいっぱいに差し込んでいて、思わず眠ってしまう。

予鈴が鳴って、昼休みになった。
僕はいつものように、弁当を持って教室から出る。長い廊下を渡って、屋上へと続く階段を上る。
静かだ。
誰もいない。
人数の少ない階段をゆっくりと上がって、今日もあの子は来ているかと思うと、自然と笑みが浮かぶ。
二つの弁当を片手で持って、僕は屋上の扉を開けた。

「待った?」

僕が屋上に座っている女の子に声をかける。
えらく美人なその子は振り返って、
「少し、だけ」
はにかんで答えた。
桜の花びらが風に待って、こんな高い所でもふわふわとやってくる。
僕はその子の隣に座って、持っていた弁当の一つを手渡した。

「今日は、上手く作れたはず……だから」
モソモソと言うと、
「ありがと」
短くその子はそう言って、包みを開ける。
中に詰まっている具を見て、
「おいし、そう。ありがとうっ」
もう一度お礼を言った。

僕と梨乃が出会ったのは、高校1年の冬の終わりで、春の始まりだったときだ。
あの日、僕は突然発作が起こって人目のつかない場所に行こうと必死だった。
震える足で階段を登り、屋上の扉を開けると、えらく美人な、それでこそ本当にキレイな女子生徒がいた。

髪の毛は色素が抜けて、蒼白だった。腰まで伸びてるし。白くて華奢な体で、古風な学園の制服を着ていた。屋上にぺたんっと座って、どこかを呆然と見ているようだった。

僕がじっと見ていると、向こうはこちらに気づいたらしく、少しだけ慌てたよに髪を整えて、

──冬に、お別れを言いに来たんだよ。

キレイな、川のせせらぎのような澄んだ、透明感のある声でその子が言った。
驚いたけど、それ以上に僕は自分がその子に近づいて、落ち着いた口調で、

──僕は、春に挨拶をしに来た。

そう言った事だった。
何だ、それ。
後から思うととても恥ずかしい。
どうして自分でもあんな事を言ってしまったのかわからなかった。
でも、この子は不思議な子だった。

あれから、僕は弁当を持って彼女とこうして一緒に食べたりしている。
学校内では絶対に見かけないこの子は、一体何者だろう。
出会って2ヶ月。
知っているのは、名前くらいだ。

「おいしいね。梨乃、これ、好き」
梨乃がそう言って、ふんわりした黄色の玉子焼きを箸で摘む。
「僕も好き。……梨乃さ、今日授業出た?」
「出てない。出なくても、いい。梨乃は、ここでずぅっといる」
不思議な子だ。まったく。
学校に来ても授業に出ず、屋上でただ時間を過ごすなんて、受験とかもあるのに。
年も知らないし。でも、2年生か3年生だよな。
1年生が来る前の冬にいたんだし。

「アキ、何か考え事、してる?」
「どうして、わかったの?」
「だって、眉間に、しわ。寄ってる」
くすくすと笑って、白くて細い指で僕の眉間をつんと突付く。
苦笑いしながら、
「梨乃の事考えてた」
「梨乃の、事……?」
「うん。ホントにおいしそうに食べるな〜って」
そう答えると、キレイに笑って、嬉しそうに食べるスピードを速める。
何だかんだで、この時間を僕は結構気に入っている。
梨乃も楽しそうだし。

「梨乃、アキ好き。この世界で誰よりも、アキ好き」
懐かれてしまったのか、そう言ってぎゅっっと腕に抱きついてくる。
愛しい、子供のようなその仕草に、僕の壊れた心も、すぅっと軽くなって、温かくなる。

Re: 壊れたボクと儚い天使 ( No.4 )
日時: 2009/10/06 17:37
名前: 葬儀屋 ◆cQaFbCAsNs (ID: 7uDpQ2OC)

初めまして(^ω^)

カキコにもまだ、こんなに文章力のある方がいらっしゃるとは……と、驚きました。重たくてもグロがあっても私は平気ですww
これからの展開が楽しみです。頑張ってください。

Re: 壊れたボクと儚い天使 ( No.5 )
日時: 2009/10/06 18:09
名前: 勇人 ◆NC1AxUg.ec (ID: DrxGkANi)
参照: 元、紅でござんすww

テトさんの小説、とっても面白いですww
ガラクタな僕のほうも、こっそり見ていました!
プロみたいで、尊敬しちゃいます!
頑張ってくださいね!

Re: 壊れたボクと儚い天使 ( No.6 )
日時: 2009/10/06 21:11
名前: ひなき、 (ID: 8Q63fUc/)

こんにちはっ

新しい小説ですね、
楽しみにしてます(^ω^)

ガラクタな僕のほうでは読み返すと恥ずかしいようなコメント申し訳ありません←
終わったということで気持ちが高ぶっていたのでww

それではっ!

Re: 壊れたボクと儚い天使 ( No.7 )
日時: 2009/10/07 16:56
名前: テト (ID: VZEtILIi)

お褒めの言葉、ありがとうございます^^
それは私のパワーになります(笑
これからも書いていくのでよろしくです。
>葬儀屋s

プロ、私にとっては本当に足と頭の先ほどの長い長い道のり、そして神々しい言葉です。いや、ホント。
そのような言葉、ありがとうございます。
>勇人s

何をおっしゃいまするか。
コメを貰って、嬉しくない人がこの世のどこにいるんです!ガラクタの方でもお世話になりました。
新小説ですが、よろしくです。
>ひなき、s


Page:1 2 3 4 5 6 7



この掲示板は過去ログ化されています。