ダーク・ファンタジー小説 ※倉庫ログ
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- アクセス【【削除依頼】】
- 日時: 2020/08/01 19:50
- 名前: RADELLE03 ◆X6s/dtSC5A (ID: hsews.TL)
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登場人物>>
01章 URL=スタートボタン
02章 少女二人の決意
03章 朝、少女は動きだす
04章 着いた場所、そこは空港
05章 そこで私達は出会った
06章 闇夜を歩く,少女の向かう先は
07章 そして四人は誓いを建てた
08章 逃げ惑う,迫るは危機
09章 ドミノ倒し
10章 強制退場
11章 彼女の長い夢
12章 冷笑の奥は
13章 違反者と参加者の
14章 霧崎+ナイフ
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- Re: >>> ア ク セ ス > > ( No.26 )
- 日時: 2009/12/07 20:18
- 名前: RADELLE03 ◆X6s/dtSC5A (ID: QYM4d7FG)
今思えば、もう少し警戒していれば異変に気がついた筈。
もっと気を配っていれば——
駅に着いたとき、私達は田舎を目指すため少し高い切符を買った。
これで、所持金はほとんど無くなった。
美希も残り少ししかないといっている。
だが、二週間過ごせただけでも凄いということを忘れていた。
そのまま改札口をとおり、電車を待った。
満員電車じゃないといいんだけど…。
電車を待っている間も、四人の中で誰一人口を硬く閉じたままであった。
だが、無理も無いことだ。
自分達は、これから追われるのだ。
捕まってはいけない、何をされるか分かったものではない。
良いことはされないに決まっているのだ。
ただし、人を殺すよりは何倍も良いというのが舞たちの考えであった。
電車が騒がしいホームに着き、たくさんの人が降りた。
車内に入ると、ほとんどの人がここで降りたらしく少ししか人がいなかった。
ドアが閉まり、ガタガタと電車は揺れながら走り出した。
———ん… ?
舞は自分達と同じ車両に乗ってきた中学生四人を、チラリと横目で見た。
何か様子がおかしい。
さっきからこちらを見ては、友達に何かを言っている。
ただし、距離があるため舞には聞こえなかった。
まさか…。
でも、こんな偶然なんてこと———。
美希も何かおかしい様子に気づいたらしい。
「 祐樹…次の車両移らない ?」
美希はそう小声で裕樹の背中に向かって言った。
無言のまま、祐樹は前の車両へ行こうとした。
美希と恵梨もついていこうとした。
「 …うっ…うごくなぁっ!!! これを見ろ!!!」
一人の少年が、突然大声で言った。
車内は騒然となり、隣の車両からも音が聞こえない。
ただ、電車が線路に沿って走る音だけが聞こえていた。
- Re: >>> ア ク セ ス > > ( No.27 )
- 日時: 2009/12/07 20:19
- 名前: RADELLE03 ◆X6s/dtSC5A (ID: QYM4d7FG)
「 ………。」
その場は凍りついたようになり、次の駅へと着きドアが開いた。
なんで…なんで今… ?
こんなの…ってあり… ?
「 あ…ちっ——違う !!! 僕は…っ、手が滑って——。」
直後、少年は美希の拳を顔面にくらって倒れた。
「 ……っ。」
やっと音が聞こえてきたようだった。
駅には人が集まっている。特にこの車両に。
ちらっと見て通る人や、覗き込む人、誰かを呼ぶ人などさまざまだ。
人が撃たれたのに… ?
みんな…何でそんな目で見るの… ?
ほとんどの人が好奇の目で私達を見回す。
どうして——
そのとき、駅員の大きな声が聞こえた。
「 君達 ! 全員——。」
気づいたときには、駅員はホームに仰向けで倒れていた。
血、火薬の香り、恐怖がそこにいた者全てを支配し、再び無音になる。
誰かが、駅員を撃ち殺した。
反対側の閉じたドアに寄りかかり、舞は祐樹を見た。
その手には、先ほど少年が使った銃が。
「 あ…ゆうき…。」
震え、かすれた小さな声で舞は目を見開いた。
足元を見下ろすと、恵梨から流れ出した大量の血液が自分の所まで川のように流れてきていた。
「 …。恵梨… ?」
彼女からは返事が無い。
そのまま私のほうを向いた状態で———。
「 恵梨———。」
二、三発 銃声が近くで聞こえた。
ドタッ、ドタッと少年の仲間と見られる子達が壁に寄りかかるようにして座わりこんだ。
口をパクパクと金魚のようにあけたりとじたりしている。
「 ゆ……き…、あ…らは…。」舞は口を動かしたが、声にならない。
祐樹は突然、無言で美希、舞の片腕をつかみ、荷物を置いてホームに飛び出した。
電車から出るとき、はっと舞は恵梨を振り返った。
彼女の顔は、どこか悲しそうだった。
- Re: >>> ア ク セ ス > > ( No.28 )
- 日時: 2009/12/07 20:20
- 名前: RADELLE03 ◆X6s/dtSC5A (ID: QYM4d7FG)
祐樹が舞と美希をグイグイ引っ張りながら走り、駅を後にした。
幸い、誰も着いてこなかった。
「 …祐樹、私は——。」
舞が無言で引っ張りながら歩き続ける祐樹に声をかけようとした時、美希の携帯が鳴った。
『 もしもし…今忙しいんだけど。』
電話だったらしい。
『 え ? 予定…。あぁ、…そう。分かった。じゃあ…。』
手早く美希は電話をすまし、鞄に入れた。
歩き続けて何分経っただろうか。
人の気配がない、殺風景な道を行く。
寒くて、手が震えた。
いいや、これは寒さのせいではないだろう。
先ほどのことを思い出すだけで、舞は膝がガクガクと震えてしまう。
思い出したくない。
消えればいい。
いらないものは、みんなデータのように簡単に消えればいい。
「 … ?」
突然、美希が足を止めたので、舞は後ろを振り返った。
「 どうしたの ?」
「 ううん。なんでもないの。」
美希……… ?
「 ただお礼と謝罪がしたくて。」
え…お礼 ? 謝罪 ?
何のこと… ?
「 裕樹ならとっくに気づいているでしょうけど…。」
そう言って、美希は舞に視線を移した。
「 今まで、同行させてもらったよ。アリガト。そんじゃ……じゃあね。」
「 ちょっと !! 美希…どういうこと ?」
「 私はBBRの仲間の一人。参加者がどう動くか観察していたの。…自分も同行してだけど。」
じゃあ…
じゃあ……
美希は…始めから……嘘を———。
「 また、いつか会おうね、舞。…生きてたらだけど。」
「 待って、美希、じゃあこれからどうするのの…?」
「 私 ? 私は仲間のところへ行くだけ。〝本当の仲間〟のね。…あんたのことなんて、知らないわよ。」
「 み……き………。」
「 私、あんたのことは友達だと言ったわ。以前はね ! でも、仲間なんて言った事はない。」
信じられない…。
舞は祐樹の自分の腕を掴んでいる手を振り払い、美希に向かっていった。
そのまま、頬を強く叩いてやろうとしたがあっさり腕を掴まれてしまった。
「 あんたも、私の事、仲間だと思ってないんじゃん。」
「 違う ! 違うよ…私、美希が———。」
美希は舞の手を放し、今まで通ってきた道を走っていった。
「 ………っ…。」
全部終わりだよ。
全部 消えてくれ。
舞はそのまま歩道に横になった。
祐樹から顔を背けた。
今にも泣きそうだったからだ。
「 ステハン…撃って。」
祐樹に向かって、涙声で舞は頼んだ。
これで終わりだよ。
- Re: >>> ア ク セ ス > > ( No.29 )
- 日時: 2009/12/07 20:22
- 名前: RADELLE03 ◆X6s/dtSC5A (ID: QYM4d7FG)
「 ねぇ…。」
祐樹は舞のところまで歩いていくと、手を差し伸べて言った。
「 ………ここに居たかったら居ろ。」
そのまま舞は黙って立ち上がり、祐樹の後について行った。
——ここもまだ田舎とは程遠いところで、大型電気店が多く建っていた。
その為、暗くなっても店の電気のおかげで、昼間のように明るかった。
今、私がいるのはネットカフェ。
未成年だが、今の時間帯なら入っても大丈夫らしい。
店の中で奥のほうにある個室を選び、二人は中に入った。
ドアを閉めた瞬間、舞は思っていることを口に出した。
「 美希のこと、気づいてたの ?」
少しの間、沈黙し、裕樹は頷いた。
「 誓い…破ったね。…ねぇ——。どうして殺したの… ? —何であんなこと…出来るの ?」
ほんの少し前まで、うまくいってたのに。
また、みんなであの場所に行けると思ってたのに。
あのときの記憶が蘇る。
「 あの子、殺したんなら…祐樹もあの子と一緒だ!! 同類だよ !!」
誓ったのに。
みんなで誓った。
銃を使わない、手を血で汚さないと——。
あのことを誓ったから、私は怖くなかったのに。
自分は誰かを殺してしまうという恐怖から逃げられたのに。
祐樹は立ち尽くす舞を無視して、ネットでゲームの進行状況を確かめた。
こんなところで確かめるのは危険だが、今となってはしょうがない。
「 あと百五十七。」
パソコン画面を見ながら、祐樹が数字を言った。
「 …何が…。」
「 残り。」
ああ…もうそんなに…。
現実かな、これ——。
違う。
きっとこれは夢で、私は眠っている。
「 これ、長い夢なんだ——?」
舞はもうひとつあった椅子に深く座り、明るい画面を見る。
「 これは夢だよね——?」
「 そう、夢。」
祐樹は舞の異変に気づいたが、あえて何も言わなかった。
「 よかった…夢なら何でもいい。」
- Re: >>> ア ク セ ス > > ( No.30 )
- 日時: 2009/12/07 20:22
- 名前: RADELLE03 ◆X6s/dtSC5A (ID: QYM4d7FG)
ゴトッ
突然の大きな音に、舞は閉じていた目を開き、個室のドアのほうへ目をやった。
何かが投げ込まれたようだ。
祐樹はパソコン画面から顔を離し、投げ込まれた物に手を伸ばした。
「 何、それ。」
「 自分の目で見てみろ。」
そういって舞に手渡す。
なにかな…。
重い…。
不思議に思いながら、投げ込まれた鞄のチャックを開けた。
ジーッというチャックの音と同時に顔を出した物は——。
「 何だった?」
祐樹は無表情で聞いてきた。
「 …中身、知ってるくせに…。」
微笑を浮かべ、舞から鞄を取り上げた。
「 ちょっとばかり友人に頼んだんだよ…。ここにいるから持って来いって。」
こんな危険なもの持っているって…どんな奴だよ。
まぁ夢だから仕方ない。
——そう。夢だから。
「 こんな時に悪いが、いつまでも逃げられるなんて俺は最初から思ってない。」
「 知ってる、そんなの。…そういう顔してたもん。」
「 仲間なんて——所詮形だけのもの。」
信頼できる保障なんてものはない。
「 …大丈夫か ?」
「 何が ? 誰が。」
「 お前だよ。ふぁいばー」
あぁ……懐かしい感じ。
「 …別に。此処は夢世界。目を覚ましたら、していない事になるよ。。。」
「 …だといいけどな。で、どうすんの ? これから。」
ダルそうに祐樹は聞いてきた。
こっちまでダルくなってくる。
「 これ。」
そういって舞は手で銃を撃つ真似をした。
「 射的がしたいのか ?」
「 そう。今はね。」
何もかも、終わりにしよう。
このゲームも、この人生も。