ダーク・ファンタジー小説 ※倉庫ログ
■漢字にルビが振れるようになりました!使用方法は漢字のよみがなを半角かっこで括るだけ。
入力例)鳴(な)かぬなら 鳴(な)くまでまとう 不如帰(ホトトギス)
- アクセス【【削除依頼】】
- 日時: 2020/08/01 19:50
- 名前: RADELLE03 ◆X6s/dtSC5A (ID: hsews.TL)
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
登場人物>>
01章 URL=スタートボタン
02章 少女二人の決意
03章 朝、少女は動きだす
04章 着いた場所、そこは空港
05章 そこで私達は出会った
06章 闇夜を歩く,少女の向かう先は
07章 そして四人は誓いを建てた
08章 逃げ惑う,迫るは危機
09章 ドミノ倒し
10章 強制退場
11章 彼女の長い夢
12章 冷笑の奥は
13章 違反者と参加者の
14章 霧崎+ナイフ
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
- Re: >>> ア ク セ ス > > ( No.15 )
- 日時: 2009/12/07 20:10
- 名前: RADELLE03 ◆X6s/dtSC5A (ID: QYM4d7FG)
ガタン ガタンと揺られながら流れていく景色を窓から見ていた。
自分の家へ帰れるんだ。
でも、お母さんとお父さんには会えない。
いや、会うことはできない。
大切な家族を巻き込むわけにはいかない…
「 次の駅で降りる」祐樹にそういわれ、携帯画面を見た。
新着メールと着信履歴は… ?
あった。
お母さんからじゃん…このまま放って置くか…
ためらいながらも舞はぎゅうぎゅうの鞄の中へと押し込んだ。
そして、電車が目的地へ着き大きく揺れた後にドアが開いた。
「 こっから、うちまで歩いて少しだから皆はどっか別の場所にいて。」
さすがに、家の中に連れて行けないしなぁ。
「 舞、親に見つかったらどうすんだよ ?」
「 なっ…今更言わないでよ ! 不安になるじゃん…。」
そのときは…そのときで…。
「 では、私達はこの駅周辺で待ってますから。お気をつけて。」
恵梨は勇気付けるように言った。
「 じゃあ、十分もあればいいから行って来るよ。」
「 舞、気をつけてよー。」
うん、とうなづき私は走り出した。
どんどん駅からきこえる音が離れていった。
私は、母、父に会うのが 怖かった。
怒られるとかじゃないんだ。
心配されて、優しくされたら
みんなのところへ 帰りたくなくなるから。
普段から感じていたんだ。
ほかの子より、自分は愛されていると——
でも
それが怖かった。
いつか、捨てられるのではないかと。
いつか、呆れられて見放されてしまうかもしれない。
急に、いつもあったものが 無くなってしまったら。
私は、それが怖かった。
思いにふけっているところで、足を止めた。着いたのだ。
「 …よし……。」
一呼吸して、ゆっくりと家の鍵を鍵穴に入れてまわす。
ガチャン と音がして 私は ドアノブをまわした。
- Re: >>> ア ク セ ス > > ( No.16 )
- 日時: 2009/12/07 20:11
- 名前: RADELLE03 ◆X6s/dtSC5A (ID: QYM4d7FG)
ギ…ギギギ…ギギ
ゆっくりドアを開いたのだが、音は家に響き渡った。
こんなところで見られたら…
いや、考えちゃ駄目だ。
今は必要なものを…。
ドアは開けたままで、靴を履いたままフローリングを歩いていく。
父、母は二階で寝ているので、ちょっとやそっとの音ではおきないはずだ。
鞄をおろし、適当に大きな紙袋をもって 食べ物をどんどん詰め込んでいった。
食べ物はこれだけあればいいや…後は…
電池、懐中電灯、ばんそこうや包帯、大きなタオル…
必要だと思うものすべてを詰め込んだ。
紙袋は合計二個。
ぎりぎり持てるだろう。
ここで携帯で時計を確認した。
ぴったり五分。
まだ…いける
そう重い、玄関に紙袋と鞄をおいて、階段をゆっくり上がる。
ギシ……ギシ……ギシ…
すべての段を上り終わったところで、自分の部屋へ向かった。
服…ほかにもいろいろとっておこう。
舞はあらたにリュックの中に、衣服を詰め込んだ。
そのとき、あるものが目に飛び込んできた。
父、母、そして満面の笑顔の過去の自分が写った写
真。
月の光に照らされて、青白く輝いて見えた。
こんなことになるとは思わなかった。
そのままリュックを背負い込み、部屋を出た。
よし、これでいいか…
「 舞 ? 舞なの…… ?」
「 え… 」
階段を下りようとしたとき、ゆっくりと母が部屋から出てきた。
- Re: >>> ア ク セ ス > > ( No.17 )
- 日時: 2009/12/07 20:12
- 名前: RADELLE03 ◆X6s/dtSC5A (ID: QYM4d7FG)
「 舞… ! どこに行ってたの ? ! 」
転げ落ちるようにして、私は階段を下り玄関に置いてある荷物を手に取った。
うっ…重すぎる……
立ち止まるわけにはいかないと思い、そのまま玄関を飛び出した。
「 待ちなさい ! ! 舞、舞 ! ! 戻ってきて ! 」
ごめんなさい…
ごめんなさい…
「 舞、お願いもどるのよ ! …舞 ! 」
舞の母は全力で走る自分の娘を追いかけた。
しかし、どんどん差がつくだけだった。
「 おねがい…おねがい ! 」
段々 母の声は聞こえなくなっていき、駅が見えたところで 舞はすぐさま美希がいるところへと駆けた。
お母さん…ごめん
でも、本当に今は、家になんていられないよ。
ごめんなさい。
罪悪感が突き刺さるように感じた。
それとともに、足がガクガクと震えていたのに気がついた。
「 舞…とりあえずこの辺で——」
「 駄目……おかあさんが、…来るかも知れない…から…。」
とぎれとぎれに言うと、三人共今の舞の状況を理解したようで、再び駅へ入った。
親不孝とは…このことだろうか… ?
舞の荷物を祐樹がひとつ持ち、美希はリュックを、恵梨は紙袋を持った。
財布を取り出して、適当な金額を選び 全員改札口を通る。
———そのときだった。
「 待って ! 待ちなさい、舞 !」
「…お母さん……。」
舞の母親は、パジャマ姿で改札口へと向かってくる。
「 どうする ?」
「 え… ?」
祐樹が改札口を通って 振り向いた。
「 まだゲームは始まってない。警察にいえば、ネットでもBBRは現実で見つかる。」
「 …そんなこと…」
「 できる。…参加する、それともゲームをぬけるかは…お前の自由だ。」
「 私の… ?」
そんな…今決めろって…。
「 舞、一緒に帰りましょう ? ほら。」
そういって母は ぐいぐいと舞の腕を引っ張った。
みんなは電車にのらず、そのまま待ってくれている。
私は…
「 舞、帰りましょう。」
私は…
勢いよく、母の腕を払いのけた。
無意識のうちだった。
「 舞…。どうして… ?」
「 お母さん、…少ししたら帰ってくるよ。…友達とこれから…遊んでくるから…。」
「 舞……。」
そのまま私は、祐樹から切符を手に取って改札口を通った。
振り返らず、そのまま黙って祐樹の後ろを歩いていき、階段を降りる。
その直後、後ろのほうから母の泣き叫ぶ声が聞こえた。
今すぐ、帰りたい。
でも…ここで抜けたら…本当に皆に悪いから…
それに…
みんなにもう、会えなくなるきがしてならなかったから。
- Re: >>> ア ク セ ス > > ( No.18 )
- 日時: 2009/12/07 20:14
- 名前: RADELLE03 ◆X6s/dtSC5A (ID: QYM4d7FG)
最終電車を降り、私達四人は近くに公園があったのでとりあえずそこで休憩することにした。
しかし、季節は十一月。
休憩どころではない寒さ。
「 ちょっと…どっかの建物は入ろうよ…寒すぎ…。」
美希は舞の持って来たパーカーを着ているが、それでも寒いようだった。
「 明日の六時からゲーム開始…。おかしいな…。」
「 何が ?」
「 空港を出たとき、銃発砲事件があったんだけどよ…まだ始まってないのに撃つって…。」
あぁ…恵梨が見せてくれたなぁ…。
十四歳が銃発砲。。。
「 間違えて撃ったんじゃないの… ?」
「 それがなぁ…今新着ニュースで来たんだが、二人退場した。」
『 え ? 』
「 運良く俺達は空港を出て数分後だったみたいで…一人は十五
もう一人は同い年の男子を撃った…。」
「 お兄ちゃん…二人は… ?」
恐る恐る恵梨は聞いてみると、祐樹は首を振った。
「 退場だ。撃った奴も警察に捕まって三人が退場。つまり、残り百六十七人。」
夜ということで静かだったが、今、余計に静かになった気がした。
「 これから、どうなるのかな…私達。」
今の思っていることはこれだ。
本当にどうなっちゃうのかな…。
生きられる保障なんかどこにもないんだ。
「 とりあえず、どっか建物入らないか ? ここで寝たら凍死確実。」
そうだね、といってみんなで24時間営業の店を探した。
かといって、中に入って全員寝るのではない。
二人おきて、もう二人はおきている。
そうして、一時間ごとに店もかえて交代で寝るというのだ。
さすがに全員寝てしまったらとんでもないことが起こるだろう。
最初、ほぼ誰でもご存知のネットカフェという案が出たが未成年は入れないのでボツとなった。
そして最終的に、飲食店になった。
- Re: >>> ア ク セ ス > > ( No.19 )
- 日時: 2009/12/07 20:14
- 名前: RADELLE03 ◆X6s/dtSC5A (ID: QYM4d7FG)
「 疲れたー眠いーもうやだー…。」
「 美希…まだ始まってないっていうのに…。」
飲食店を渡り歩き、三件目にはいった。
もともと都会付近なので、店は簡単に見つかった。
「 あと二時間で六時だ。」
「 …嫌だな…なんか。」
美希と恵梨はテーブルに伏せるようにして既に眠っていた。
「 じゃあ、何で来たんだよ。」
祐樹は注文したジュースを飲みながらいった。
「 それは…。」
みんなと一緒にいたかったから ?
本当にそうなのかな… ?
「 私は…みんなを残して一人逃げるような真似をしたくなかっただけだよ。」
「 ……現実とネットでの性格違うな。お前。」
痛いところをつかれた。
「 ネットで優しい人は、現実でも優しいよ。多分。」
だと思うんだ。
みんな、大人はネットで他人を信じてはいけないって言う。
でも、そうしたらみんな半信半疑でいることとなる。
誰かを疑い、自分だけを信じて。
言っていることは正しいかもしれない。
でも
何か引っかかるんだ。
「 何深刻な顔してんだよ。」
突然祐樹に言われ、びっくりした。
「 祐樹は、ネットと現実でも…変わらないね。何にも。」
安心した。
これ以上、何も変わって欲しくなかったから。
「 …そうか…。でも、いつかは変わるけどな。」
「 そうだね、…そうだよね。変わらないことなんてない。みんな…変わってしまう。いつか。」