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Blood Lily
日時: 2009/12/29 15:17
名前: 朝倉疾風 (ID: VZEtILIi)

またまたまた消えた((汗

http://www.kakiko.cc/novel/novel2/index.php?mode=view&no=12943

上記からどうぞ。

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Re: Blood Lily ( No.22 )
日時: 2010/01/04 19:58
名前: 朝倉疾風 (ID: VZEtILIi)

「俺、部屋戻ってちょっくら寝てくるわ」
突然のノエルの寝る宣言に、リリーがポカンと目を見開く。
「……よく、眠れるわね」 「死神でも休息は大事だろ?」
部屋から出た後、ノエルは自分の部屋じゃなく、違う方向に歩いて行った。
そこは、自らも閉じ込められていた、地下牢。
ノエルが暗記していたロックを解除して、下に向かう。
(S………多分アレは、シンシアの事だ。 フィーロは何か隠してるけど……やっぱ、リリーの事もあるしな)
「大分、体が衰弱して体の細胞機能が低下してきています」
フィーロの声が聞こえ、ノエルが動きを止める。
「このまま、孤独と闇の中で消滅するおつもりですか?」
「………ボウヤ、黙った方がいいけど」
「このままではっ、あなたは能力の苗床にされてしまうかも知れないんですよッ!!? 」
「………処刑道具だから、ね」
シンシアの言葉に、フィーロがつまる。 
そう、彼らは単なる処刑道具にしか過ぎない。 政府にとって、彼らはただの『道具』。

ノエルが歯軋りをした。
「………修羅のボウヤ、悪趣味」
「っ、へへへ。 気づかれてたー?」
ケロッとした顔でノエルが現れる。 監査官が厳しい表情で、 「キミ、どうしてここにいる!? すぐに出て行きたまえっ」 ノエルを追い払おうとした。
しかし、
「修羅の子と……少し話があるかも」
シンシアが珍しく他人との面談を許可した。
フィーロと監査官は少し顔を見合わせ、軽く頷いた。
二人が地下牢から出て行く。
「もし……聞き耳たててるのが判ったら、」
シンシアが髪を撫でる手を止め、二人を睨む。

「ころす、かも………しんないけど」

「わかりました。 外で待ってます」
二人が立ち去って、ノエルとシンシアだけになった。
ノエルが、ゆっくりとシンシアに近づく。
「久しぶり………、何年振りだっけ」
「……ん、忘れた」
淡白な返事だった。 大人の割には幼い口調。
つたなく、危うい。
「アンタ、本当に……大きくなったかも」
「そら、死神だって成長はするし。 でっけーようになってんの、俺だけじゃ、ないし」
さり気無く、彼女の名前を使ってみる。
「リリーも、べっぴんになってるし」
シンシアは特に興味を示さず、ノエルの焼刻印をじっと見ている。
それに気づき、ノエルが右腕を左手で隠した。
「………悪ぃ。 俺のせいで、機能障害が早まったんだよな」
「………は?」 シンシアが小さく訊ねた。
「俺が、昔ヘマして……そん時アンタ動いてくれたし」
手がかすかに震えていた。 
彼にとって、その記憶は忘れたくても決して忘れることのできない、
惨劇の追憶。
シンシアが手を上下にふり、「こいこい」 とノエルを誘った。
ノエルがシンシアに近づくと、腕を引き寄せられ、
「…………………」
抱きしめられた。
あまり凹凸のない胸に顔を埋め、決して温かくない体温が心地よかった。
「………何で、リリーにはしてやらねェの?」
静かに、低音の声色でノエルが訊ねた。
あんまり、答えは気にしていなかった。
シンシアは何も答えず、
そのかわり、


「ガキは、いつまでもガキのままだよね」


澄んだ声で、ノエルの鼓膜をふるわせた。

Re: Blood Lily ( No.23 )
日時: 2010/01/04 20:06
名前: 朝倉疾風 (ID: VZEtILIi)

さきほどのオカンの呟き。


「ねェ、シチューにうどんって……どうかな?」

「………………ッッ!!!!」 (他家族一同)

Re: Blood Lily ( No.24 )
日時: 2010/01/05 09:16
名前: 朝倉疾風 (ID: VZEtILIi)

「彼をシンシアと二人きりにさせていいのですか?」
地下牢の外の廊下で、監査官がフィーロに尋ねた。
眼鏡をかけ直しながら、乾いた笑顔で、
「彼にとってシンシアさんは特別な存在ですから」
「しかし、修羅の生き残りとなれば危険なのでは?」
「封印はしてあります、ジョイド監査官」
少し強めの口調でフィーロが答えた。
ジョイドと呼ばれた監査官は表情を崩さず、 「いくら封印の刻印をしても、本能は修羅のままです」 キッパリとノエルの危険性を主張した。
フィーロはしばらくジョイドを睨んでいたが、
「あの子は、まだ子供です」
そう言い残して、その場から立ち去った。
短くため息をつき、ジョイドが呟く。
「あの“漆黒の断罪者”も、どうなるか判らないというのに」




「……っ、げほっ」
口から赤い液体が零れ落ちる。 自室にある洗面所で、リリーが息を荒げる。
(異界の能力………じゃぁないわね、コレ)
冷静にそう判断し、自分の右腕を見る。
昔刻まれた焼刻印が広がっていた。
(………これ、今思えば何かの封印みたいな刻印だけど、ノエルの刻印と形が違う……)
タオルで顔を拭き、嫌な胸騒ぎに顔をしかめる。
最近よく見る夢の光景も気になっていた。
血染めの暁、何百人ものタヒ体、何かを叫んでる男。
リアルすぎるその匂いや感触に、目を開ければ現実の心地よさにホッと息を吐く。
耐えていた。
誰にも言う事もなく、ただ耐えていた。

───キミは、どうしてここに在るの?

幻聴が聞こえる。
リリーが後ろを向くが、誰もいない。

───キミが在るべき場所はどこ?

「自分で決めるわ、そんな事」
リリーが、幻に言い返す。
どことなしか、歌まで聞こえる。
「自分でしか、決められないし」

Re: Blood Lily ( No.25 )
日時: 2010/01/06 21:27
名前: 藍羽 (ID: tes3uZgg)

・・・爆笑しました。
シチューにうどん・・・・・笑。

すごいイイ台詞ばっかりですね^^
カッコイイです。

Re: Blood Lily ( No.26 )
日時: 2010/01/07 11:34
名前: 朝倉疾風 (ID: VZEtILIi)

そしてその後のオトンの台詞。

「イケるやろ。 カルボナーラ的な?」

「……………………!!!」 ←私&兄貴


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