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- Blood Lily
- 日時: 2009/12/29 15:17
- 名前: 朝倉疾風 (ID: VZEtILIi)
またまたまた消えた((汗
http://www.kakiko.cc/novel/novel2/index.php?mode=view&no=12943
上記からどうぞ。
- Re: Blood Lily ( No.17 )
- 日時: 2010/01/03 15:23
- 名前: 朝倉疾風 (ID: VZEtILIi)
「何よ、コレ………」
ルルヘムの多大な負傷者を生んだ火災が一時間後に鎮火され、広場に戻ってきたリリーとヴィンス。
人間はみんな非難しており、消防署の人間しか周りにいない。 その時計台のすぐ傍で、
「惨い………悪趣味ね」
ジェンキンス氏のタヒ体があった。 時計台に磔にされている。 磔刑のようだ。
「リリー、ヴィンス!! 」
逸れていたノエルが、二人を見つけた。
駆け寄ってくるが、リリーは反応しない。 一点を見つめたまま、呆然としている。
「あ?」
ノエルも、そのタヒ体を見つけて顔をしかめる。
「コレ、何」 「旦那や」
ヴィンスの言葉に、ノエルも唖然とする。
「旦那……っ、何でこんな事に……」
ジェンキンスのタヒ体から目をそむける。
「数分前に、ここにはこんなもの無かった。 あのパニックの中、非難せずにこんなもの用意するなんて」
悪趣味、ともう一度呟き、顔をしかめた。
「ジェンキンス、なのか? マジで。 そっくりさんとかじゃないわけ?」
「旦那です。 まんま旦那だ」
「? 何か彫られてる……」 リリーがタヒ体に近づく。 あまり見たくないが、目をこらして
「鍵………」
「は?」
ノエルが聞き返す。
「鍵は、我らが貰う………。 そう彫られてる」
皮膚を引き裂いて。
「鍵って何だよッ」 「判らない……、何なの鍵って」
いきなりのメッセージに二人が慌てる。
その様子を、
「鍵……」
後ろからヴィンスが笑いながら見ていた。
- Re: Blood Lily ( No.18 )
- 日時: 2010/01/04 11:32
- 名前: 朝倉疾風 (ID: VZEtILIi)
第12夜
まだ見ぬ母の唄
ルルヘムから中央区に帰る間、リリーは少しだけしょげた様な顔をしていた。
「どした? 珍しいな」 「……ジェンキンス氏さえおさえていれば、何か吐かせれたかも知れないのに」
「ああ、それか。………アレ、誰がやったんだろうな」
ヴィンスとはルルヘムと別れ、土産に変なストラップをもらっていた。 それをボーッと眺めながら、ノエルが
「リリーも誰か判んねェけど、ぶっ叩かれたんだろ?」
「………不覚だった」
「あのさ、リリー。 いっつも言ってるけど、もっと自分を大切にしろよ」
ノエルの言葉に、リリーが顔をしかめながら、
「……ノエルって、時々変な事言うよね」
「そうか?」
「私たちは、“処刑道具”なのよ?」
自分の価値観をそう理解しているリリーを、ノエルが悲しい表情で見つめた。
「でも、俺ら人間だぜ?」 「……それは、少し違うわよ」
リリーが、スカートをぎゅっと掴む。
───感情を捨てなさい。
脳裏に浮かぶのは、決まってあの女。
───キミらは、処刑道具でしょーが。
「私たちは……、処刑道具」
長いため息をつき、ノエルがリリーから視線を移す。
「リリーは自分の事をそう思ってるかも知んねェけど、俺はリリーはそんなんじゃねェって思ってっから」
ノエルにとって、人間はただの『処刑』される奴ら。
そして、政府は自分らを利用している奴ら。
でも、死神たちは違う。
自分と同じ場所を共有している、同類。
あの地下牢で、リリーに会った時からずっと、ノエルは張り詰めていた心がほんの少しだけ緩んだ。
(やっぱ、シンシアの影響が強いんかねぇ)
「お帰りなさい」
「よっす」 「どうも」
司令官室でフィーロとミリアが書類を片手にコーヒーを飲んでいた。
「おつかれ」 「手がかり、ころされてた」 「警察から聞いたよ。 放火らしい火災もあったんだってね」
ノエルが椅子に深く座る。
「何か飲む?」 「俺はいい」 「私も結構です」
リリーがコートを脱いで、複雑な表情で書類を見る。
火災、あれは放火だった。
リリーが見た、不審な男。 殴打した人間。
(ヤな予感がする)
扉が開く音がした。 慌しく、監査官が入ってくる。
「司令官っ!」
「どうした?」
「地下牢で、あの、“S”が……っ」
フィーロが眉をしかめる。 カップを置き、司令室から出て行く。
「えす? 何ソレ」 「あなた方は興味を持たなくていいの」
ミリアにぴしゃりと言われ、ノエルもそれ以上は何も追及しなかった。
薄暗い地下牢で、フィーロと監査官が一番奥の階に急ぐ。
「何があった?」 「衰弱して、異界の能力に侵されている症状かと」
厳重に管理された扉のロックを外す。
「シンシアさんっ!?」
フィーロが彼女の名前を呼んだ。
扉が開かれ、そこには小柄で華奢な女性がいた。
長くボサボサの黒髪に、アイスブルーの大きな瞳。
外見年齢は二十代ほどだが、実年齢は三十代を超えているはずだ。
彼女の異界が、勝手に発動されている。
「………っ、」
必死で抑えようとしているのか、肩に自らの指を食い込ませる。 歯軋り。
「大丈夫ですか?」 「司令官! 人間のあなたは近づかない方がいいっ」
手出しができず、そのまま時間が流れる。
しばらくすると、発動は自動的に止まった。 異界も消え、脱力したようにシンシアと呼ばれた女性の体が
倒れる。
「シンシアさん?」
「……ん、う? フィーロのボウヤ……、あ?」
状況が理解できていないのか、シンシアがキョロキョロと辺りを見回す。
「大丈夫ですか?」
「ん、………うん」
何故か一回フィーロから目を放し、頷いた。
「よかった」
- Re: Blood Lily ( No.19 )
- 日時: 2010/01/04 15:16
- 名前: 朝倉疾風 (ID: VZEtILIi)
死神は異界の能力の影響で一生子供の姿だと言われている。 成長は途中で止まり、実際は30代40代生きていても、外見年齢はまだ幼い。
外見年齢は大体15〜18ほどで止まり、そこから平均20年ほど生きるという結果が出ている。
能力に侵された死神は、自らの異界に引きずり込まれ、消滅する。 それが死神の自然タヒ。
そして通常の死神は、男女で性行為を行う事は禁止であり、不可能。 ましてや子供を身ごもる事は異界の能力に侵され続けている体にとって負担がかかり、出産となれば命を落とす可能性が高い。
しかし、何故か子供を身ごもり出産まで行い、能力で体に負担がかかっているのにも関わらず、生きている死神がいる。
それが、シンシア。
機関内では、『S』と呼ばれている。
『最後の切り札』。
「薬、飲みますか?」
「………修羅のボウヤの気配がする」
フィーロが言葉に詰まる。 鬱陶しそうに髪の毛を撫でながら、シンシアが遠くを見つめる。
「ああ、任務から帰ってきたんです」
何も答えず、リリーとそっくりのアイスブルーの瞳をフィーロに向ける。
「……アタシと同じ、この瞳の色を持つ女も?」
「っ」
フィーロの脳裏に、白髪で可愛らしい少女が映る。
悲しげに顔をしかめ、長く息をはく。
「………会わないんですか?」
「その必要、ないね」
素っ気無いシンシアを、フィーロは咎める事も責める事もせず、ただ見つめていた。
- Re: Blood Lily ( No.20 )
- 日時: 2010/01/04 17:12
- 名前: 藍羽 (ID: pTKbdp.H)
処刑道具なのでしょーか・・・。
むぅ、色々考えちゃいますね。
アイスブルーの瞳って、カッコイですね!
素敵ステキ☆笑
- Re: Blood Lily ( No.21 )
- 日時: 2010/01/04 19:37
- 名前: 朝倉疾風 (ID: VZEtILIi)
アイスブルー=水色と考えてくださって結構です((藁
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