ダーク・ファンタジー小説 ※倉庫ログ
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- 禁忌現実-The Fantasy to Exist-
- 日時: 2010/04/04 20:02
- 名前: 付喪 ◆29ayQzCLFo (ID: YpJH/4Jm)
〆御挨拶
どうもこんにちは、あるいはこんばんは。付喪です。
さて、付喪があるヘマをしてしまった為、この小説と同タイトルであった小説の続きを書く気が完全に無くなってしまいました。
というわけで、妖怪主体から魔術主体に変え(妖怪も出す予定)でいきたいと思います。前の小説のメインヒロインであった秋叉とかも、この小説で再登場させておきたいなー……と思っていたり。
タイトルの英語の読みは「ザ・ファンタジー・トゥ・イグジスト」、訳は「実在する幻想」です。禁忌現実は幻想という意味合いでつけたりしてみました。
作者共々、暖かい目で見守ってくださると嬉しいです。
※当然ながら荒らしは曲がれ右。
※宣伝は作者の許可を得てからやって下さい。
※魔術用語とか意味不なのが出てきたら、ご連絡は作者までry
〆目次-Index-
第一篇/魔術師の陰謀
序章/時空の旅人-The Space-Time Traveler- >>3
第一章/とある日常への来訪者-Visitor to a Certain Daily Life- >>3 >>7 >>8 >>10 >>13 >>19 >>29 >>30 >>31
第二章/交錯する舞台裏-The Backstage That Mixes- >>36 >>38 >>39 >>46 >>56 >>60 >>63 >>68
第三章/
〆訪問者様
瀬多 哉様 香織様
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- Re: 禁忌現実-The Fantasy to Exist- ( No.28 )
- 日時: 2010/03/11 20:16
- 名前: 付喪 ◆29ayQzCLFo (ID: YpJH/4Jm)
>>27
香織も感情で話組み立てる派かww
ん、近いうちに。とりあえずホワイトデー終わってからなw
小説を訪問といえば、香織が俺の小説を見るなんて珍しいな・ω・
- Re: 禁忌現実-The Fantasy to Exist- ( No.29 )
- 日時: 2010/03/12 17:23
- 名前: 付喪 ◆29ayQzCLFo (ID: YpJH/4Jm)
07〆
アリスの言葉に刀哉は怪訝そうに周りを見渡す。周りには、これといって敵と思われるような人物はいない。
ただし、ビデオの一時停止のように硬直していた人間が、自分達を取り囲むように立っていたが。墓地から出てきたゾンビの如くのっしりと、不気味にこちらに歩み寄ってくる。歩く速度はかなり遅いものであったが、それでも確実に自分達に近づいてくる。
それだけなら逃げればまだ済む話だし、第一相手が襲ってくるかなんて分からない。が、襲う襲わないの前に確実に周りの人間が“危険”という事を示す物があった。
ある女の手に握られている物、間違う事なくそれは包丁だと分かった。ある男の手に握られている物、迷う事なくそれは鋸(のこぎり)だと分かった。ある子供の手に握られている物、疑う事なくそれはドライバーだと分かった。
日常あらゆる場面で使う道具は、時と場所が変わるだけで人の命を奪う凶器と化すのだ。
「おいおい、何だよこりゃ……」
「……敵の魔術師が迎撃術式でも作り上げたのか。どうやら術式が勝手に使い魔を操作する自動操作型(オートタイプ)の様」
自分達を襲いに来たと思われる人間に囲まれても、冷静に敵の戦闘能力を分析するアリスはこういう状況には慣れているのだろう。
刀哉は背中に嫌な汗が流れるのを感じる。
(どうすりゃいいんだよ……。俺は魔術なんて知らねえぞ!)
どうしていいか分からず、その場に立ったまま動けなくなった時だった。
ガコン!と勢いのいい打撃音がして、一人の男が吹っ飛ばされた。
一番手前の人間が飛ばされたことで、後ろの人間達は男を避けることができずぶつかり後ろに倒れ、また後ろの人間がぶつかり倒れ、ドミノ倒しのようにタイルの敷き詰められた地面に倒れていく。
周りの人間達は何らかの魔術で意識を奪われているのか、特に気にする様子はない。だが刀哉は吃驚して辺りを見渡す。
目に映ったのは、片手に全長約140cmの銀の杖を手にしたアリス。だがそれは先程窓を壊したメイスではなく、まったく別の物。先には色々な見慣れない文字が刻まれた銀色の石がついており、六枚の銀色の花弁のようなものが石を包み込んでいる。更に花弁にも石と同じく文字が刻まれているというデザインだった。どうやらアリスがその杖で男を殴り飛ばしたらしい。
カツン、という硬い音。
「“秩序と断罪を司る神器『儀式杖』を此処に。断ち切りしは人の罪、与えしは一律の罰。純真なる光を肯定し、穢らわしき悪を否定せよ。憐れなる罪人に唯一絶対の裁きを”」
アリスが言い終わった途端、握っていた銀の杖の先を包んでいた花弁が開かれる。まさに蓮の花が咲き誇ったように。
瞬間、無数の光の槍が豪雨のように降り注いだ。一撃一撃が天罰の如く、亡霊のような人間を貫いていく。刀哉は唖然とその光景を見ていた。
カツン、ともう一回地面を叩く硬い音。開かれていた杖の先の花弁が、再び閉じていく。
「……ちょ、こんな事して大丈夫なのか……っ?」
「平気、所詮はこの人達も本物を写しとった複写(コピー)でしかないから。本物の人間が死ぬわけじゃない」
刀哉はほっと安堵するものの、やはり足元に血塗れの人間が大量に倒れ付しているというのはどこかゾッとする。近くの茂みには奇襲を狙っていたと思われる人間達が光の槍の餌食となっていて、陰から手や足がチラついている。
- Re: 禁忌現実-The Fantasy to Exist- ( No.30 )
- 日時: 2010/03/13 12:23
- 名前: 付喪 ◆29ayQzCLFo (ID: YpJH/4Jm)
08〆
この光景を作り上げた当の本人、アリスは倒れた人間達のことなど意識の内にないらしい。複写(コピー)だから良いと思っているのだろうか。まあ気にしているのだったら、最初から魔術で刺したりなどしなかっただろうが。
アリスは(メイスだの杖だの四次元じみた)マントから、黒い柄の両刃のナイフを取り出す。近代西洋儀式魔術などで使われる『アサメイ』という物だが、魔術の素人である刀哉はそんなことはまったく分からない。変な文字が刻まれた、オカルトチックなナイフにしか見えない。
アサメイを右手で軽く握り、何も無い空間を縦一閃。すると不思議な事に切れ目が入り、隙間が出来た。隙間の先には同じように街が続いており、細い隙間も徐々に開いていく。
「本物の世界との境界線である此処に切れ目を入れれば、貴方を元の世界に帰すことが出来る。私はやる事があるから此処に残るけれど」
「……そっか」
元の世界に帰りたくないわけじゃない。でも、この少女との別れがどこか名残惜しかった。チラリとアリスの方を見ると、自分とは違ってアリスにはそんな様子は微塵も無い。それも仕方無い、何せ刀哉とアリスは出会って一時間も経っていない赤の他人なのだから。
だが、赤の他人でも刀哉は自分を助けてくれたアリスに感謝している。
「……なあ、アリス」
「……何」
初めて名前を呼ばれ、アリスは少し途惑っているようだった。これがアリスの名を呼ぶのは、最初で最後だろうと刀哉は思う。
刀哉は言った。
「俺を助けてくれてありがとな」
「……私は仕事だから助けただけだけど、それでも貴方は同じことを言える?」
「ああ、お前がどんな理由であれ俺を助けてくれた事に変わりはないからな」
「……そう」
アリスの表情はまったくの無表情。だけどどこか照れているように刀哉は思えた気がする。
隙間が開いていき、アリスとの別れが近づく中刀哉は続ける。何かの足音が聞こえた気がしたが、気にせず続ける。
「俺は何も出来ないから——フレデリークの奴も助けてやってくれ、俺を助けた時みたいに」
「……分かった」
アリスはいつも通り(と言っても出会って一時間も経っていないが)平淡に言った。
隙間が丁度刀哉が入れるくらいにまで開いた。アリスは何も言わず、刀哉を見ると視線を隙間の方に移す。
「じゃあな」
刀哉は別れの挨拶を告げた。だが当のアリスは何処か難しい顔をしている。最後くらい笑って欲しかったな、と思いながらも刀哉が隙間に足を踏み入れようとした、その時だった。
横にいたアリスが、思いっきり刀哉を突き飛ばした。避ける事が出来ず、吹っ飛ばされた刀哉は地面を転げ回る。
「……ってえ、何なんだよ一体……」
返事は、ない。刀哉はぱんぱんと手で埃を払いながら顔を上げる。
そこには背中を大きく切り裂かれ、片膝をついているアリスがいた。
「……え?」
- Re: 禁忌現実-The Fantasy to Exist- ( No.31 )
- 日時: 2010/04/02 09:39
- 名前: 付喪 ◆29ayQzCLFo (ID: YpJH/4Jm)
09〆
刀哉が感じたのは、驚きではなく戸惑いだった。
アリスはやはり無表情だが、顔にはどこか苦痛の色が感じられる。傷口からは赤い液体が溢れ出し、アリスの白いマントと綺麗な銀髪を赤に染め上げられていた。
何故こうなったのかと刀哉が辺りを見渡すと、アリスが傷を負っている事で頭がいっぱいで気づかなかったが、アリスのすぐ後ろには包丁を持った一人の男がいた。——腕や足には、光の槍が刺さっていた。
「てっ……めえ!!」
胸の奥から突如怒りが込み上げてきた。おそらく操られているのだろうという事は分かる、しかし殴らなければ怒りが収まらなかった。
右手を強く握る。半分我を失った事にも気づかず、男の顔面を殴ろうとした時のこと。
アリスが無理をして立ち上がり、刀哉の身体を残った力の限りで突き飛ばす。
力はあまり残ってないようで、弱々しい押し。しかしまさかアリスが立ち上がるとは思わなかった刀哉は、驚きのあまり力が抜けそのまま倒れた。
次の瞬間、肉体を切り裂く斬撃音。倒れ付した刀哉の横には、赤い液体が点々となっていた。
後ろの状況がどうなっているかなんて分かっている。でももしも? もしも今のが男ではなく何とか立ち上がったアリスなら?
ある筈がないであろう期待を抱きながら、ゆっくり振り返るともう一度背中を切り裂かれ、うつ伏せに倒れているアリスの姿。そしてアリスを見下ろすのは、鋸を持った男の姿。鋸は赤い液体で真っ赤に染まっていた。茂みにでも隠れていたのか、この男にも身体のあちこちに光の槍が刺さっている。
瞬間、刀哉は冷静さを取り戻した。相手は包丁を持っており、あのまま突っ込んだら今倒れていたのは間違いなく自分だという事に気づく。
恐ろしくて、声も出なかった。
「……多分……、迎、撃術……式が……動かない駒を……無理、矢理、動かした……んだと、思う……。それこそ、操り人形(マリオネット)みたいに……強制的、に……」
声が聞こえた。今にも意識を失いそうな、アリスの声が。喋れば余計傷口は開くだろう。だが止めたくても刀哉の口が動かない。
「それ、にても……迎撃術式が……気配を消す、ことまで……プログラムに……入れてる、とは……思わな、かった……。貴方は、早く帰って……」
「……っ、でも」
ようやく刀哉の口が動いた。けれどもすぐにアリスの言葉に遮られる。
「いい、から早く……」
傷口からは、どくどくと赤い液体が溢れていた。アリスの髪が、服が、真っ赤に染まっていく。とても見ていられるものではなかった。
アリスを助けなければ、そう思った。だが、アリスの訴えるような目を見て——。
「…………」
助ける事なんて、出来なかった。アリスの訴えるような目に耐えられなかったのもあるが、それ以前に凶器を持った男達への恐怖から。
刀哉は切れ目に足を踏み入れる。出る時、少しだけ後ろを見た。アリスの姿が、見えた気がした。
刀哉が出ると、切れ目は閉じていった。閉じた先には凶器を持った男の姿もなく、うつ伏せに倒れているアリスの姿もなく、女子高生同士の戯れや忙しく歩くサラリーマンの姿が見えた。刀哉の知っている、ありふれたごく普通の世界が見えた。
「……っ」
一人の少女を見捨てて、帰ってきた少年の世界がそこにあった。
- Re: 禁忌現実-The Fantasy to Exist- ( No.32 )
- 日時: 2010/03/12 16:51
- 名前: 付喪 ◆29ayQzCLFo (ID: YpJH/4Jm)
第八話は長かったんで九話とで分けました・ω・
いやあ、それにしても最後ぐったぐたwwまあ後々フォローするから大丈夫ですry
つわけで第一章終了です、続きはwebではなく第二章で・ω・b
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