ダーク・ファンタジー小説 ※倉庫ログ

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少年と殺人鬼
日時: 2010/05/13 22:02
名前: カラマワリスト (ID: MT1OWC7F)








初めての小説です。
暇つぶしにでも見てやってください。



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Re: 少年と殺人鬼 ( No.14 )
日時: 2010/06/21 22:22
名前: カラマワリスト (ID: HW2KSCh3)

は・・・初めて返信してもらえた・・・

時雨さん

どうも有り難うございます
感謝感激の嵐です。
美冬の描写に心が籠るってもんです。
これからもどうぞよろしくお願いします

——————————————

下校中。
商店街を一人で歩く。
確か、美冬は友達と遊んでくるって言ってたな。
帰りが遅くなるとも、晩飯が要らないとも。

・・・・・・・

殺人鬼。
お婆の声がよみがえる。

『殺人鬼ってものはね、人を殺すことしか考えられない
ただの、最低人種だよ』

『私の父がソレだったんだ』

『お前の曽祖父だね』

『私の兄もソレだった』

『うちの家系には、断続的に、不規則に
 ソレが生まれるみたいだね』

『切り裂きジャック・・・ジャック・ザ・リッパ—
 ってのが父と兄の通り名だよ』

『私は私で・・・【鬼】の気配が分かるしねぇ』

『安心しな・・・まだお前は鬼とはいえない』

『我慢だって出来るさ』

   
そう、俺は我慢できる。
それどころか、殺人衝動なんて皆無だ。
自らの妹が殺人衝動を持ってるかもしれない、
などと誰が告白できる?

例え相手が、千夏でも、千秋でも、お婆でもだ。

別に美冬が特別というわけでは無い・・・
いや、あいつの性格が、特別なのか。

強気な振りをして、強いふりをして、強がってる妹。
母さんが父さんに続いて死んでからずっと。

脆い自分を隠して、4年。

だから、俺がその罪を被った。

殺人衝動を持ったのは、俺だと嘘を吐いた。

その脆さを守るため。


・・・つまりは、美冬が今どこまで鬼に染まっているか
お婆は知らないという事だ。

美冬が鬼だとしても、お婆には分からないってわけだ。

Re: 少年と殺人鬼 ( No.15 )
日時: 2010/06/22 22:34
名前: カラマワリスト (ID: HW2KSCh3)


悪寒が走るというのはこういうのを言うのだろうか。

そんな事をふと思ったのは勿論
『悪寒が走った』からである。

・・・・・・・・・

どこかで、近く、何か、恐ろしいのが居るようで、居ないような、
薄く、けど無視するには濃すぎる感覚。

何かがあっちに居る。

何が?

知るか。

運の悪い事にその『何かが居る』ような場所は
ちょうど、俺が今から通ろうとした道を少し
横道に逸れば辿りついててしまうほどの近距離。

行ってみようか迷う。
この感覚は何だろうか。
気になる。

好奇心が頭の中で踊っている。
探究心が手招きしている。

俺はその『何かが居る』路地へと一歩足を踏み入れた。




血の池。
血に染められた鉄筋コンクリート。
鉄分の臭いが充満している。
路地裏は地獄だった。

前回と異なるのは、血液が一人分である事と後は——

血だまりの中に立っていたソレが、
憐れな被害者の腕を喰っていたことぐらいか?


あまり聞きたくない、おそらく殆どの人が聞く機会の無い
気持の悪い音が規則的に響く。

・・・仕方ないので俺はソレに声をかけた。


「昼間から何してんだよ、しかも俺の目の前で」


こちらを振り向いたソレの手も服も顔も口も血まみれだった。

Re: 少年と殺人鬼 ( No.16 )
日時: 2010/06/22 22:56
名前: 時雨 (ID: bQbYMR0G)

どーも、また来ました。

すみません、何回もおじゃまして。

美冬の行動がよめなくておもしろいです。

続きが気になります!

Re: 少年と殺人鬼 ( No.17 )
日時: 2010/06/23 23:19
名前: カラマワリスト (ID: HW2KSCh3)

時雨さん

コメントありがとうございます!

美冬の行動ですか?
私にも読めませんね・・・

——————————————

その5 純性鬼畜とインスタントコーヒー


数時間後、俺と美冬と千秋は
俺達の方の家のリビングで談笑していた。

「・・・っと、美冬、お前はもう寝ろ。
 明日も学校あんだろが」
「えー、まだ早いよ・・・」
「うるせえ。15歳未満のお子様は寝ろ」
「うー・・・じゃあ、
 お休み、お姉ちゃん。なっくんによろしくね」
「ええ、お休みなさい、美冬ちゃん」

美冬が寝室のある2階へあがる気配がした。

「・・・何の用だ、千秋」
「さすがにお分かりでしたか」
「ったりめーだ。聞けば、お婆と千夏も
 俺が帰ってくる前には居たらしいじゃねーか」
「ええ。子供たちの稽古の時間だと、
 仰って・・・千夏と共に帰られました」
「お前は?」
「お兄様に伝言を伝えよとお婆様が」
「・・・」
ヤーな予感。

「『このバカ者』です」

「・・・・・・」
背筋が震えた。条件反射。

「美冬ちゃんのこと、お婆様から伺いました・・・
 ああ、千夏と美冬は知らないそうですからご安心を」
「安心できねーよ・・・」
思わず額に滲んだ汗を掌で拭う。
しばらくお婆には会いたくない。

「じゃ、美冬は、その・・・殺人鬼だって断定されたのか?」
「いいえ、違います」
「は?」
と言う事は、だ・・・
美冬の・・・殺人衝動が消えたのか?
それなら美冬はもう・・・

「『もっと、酷い。最悪のパターン』」


「・・・・・・・・・!!?」

「『美冬は自身の殺人衝動を抑える事は出来ている。
  けど、その行き場の無い殺人衝動は
  何年も積り、積もった挙句に進化した』」

何年も、我慢していた?
でも、美冬は『最近』殺したいのはって・・・

「これは私の愚かな推測ですが・・・
 美冬ちゃんには昔から殺人衝動があり、
 それを、他の生物を殺すことで押さえていた、
 そう思いますが・・・いかがでしょう?」
「・・・そういうことか」

それが『最近』になって、我慢できなくなったのか。

「『美冬にはおそらく、自らの鬼の気配を
  意図的に消すことが可能なんだろう』とも」
「・・・だから・・・お婆も長年気付かなかった、か」
「『しかし、最近は抑え切れていない。
  制御できないんだろう』」

・・・・・・何で、気付いてやれなかったかなぁ・・・

「話は前後しますが・・・
 『既に美冬の中の衝動は、欲望は、
  どれだけ殺しても、喰らっても、犯しても、解体しても、
  満たされることはないだろう』」

満たされないほどの・・・欲望?

「『その境地に達した【鬼】を、
  私は特に【純性鬼畜】と呼ぶことにした』」
【じゅんせいきちく】・・・【純性鬼畜】
なんだろう、こんな場面なのに
脱力するネーミングだな・・・

「『もう彼女は殺人鬼でも喰人鬼でもましてや人でもない
  私が見てきた何人もの鬼を軽く超え、
  恐らくは伝説とうたわれた我が祖父すらも凌駕する
  何の対処法も治療法も存在しない、
  
  【純性鬼畜】空波美冬だ』」

Re: 少年と殺人鬼 ( No.18 )
日時: 2010/06/24 22:59
名前: カラマワリスト (ID: HW2KSCh3)

「【純性鬼畜】・・・か、俺なら【ダークプロミネンス】にするがな」
「より一層ひどいです」
ひどい!

「で、本題です。
 『美冬は、殺人を犯しているか』」
「No、だ」
間髪いれず答える。
「・・・断言しましたね。
 では、今この町でおきている
 連続バラバラ殺人事件は彼女の仕業ではないと?」
「そうだ。美冬は人を殺していない」
千秋は不思議そうな表情を浮かべた。
「何故断言できるのですか?」

「犯人に会ったからだ」

とたんに千秋の表情が固くなる。
「・・・犯人に?」
「そいつも【鬼】・・・【喰人鬼】だと思う」

ついさっきまで会っていたソレは
死人の腕を喰っていた。
【喰人鬼】・・・詳しくは聞いてい無いが
その字面からしてその名の通り【人を喰う鬼】だろう。

「【喰人鬼】・・・何故【鬼】だと分かったのですか?」
「あーお婆に聞いたか?
 【鬼】の気配を察知するお婆の能力。
 
 俺にもそれ、備わってるらしい」

「・・・そうですか」
「あれ?」
何かあんまり驚いていないような。
「なら何故、美冬ちゃんの気配が分からなかったのです?」
そこなんだよな・・・
「今も特別な気配はしないし・・・本当は【鬼】じゃないんじゃ」
「・・・恐らく、お兄様の能力はまだ未完全なあるのでしょう。
 他の感覚器官と同じです。
 ある周波数以下の音は聞こえない、
 ある波長以上の光は可視出来ない、
 ある一定レベル以上の気配は察知できない・・・
 そういうものなのかもしれません」
「おお・・・なるほど」
確かにあり得る話だ。

「問題は」
と唐突に千秋が言う。
まるで、言いたくなかった事を
絞り出してるような悲しげな表情で——




「美冬ちゃんをこのまま、生かすのかどうかですよ」


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