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少年と殺人鬼
日時: 2010/05/13 22:02
名前: カラマワリスト (ID: MT1OWC7F)








初めての小説です。
暇つぶしにでも見てやってください。



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Re: 少年と殺人鬼 ( No.4 )
日時: 2010/05/23 18:04
名前: カラマワリスト (ID: MT1OWC7F)


「そもそもの始まりは3年ちょい前、小4のころ
 虫を殺虫剤でゴキたんを殺した時。

 なんか、いい感じがした。
 快楽、だと思うけど。

 なんかいい感じがしたんだ。

 で、虫という虫を殺し始めたの」

「いつの間にか家中の虫が駆逐されていたのはそれか・・・」

「一年ほどで、虫じゃ満足できなくなっちゃったの」

「うーむ」
確かに小さすぎて殺しているという感じはないな。

「別に虫を侮蔑する気は毛頭ないが・・・
 なんとなく分かるよ。
 ・・・次は猫とか?」

「ううん、違うの。
 最初は飽きたからやめようって思ったんだけど、
 ・・・少し逸れるかもしれないけど
 あたしって小学の頃はずっと飼育係やってたの」
「ふーん
 ・・・・・・いや、ちょっと待て、お前!」

「初めにゲコ太郎、
 つぎにゲコ美、
 その次がオタマジャクシ3号、4号、9号、
 それからは卵を1度に10個ずつくらい」

「・・・・・・っ」
「冬間近になる頃には、1匹も残らなかったわ」
「お前・・・」

「そして冬には猫を2匹。
 小5になって、うさぎを飼い始めてからは月に1匹。
 居なくなったら、猫か犬を。

 どんどんどんどんどんどんどんどん殺した」


「・・・美冬、」
「同情は要らないし、許されようとも思わない。
 ただ、あたしは殺すだけだった。」

「だんだんね、飽きてくるの」

「もっと大きい物を殺したくなるの」

「最近、殺したいのは、人間」

Re: 少年と殺人鬼 ( No.5 )
日時: 2010/05/28 20:26
名前: カラマワリスト (ID: qwjQ/00r)


その2 〜糠漬けと鬼伝説〜

個人的な意見だが、人間を殺す事は
他の生物を殺す事とは一線を画すと思う。

何せ、言葉が通じるのだ。
一目で表情を判別できるのだ。
泣いている、叫んでいる、命乞いしている、
笑っている、押し黙っている、悲しんでる。
死ぬ瞬間にどんな事を思っているのか、伝わるのだ。

動物を殺すとも、植物を殺すとも違う。
人間を尊重するわけでも卑下するわけでもない。
言葉が通じる。表情が分かる。
同種の生物である。
それだけで、随分違うのだろう。

そんな人を殺すための剣道流派。
『鬼巖流』の五代目当主こそ
我が祖母、空波千代の肩書きである。

「千秋ー」
「ああ、お兄様、御機嫌麗しゅうございます」
「・・・」
「今回はどういったご用件でしょうか?お兄様?」
・・・あのお婆、妹になんつー教育施してやがるんだよ。
「お婆、いる?」
「お婆様ですか?確か今日は稽古の後は
 奥の間でゆっくりすると仰られていましたが」
「そうかい」
「ご案内しましょうか?」
「いや、いいよ・・・あーそうだ。千夏に
 糠漬けとお茶出してくれって言っておいてくれないか?」
「畏まりました」
「・・・帰ってこいよ」
「はい?」
「いや、何も」
そう答えて玄関先を掃き掃除する千秋を残して
大きな屋敷へと入って行った。

Re: 少年と殺人鬼 ( No.6 )
日時: 2010/06/03 22:34
名前: カラマワリスト (ID: qwjQ/00r)

「お、千夏じゃん」
「何?兄ちゃん」
「ちょっとお婆に尋ね事」
「へー」
「千夏こそ、何した?」
「稽古」
「へえ」
「素振り3000、腹筋背筋50×5回、腕立て50×6回、」
「もういい」
どんだけやってんだよ。
「何の相談してたんだよ?」
「野暮用、野暮用」
まさか、鬼だの殺しだの切り裂きジャックだのと
説明するわけにはいかないからな・・・
「じゃ、俺風呂入るから」
「ああ、俺も今日はもう帰るよ」
「バイバーイ」
「シーユーアゲイン」

我が弟千夏と別れた後、
長廊下を歩いて玄関から出た。
千秋はまだ掃き掃除をしていた。
「まだやってんのか」
「掃いても掃いても吐きたいほど
 風により落ち葉が運搬されてくるのです」
壊れかけている。
ってか、諦めろよ。
俺は千秋にも別れを告げ、
駅へと向かう。

3駅分電車に乗る事になるのでせいぜいが10分程度
立っていれば着くのだが、
空いているので座ることにした。
座っていると何か落ち着いてきたので
さっき聞いた話を脳内で反復し始めた。

簡略にまとめると、
空波家に代々伝わる殺人鬼の血が
美冬に現れたらしいのだ。

Re: 少年と殺人鬼 ( No.7 )
日時: 2010/06/05 22:24
名前: カラマワリスト (ID: qwjQ/00r)

「お兄ちゃんお帰り—」
美冬が玄関まで迎え出てきてくれた。
「ただいまー」
・・・美冬に鬼云々の事は言わない方がいいだろう。
彼女はまだ自分の殺人衝動がヤバいくらいにしか
思ってないだろう。
・・・そうだよな?
「どうだったの?」
「・・・あー、いや、よっぽど我慢出来んのなら
 山に籠って原始的生活でもしろだとよ」
「わぁ・・・」
「籠るか?」
「遠慮します」
そう言って美冬は少し笑った。
「ご飯、できてるよー」
「おぉ」
そういやもう夜だ。
「今日は何だよ?」
「炒飯と中華スープ」
「あーそっか・・・糠漬け、貰って来たんだけどな」
「どうする?皿に盛ろうか?」
「いや、冷蔵庫に入れといてくれよ」
「らじゃー」
美冬は俺が渡したタッパーを
持ってキッチンに向かった。
その間に俺は靴を脱いでリビングへ。
「お兄ちゃーん、お皿持って行っといてー」
「おっけー」

「ごちそーさまー」
「・・・ああ」
普段ご飯は俺が作っているのだが、
それは美冬が作るとかなり油っこくなるからである。
自分の好みに合わせるんだよな—この娘。
・・・可愛いじゃねーか。
「おいしかった?」
「勿論!最高だよ!全然油っこいとか思ってないし!
 このくらいがベスト!」
でも明日は俺が作るからな。
「じゃ、洗い物は俺がするよ」
「ありがとー」


同じ日、同じ街、別の時間に
一人の人が殺されたていた事を知ったのは
次の日のことだった。

Re: 少年と殺人鬼 ( No.8 )
日時: 2010/06/06 11:25
名前: カラマワリスト (ID: saz7BosX)

その3 〜牛乳と殺人犯〜

思わず噴き出した牛乳を拭きながら、
まだ眠っている美冬の様子が気になって仕方がない。
日曜日の朝8時、朝食を食べている最中だった。

日曜のこの時間にはいつも起きているのに・・・

何故起きない?
昨日寝るのが遅かったのか?

新聞を見る。
目撃者は居ない。
場所はこの家からそう遠くない路地裏。
被害者の死亡推定時刻は1時から2時とのことだった。
そんな時間、俺はとうに眠っている。
美冬だって・・・寝ていたはずだ。

被害者の名前には心当たりがない。
40代の男だから美冬にも無かろう。
被害者の体はバラバラに『解体』されていたようで、
見つかっていない『部分』も有るらしい。
まさか、中学生の少女にそんな真似は出来まい。

・・・・・・出来るわけがない。

電話が鳴った。
席を立って、受話器を取る。
聞きなれた声がした。
「もしもし・・・何だ千秋か?」
「お兄様、お婆様に言伝を頼まれまして」
お婆、文明の機器をほとんど使えねーからな。
「分かった・・・何?」
「『何かやったのか?』と・・・何の事でしょう?」
・・・・・・!
「『絶対違う』って返しといて。『家で寝てた』」
「分かりました。伝えておきます」

電話は切れた。


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