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モノクロ  =完結しました
日時: 2010/05/31 16:46
名前: アキラ (ID: PA3b2Hh4)

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未熟者ですが  よろしくお願いします\(^o^)/





お客様
  
   ユエ様  月光様  白兎様
   ゼリー様  神無月様

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Re: モノクロ ( No.32 )
日時: 2010/05/31 16:01
名前: 神無月 (ID: XOYU4uQv)


クーーーー!!!!
か、かっこよすぎる!!!
なんて王道で、なんて素晴らしい展開なんでしょう。
そこはやっぱり2人は結ばれるんでしょうか?←

Re: モノクロ ( No.33 )
日時: 2010/05/31 16:17
名前: アキラ (ID: PA3b2Hh4)

ラストはもう考えています。
今日中にこれ、終わらせたいです。

Re: モノクロ ( No.34 )
日時: 2010/05/31 16:29
名前: アキラ (ID: PA3b2Hh4)

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「クー、何しているのよ。 このタイミングで現れるとか、格好良すぎだわ」
「……元気なのはいいけど、逃げるぞ」
「逃げる? どうしてかしら。 まさにメルヘン的展開ね」

減らず口を知らないシロを立たせ、腕を引っ張る。
監査官が追ってくる。

「こういうのって、ハッピーエンドで終わるのかしら」
「終わらせる」
「……クー、あなたちょっと格好良すぎだわ。 どうしちゃったのかしら」

シロは不思議な表情でクーを見つめた。 

「待て! そこの囚人っ!」
「生贄を拉致したぞ! 早く追えっ!」

地下牢から脱出し、シロは初めて、外の世界を見た。
あまりの眩しさに、瞳孔が一瞬縮小する。

「眩しいわ……」
「ここが、外の世界だ」
「とても、明るいのね」

直に感じる太陽の光。 空気。 匂い。
どれもこれもが新鮮で、シロは言葉も出なかった。

「悪いけど、モタモタしている暇ないな」
「本当だわ。 ほら、王子様。 追ってが来てる」

ふふふと、まるで鬼ごっこをしているように笑うシロ。 

「私をどう助けるのか、見ていてあげるわ」
「……本当に生意気だな、お前」

クーはそう呟き、シロを抱き上げた。 そして走る。

「……………」

くすぐったいような、異性に抱かれているという気持ちが、シロを呑みこむ。
それが恋だと知るには、シロはあまりも沢山の事を学び損ねた。

「…………?」

高ぶる感情の意味が分からず、ギュッとクーに抱きついた。
クーもそれは同じだった。 柔らかな感触、それが自分とは違う性別のものだと感じると、どうしてか、くすぐったい思いが出てくる。

「待て、そこの生贄と囚人っ」

監査官が大群となって追いかけてくる。
しかし。

「見ろ、ミリアム王だっ」 「なんだと?」

監査官の前に立ちふさがったのは、国王ミリアムだった。

「お、王、何をしているのです!」 「あのままじゃ、逃がしてしまいますぞっ」

監査官が口ぐちにそう言うが、ミリアムは首を横に振り、

「この先、あの二人を追うという者がいるならば、俺を殺してから行け!! 」
「王っ」

ミリアムは両手を拡げ、監査官達を睨む。

「情けが出たな……」

久々に見た妹の姿を思い出しながら、そう呟いた。

Re: モノクロ ( No.35 )
日時: 2010/05/31 16:39
名前: アキラ (ID: PA3b2Hh4)

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どこまで、逃げただろう。 
気がつけば、世界は漆黒の闇に包まれていた。

「……………疲れた」

クーとシロは、小高い丘に座っていた。
ハーデル王国の城壁が遠くに見える。 草原の真ん中で、二人きり。

「凄いわ。 物語の登場人物みたい」
「………呑気だな」
「だって、私は何も悪い事はしていないから」

シロはそう言い、ゴロリと寝転がる。

「気持ちいいわ。 世界はこんなに広いのね」
「……残酷だけどな」
「分かっているわ。 だけど、ここは残酷じゃない」

シロはクーを見つめる。

「あなたが、いるから」

それは、たどたどしい愛の告白だった。
クーもシロの隣で寝転ぶ。 夜空には、星が光っていた。

「……俺も、初めてこんなキレイな世界を見た」
「それは良い事よ」

透明な空気を吸い、吐く。 息ができる。 窮屈なんかじゃない。

「──でもクー。 一つだけ不満があるわ」
「何が」
「王子様っていうのは、お姫様にキスをするものなのよ」
「…………」

生意気にそう言い、シロは微笑んだ。
クーは無言で、そっとシロに口づけする。

優しい優しいキスだった。

心も満たされていくような、暖かくて、愛しくて。
抱きしめる。
愛しい人を守れたと思うと、涙が溢れそうになった。

唇を離すと、シロはいつものように笑っていた。

「やっぱり、王子様ね。 あなた」

シロだけの、王子様。
クーはシロの頬を撫で、髪に触れ、

「シロ」

そっとそっと、微笑んだ。





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Re: モノクロ ( No.36 )
日時: 2010/05/31 16:45
名前: アキラ (ID: PA3b2Hh4)




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        †終章†
        モノクロ





魔術を扱うハーデル王国の墓地に、一人の少女がやってきた。

銀色の髪に、アイスブルーの瞳をもつ、美しい十代中頃ほどの少女だった。

少女は広大な敷地の墓地から、一つ。
真っ黒な石碑の墓石を見つけ、その前に座る。

かなり豪華な石碑で、文字もしっかり刻まれていた。

「……あなたのおかげで、私は生まれたのかもしれないわ」

少女はそう言い、そっと、石碑を撫でる。
ヒヤリとした感触。 

「ありがとう。 あの時、母さんと父さんを庇ってくれて」

あの後、一人の男の訴えにより、生贄の儀式は二度と起こらなくなった。

男はその後、暗殺によって殺されてしまったけれど。

「感謝しているのよ。 会った事はないけれど、私も、両親も……」

少女は、そう言って、石碑に軽くキスをした。
そして、立ち去る。

銀色の長髪を棚引かせながら。




『ミリアム・トルバート』 と刻まれた石碑を、後にして───。







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         †終わり†


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