ダーク・ファンタジー小説 ※倉庫ログ
■漢字にルビが振れるようになりました!使用方法は漢字のよみがなを半角かっこで括るだけ。
入力例)鳴(な)かぬなら 鳴(な)くまでまとう 不如帰(ホトトギス)
- モノクロ =完結しました
- 日時: 2010/05/31 16:46
- 名前: アキラ (ID: PA3b2Hh4)
.
未熟者ですが よろしくお願いします\(^o^)/
お客様
ユエ様 月光様 白兎様
ゼリー様 神無月様
- Re: モノクロ ( No.22 )
- 日時: 2010/05/29 23:09
- 名前: ゼリー ◆fyvzahlCa2 (ID: g4i.qhAt)
おお〜。。シロは生贄だったんですね・・・。
あ、ぜりーです。アキラさんの小説は、やっぱり面白いですね!これからもがんばってください♪
Byゼリー
- Re: モノクロ ( No.23 )
- 日時: 2010/05/30 00:07
- 名前: 神無月 (ID: XOYU4uQv)
と・・・鳥肌が立ちました・・・。
シロがあまりにも純粋で、クーが少しずつ変わっていってる感じがいいです!
文章が読みやすくて、羨ましいです・・・。
続き楽しみにしています♪
- Re: モノクロ ( No.24 )
- 日時: 2010/05/30 09:25
- 名前: アキラ (ID: PA3b2Hh4)
生贄です(>_<)
面白いだなんてとんでもないですm(__)m
応援よろしくデス。
>ゼリーさん
鳥肌立つほど共感してくれて、ありがとです!
シロとクーのこれからを見守って下さい(>_<)
>神無月さん
- Re: モノクロ ( No.25 )
- 日時: 2010/05/30 10:22
- 名前: アキラ (ID: PA3b2Hh4)
.
†第3章†
生贄の少女
長い長い螺旋階段を、クーは駆け上がっていた。
シロの事がただ、心配で。
──生贄。
シロは生贄としてこの塔に隔離されていた。
神への、道具として。
塔の頂上にたどり着き、叫ぶ。
「シロっ!! 」
声は木霊し、返事はなかった。
薄暗い廊下を、クーは歩く。 息を整えながら。
「居るのか? ──シロ」
お願いだから。
いつもの生意気で、無邪気な笑顔で居てくれ。
願っていた。 心のどこかで。
恐れていた。 また、助けられないんじゃないかと思って。
思い知らされるのが、たまらなく。
「シ……ロ……」
扉を開けると、そこは、真っ白な部屋だった。
「…………………」
あまりの風貌の違いに、絶句する。 驚きすら、感じていた。
ゆっくりと、部屋に入る。
白い壁紙に、白いベッド。 白い本棚。 白いぬいぐるみ。
全てが全て、白色で、明らかにそこは、シロの部屋だった。
なのに。
「んで……シロがいないんだ」
愛らしい、あの子供の姿が無い。
焦りすら覚える。
「シロ?」
もう監査官によって捕らえられたのだろうか。
不安が頭を過る。 震えてくる。 また、愛する人の死を、目の前で目撃しなければいけないと考えると。
「……コリアっ」
重ねてしまう。
助けられなかった人と、彼女を。
──重ねてしまう。
「許して……コリア……」
†
ハーデル王国の王家では、生贄が白い部屋から出ていたと知らされ、軽いパニックに陥っていた。
「神聖なる生贄が、薄汚い牢屋の囚人と言葉を交わしていただと……! 信じられないっ!」
「ただ今、その聖女を捕らえました。 ──まだ儀式には日は遠い。 どういたしますか?」
報告を受けた、ハーデル国王、ミリアム・トルバートは、まだ若い王だった。
二十代前半の、赤髪に赤い目の青年。
赤い団服を着こなし、そしてそれはとても似合っていた。
「聖女は今どうしてる?」
「はい。 魔術で動きを封じております」
「儀式である100年目は三日後……。 神聖なそれの日時を変える事は、俺にも不可能だ」
(どうすればいい。 穢れた聖女など、もう聖女ではない……)
ミリアムはしばらく悩んだが、溜息をつき、
「仕方ない。 聖女を隔離し、誰とも近づけないように。 彼女を話した死刑囚の少年という奴を、ここへ連れてこい」
「かしこまりました」
- Re: モノクロ ( No.26 )
- 日時: 2010/05/30 10:51
- 名前: アキラ (ID: PA3b2Hh4)
.
「死刑囚、304番!」
茫然と、白い部屋で立ち尽くすクーを、監査官が後ろから抑える。
「我々と来てもらう。 さあ、歩くんだ」
「…………」
抜け殻のように、涙さえ流れないクーは、監査官に連れられて螺旋階段を降りた。
「お前が、死刑囚304番か?」
目の前に現れたミリアムが、クーに訪ねた。
ゆっくりとクーは頷き、無表情でミリアムを見る。
「俺はこの国の王。 ミリアム・トルバート。 貴様、どうやら生贄の聖女と話をしたそうだな」
「………あいつを、どこにやったわけ?」
国王を目の前にしても、クーは頭を垂れず、そう質問した。
その問いには答えない。 そうミリアムは告げ、シロは今、魔術で隔離されていると伝えた。
「……あいつは、生贄なんだな」
「そうだ。 100年に一度、トルバートに生まれた長女を生贄にする。 それが決まりだ」
クーは顔を上げ、どこか嘲笑するように、
「アンタの、妹ってわけか?」
「───そうだ」
ミリアムは一瞬、同情を顔に浮かべたが、すぐにキリッと引き締めた。
「聖女は、俺の実の妹だ」
「恥ずかしくねーのか。 神だのの為に妹を殺して」
「300年前、神は大飢饉から我々を救ってくれた」
クーは分かっている。
神様なんて、そんなものはどこにも。
どこにも、いないのだと。
もし居たのなら、どうしてあの時、自分とコニアを助けてくれなかったのかと。
そう思うから。
「だから、妹を縛りつけにすんのか」
「…………そうだ」
ミリアムはしっかりと頷いた。 迷いがない、まっすぐな目でクーを見据えた。
「俺と聖女は、会った事がない。 幼い頃から、あいつは聖女として塔に囚われていた。 俺からしてみれば、他人も同然なんだ」
──分からないの。 私は生まれた時からずっと、この塔で暮らしているのよ。
自分が、どうして存在しているのか。
その意味さえ知らされず。
──言ったでしょ? 私は気がつけば、この塔の白い部屋に居たの。
愛してくれた人もおらず、ただただ一人で。
──ねぇ、クー。 外の世界を私に教えなさい。
どこまでも、どこまでも。
何も知らない、純粋で、真っ白で。
「お前が、あいつをあんな風にしたんだよ」
「何!? 」
名前を、与えられる事もなく。
──“お前” じゃないわ。 私は、
「シロ」
──シロよ。
白い花のように、彼女は笑った。
今にも消えそうで。 壊れてしまいそうで。
「くそ野郎ッ!」
叫ぶ。 もう、全てが音の無い世界のように。
クーは叫んだ。
愛しい、あの子供の姿を思い浮かべながら。
いつの間にか、愛しい人になっていた。
過ごした時間は、短かったけれど。