ダーク・ファンタジー小説 ※倉庫ログ

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モノクロ  =完結しました
日時: 2010/05/31 16:46
名前: アキラ (ID: PA3b2Hh4)

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未熟者ですが  よろしくお願いします\(^o^)/





お客様
  
   ユエ様  月光様  白兎様
   ゼリー様  神無月様

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Re: モノクロ ( No.12 )
日時: 2010/05/24 16:52
名前: アキラ (ID: PA3b2Hh4)

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        †第2章†
       笑わない死刑囚




いつ殺されるのかという恐怖は、もう消えていた。


自分はどういう風に殺されるんだろう。
クーはそればかり考える。

真っ暗な未来を楽しむような心を持っておらず、ただただ、空っぽのような目でどこかを見ていた。

「また、あなたはそんな目をして」
「………」

いつも、決まった時間にシロは現れた。
監視官が食事を運んだ後。 短い時間だけ。

「なんでお前は繋がられてないんだ」
「何故って、何も悪い事なんてしてないもの」

へらっとそう言い、シロは微笑んだ。
華のような笑み。 外の世界を知らない少女は、どこまでも純粋で無垢だった。

「言ったでしょ? 私は気がつけば、この塔の白い部屋に居たの」
「…………白い?」

クーは辺りを見まわすが、薄暗いこの塔に、白い部屋があるなんて信じられない。
だけど、シロの姿を見ればなんとなく、そういう部屋があるんだろうと思う。

「ねぇ、クー。 外の世界を私に教えなさい」

シロは興味を持った目でクーを見る。 

「……あまり、いいものじゃない」
「そういうのは、私が決めるわ」

生意気にそう言い、シロが地べたに座る。
程無くして、クーも諦めたのか、ポツリポツリと世界について語りだした。

「この世界は……全部、強い人の味方だ。 弱い俺たちの事は何も分かってくれない。 嬲られて殺されるか、玩具にされるかだ」

言いながら思い出していた。
地獄よりも酷い、耳鳴りばかりのする赤色の部屋。

死体を漁って、肉をばらつかせ、芸をしないと生きていけなかった。
黒い、大人の笑い声。 次はアレをしてみろと要求され、気に居られなければすぐに蹴られた。

「今も、俺の左手は満足に動かないままだ」
「その時に、クーは出会ったのね。 “大切な人”に」

シロの言葉に、クーは頷く。



Re: モノクロ ( No.13 )
日時: 2010/05/25 17:50
名前: アキラ (ID: PA3b2Hh4)

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           ⅴ




×××は、どこにでもいる普通の少年だった。
父は幼くして亡くしていたが、姉もいるし、優しい母もいる。

貧富の激しいハーデル王国だったけれど、それでも×××は幸せだった。
だけど。

裏社会で生きる大人たちが、人身売買の為に貧しい村の子供たちを誘拐する事件が多発していた。
その誘拐の被害者に、×××も入っていた。

目隠しをされ、猿ぐつわをされ、手足を縛られて身動きできなくされる。
ワゴンで連れてこられた場所は、この世とは思えない地獄だった。

小さな子供が、大人の玩具にされ、嬲られ、狂わされ、壊れて行く。

「あ……あ……」

信じたくなかった。
一瞬で冷たい世界に連れてこられ、気が触れた×××は絶叫する。

「うわあああああああああああああああああああっ」

それからは、毎日が地獄だった。
スナッフビデオの撮影、死体処理。 
飛び散る肉片と、滴る血で感覚がマヒし、崩れて行く。

発狂し、壁を爪でガリガリと毟る子供も居れば、あまりの飢えに仲間を喰らう子供まで居た。 それを、大人たちは笑ってみている。

×××も例外ではなく、どこか狂っていた。
抜け落ちたように、茫然となる。

そんな彼に、声をかけた少女が居た。





「あなた、女の子? キレーな顔だね」
「違うけど」

どこまでも伸びた黒髪に、翡翠色の瞳。 年齢は×××より少し上の印象がある。
女の子と勘違いされても、×××は気にせずに、否定だけした。

「キレーな顔だから、女の子かと思った」
「それ、みんなに言われる」

だから、女装して変態な大人の前で芸をしてるんじゃないか。

×××はそう思ったが、口には出さなかった。

「私、コリアって言うの。 ……あなたは?」
「………×××」

コリアは、とても嬉しそうに笑い、×××の手を掴んで頬ずりした。
まるで、友達でもできたかのように。 嬉しそうに。






「ひやああああああああああああああああああっ」
「ああああああああああああああああああああっ」

様々な悲鳴が飛び交う。 一部の子供たちは隅で震えていた。
今まさに、人間のように手足をもがれている同士を、助ける事もでず、悲鳴を上げる事もできず。

血の匂い。 悲鳴。 笑い声。 命の途切れる音。

それらを見ても、×××は何も感じなかった。
傍らで、必死でそれらを見ないようにしているコリアを抱きしめながら。

すると。 子供の一人をメチャクチャに壊した後、大人たちがこちらに向かってくる。
そして、コリアを×××から引き剥がした。

「コリアっ」 「あ………」

あまりの突然の事に、コリアは簡単に×××の手を離してしまった。

「やだ……っ、やだやだやだ!」

黙れ、と大人の誰かが怒鳴り、コリアの腹部をけり上げるのが見える。
×××は何かを叫ぼうとしたが、声が喉元に引っかかって全く出せなかった。

彼女が要求されたのは、まだ5歳ほどの少女を殺せというものだった。

「やだっ、やだっ!」

殴られる。 否定しても、殴られる。
鉄パイプをもたされ、コリアは泣き叫びながら一気にそれを振り下ろした。

そこから───、音が、聞こえなくなる。

×××の世界は、一瞬で透明になった。
コリアが、彼女が大人たちを撲殺している所を見ても、ただただ、茫然と。

茫然と時間が過ぎて行く。

気付けば、その地獄からは自分とコリアしか残って居なかった。

子供たちは人間とは呼べないような肉になっていたし、大人たちも誰ひとり生き残っては居なかった。

あれだけ悲鳴に溢れた場所が、静かになる。

「…………コ、リア?」

鉄パイプから流れ落ちる血。

「コリアが……やったのか?」
「───どうでもいいよ」

コリアは笑っていた。 綺麗に、笑っていた。
鉄パイプを投げ捨て、その場に倒れる。

「もう………疲れた………」
「……………コリア」

×××はコリアを抱きしめた。
どうして、自分が守ってやる事ができないのか。

「………ねえ、×××。 私を殺して」
「───嫌だ」
「お願い。 ……もう、生きるのは疲れた」
「じゃあ……なんで俺を殺さなかった!」

苦しさで胸が熱くなる。

「俺だって……、あいつらと同じように殺してくれたなら! どれほど! 俺だって生きるのは疲れたんだッ!」

もう、普通に戻れる可能性はない。
このまま生きて行くのは、本当に苦痛なだけだった。

だから──殺してくれと。

「頼む……殺してくれ……」
「…………ごめんなさいね」

コリアはそう言うと、いきなり×××を突き飛ばし、勢いよく頭部を自ら地面に打ち付けた。

「あ………………」

動かない。 ずっと。 もう二度と。

「ああああ………あああああああああああああっ」

×××は涙が出なくなるまで泣いた。
声が枯れるまで、叫んだ。








「世界っていうのは……本当に嫌なもんだ」

思い出しながら、クーが吐き捨てるように言った。

「クーは、大切な人を護れなかったのね」
「ああ。 ──ヘタレだな」
「そんな事ないわ」

サラリとシロが言った。

「外の世界がどれほど残酷か、あなたは身をもって分かったのよ。 それって、変な言い方だけれど……」

シロは少し考えて、

「羨ましいわ」
「……………」

Re: モノクロ ( No.14 )
日時: 2010/05/25 17:50
名前: 帽子の中身 (ID: kWgD5bK.)

フ…ヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒいひいひい非ヒヒヒヒヒヒヒヒいヒヒヒヒイッヒヒヒヒヒいヒヒい日ひいひいヒヒヒヒい日非hフ…ヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒいひいひい非ヒヒヒヒヒヒヒヒいヒヒヒヒイッヒヒヒヒヒいヒヒい日ひいひいヒヒヒヒい日非hフ…ヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒいひいひい非ヒヒヒヒヒヒヒヒいヒヒヒヒイッヒヒヒヒヒいヒヒい日ひいひいヒヒヒヒい日非hフ…ヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒいひいひい非ヒヒヒヒヒヒヒヒいヒヒヒヒイッヒヒヒヒヒいヒヒい日ひいひいヒヒヒヒい日非h

Re: モノクロ ( No.15 )
日時: 2010/05/25 21:37
名前: ユエ (ID: tuHQgCts)

コリア……(>_<)
読むだけで辛かったです…(>_<)
これがクーの思い出だったんですね。

Re: モノクロ ( No.16 )
日時: 2010/05/27 16:41
名前: アキラ (ID: PA3b2Hh4)

クーの思い出、というよりは、トラウマのようなものだと思います。
書いてても苦しかったです。


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