ダーク・ファンタジー小説 ※倉庫ログ

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誰も知らない誰かの物語 
日時: 2010/09/03 22:37
名前: 神無月 (ID: XOYU4uQv)

どもー。はじめましての方ははじめまして。知ってる方はおはようございます&こんにちは&こんばんは。

神無月(かんなづき)と申します。

ここでは、作者が長編の方で行き詰ったとry・・・じゃなくて、何かが思い浮かんだときに書いていくところです。

短編集になっております。
長編が読みたいお方は舌打ちしながら戻ってくれて構いませんよ!!(泣)←

基本、自由気ままに書いていきますので・・・。

まぁ、気長にお付き合い下さい。

では。



— 誰も知らない物語

     されど誰かの物語 —



     開幕



〈お客様〉

アキラ様 故草@。様 阿嘉狐様 白兎様 agu様

月兎様 出雲様 時代様 遮犬様


〈目録〉

第一幕「それはまるで桜のような」>>1 >>2

第二幕「染まる坂道で」>>12

第三幕「善人ぶる悪人と悪人ぶる善人」>>19 >>20


《お題募集》>>35

第四幕「宵待草」>>42 おまけ「最期の涙」>>64(阿嘉狐様)

第五幕「繋がれた愛情」>>53(アキラ様)
第六幕「一般人ぶるあいつと常識人ぶる俺」>>79 >>80(白兎様)

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Re: 誰も知らない誰かの物語 ( No.19 )
日時: 2010/08/23 16:26
名前: 神無月 (ID: XOYU4uQv)
参照: http://www.youtube.com/watch?v=g753DzVrm2Y&feature=related

第三幕 「善人ぶる悪人と悪人ぶる善人」


・・・笑えない。


「アハハ、冗談だって、冗談!」


目の前で笑うコイツを殺してやりたいと思うのは、間違ってないはずだ。


「お前の冗談は冗談に聞こえないんだよ!!」

「えぇ!?ヒドイ!!ただ・・・ちょっと調子にのってるみたいだから、飲み物にちょーっと白い粉を入れてあげようかなって言っただけなのに!!」


っコイツは、ハァーと重いため息が出た。


「それが冗談に聞こえないって言ってんだよ!!」


何でだよう、とふてくされたような顔をする様子は、普通の人に見える。何の害もない、普通の。

—だからこそ、やっかいなんだ。


「お前な、自分が“何なのか”よく考えろ」


そう言えば、ふと顔を俯かせた。はたから見れば悲しんでいるように見えるであろうそれは、俯く瞬間を見てしまったからそうは思えなかった。

俯く瞬間、コイツの顔から・・・表情が消えたのを。

ゾクリとするような表情(かお)だった。無表情ではない、完全なる—無。

だが次に顔を上げたとき、コイツの顔に表情は戻っていた。ただ、その瞳を除いて。


「酷いなぁ、俺は、ごくごく普通の一般人だよ?」


一般人、ね。

お前は、そうやってまた自分を誤魔化すんだな。


その時、目の前で幼い女の子が転んだ。痛みに泣きだしてしまったその子に、コイツ—疾風(はやて)は手を伸ばした。


「・・・・・っ!!」

「大丈夫ー?」


思わず身構えた俺を気にも留めず、疾風は女の子をひょいと持ち上げて顔を覗きこんだ。その様子に、肩から力を抜いた。


・・・びっくりした。一瞬コイツが・・・女の子を________すのかと思った。


女の子をあやす疾風のもとに、女の子の母親らしき人が駆け寄って来た。女の子を抱き寄せ、頭を下げた母親に笑いかけ、泣きやんだその子に手を振ると、疾風はこっちに戻って来た。


「いやー、一日一善だよね!」


ニコニコと笑う姿に、自然と眉根が寄った。


「善・・・ね」


俺の呟きに、疾風は首を傾げた。

そんな疾風に、俺は問いかけた。


「お前は、“何”だ?」


疾風は、ゆるく笑って答えた。


「善良な、一般人だよ」








Re: 誰も知らない誰かの物語 ( No.20 )
日時: 2010/08/16 16:56
名前: 神無月 (ID: XOYU4uQv)

ソイツは、突然現れた。

何の前触れもなく投げられたナイフを、疾風はなんとはなしに止めた。


「・・・誰だ」


発せられた声は、今までの疾風からは想像もできないほど冷たく、低いものだった。


「俺は“赤鬼”」


アカキ?分からない俺とは違い、疾風は知っていたのかあぁ、とでもいうように頷き、そして皮肉げに口元を歪めた。


「臆病者の赤鬼・・・ね」


その言葉が許せなかったのか、赤鬼は疾風に斬りかかった。それを余裕で避けながら、疾風はなおも挑発する。


「ハハ、怒るってことは自分でも自覚してんだろ?なぁ、弱虫で臆病者の赤鬼さん!!」

「てめぇ・・・・っ!!!!」


激昂して、ナイフを疾風の顔面めがけて振り下ろした赤鬼は、しかし次の瞬間目を見開き動きを止めた。


「疾風っっ!?」


疾風は、振り下ろされたナイフを避けることはしなかった。止めたのだ。ナイフの—刃を掴んで。

疾風の手から、赤い液体がぽたぽたと滴り落ちた。


「っっっ!!!」


それを見て、赤鬼は勢いよくナイフから手を放した。疾風はそんな赤鬼を見て、やれやれろいうように首を振り、ナイフを放した。ナイフは、カラン、という音をたててアスファルトの上を転がった。

手のひらから流れ落ちる血はそのままに、疾風は震える赤鬼を見据えた。


「だから、臆病者だって言ってんの」


そう言って赤鬼に一歩近づく。

ビクリと肩を揺らした赤鬼に、疾風は冷酷に言い放った。


「あんたは、“こっち”に来るべきじゃない」

「・・・何故」


やっと発された声は、震え、とてもか細いものだった。そんな赤鬼に、疾風は二コリと笑みを浮かべ、言った。


「だってさ、あんたからは血の臭いがしないもん」


その言葉に、赤鬼は目を見開いた。


「あんたさ、人殺したことないでしょ?」


さらっと言った疾風は、赤鬼に違う?と首を傾げてみせた。

答えない赤鬼に、フム、と言って言葉を続ける。


「図星か、やっぱねー」


するとキッと疾風を睨みつけ、叫ぶようにして赤鬼が言った。


「俺は・・・っ!!!」

「俺は、何?」

「っっ!!」

「正直言ってさ、迷惑なんだよねー。あんたみたいなの。舐めてんじゃねぇよ、って感じ?」

「てめっっ!!」



「黙れよ」



突然の、低く、威圧感のある声に赤鬼は息を呑み、押し黙った。


「こっちは、汚れてない奴が来る所じゃない。闇を知らない人間が、興味本位で覗いちゃいけねぇんだよ。

ましてや、自分からその闇に飛び込んでいくだなんて言語同断だ。

俺たちは、汚れたくて汚れた奴ばかりじゃない。むしろ、そうするしかなかった。そうしなくちゃ生きていられなかった。そんな奴らばかりだ。


—お前は、そのどちらでもないだろう?


分かるか?お前が今していることは、俺の・・・俺たちへの冒涜だ。

命の重さも知らねぇような奴が、ちょっと悪いことしてみてぇからくらいの気持ちでやってんじゃねぇよ。

俺は、お前みてぇのが一番許せねぇ。


・・・殺されたくなかったら、とっとと俺の前から消えろ。そして、二度と、こちらに現れるな。お前は、普通に生きていればいいんだ」


赤鬼は、何も言わなかった。

・・・否、何も言えなかった。

苦しそうに、それでも抑えきれない怒りを抱えた疾風の言葉に、何も、言うことが出来なかったのだ。


全てを吐き出すかのように長く息をついた疾風は、またいつも通りの笑みを浮かべ、軽い口調で言った。


「はい、シリアスな雰囲気はここまでー。もう俺疲れちゃったよー」


はぁ、とあからさまなため息をついた疾風に赤鬼は無言で目を向けた。その表情は、今までとは違って。

そんな赤鬼に、今まで成り行きを見守っていた俺はそっと声をかけた。


「・・・もう、いいだろ?」


何の為に彼がここに来たのかは分からないけれど、後悔したような、そんな表情の意味なら分かるから。


俺を縋るような目で見つめた赤鬼に、頷いてみせた。

赤鬼は、無言でそこから立ち去っていった。


「・・・疾風」

「ん?」


こっちを見た疾風の瞳は、揺れていた。


「・・・帰るか」

「・・・ん」


風が吹く。その風は並んで歩く俺たちの間を、静かに、冷たく通り過ぎていった。






     *(あとがき)


・・・・またまた長くなっちまったぜorz

はい。作者の後悔はどうでもいいとして。


今回の物語は、従姉から出されていたお題に基づいて書きました。

お題は、題名のまんま「善人ぶる悪人と悪人ぶる善人」

私の文才のなさのせいで伝わらなかった方が大半だと思いますが、とりあえずはそういうテーマで書いていた、ということは知っていて下さい。

次回は短く書きたいな、でもやっぱり長くなるんだろうな・・・、とか思いつつ。

ではまた次回、お会いしましょう。




Re: 誰も知らない誰かの物語 ( No.21 )
日時: 2010/08/16 09:17
名前: 月兎 (ID: QuEgfe7r)

わぁ、また一つ新しいものがっっ!
って…すいません><
コメントしてませんでした泣

ずっと読ませていただいてました!
短編って凄い魅力ですね、なんかいろんな話が読めて楽しいです☆
「善人ぶる悪人と悪人ぶる善人」
とてもいい話でした、疾風が私的に大好きでs((
語りのもう一人はどんな人物なんだろう、、、と考えちゃいました(笑)

Re: 誰も知らない誰かの物語 ( No.22 )
日時: 2010/08/16 13:12
名前: アキラ (ID: STEmBwbT)

短編書きません!! ドーンッ笑
だってお話短くまとめるの嫌なんだもの面倒くさいんだものシリアスにならないんだもの!!
だからキミが羨ましいんだゾ☆

飲み物に入れた白い粉……ってなに!!!?
いや、わかるよ? たぶん想像してるブツと一致してるとは思うけども!!
一日一善だなんて言ってるけども!!
「俺」は疾風とどういう関係なんだろ……

想像が膨らみますなッ!!

Re: 誰も知らない誰かの物語 ( No.23 )
日時: 2010/08/16 16:54
名前: 神無月 (ID: XOYU4uQv)


 >>月兎さん

おぉ、読んでいただいていたとはww
いえいえ、こうしてコメントしていただけるだけでもご飯5杯はいけますよ!!←

短編・・・ふふふ、なら月兎さんもどうですか?楽しいですよ〜(疲れるけど)すらすら書けますよ〜(私は胃を痛めながら死ぬ気で書いているけども)

疾風、私も好きd(黙
語りの子は・・・・・・・子は・・・(汗

まぁ、あんな感じの子デス!!


 >>アキラさん

な、なに!?書かない・・・だと?
いえアキラさんならちゃちゃっと素晴らしいものが書けてめっちゃシリアスのヤンデレで出来ると思います!!

すみませんちょっと願望入りました!!

飲み物に入れたのは・・・げっへっへ(殴
一日一善がモットーの疾風ちゃんですので★←



・・・むぅ。みなさん語りの男の子が気になるようで。・・・書いちゃおっかなー、あ、でも想像させといたほうが・・・(ぶつぶつ


とりあえずみなさんコメありがとうですーw


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