ダーク・ファンタジー小説 ※倉庫ログ

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誰も知らない誰かの物語 
日時: 2010/09/03 22:37
名前: 神無月 (ID: XOYU4uQv)

どもー。はじめましての方ははじめまして。知ってる方はおはようございます&こんにちは&こんばんは。

神無月(かんなづき)と申します。

ここでは、作者が長編の方で行き詰ったとry・・・じゃなくて、何かが思い浮かんだときに書いていくところです。

短編集になっております。
長編が読みたいお方は舌打ちしながら戻ってくれて構いませんよ!!(泣)←

基本、自由気ままに書いていきますので・・・。

まぁ、気長にお付き合い下さい。

では。



— 誰も知らない物語

     されど誰かの物語 —



     開幕



〈お客様〉

アキラ様 故草@。様 阿嘉狐様 白兎様 agu様

月兎様 出雲様 時代様 遮犬様


〈目録〉

第一幕「それはまるで桜のような」>>1 >>2

第二幕「染まる坂道で」>>12

第三幕「善人ぶる悪人と悪人ぶる善人」>>19 >>20


《お題募集》>>35

第四幕「宵待草」>>42 おまけ「最期の涙」>>64(阿嘉狐様)

第五幕「繋がれた愛情」>>53(アキラ様)
第六幕「一般人ぶるあいつと常識人ぶる俺」>>79 >>80(白兎様)

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Re: 誰も知らない誰かの物語  ( No.79 )
日時: 2010/08/31 23:05
名前: 神無月 (ID: XOYU4uQv)


第六幕 「一般人ぶるあいつと常識人ぶる俺」




いつもへらへら笑っているあいつは一般人ぶる暗殺者。そんなあいつを止める俺は常識人ぶる×××。





「おい疾風!!」

「うわっ、バレた!!ごめんなさい〜!!」


目の前で怯えたように頭を抱える疾風の口元が緩んでいるのを俺は見逃さなかった。

わざとらしく震えてみせる疾風の頬を掴むと、俺はそれをぎゅーっとおもいっきり横に引っ張った。


「いだいいだいいだい!!」

「反省の色が見えない」


痛い、と訴える疾風を無視して引っ張り続けてやれば、さすがに堪えたのか泣きながら謝ってきた。
それを見て、俺は頬を引っ張っていた手を放した。


「うぅ〜・・・酷い・・・稜ってば酷い・・・」

「自業自得、という言葉を知らないのか?」


涙目で俺を恨めしそうに見てくる疾風。そんなこいつに思わず呆れたような声を出してしまう。

それから酷いだの鬼だの言ってくる疾風を流し、俺は自分の席についた。


・・・と、そうだった。自己紹介をしろ、と作者に言われていたんだった。・・・面倒だが、一応することにしよう。


俺の名前は、樹神稜(こだま りょう)。

樹神、というのは実は本名ではない。本名はある理由から隠しているのだが、・・・説明するのはまた後で、だそうだ。そのことは、疾風しか知らない。

あぁ、さっきから騒いでいるアホは篠崎疾風(しのざき はやて)。暗殺者のくせに一般人の善人ぶっている奴。


暗殺者だなんて、なんとも非現実的だよな、と思う。正直言って、俺がもし普通の人間だったら信じていなかったと思う。それか、ふざけたことを言う奴だと疾風を嘲笑していたかもしれない。

そう考えると、あまり好きにはなれない家の“家業”も、なんとなくだが好きになれるような気がする。・・・まぁ、あくまでも気がするだけだが。


そんなことをぼーっと考えていた俺に、疾風が声をかけてきた。


「ねーねー、早く帰ろうよー」

「・・・・は?帰る?」


疾風の言葉に思わず間の抜けた声を出してしまった。
そんな俺を楽しそうに見ながら、疾風が頷く。


「うん、帰る」

「・・・まだ3限目なんだけど?」

「えー、だって今日は稜の“大切な日”でしょ?」

「・・・・っ!!」


疾風のその言葉に思わず肩を揺らしてしまった。・・・“大切な日”。そうだ、そうだった。今日は、“あの日”なのだ。


「ねー?だからさ、早く帰んないと♪」

「・・・・あぁ、そうだな」


なんとか絞り出した声は、微かに震えてしまっていた。そんな俺を見て、疾風の顔から一瞬、表情が抜け落ちていただなんて俺は気付きもしなかった。




一軒の、古い日本家屋の前で俺たちは立ち止まった。どこまでも端の見えない塀や、大きすぎる門を見れば、この家がただの一般人の住む家ではないことを容易に窺い知ることが出来た。

まぁ、俺にとっては今更なのだが。隣に立つ疾風も、最初は驚いたらしいが何度も来るうちに慣れたらしく、今ではもう何の反応も示さない。


「さーて、突撃お宅訪問と行きますか!」

「アホ。ここは俺の家だ」

「知ってるよー。もー、ノリが悪いなー」


こいつは俺にどんなノリを求めているんだ、と呆れながら大きすぎる門を開けた。

と、













「「「「「「「「「「お疲れ様です」」」」」」」」」」















俺たちを出迎えたのは、見るからにあっち系の外見をした、いかついおっさんたちだった。


「どーもー。いやぁ、いつもながら凄いねー」


楽しげに言う疾風。そんな疾風に一人の男が声をかけた。


「“風”もいらしてたんですか。お久しぶりですね。元気そうでなによりです」


いかつい外見に似合わず、やわらかな笑みを浮かべたそいつに疾風が嬉しそうな声をあげた。


「おぉ!ケンさん!!お久しぶりでっす!ケンさんも元気そうですねー」


笑いながら言う疾風に再び微笑む男は、ケン。
俺が小さいときから世話になっている、かなりの古株だ。


「若も、お疲れ様です。何事もありませんでしたか?」


若。俺はここでは、そう呼ばれる。


—そう、ここ、つまり俺の家は





極道、なのだ。






緋鶯(ひおう)組。それが俺の家の名。


つまり俺の本名は、緋鶯稜。




緋鶯組17代目若頭、それが、本当の・・・俺。







Re: 誰も知らない誰かの物語  ( No.80 )
日時: 2010/09/01 00:03
名前: 神無月 (ID: XOYU4uQv)



「組長がお待ちです」そうケンに言われ、俺と疾風は蘭菊の間へと足を進めていた。


「蘭菊の間?そんなのあったっけ?」


んー?っと首を傾げている疾風に苦笑する。


「あったよ。ただ、あそこは・・・あそこは、特別だから。俺と親父しか入れなかったんだ」

「へぇ!・・・え、でもいいの?そんなとこに俺が入っちゃって」

「さあ・・・でも親父が『“風”も一緒に』って言ったんならいいんだろ」

「ふーん・・・そっかー。ま、せっかくだし楽しみにしとこー♪」


どこまでもお気楽な疾風に、つられて俺まで笑ってしまう。噴き出した俺を見て、疾風がニッと笑った。

そうこうしているうちに、俺たちは蘭菊の間の前に着いた。障子を軽く叩けば、中から低い声で「どうぞ」と言うのが聞こえた。

失礼します、と声をかけて部屋の中に入る。
俺に続いて疾風も失礼しまーす、と言いながら入って来る。

部屋の奥の上座には、俺たちに背を向けて座っている男の姿があった。


「親父」


声をかけると、その男—俺の父親である、緋鶯信慈(ひおう しんじ)がゆっくりとこちらを振り向いた。


「良く来たな、稜、それに“風”。・・・とりあえず、そこに座れ」


その言葉に従い、近くに腰を下ろす。
目線で何の用だ、と問うとそれを受けた父親が悲しげに目じりを下げた。


「今日が何の日か・・・分かっているな」

「・・・あぁ」

「墓参りに、行ってはくれんか。急用が入ってしまってな。行けんくなってしまったのだ」


そう言って俯いた親父の顔が、あまりにも深い悲しみに溢れていて。


「・・・分かった」


そういうことしか、出来なかった。






ざぁ、と風が吹いて手に持っていた花を揺らした。その拍子に花弁が何枚か散った。その花を、俺はその墓に置いた。


「・・・・もう、3年になるんだねぇ」

「・・・・・・あぁ、そうだな」

「時が経つのは、ずいぶんと早いものだね・・・」

「・・・あぁ」


そう、もう3年にもなるのだ。あの人が・・・俺の母親が死んで、もう、3年。


今でも鮮明に思いだせるのだ。


叩きつけるような雨。飛び散った赤・・・。




倒れていく、母親の身体。




—だから極道なんてものは嫌いなんだ。

仁義を重んじる割には、この世界での命はあまりにも、軽すぎる。



「綺麗な女(ひと)だったよねぇ。稜のお母さん」

「・・・あぁ、そうだな。どこまでも真っすぐで・・・心も、綺麗な女だった・・・・」


大切だったその人が、あんなにもあっけなく命を落としたのは・・・きっと、俺のせい。

守ろうと誓ったのに、守れなかった。
無力で非力だった自分が不甲斐なくて、憎らしくて堪らなかった。


俺が、俺があの時もっと強ければ・・・



「稜のせいじゃ、ないよ?」

「・・・・・え・・・」



まるで俺の心を見透かしたかのような疾風の言葉に、驚き目を見開いた。


「稜が悪いんじゃない」

「・・・っ、違う、あれは俺が・・・っ」



「自惚れんなよ」



「・・・・・・っ!?」


低くなった疾風の声に、思わず息を呑んだ。



「自分のせい?自分が非力だったから倖(ゆき)さんは死んだ?自惚れんのも大概にしろよ」

「っ、自惚れてんじゃな・・・」

「自惚れてんだろ。何、倖さんは・・・お前の母親は、

自分が死んだのを息子のせいにするような人間だった訳?」

「・・・っ!!」

「息子に頼らなきゃ生きてけないような女だったかよ。違ぇだろ?お前が守ろうと思ったのは、お前がそれほどまでに大切にしていた女は、

真っすぐで、芯のしっかりした強い女だったんじゃねえのかよ」



何も、言い返すことが出来なかった。
その通りだったのだ。あの人は、疾風の言うように真っすぐで、芯のしっかりした、誰よりも、誰よりも強い女だったのだ。


だからこれは、俺の自惚れ。


母さんは、俺よりも遙かに強い女だったのだから。




「・・・そうだな、そうだ。・・・悪い、馬鹿なこと言った」

「いや〜?ただ俺はそう思っただけだよん」


いつものようなおちゃらけた口調で言った疾風に、この時は、少し救われた。


「さーて、帰ろっかねー」

「・・・あぁ」

「ほらほら、倖さんにちゃんとお別れしなきゃ」

「ん?あぁ・・」


母さんの墓に向かって、手を合わせる。
目を閉じて、どこまでも綺麗だった母親の笑顔を思い浮かべた。

しばらくして、目を開けると優しげに微笑む疾風がいて。



頬を熱いものが伝ったのは、きっと気のせい。









      *(あとがき)

えーまたまたすみません。もうなんか最近謝ってばかりですね!!(泣←

えーっと、今回のこれは白兎さんから頂いたお題「笑いありだけど最後にゾクッとする奴」で書かせていただきました。


白兎さんすみません。ゾクッと要素が皆無に・・・orz

「善人(略)」のやつとリンクしてる感じにはしたのですが、ゾクッとしない・・・。

もういろいろごめんなさい。
みなさんも駄文を読ませてしまって申し訳ありませんでした(土下座


さあ、次に犠牲になるのは時代さんですが。
・・・時代さんあまりいらっしゃいませんしねー。すみません、でも来た時「お題使うのやめてー!!」と思ったらすぐに私を止めて下さい。


・・・ハイ。以上!!すみませんでしたああ!!


Re: 誰も知らない誰かの物語  ( No.81 )
日時: 2010/09/01 14:44
名前: 白兎 (ID: QCkuis7p)

そんな謝らなくても……!!

確かにゾクッと要素は無かったけど(直球)
これはこれで楽しめましたよ☆

稜くん、極道の生まれなのか……。
二人共隠さなきゃいけない事があるんですねぇ。


……では、今度ゾクッとする奴を……(ぼそっ)

↑でも白兎は(多分)そこまで腹黒じゃないので 今のは聞き逃して構いません;

Re: 誰も知らない誰かの物語  ( No.82 )
日時: 2010/09/01 16:21
名前: 神無月 (ID: XOYU4uQv)


 >>白兎

・・・・(汗
で、ででででですよね!?ゾクッととか皆無ですよね!?い、いやぁ・・・ははは。


すみませんまたゾクッとしそうなの書きます(土下座


ちなみに、今までの話の中で一番ゾクッとしたのを教えていただいても・・?

いや、ゾクッとするようなのがなかったのは知ってるんですが!!(汗

うぅ・・・腹黒い・・・(ぐしゃっ


—それから神無月の姿を見た者はなかった

    完←

Re: 誰も知らない誰かの物語  ( No.83 )
日時: 2010/09/01 17:06
名前: 阿嘉狐 (ID: pzZocD64)

へー!!一般人かと思いきや!でしたね。

先入観は。侮れないwwww

神在月さんと混合小説書いて見たいwww《おきになさらず。


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