ダーク・ファンタジー小説 ※倉庫ログ

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Different Worlds
日時: 2011/03/07 22:42
名前: ケンチン (ID: ZfyRgElQ)

はじめまして、ケンチンと申します。

小説を考えたり投稿するのは初めてなので、いくつかおかしな点が出てくると思いますが、大目にみてください。

アドバイスや改善点などがありましたら、教えてくれるとうれしいです。

それでは、よろしくおねがいします。

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Chapter2:岡本博士 ( No.2 )
日時: 2011/03/10 01:51
名前: ケンチン (ID: dK6sJ/q3)

「あなたを殺しにきたからよ」

彼女は確かにそういった。
だが、俺には意味がわからない。
なぜ俺は市川に殺されなければならないのか、まったく検討つかないからだ。
「俺を殺すって、どういう事だよ」
当然の問いかけに市川は微笑みながら
「どうせ死ぬんだから知らなくてもいいじゃない」
そう言いながらポケットからファイティングナイフを取り出す。
こいつ、本当に俺をやるきかよ・・・
なんでだよ!わけがわからない。俺市川に何かしたか?
必死に過去を振り返ってみるが、心当たりが無い。そもそも市川とあったのは高校に入学したときだし、学校でも喋ったことも無ければかかわったことも無い。
「ちょっとまて!お前に殺されるようなことなんて、なにもしてないだろ!」
それなのに殺されるって理不尽すぎる。
「確かに何もされてないわ。だけど殺さなきゃいけないの。命令だから」
命令?ますますわけがわからない。
「だれの命令?」
「それは言えない」
そういって市川は前傾姿勢をとる。今にも飛び出してきそうだ。
やばい、くる!俺は部屋のドアから廊下に出ようとしたが、

スッ

そのときにはすでに市川は俺のすぐ目の前まで来ていた。
は、はやい!さっきまで少なくとも数メートルは離れていたはず・・
市川は右手に持っているナイフを大きく振りかぶり
「じゃあね、岡本君」
もう無理だ、よけようが無い。
切れ味抜群の軍用ナイフだ。刺さったらめちゃくちゃ痛いだろうな。
ていうか、何でこんなわけのわからない事で死ななきゃいかんのだ。
せめて理由ぐらい教えてくれてもいいだろ。
そんなことを思いながらナイフの痛みに備えていたが、

ブン

その痛みはこなかった。ナイフをはずした?いや違う、俺がナイフを避けたのだ。
市川は驚いたようだが、もっと驚いたのは俺の方だった。
俺はナイフを避けようとした覚えは無い。だが、ナイフとは反対の方向に体を傾けている。
どういうことだ、いったい。
「ふーん。さすが岡本昭雄博士が開発しただけのことはあるわね」
市川が関心したように言う
岡本昭雄?なぜ俺の親父の名前が出て来るんだよ。
その前になぜ名前を知っているんだ。
市川は体制をたて直し
「だけど所詮初期モデル。次ははずさない!」
どうやら次から次へと湧き出てくる疑問に考えている暇は無さそうだ。
さっきは避けられたけど、次はどうかな・・・

「ん?・・」

だが何故かこのとき、俺は市川の次の攻撃が読めていた。
ナイフを上に振り上げ、市川から見て左下にかけて斜めに振り下ろしてくる。
この場合、左に体を向ければ避けられる。
何も考えてもいないのに、突然頭の中にこれがひらめいた。
何を根拠にこんな予想を。自分でもわからない。
だが、とにかくやってみるしかない。
市川は予想通りにナイフを上に振り上げた。

ブン

むなしく空を切る。
次は左下から右上に。

ブン

次はナイフを真ん中に構えて中央に

ブン

俺には市川の攻撃パターンが全て読めていた。
まるで学校の期末試験を答案を見ながらスラスラ書いているような感じだ。
考えているわけでもなく、何故か頭の中に次の予想が出てくる。
市川の余裕だった表情がどんどん変わっていく。

右から俺の顔に向けてナイフを突き出してくる。
上半身を反対側に反らし、突き出した右手の手首をつかむ。
反対の手で右手の甲を強くたたいてナイフを落とす。
首をつかみ右足を相手の左足に引っ掛ける。

頭の中に出てきた行動を実行した結果、俺は市川を張り倒していた。
「クッ!」
身動きのとれない市川は苦渋の表情を浮かべている。
「どういうことよ!報告よりも強い!」
す、すげえ。俺はあの攻撃を全てかわしたのか?
実際にやったのに信じられない。
何故俺は攻撃が読めたのか不思議だが、もっと不思議なことがある。
俺はそれを不思議の発生源に問いただす。
「なぜ俺を殺そうとした。理由は何だ。初期モデルって何のことだよ!」
だが答えようとはしない。
ふざけやがって。マジで殺す気だったんだろ?納得のいく説明がないとな。
さらに問い詰めようとしたが
「和宏、何をやってる。さわがしいぞ」
親父が部屋の中に入ってきた。
そして張り倒された市川を見て親父が目を見開く。
「おまえ、何でここに!?」
「何でって、私はあなたたちを殺しにきたのよ。あなたも私たちが来ることぐらい予想できたでしょ?」
市川と親父は面識があるのか?あなたたちって事は親父も殺すって事なのか?俺は混乱のあまり体の力を緩めてしまう。
その隙に市川が自分を押さえつけていた俺の足と腕を振りほどき、窓辺まで逃げていく。
「情報と違うから分が悪い。今回は見逃してあげる。だけど次は君たちをしっかり葬ってあげるからね」
市川は微笑みながら窓から外へと飛び出し、姿を消した。

「くそ、来るとは思っていたが予想よりもはやいな・・・」
俺の親父である岡本昭雄は市川が逃げていった窓を見つめながらつぶやく
「どういうことだよ。説明してくれ」
どうやら親父は市川が俺を殺そうとした理由を知っていそうだ。
「言いたくはないが、こうなったからにはお前にも説明しなければいけないな・・・」
親父はいったん言うのをためらったが、そのまま口を開いた。

「実はお前は人間じゃないんだ」






Chapter3:パラレルワールド ( No.3 )
日時: 2011/03/19 01:31
名前: ケンチン (ID: Zc6VdX3i)

おいおい、親父大丈夫か?

お前は人間じゃない この発言に俺は驚いたというよりかは呆れてしまった。
だってそうだろ?俺はどう見たって普通の16歳の人間なんだから。
俺の思っていたことを察したらしく、親父は
「信じないのもしかたないか。人間否定されて、そうですかって素直に認めるほうが無理だしな」
そりゃそうだ。人間じゃなかったら逆に何なんだよ。
「いいか、これから言うことは全て本当のことだ。バカらしいと思うかもしれないが、まずは聞いてくれ」
話が長くなるからということで、俺たちは1階のリビングへと移動し、テーブルを挟んでお互い向き合うように座る。
「和宏、パラレルワールドって知ってるか?」
「パラレルワールド?たしかそれって、ある世界から分岐してそれに平行して存在してる別の世界・・・だっけ?」
よくSF映画で使われてるんだよな。そういう設定。
「そうだ。しかし、我々の中でのパラレルワールドは空想にすぎない。まあ実在すると主張する学者も少なからずいるのだが、大半の人間はそんなの信じないだろう。だが、パラレルワールドは存在する。つまり、実際に別世界が存在しているということだ。こちらの世界の人間がそれに気づいていないだけの事。そして、俺とお前はその別世界からこちらへ来たのだ。」
とても信じられないような話だが、親父の表情は真剣で冗談を言っているようには見えない。
だから俺はそれをバカにしたり否定することができなかった。
「ってことは俺はこちらの世界で生まれたわけじゃないって事か?」
「そうだ。そして俺たちが元いた世界はここの世界よりも科学、情報技術が大きく進んでいる。俺はその世界でお前を作り出した。」
「え、作ったって、俺は母さんから生まれたんじゃないのか?」
「いや、違う。俺がお前の全てを作ったんだ」
とんでもないことをさらりという親父。
ちなみに、母さんは俺が幼い事に離婚している。
「俺たちのいた世界ではAI、人工知能の開発が盛んに行われていた。俺はそのAIの研究開発を行っていた。こちらの世界にもAIはあるようだが、比べ物にならないぐらい精度が高い。なぜなら人間の頭脳のメカニズムやアルゴリズムを完全に解析できていたからだ。そしてそのAIは軍事産業に転用された。軍は戦闘用のAIプログラムを作らせるために優秀なプログラマーや科学者をあつめてチームを編成した。その開発チームのリーダーが俺だった。」
親父は表情を変えることなく、淡々と話を続ける。
「そして莫大な金と数年間の開発期間を経てAIコンピュータが完成した。あとは人体を構成している29種類の元素をあつめて肉体を作り、完成したAIコンピュータを搭載して人工人間が作り出された。それがお前だ。」
俺は作り物だって事か?肉体も脳も全て。信じられない。というか、そんなの信じたく無い。
「軍はテストを行った。射撃テストや近接戦闘テスト、突入テストなど、お前は順調にこなしていった。開発は成功だった。誰もがうれしかった。しばらくして軍はお前を実戦投入した。最前線に投入され、数々の任務を成功させたお前は周りの仲間からも信頼されていた。だがある日、問題が起きた。お前が上官を殴り飛ばしたのだ。」

Re: Different Worlds ( No.4 )
日時: 2011/03/10 13:00
名前: N2 (ID: rn3pvd6E)

近未来的な雰囲気がしますね。
和宏が市川さんと戦闘(?)になるシーンは
疾走感があって格好良いと思います!

次回を楽しみに待ってます。

Re: Different Worlds ( No.5 )
日時: 2011/03/10 21:29
名前: ケンチン (ID: pq/kDRnn)

N2さん ありがとうございます。
正直、書いててこれで大丈夫かなーって不安だったので、
そういってもらえると助かりますww

Chapter4:感情 ( No.6 )
日時: 2011/03/19 01:33
名前: ケンチン (ID: Zc6VdX3i)

親父の話からして、どうやら今の現実とは違う世界が存在し、そしてその世界から俺たちがやってきたのだという。
親父が俺を軍の兵器として作り出し、その俺は実際の戦場で活躍した。だが問題が起きたらしい。
「お前が殴ったのは中隊を指揮していた大尉だった。原因はその大尉のいかれたゲームだ。大尉は暇つぶしだといって戦場にいた何にも関係の無い一般市民をあつめて地雷原を走らせ、誰が生き残るかを賭けて遊んでいた。拒否した市民はその場で銃殺された。お前は確かに作り出された人間だが、普通の人間とかわらない。だからその行為を許せなかったんだろう。何度もゲームを繰り返す大尉をお前は殴ったのだ。」
なんてやつだ。今の俺がその場にいたとしても絶対殴ってるな。
「お前は軍法会議にかけられ、そのまま機能を停止させられ隔離された。だが、軍がお前を停止させた理由は大尉を殴ったからじゃない。そのうち感情が邪魔して命令にそむくかもしれない、と恐れたからだ。軍は感情の一部にプロテクトをかけた第2世代のAIコンピュータを急ピッチで作らせた。第2世代は感情面での改良だけではなく、攻撃能力や演算能力も向上している。とはいっても、基本的にはお前のコピーなんだけどな。軍は用済みとなったお前を破棄するよう俺に命令してきた。」
気づけば、親父の表情は怒りに満ちていた。親父は目を閉じながら
「だが俺にはできなかった。俺はお前を作り出し、様々なことを教え、常に共にいた。お前は俺の息子みたいな物だ。お前は周りの期待にこたえてきた。大尉を殴ったことは俺は悪くないと思う。何も間違ったことをしていないのに、命令に従ってきたのに、それなのに廃棄だ。間違ってる。それに俺はもう殺人道具を作るために研究なんてしたくなかった。俺はいままでAIが世界の役に立つために努力してきた。だが軍はそれを許さず、敵を殺すためだけのAIコンピュータを作れ それしか言わなかった。だから俺はお前を連れて逃げようと思ったんだ。そしてその逃げ場所として目をつけたのがこの世界だ。」
つまり、俺は元々処分される身だったってわけか。だけどそれを親父が拒否して一緒に逃げた、と。
「我々はかなり前からこちらの世界の存在に気づいていた。そしてこちらの世界のことをSecondary World、俺たちがもといた世界のことをPriority Worldと名づけた。俺の研究所にはその違う世界を行き来できる装置があった。まだ試作段階だったが、動物実験で成功していたためそれを使ってこちらに逃げてきたってわけだ。」
正直、親父がいままで話してきた内容がまだ信じられない。俺は思っていた疑問をぶつける。
「だけど、俺には幼かったころの記憶がある。小学校に通っていた記憶も。戦場で戦ってたなんて全然記憶にない。」
こういう記憶があるってことは、ずっと昔から俺がここで育ってきたって証拠になる。だが親父は
「その記憶は俺が作り出したものだ。俺はお前とこちらの世界で普通に暮らしていきたかった。だから戦っていたころの記憶を消して、今入っている記憶とすり替えたんだ。」
嘘だろ?小学校、中学校と卒業して、友達と遊んだりして、それが全部偽りだってのか?じゃあ母さんも、母さんと離婚したってのも作られた記憶なのか?俺が生まれたって事にするために。信じられない。というか、信じたくも無い。
「正直、かなりショックかもしれないが、これが真実だ。できればこんな事は話さずにいたかったが、俺たちが狙われてる以上黙っておくわけにはいかない。お前を襲ったやつは恐らく軍の命令で動いている。戦闘用AIの開発は最上級機密事項だ。ましてやそれが他の世界に流れたとなると、軍は何が何でも俺たちを消そうとしにくるだろう。」
市川の言っていた命令ってのはあっちの世界のお偉方からの俺と親父を殺せという命令ってことか。それでその命令を実行するためにこちらの世界に送り込まれたのがあの市川洋子と。だから親父の名前も知っていたんだな。
「だけどあいつ、俺と同じクラスメイトなんだけど。」
「まあ怪しまれずにお前を観察して、俺たちが住んでいる場所やお前の今の状況を調べたり、消す機会を伺うために同じ学校のクラスメイトという設定を利用したんだろう。」
なるほど、そういうことか。あいつは学校生活を送りながら俺たちの情報を集めてたってわけか。
「あの女は軍の特殊部隊養成プログラムに参加してたやつだ。幼いころから人を効率よく殺すだけのことしか教え込まれない。あいつは参加者の中でも成績優秀だったから良く覚えてる。」
それで親父も市川も互いを知っていたのか。
「だけどお前、あいつを張り倒してたみたいだが、どうやってやったんだ?」
「確かあの時、市川の攻撃が全部見えてたんだ。何も考えていないのに突然。そのおかげで助かったんだけど。」
「それはお前の中にあるコンピュータが、相手の立ち位置、体の向き、現在の姿勢などを元に次の攻撃予想を計算して算出したものだ。だから全ての攻撃をかわすことが出来た。」
あの時突然見えたのはコンピュータが自動計算してくれたからか。
「あいつは俺が報告よりも強いって言ってたけど、どういうことなの?」
「お前の中にあるコンピュータはかなり高速だ。1000コア以上からなるCPUを複数積んでいる。だが、コンピュータを動かしているOSがそれだけのリソースを使いこなせていなかった。そこで俺はこちらの世界のコンピュータでOSを改良し、高速化を図った。だからむこうの世界にいたころよりもかなり高性能になっている。OSの更新は無線でできるようになってるからそれほど難しくは無い。」
おいおい、まじかよ。俺って本当に人間じゃないんだな・・・

リビングで親父と別れ、俺は自室のベットの上で寝転がっていた。
俺は作り物で過去の記憶は偽りであり、Priority World、つまりもといた世界から命を狙われていると。
おまけに俺たちは何が何でも消されるって言うじゃねーか。
これからも俺を殺しに誰か来るって事か。
なんて現状だ。最悪じゃねーか。
「はぁー」
いままで一番重たいため息をつく。
正直、まだ全ての話を信じたわけじゃないが、俺だってただ殺されるわけにはいかないからな。
これからどうすっか、検討もつかねえ。
とりあえず疲れたし、寝るか。
だが命を狙われているという現状で当然眠れるわけも無く、そのまま一夜を過ごした。




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