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とおりゃんせ -恨みの童歌-
日時: 2011/03/21 11:16
名前: 京香 (ID: WVvT30No)

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    とおりゃんせの歌声が



    何処からか聞こえてきた
    とても悲しい歌声だ




    だけど次第に大きくなった。
    次第に恐ろしさが伝わり、
    逃げたいが、体が動かない。





    ふと気付けば目の前に
    着物を着た少女がいた。
   




    —— 誰なの?





    〝この恨み、未来永劫許さじ〟









    目の前が真っ暗になった気がした。












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Re: とおりゃんせ -恨みの童歌- ( No.7 )
日時: 2011/03/21 20:15
名前: 京香 (ID: ZMeIuJbG)

   クピクピsama



  怖いと言ってくださるのは
  本当に光栄ですっ!
  頑張りますね♪



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Re: とおりゃんせ -恨みの童歌- ( No.8 )
日時: 2011/03/21 20:19
名前: 銀弧 (ID: frYp9r1F)

どうも!コメントもらいました銀弧です。
私とおりゃんせ大好きなんですよ!
小学校の時もクラブ中に聞いてたから皆に引かれたくらいですww
続きがんばってください!

Re: とおりゃんせ -恨みの童歌- ( No.9 )
日時: 2011/03/21 20:34
名前: 京香 (ID: ZMeIuJbG)

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「沙奈ちゃん、まだまだ寒いねぇ」

「うんっ!」



ある老婆と孫が散歩をしている。
近所では有名で微笑ましい光景だ。



着物を着た女の子は二人を追いかける。




老婆は孫の沙奈と一緒に
神社へと向かった。




沙奈は昔から神社や神話などと、
歴史に関するものが好きだったから
お祖母ちゃんっ子だった。




そんな沙奈に先短い老婆には、
次世代に伝統や歴史を伝える役になると
喜んで沙奈に、色々な事を教えてたのだ。




沙奈もそんな老婆が好きだった。
だからこそ仲良しだった。





「沙奈ちゃん、このお地蔵様はね、こんな言い伝えがあるんだよ」






老婆が沙奈にある地蔵菩薩像を指差し、
何かを伝えようとしたときに、
歌声が聞こえた。







  とおりゃんせ とおりゃんせ

  ここはどこの 細道じゃ

  天神さまの 細道じゃ

  ちっと通して くだしゃんせ

  御用のないもの 通しゃせぬ









「な……何?」







怯える沙奈に老婆はカッと顔色を変えた。
そして沙奈を強く抱き辺りを見回す。







「た……頼むから、この子だけは助けておくれっ!」

「お祖母ちゃん……?」







いつもと様子の違う老婆に戸惑う沙奈が
地面に人影があるのに気付いた。





目の前に着物を着た女の子がいた。
あの不思議な歌声を歌いながら
二人に近づく。
老婆は更に沙奈を強く抱きしめる。









女の子は懐から鋏を取り出した——










と同時に生暖かい液体が
沙奈の頬に飛び付いた。









老婆を見れば老婆は
喉を斬られて死んでいた。













「………お祖母ちゃん?」












ドサッ—。







老婆はその場に倒れ動かない。
女の子は次に沙奈に近づく
沙奈は恐ろしさの余り、
腰を抜かし後ずさりする。
女の子はどんどんと沙奈に近づいた。









「…………来ないで……」










女の子が沙奈の腕をつかもうとした時、












「ぐ………ぐわぁあああああああああああああああああっ!!」















急に女の子は苦しみ始めた。
後ろでなにか光を感じ見てみると、



お地蔵様が光っていたのだ。












「ぐああああああっ!!…………チッ」













女の子は舌打ちしたかと思えば、
その場であっという間に消え去った。





沙奈は呆然と空を見上げるが、
すぐ老婆の元に行く。
老婆は血の海で息絶えていた。
沙奈は急に怖くなり泣き叫び続けた。







その泣き声で近所の人たちが
来て死んだ老婆と返り血を浴びた






沙奈を発見した。











と同時に後ろにひっそりと立つ
お地蔵様の像は頬に







涙の後があったのは
誰も知らない。














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Re: とおりゃんせ -恨みの童歌- ( No.10 )
日時: 2011/03/21 20:37
名前: 京香 (ID: ZMeIuJbG)

   銀狐sama



  来てくれたんですねっ!
  凄く嬉しいです♪


  まさか銀狐さんが来るとは…
  銀狐さんの小説も
  これから頑張ってくださいね!


  応援してますっ!




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Re: とおりゃんせ -恨みの童歌- ( No.11 )
日時: 2011/03/21 21:39
名前: 京香 (ID: ZMeIuJbG)

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あれからあたしは高校生になった。
あの日、殺されたお祖母ちゃんは


たしかにあの女の子に殺された。




だけど大人たちは目の前で殺され
混雑してるのだと信じなかった。
まあ、お地蔵様が光ったなどと言うから
信じる訳ないんだけどね。






だけど——。




何でお祖母ちゃんを殺したのか。




あたしは〝復讐〟を生きがいに
今まで勉強とか頑張ってきた。





全ては〝謎〟に迫るためだ、
全て準備は調ったのだ。






まずお地蔵様にまつわる伝説を調べた。
図書館に行き郷土に関係ある棚で、
探せば、あったっ!






〝生贄に選ばれた女の子〟







という題名だった。






表紙の絵は女の子だった、
裏を見ればお地蔵様の絵だった。






あたしをあの時に守ってくれた
お地蔵様だと確信した。
江戸時代からあると伝えられてるからだ。







「お祖母ちゃん……あたしが仇を討つからね」








理不尽に奪われた命はね、
さ迷う羽目になるのを
あの子は知らない。
いや……



—— 知ってるけど〝復讐〟に捕らわれてる状態だ








何とか成仏させるんだ、






じゃないと…








また犠牲者が出る可能性がある。
もうすぐ犠牲者が出る頃だ、






本を持つ手が震えてるのに気付く
と同時に背後に気配を感じた。









「……さーなっ!」

「きゃあっ!」








誰かと思えばカナだった。
カナは悪戯っぽく微笑んだ。
あたしの好きなカナの笑い方だ。
本を机に置く。



カナは不思議そうに本を見る。







「沙奈ぁ、こんなの見て楽しい?」

「歴史は楽しいじゃん、故郷を知るのも面白いよ」

「えぇ!?…ダサいだけじゃーん」








カナは笑う。







カナは事件にあったことがないから、
そんな事を言えるのだろうけど
あたしは違う。
人とは違う体験したんだ。





だからあたしは戦うつもりなの。








「まあまあ、何でも良いじゃん」

「ふーん、で…合コン行かない?」

「お断り。男子興味なし」









その日は地域のお年寄りに、
伝説や言い伝えを聞く日だからだ。





カナはつまんない等と言いながら、
あたしと一緒に図書館を出た。
途中で会話をしながら、別々の道で別れた。












もうすぐ春になる。









嬉しいことなのに素直に喜べない。
ふとカナの事を思い出す。









二度と会えない気がする。











そんな気が胸中に渦巻いた。
カナと二度と会えない、









お祖母ちゃんの事を思い出した。














「………大丈夫だよね」














あたしは一人暗い道路に、
消えかかった声で
そう、呟いた。

















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