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- とおりゃんせ -恨みの童歌-
- 日時: 2011/03/21 11:16
- 名前: 京香 (ID: WVvT30No)
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とおりゃんせの歌声が
何処からか聞こえてきた
とても悲しい歌声だ
だけど次第に大きくなった。
次第に恐ろしさが伝わり、
逃げたいが、体が動かない。
ふと気付けば目の前に
着物を着た少女がいた。
—— 誰なの?
〝この恨み、未来永劫許さじ〟
目の前が真っ暗になった気がした。
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- Re: とおりゃんせ -恨みの童歌- ( No.1 )
- 日時: 2011/03/21 11:32
- 名前: 京香 (ID: WVvT30No)
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夕焼けに染まる空が
寂しく感じる。
もうすぐ春が来るのに。
心はまだ秋模様のままだった。
目の前に大きな墓がある。
ごく最近に作られたものだ。
年代を感じさせない。
「啓太にまた巡り逢えるよね…?」
確信はなかった。
ただ死んだ恋人に尋ねる。
答えが得られるはずもなく
ただ立ち竦んだまま。
夕焼けは暗くなった。
もうすぐ闇が始まる時だ。
早く家に帰らないと、
親が怒る時間になるのに帰らない。
「何で啓太は死んだの?」
目の前は涙で視界が歪む。
ふと後ろに気配を感じた。
「誰……あなたは?」
後ろに着物を着た女の子がいた。
かんざしも付けている。
(江戸時代とか昭和にいそうな子……)
「みーつけた」
「えっ……」
ザシュッ—!
急に女の子に言われた言葉に戸惑う最中に
何だか聞きなれぬ音がした。
と同時に横腹が鋭く痛み始めた。
何事かと横腹を見ると、
真っ赤に服が染まっている。
「きっ……きゃあああああっ!?」
「とおりゃんせ、とおりゃんせ、ここはどこの細道じゃ…」
女の子は昔に聞くような童歌を歌いながら、
目の前にいる年上の少女の
髪を強い力でわしづかみにする。
恐怖でわめくこともしない少女に
女の子は子供特有の笑みを浮かべて
死ね、と言い放った。
少女は急に怖くなり、わめくが時は遅し。
「天神さまの細道じゃ、ちっと通してくだしゃんせ……」
「いっ…いやああああああああああっ!!」
手に握る鋏で更に少女を斬りつけた。
手の甲を切り髪を切り……
最終的に首を切った——
血飛沫が舞い少女は息絶えた。
女の子はわしづかみした、
髪を手放した。
ドサッ—。
少女は冷たい地面に倒れた、
再び起き上がることは
もう二度とない——。
「恨み、また晴らしたり」
女の子は鋏を懐に仕舞い、
その場を後にした。
と同時に歌声が何処からか聞こえた—。
とおりゃんせ とおりゃんせ
ここはどこの 細道じゃ
天神さまの 細道じゃ
ちっと通して くだしゃんせ
御用のないもの 通しゃせぬ
何処かで聞いたことがある
歌声はそれっきり
途絶えた。
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