ダーク・ファンタジー小説 ※倉庫ログ

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能力者レベルゼロ  Liars' feasts
日時: 2011/05/11 16:27
名前: Neon ◆kaIJiHXrg2 (ID: MlJjY9/z)
参照: http://ncode.syosetu.com/n4023s/

まあ、リメイクと考えていただければ幸いです
ちなみに参照は小説家になろうで執筆している『能力者レベルゼロ killer's End』です
一応は、内容も大きく違います
Liars' feastsは、直訳で 嘘吐きの宴 と言う意味です
相変わらず、一話執筆のスピードが10分と大雑把で、誤字、脱字が酷いです
そして、途中中断した「嘘」の成分もやや強いです

5月の標語
やる気を出しながらやる気なく物事をこなせば疲れにくい

ソロモン72柱の悪魔関係の小説が増えたなーと思った今日この頃


プロローグ
>>1

Chapter Ⅰ ボクの知っていること、当たり前なこと
>>5§>>8§>>18-19§>>24§>>26§>>29

Chapter Ⅱ バケモノは悪魔の翼を裂く
>>30§>>34§>>38-42§>>45§>>48§>>56§>>66§>>71

Chapter Ⅲ 龍のレベルはL、バケモノのレベルはD
>>74§

バケモノのモデル図鑑
>>25 クマムシ モンスター名『ラージタスク』

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Re: 能力者レベルゼロ  Liars' feasts ( No.34 )
日時: 2011/04/08 17:29
名前: Neon ◆kaIJiHXrg2 (ID: MlJjY9/z)

 クラウン達が話し合っている間、その星の反対側で相手も動いていた。 
 人攫い、孤児などを戦わせる、賭けが彼等の収入源。 そして、その賭けは一度に何百億という金が動き、組織に入る。 童子のような平和な収入ではなかった。
 そこで、茶髪の小さな少女が今、自分の出番を待っていた。 巨大なスタジアムに四方を有刺鉄線で囲まれ、それには一瞬触れるだけでも死ぬであろう高圧の電流が流れる中、彼は100人以上の大人の能力者を相手に戦うのだ。 だが、その直前になっても彼女は顔色を変えない。
 そして、クレイクロアと言う童子たちの敵組織にとっても、有能な人材でなおかつ裏切られればその損害は計り知れない戦闘能力を誇っていた。 そして、彼女はまだ15歳の餓鬼……。
 控え室から出てくると、複数の対戦相手が蠢くリングの中に彼女は手ぶらで飛び込んだ。

 「ファファニールが出たぞ!」

 「勝てよ! お前に賭けてるんだからな!」

 それに伴って、観客が一気に沸く。 彼女の戦闘名称はファファニール。 正式な名前ではなく、孤児院がクレイクロアに襲撃された際に生き延びるために大人の能力者だらけのデスマッチに10歳の時から参戦している程の天才だ。 そして更に言えば、彼女はこの世界で能力者とは言われていない、未知の力を扱っている。
 試合開始の合図が鳴る。

 「死ねや!」

 まず、一人目。 この咆哮とともに斧を片手に突っ込んできた考え無しの馬鹿能力者。 彼女の指先が触れるか否かのところで、焼死。
 二人目、その男の陰に隠れていた小男。 能力発動を試みるが、手から発するはずの光線が出ず、代わりに発火し、何故か爆発して爆死。 その爆発に、大部分の能力者が巻き込まれ、スタジアムの中の数は一気に半分以下へと減った。 だが、まだ50人以上居る……。
 三人目からは、全員が警戒して彼女には近づかなくなってしまった。

 「……」

 彼女は無言のまま、適当な相手へ近づくと、その能力者は能力を発動。 相手の攻撃を不発に終わらせるはずのものが、暴発。 手をかざし、発動しようとしたが、手が自然発火し、焼死。 
 それを確認する前に、彼女は更なる獲物を確定し、ゆっくりと歩み寄る。 降参したい所だが、全員が全員、負ければ殺される。 負けイコールここでは死に直結するのだ。 
 そして、その場に残っていた全員はほぼ同時に同じことを思いつく。

 「おい! 能力全開放してコイツを殺すぞ! 多対一でも、この餓鬼を殺せれば俺等の勝ちだ!」

 青年が叫ぶ。 そして、全員が各々の攻撃能力を発動しようとしたその刹那。 能力を発動するや否や、全員が自然発火し、その全てが焼死。
 結局この勝負はファファニール一人の圧倒となった。 そして、いつもどおり控え室に戻ると、檻に戻される。
 生きていられるだけで、今は十分だ。 この力は自分で意識して使うことなど出来ないし、能力の分からないここを仕切る一般人には能力者と錯覚させる程度の能力はある。
 もう少し、もう少し力を蓄えて、この力を扱えれば、ここからは逃げ出せる。 それに、まだ力は全て使い切っていない。 手の内を明かせば、不審に思われる。
 今はまだ、準備期間だ。 ここのボスが居ない時期を見計らって、この場から逃げればいい。 追ってきても、並みの能力者など、どうとでもできる。 早まるな、焦るな、慎重に行動しろ。
 少女は自分に言い聞かせ、檻の中で眠りについた。 

 
 同時刻、童子率いるレジスタンスは、総攻撃を受けていた。 理由は簡単、相手に自分達の居場所を知られたからだ。
 奇襲は内部から。 恐らく、裏切り者が居る! が、目星もついているし、想定内のことだ。 瞬間移送系統の能力者にも対処マニュアルを渡してあるし、覚えさせた。 それに、混乱を避けるためにサタンの下の悪魔をこのビルの中に数名放っている。 それに、レジスタンスの能力者は雇われ兵などに殺されるほど柔ではない一枚岩。 
 死者を一人も出すことなく、確実にこのビルから全員を一気に避難させればいい。 

 「落ち着け! ただの敵襲だ、慌てるな、戦闘訓練を思い出せ!」

 童子がビル内での放送とリンクさせた携帯電話に向かって咆える。 その一言の効果は絶大だ、全員が全員、対処しようと動く。
 だが、そう咆える前に既に全員がそう動いている。 主不在でも確実にここが意思を持って動く。 それだけで、強力な軍隊にも勝る行動能力を生む。
 全ては、計算通り。

 「クラウン、シェリーは俺と来い。 クロアとベルフェゴールは敵の迎撃だ、早くしろ!」

 会議室に居る全員に呼びかける。
 そして、扉を出るとすぐに童子は横の部屋へとクラウンとシェリーを先導し、扉を閉じるとポケットからここに来る間に使ったダイアルのついた鍵を取り出し、

 「お前等はこれで逃げろ、番号はかえずにそのまま戸にさして回すだけでいい。 早く行け、恐らく内部に裏切り者が居る。 確実に、俺の仲間だけの場所だ、そこへ行って事情を説明しろ」

 それだけを言い残し、童子はその部屋を後にした。 クラウンとシェリーは、鍵を鍵穴に差し込み、回した。
 一方で、童子は確信を持ってある人物の前を遮った。

 「童子サン、どうしたんですか? 敵は二個下のフロアまで来てますよ、大方避難は終わって童子サンとベルフェゴールサンとボクだけですよ、逃げましょう!」

 童子の目の前に居るのは、さっきまで会議室に居たクロア。 彼以外に、裏切るのはありえない。 
 演技をしている人間特有の、“不自然”で“不可解”な行動。 そして、性格の矛盾。 更に言えば、まだこのフロアに居ること事態可笑しな事なのだ。
 クロアは、自らを電撃と化して電流と同じ超スピードで移動が可能。 なのに、未だにここに居る時点で行動が遅すぎる上に、ベルフェゴールが魔界へ帰されている。 恐らく、クロアがベルフェゴールを人間界で殺し魔界へと帰したのだ。

 「見え透いた嘘や芝居はしなくていい。 真実を述べろ、クレイクロアボス、クロア。 偶然かと思ったが、やはり必然だったらしいな。 それに、能力名を組織名に使うとは恐れを知らない大した奴だ。 まさか組織の名称にボスの能力名が使われているとは誰も思うまい」

 その言葉に、クロアは面倒くさそうに頭をボリボリと掻き、着ていた白いスーツを着なおすと、骸骨の仮面をつけた。 
 眼帯を外し、その下にあった魔方陣の描かれえた眼球を露にする。

 「なんだ、バレちゃってたのか。 もう少し騙せてるかと思ったのに」

 「フン、俺は新人から疑う節があってな。 それに、あの行動、性格その時発した言葉、表情と全くあっていないだろう。 矛盾を抱えた人間ほど、本来の人格を隠している傾向に……いや、本来の人格を無理に隠している」

 「その通りだよ、黒薙童子。 やはりキミは頭がいい。 うちの部下に欲しいくらいだ。 じゃあ、改めて自己紹介しよう。 ボクはクロア。 最上位機密国家能力兵だよ。 まだ、僕の存在は国の上のほうの人間しか知らない」

Re: 能力者レベルゼロ  Liars' feasts ( No.35 )
日時: 2011/04/08 18:58
名前: 初心者 ◆.6Hqkk7dyk (ID: MModVAVg)
参照: 初めまして、こんにちわ、初心者です。よろしくお願いします。

敵が攻撃してきましたね。両者の激しい戦闘が予想されます。
そして裏切り者はこんなに近くにいましたか・・・単身で敵・・・ってか能力者の集団に紛れ込むのは至難の業です。彼、そして政府の目的はなんなのでしょうね。

Re: 能力者レベルゼロ  Liars' feasts ( No.36 )
日時: 2011/04/08 19:40
名前: 風(元:秋空  ◆jU80AwU6/. (ID: sCAj955N)

お久しぶりです。
クロアには矢張り裏事情がありましたか……組織名に自分の能力の名前を使う…素敵な!!

それにしても心の広い(汗
俺なんて……執筆中にコメントされてるの見ると渋面を造ってしまいますよ(苦笑

Re: 能力者レベルゼロ  Liars' feasts ( No.37 )
日時: 2011/04/09 11:23
名前: Neon ◆kaIJiHXrg2 (ID: MlJjY9/z)

初心者s
ええ、ビル一個吹っ飛ぶ予定です
クロア君は単身で十分強すぎるほど強い上に、童子君の弱点を知っているので更に強いのです
しかも単身でボス自らw
私ってボスをそのまま動かす傾向にあるんですよね

風s
ええ、クロアにはやっぱり裏がありましたぜ^^
組織名は自分の能力名でして、これが結構ややこしい考え方も出来るんです
クレイ=粘土+クロア
故に、クロアの分身として動く会社と言う考えで、クロアがボスとばれても能力がまさかその名前のままだとは思いもしないのです

執筆中のコメントでも、大歓迎ですよ^^
途中中断している私が悪いのでw

Re: 能力者レベルゼロ  Liars' feasts ( No.38 )
日時: 2011/04/09 13:33
名前: Neon ◆kaIJiHXrg2 (ID: MlJjY9/z)

 「一つ、殺す前に聞いておくとしよう。 クロア、貴様は一体何だ? 人間にも、能力者にも見えない。 それに、悪魔憑きと言うわけでもない国家の馬鹿どもは一体何を考えている?」

 「さあ、国家のクズの事情なんか知らないな。 ボクだってついこの間世界を見て回った所だからさ。 ああ、一個面白いことは知ってるよ。 ボクとクラウンは、双子さ。 フラスコの中で作られた、男女一対で誕生するホムンクルス。 それがボクたちだ」

 童子の問いに、クロアは高笑いしながら答える。 明らかに、童子を小物と見ている。 だが、小物がこの組織を仕切れるわけが無いし、小物だったら自ら動くと言うような馬鹿げたマネはしない。
 つまり、童子は強い。

 「ホムンクルスだ? 対で作られる奴は6年しか生きられないと聞いたが?」

 「そんな法則、どうとでもできる。 ボクは君と同じ、全知全能。 キミは知識の民であるノリッジ。 ボクはそのノリッジとは違う、全てを思い出すことで知るホムンクルス。 素晴らしい出会いだとはボクも思うけど、殺しあうために出会うのは嬉しくなかったかな」

 「遺言はそれだけか?」

 一瞬。 童子がクロアの視界から消えたと思うと、後ろから短剣をクロアの喉元に添え、両腕を固めていた。 だが、クロアは顔色一つ変えることすらせず、

 「まだボクの話は途中だよ。 純血のノリッジとの高度な会話は楽しいからね。 で、話の——」

 クロアの話を無視し、童子はその場で首を切り落とす。 だが、その切り落とされた首は不敵な笑みを浮かべ、地面へとぶつかるドスッという音とともに、——消えた?
 いや、元に戻っている! 
 この男、能力者か!

 「ほう、そういえば、貴様は肉体を電気変換するのだったな」

 「いやいや、それ間違い。 黒い生命エネルギーに変換するんだよ。 その形質を変えれば電気にもなるし、炎にもなる。 電機は小さくても威力は大きいし、消費も少ないから多用しているけど、やろうと思えば肉体全てを炎と化す事も出来る」

 その言葉を裏付けるかのように、クロアの体は一気に炎上した。 黒い炎を身にまとったその火達磨は、相変わらず不敵な笑みを浮かべている。

 「ほらね、何でも出来る。 このエネルギーは使い方によっては、生命を作り上げることも可能だ」

 クロアは自らが纏っていた炎を引っ込めると、上着の袖をちぎり、童子へと投げ飛ばした。 するとそれは、空中で白い鳩に変わり、童子目掛けて突っ込む! だが、童子は易々とそれを受け止め、握りつぶした。 眼だけが、サタンの物に変わっている。 大方、憑依10%といった所だろうか。

 「そうか、笑わせる。 いくら何を作ろうが、俺がその全てを壊してやるよ。 いい奴に見えて、俺は悪い奴だからな。 クロア、貴様とは対極の生物だ」

 「そうみたいだね、ボクとしても最近手に入れたバラーの魔眼も試してみたいし、丁度いい実験相手かな」

 なめやがって。 バラーは確かに強力な魔力を持つが、それは使う者の魔力に左右される。 そして、魔力は量と質によってその変換効率も変わる。 
 能力者の魔力変換効率はレベルⅤで50%が良い所だ。 サタンの目の魔力の変換効率は98%とそれを圧倒する。 同時地震の魔力は純度が粗いが、内容量は圧倒的。
 クロアは何を企んでいる?

 「さて、終わらせるよ」

 「戦いは始まったばかりだぞ?」

 凄まじい速さで自らを雷電と化して突っ込んでくるクロアを、童子は真っ向から受け止める! そして、短剣に凍てつくような冷たい青白い炎を灯し、その顔面を切りつける! だが、クロアは不定形生物のようにその肉体を再び雷電へと変換し、その場から霧散した。
 どこへ行った? 霧散できるとは予想外だ!
 クロアを探す童子のすぐ背後。 クロアは再び実体化し、金属製のピアノ線らしき銀色の糸で童子の背を切りつける!
 当たれば、焼ききれる。 さあ、如何する!

 「マジか、見ないなんて……」

 童子はその手の短剣で、クロアのピアノ線をいとも容易く切り裂いてみせた。 そして、そのまま体を後ろへ反らせ、手榴弾にも似たガラス瓶をクロア目掛けて投げつける!

 「テメーは何スパイダーだこの野郎」

 「スパイダー? ボクは蜘蛛じゃないよ、意図を張り巡らせる策士って意味での糸なら合ってない事もないけどさ!」

 それをクロアは素手で弾き飛ばすと童子の首をピアノ線で切り落とす! だが、切断された首を童子は飛んでいく前に押さえ、接着しながらクロアを空いていた左手で殴り飛ばした。 
 風船を殴ったかのように、クロアの体は軽々と吹き飛び、廊下の金属で出来た壁に激突。 吐血するとともに、ニッと笑う。
 その可笑しな笑に、童子は何があったのか一瞬で理解した。
 腕に……爆弾!

 「まずい!」

 取り外そうとするとほぼ同時。 そのブレスレットにも似た爆弾は轟音とともに爆発。 ビルの半分を吹き飛ばし、童子の肉体を細切れにした。 だが、童子は死なない。

 「クソが……」

 このビルは100階建て。 今居るフロアは60階。 上40階全てが、今の爆発で吹き飛ぶってどういうことだよ!
 童子は飛散した自らの肉片と衣服を魔術によって結界に閉じ込め、瞬時に修復するとまだ目に現れたクロアを再び治りきっていない右腕で殴り飛ばす! だが、クロアはまた肉体を電撃変換し、避けると懐にもぐり込むと童子の顎を殴り挙げる! だが、普通の物理攻撃ではダメージが無い。 
 なのに……

 「何故ダメージが……」

 「それはこれの所為じゃないのかな?」

 クロアは自らの両手につけた銀のメリケンサックをチラつかせ、童子に動揺を与える。
 確かに、童子はアンデットで銀の剣や杭が心臓に突き刺さるなどと言う攻撃で死ぬ。 だが、銀のメリケンは予想外。
 ピアノ線は油断させるための布石か……。

 「マジか、まさかのメリケン……。 確かに殺す術がある分お前の方が有利か。 逃げた方がよさそうだ」

 「逃がさないよ」

 その言葉とほぼ同時。 無数の打撃が叩き込まれる! 
 まずい、こいつ、電撃化して確実にダメージを稼ぐつもりだ! 銀のメリケンで殴られるのは、ただの人間がメリケンで殴られるのと同じようにダメージを受ける! 
 考えたな……この野郎!

 「ほら、元気がなくなってきたじゃないか。 嘘吐きには正直者は勝てないんだよ」

 「ほざけ、餓鬼が」


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