ダーク・ファンタジー小説 ※倉庫ログ

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Ebony girls dual Fencer 参照400
日時: 2011/09/09 01:23
名前: だいこん大魔法 (ID: qd1P8yNT)
参照: http://www.kakiko.cc/bbs2/index.cgi?mode=view&no=5640

こんばんは、そして、初めてのお方は始めまして、無名の作者でございます、だいこん大魔法というものです^^;ほかの掲示板では完成させていない作品が何個かあると思いますが(おいw  それはおいといて・・・今回は初めて(シリアス全般のファンタジー)を書くという事で、作風を大きく変えて、一人称物語を変更いたしました。まぁ変えたところで結局駄作には変わりないのですが、温かい目でお見守りいただけると不肖だいこん大魔法、嬉し涙があふれんばかりです^^

というわけで、まず最初に注意書きをおいておきたいと思います^^

1、更新速度がとてつもなく遅いかもしれませんが、そのあたりは作者の気まぐれなので暖かいめで見守っておいてください^^;

2、中傷やわいせつな発言、荒らしなどは作者やお客様にも迷惑になってしまうと思われますので、控えるどころか絶対にしないでいただけるとありがたいです、もしもやりたいおかたは直ぐに戻るのボタンをおしてお帰りください^^

3、コメント、アドバイス(ここをどうしたらよく見えるか)などはいつでもまっておりますので、やっていただけると作者が喜びます^^


とまぁこんな感じになります。

細々とした設定などは、追々と追加させていく所存ですので、よろしくお願いいたします^^

なお、キャラクターたち【企画参加者さまも】を勝手に作者が絵に描いてしまいますがあしからず・・・



タイトルの意味  Ebony girls dual Fencer 【デュアルフェンサー 漆黒の少女】 





     †・・・First story(シャルル・S・リーネ ルート)・・・†


First Chapter Zero・・・【Variant】 >>1

First chapter・・・【Storage】>>2 >>3 >>4

Chapter II・・・【Dual Fencer】>>5 >>9 >>11 >>12 >>13 >>14 >>15 >>21 >>23 >>25 >>26 >>30 >>31 >>32


————————————————————————


      †・・・Character・・・†


Hero  夜峰 黎迩 (やみね れいじ)

Heroine  シャルル・S・リーネ(シャルル・シャドウ・リーネ)【漆黒の少女】>>24

Classmate  幸凪 遥 (こうなぎ はるか)  舟木 力也(ふなき りきや) ・・・Coming Soon

Enemy   【異形】(Variant)

Mad god   【企画進行度零パーセント】

Organization name  【デュアルフェンサー】

Organization   【企画進行度十二パーセント】
第一企画出演者 野宮詩織さま 
(キャラクターネーム【暁寧々】ヒロインの同僚。十六歳にして女。能力は異次元の扉を開くことができ、そこからさまざまなものをだすことができ、いろいろと応用を利かせることができるという。二つ名は【次元の鍵守】)出演開始>>15

第二企画出演者 れおいさま
(キャラクターネーム【由詩】ヒロインの同僚。十七歳にして女。能力は自身の血を固めて刃に変える能力。その形はどこかトンファーにも似ているが、一言で表すのなら魚の胸鰭。二つ名は【深紅の剣士】)出演開始>>26

特別企画参加者募集中(敵キャラ【Mad god】・味方キャラ【Organization】)・・・URL参照


————————————————————————




物語をつかむためのあらすじ↓

これは・・・とある普通の少年が、仮初の空間を通して現実を知る・・・不可解かつ残酷な物語———


いったいなにがどうなってんだよ・・・その言葉は、自身が見慣れていたはずの街をなにかから逃げるかのごとく疾走する少年の口から放たれた。
夕闇に染まっていたはずの街は、また違う、別の色によって染め上げられてしまっていて、さきほどまで騒がしいぐらいにまでいたはずの人々は全員動かなくなってしまい、自分自身だけが動けるという状況に恐怖しながら・・・後ろから迫る、さらなる恐怖から必死に逃げ続けていた。
その少年の後ろからは、ケタケタと不快に笑う———人間の倍以上の体躯をもった、顔の位置にはピエロの仮面、服は道化のような格好をしていて・・・左右に三本ずつぶらさがる腕のさきからはひとつの手に五本ずつの巨大なナイフという・・・ごく普通の生活をおくっていて、ごく普通の人生をおくっていた少年から見たら・・・【化け物】としかいいようがない姿をしたその・・・【異形】が、近づいてきていた。
少年と【異形】の歩幅はぜんぜん違う。そのためか、少年が全力で走っても一向に距離は離れない。それ以前に、少年が少しでも失速してしまったらすぐにでも追いつかれてしまうような、そんな勢いだった・・・まるで、見ている側からだと【逃げる獲物とそれを狩りにかかるハンター】のような光景だった。
やがて少年は時間をむかえる。
全力で、限界を超えるほどの力で走り続けていた少年は、足を攣る。それは、運動をしているものでもかならずなる現象で、少年がそれにさからえるはずもなく———少年は地面に無様に転がった。
それをみた【異形】は———少年のことをあざ笑うかのようにケタケタと笑う。耳障りな声で・・・不快な声で———恐怖を煽るかのような、声で。
少年はそこで絶望する。自分が助かるのがもう絶望てきだとわかったから、少年は顔を青ざめさせて【異形】のほうをにらむ。そしてその瞬間・・・少年の顔に、疑問の色が浮かぶ。



そう・・・少年は見たのだ。【異形】の後ろのビルから———小柄な人影が落ちていくのを———


———なにも知らない、なにも記憶しない、ただの人間であるはずの少年と、【異形】の存在の意味を追うヒロインたちが繰り広げる・・・過去に囚われ続ける哀れな物語———



参照100突破、あらすじ文公開


参照200突破、企画参加者の作中設定の公開(新情報)

第一企画参加者 れおいさま

小説内名前 由詩ゆた
年齢 十七歳
性別 女
小説内設定【自らの血を使い刃とかえて敵を殲滅する【デュアルフェンサー極東支部】のエリート。シャルルとは同僚で、よくともに【異形】を狩るために仲もよい。シャルルが心を許している数少ない人の一人。だが基本的内弁慶というか、仲間内弁慶なため、人見知りが激しい。自身では強くないというが、その実力は【デュアルフェンサー本部】にも認められているほどで、【化け物ぞろいの極東支部】に移されるという経緯をへてシャルルと出会う】

第二企画参加者 野宮詩織さま

小説内名前 暁 寧々(あかつき ねね)
年齢 16
性別 女
小説内設定【異世界の扉を開き、そこから銃弾や弾幕、光の剣などを生み出すことができ、【異形】をも圧倒する力を振るう美女。【デュアルフェンサー極東支部】のエリートでもありシャルルが心を許す友人の一人。基本的に楽観的なのかどうかはわからないが、いつも軽く物事を見ているような言動をする。悪戯好きでちょっと困りものだが、その実力は誰もが認めるものであり、【化け物ぞろいの極東支部】でも一際目立つ存在である】



参照300突破・・・自作絵(シャルルと寧々)>>29


参照400突破・・・企画参加者の名前と代表作(複数ある場合は作者が読んで一番心に残っている作品、小説を書いていない方は作者がその人に抱いている印象)


れおいさま(複雑・ファジーの 不定期更新で短編やら書いてみる)

野宮詩織さま(誰もが知っている小説大会優勝作品、おいでませ、助太刀部!!)

翡翠さま(コメディ・ライトの *。・二人の秘密・。*〜)

ヴィオラさま(シリアス・ダークの Redmoon night)

神様の懺悔さま(合作をやる予定でございます^^合作の話の進め方もうまく、頼れる方でございます^^)

焔錠さま(その物言い、その態度、なにもかもが魔王にふさわしい存在・・・かっけええっす、あこがれるっす←)

生死騎士さま(シリアス・ダークの 極彩色硝子【ステンドグラス】)

Neonさま(シリアス・ダークの 大好きだった君へ無様に生きた私より)

グレイさま(シリアス・ダークの 冥界の主は———)

菫さま(シリアス・ダークの 生徒会の秘密)

甘木さま(シリアス・ダークの 六道サイコパス)

秀元さま(二次小説(紙)の ぬらりひょんの孫〜短編集〜か〜も〜)

スフィアさま(シリアス・ダークの バスターワールド)

丸転さま(コメディ・ライトの 妹の小説にトリップした会社員23才。高校生やってきますっ!)

大王タコさま(・・・すべてが謎につつまれている。自分ではどんな印象をもっているのかもわからない・・・)

No315さま(前の小説でもいろいろとアンケートに答えてくださったりとお世話になったお方です、なんというかその温かい心は画面越しにも伝わってくるのですぜ・・・)

世渡さま(企画に参加してくださった神様の一人、その存在は明らかとなっていない・・・)

篠崎紅架さま(企画に参加してくださった神様の一人、名前からなんか美人さんな雰囲気が・・・)

IANAさま(二次小説(映像)の VOCALOIDで小説!)

風猫さま(シリアス・ダークの パラノイア)

美月さま(・・・うーん、なんていうんだろうか、名前から感じるにロリてきなイメージが・・・うへへww←)

ネズミさま(シリアス・ダークの 戦慄ユートピア かなり前の作品だ・・・)

jyuriさま(コメディ・ライトの バトルとお米と少しの勇気)

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Re: Ebony girls dual Fencer ( No.5 )
日時: 2011/09/03 12:40
名前: だいこん大魔法 (ID: qd1P8yNT)

Chapter II 【Dual Fencer】




「いったい・・・なにがどうなってんだよ」

圧倒的な存在感、今までその圧倒的なまでの存在感をふるっていた、一言で証してしまうことのできるその存在・・・【異形】。それは、今まで運動で若干いいせんいっていて、それなりに喧嘩なれしていたはずの黎迩でさえも萎縮させてしまうほどの強大さで、この【異常】の街を、徘徊していた。そして黎迩を見つけるやいなや、この【異常】、誰も動かなくなってしまった街で、夕闇ではない別のなにかの色で染め上げられたこの街で、あざ笑うかのようにして、追い続けてきた。
そのたびに黎迩は絶望した。どうして俺が———どうして俺ばっかり———と、そんなふうに、絶望し、それでも絶対に追いつかれてたまるかという勢いで、逃げ続けた。
手も足もでるはずがなかった。その【異形】の大きさは黎迩の倍以上もあって、左右に三本ずつ生えるその手のさきからは、ひとつの手に五本ずつのナイフがにぎられていたから———そしてそのナイフの一本一本は・・・黎迩のその身長とおんなじぐらいだったから。
だがしかし・・・その圧倒的なまでの存在はもう、この【異常】の街にはなくなってしまったいた。
そして———もうひとつの【異形】が、そこにはいた。
それは、黎迩の肩あたりまでしか身長のない、小柄な少女の姿をしていた。
流れる金髪は片方で結ばれていて、俗に言うサイドポニーという形に結ばれている。黎迩のほうに歩いてくるその姿は美しくもあり、いますぐにここで枯れてしまうのではないかと思われるほどの儚さがあった。年齢はおよそ十三から十四歳で幼いが、あきらかに日本人ではない紫色の瞳、小さく形のよい鼻梁、そして桜色の小さな唇・・・整いすぎた顔立ちはそれだけでも人の目を奪うのには十分なほどだった。
だけども———黎迩の目をうばったところは、それだけではなかったのだ。
それは少女の服装と持っているものだった。シンプルな形の漆黒のワンピースに、肩にかかり、首もとで結ばれている漆黒のマント、首にかけられている、これっぽっちも加護とかなさそうな禍々しい十字架。小さな手には、手袋のような防具、膝から先まで少女の足を覆う漆黒のレギンス———そして、少女の右手にぶらさげられるようにして持たれる・・・漆黒の剣。
完全な黒で染め上げられたその少女こそが———【異形】なのだ。
そう・・・今まで圧倒的なまでの力を振るっていた【異形】をいとも簡単に引き裂いた———少女の形をした【異形】。それを睨み付けながら、それでも体の振るえがとまらないのか、若干引け越しな姿勢のまま、黎迩が少女のことを睨み付ける。
少女はその黎迩の視線を感じたのか、その美しい顔をゆがめてニヤリと笑う。そして黎迩のほうに歩きながら、こういう。

「へぇ・・・なかなかかっこいいのですね・・・て違う!!ねぇ、あんたはどうしてこんなところで動けるのですか?」

その少女の問いかけに、黎迩は少し戸惑う。どうしてか、といわれてもよくわからなかったのだ。でも、こんなところ、というのはわかる。
それはおそらく、この【異常】とかしてしまったこの街のことを指しているのだろう。だから黎迩は、話が一応通じるであろう少女から目をはなして、この【異常】とかしてしまった街を見回す。そこには何もかもが止まってしまっているかのように、何も動かない、誰もしゃべらない、ただただ固まってしまった、止まってしまった街が・・・黎迩の見慣れている商店街が・・・異様なものになってしまっていた。
それを見て黎迩は、少女のほうにむきなおり、質問に質問を重ねるようにして聞き返す。

「いったい・・・なにがどうなってんだ?これは。どうして俺だけが動ける?そしてさっきの化け物はなんだ?お前は・・・なんなんだ?」

そこには別に、怯えという感情があるわけではなかった。ただ、どうしてこんなことになってしまったんだという、どこまでも続く疑問と後悔が入り混じっているような声だった。それを聞いた少女は、少しだけムッとした表情になると。

「質問しているのは私なのです」

そういわれて少年は、少しだけ眉をひそめる。そういわれても、黎迩はその質問の意味があんまり理解できていなかったからだ。
少女はそんな黎迩のことをみて、一度だけため息をつくと、黎迩のほうに歩きながら

「だから、、この因果の法則を捻じ曲げた空間———【異空間時計】の中でただの背景でしか存在できない人間のはずなのに、どうしてあんたは動けるのかと聞いているのです」

美しい声音、綺麗な声音、かわいらしい声音、そのすべてが交じり合った少女の言葉はどこまでも尊大で、外見てきに年上である黎迩にむかってそんな聞き方をする。だけど黎迩のほうはまったく理解できず、というよりもさらにこんがらがったかのように視線をさまよわせる。

「い・・・【異空間時計】?背景?う・・・うん?どういうことだ?」

「ああもう!!つまり簡単にいうと・・・、人間が絶対に動けるはずのない、記憶するはずのないこの【世界】で、ただの人間であるあんたが動けるのかって私は聞いているのです!!」

黎迩の間じかまでせまった少女は、刀はだした時と同じように十字架に手をあてて消してしまい、何事もなかったかのように腰に手を当てて上半身を若干腰が引けていて、少女とおんなじぐらいの背丈になっている黎迩のことを上目づかいでにらみつける。それに黎迩は———

「やっぱり・・・可愛いな」

「んな!?」

と、つい思ったことを口にしてしまったのである。
その言葉を聞いた少女は突然顔を真っ赤にして、黎迩からす腰だけ距離をとる。そしてあわてているもののやはりどこか尊大な口調だけはくずさずに———

「な・・・ななななにをいっているのですか!?わ・・・わた、わたしがそんな・・・か・・・かわいいわけないのです!!あんたの目は節穴ですか!?」

「いや・・・別に節穴でもなんでもないけど・・・ただ素直に可愛いなって」

「うくっ・・・そ・・・そうやって話をそらそうとしても無駄なのです!!さ、さぁ、私がか・・・可愛いか可愛くないかなんてどうでもいいことですから、さっさといいなさい!!」

「あ・・・ああ、わかったわかった、だからこの手を離してくれないかな?」

今度は突然つかみかかってきた少女をなだめながら、ふと黎迩は思う、さっきのはきっと、幻だったんじゃないかって。
だけど・・・そんなことはない、とすぐに直感する。
さっきまでの悪寒はまだ残っている。この少女に対する恐怖もあるかもしれない。そして、この【異常】とかした街を見れば、けっしてさっきのは幻ではないということが証明される。だから黎迩は、若干怒っているのか恥ずかしがっているのかわからない少女を見て・・・

「まぁ・・・どうしてこの【世界】だっけ?で動けるのかは自分でもわかんないんだけど———」

「じゃぁ、この【世界】に移り変わる瞬間に、なにか覚えた違和感とかってあるのですか?」

「いや・・・とくにはないな。ただちょっとCDショップにいって・・・一枚購入して・・・そのまま店を出たらもうこんな世界になってた」

少女がそこで、少しだけ黎迩を疑うかのような視線になる。そこで黎迩は、この少女にとって、自分という存在はかなりのイレギュラーだったんじゃないか?とか思っちゃったりもして、若干あせりを覚えるが、別段ウソをついているわけでもなくて、少女は黎迩の瞳をゾクリとするような視線で見つめて・・・安心したかのように、ため息をつく。

「【異空間時計】の定義については私もよくわかんないから、こういったイレギュラーもたまには存在するってことですか・・・これは逆に勉強になったと思ったほうがいいのかな?」

そう少女は一人でつぶやくと、再びジッと黎迩のことを見る。黎迩のほうにはもう緊迫とした雰囲気はなくて、というよりも、この少女がさきほどみせた、すごくかわいらしい女の子の態度をみて、別にこの少女にたいして警戒するところなんてない、ただの可愛い女の子じゃないか・・・若干強すぎるところもあるけど、といったふうに再認識したので、むしろ和やかな空気をだしながら

「じゃ、俺から質問なんだけど・・・まず、君はなに?」

自分のほかの疑問なんか差し置いて。まずは少女のことを聞くことにした。
そこには、この商事よがどういった存在なのか、あの化け物を普通に倒すこの商事よは何者なのか、そしてどんな名前なのか、とか、そういった意味が込められていて、少女もそれを悟ったのか・・・黎迩のことを見つめながら

「私の名前は・・・シャルル、シャルル・S・リーネ。とある【異空間時計】を調べている研究組織の一員なのです」

「おーけー・・・シャルル・S・リーネか。じゃぁシャルルって呼ばせてもらうよ」

というよりも、ドレが生うなのかよくわからなかったからいいやすいそれを選択しただけなのである。だけどシャルルのほうは・・・若干顔を伏せて・・・それでも片方の隠れていないほうの耳が真っ赤に染まっていることがわかった。

「い・・・いきなり名前なんて・・・し、失礼なやつなのです」

「ん?なにかいったか?」

「な・・・なんでもないのです!!は、話を戻します。まず何が聞きたいですか?私のことについて」

「そうだな・・・じゃぁまずはその【異空間時計】?だったっけか?それの研究組織?それについて頼む。正直理解できるかなんてわかんないけどね」

「・・・理解できないのなら最初から聞かないでほしいのです。まぁ・・・助けてもらったって言う借りもあるわけですし、じゃぁまず、私の所属する組織・・・【異空間時計研究組織】・・・またの名を———【デュアルフェンサー】の詳細説明を———っとその前に」

「ん?」

「まずはあんたの名前を教えてほしいのです。というより、敵か味方かわからないやつにベラベラとこっちの情報を流すと思ったら大間違いなのです」

「・・・ってそれいまごろ気がつくのか?」

「う・・・うるさい!!早く名前を教えるのです!!」

「あーあー・・・わかったわかった。夜峰だ、夜峰黎迩。よろしくな」

「よ・・・よろしくなのです」

黎迩が差し出したほうの手をおずおずと握り返してくるシャルル。防具に覆われたその掌・・・ぬくもりは感じることはできなかったが、シャルルの手が小さいということが、その防具ごしでもわかった。・・・その小さな手で、さっきの化け物を倒したってどういうことだよ・・・と黎迩は頭の中で少しだけ笑う。

「ム・・・なにがおかしいのですか?」

「いや、なんでもねぇよ」

「むぅ・・・気に食わないやつなのです、だからもうなにも教えてやらないのです!!」

「ってそりゃないだろう!?」

「でも、本当にいま教えるわけにはいかないのです。そして———もしも知りたいのなら、私についてくるのです」

「んぁ?シャルルについていく?なんでだ?」

「仮にもここは【異形】の領域だし、この地区の【時計】を操っている【本体】に行動を監視されている可能性があるからなのです。ですから・・・お前のような【異端者】はほうってはおけないのです」

恥ずかしがっているような表情から、ふいにまじめな表情になるシャルル。なぜか黎迩にたいしての呼び方があんたからお前になっていたけれどそんなことは気にもとめず、当たりをみまわして、少しだけ深刻にムードになっているということに黎迩も気がつく。

「・・・まずいのです、そろそろここから離脱しなければこの【時計】が崩壊する・・・」

「って・・・え?それどういうこと———」

「だから、【世界】は主を失ったということなのです。主を失った館とか城とか家とかの末路はどうなると思いますか!?」

「と・・・取り壊されるか誰かに売られるか・・・だけど」

「つまりです!!この【世界】はこの地区の【時計】をすべる【本体】によって今こわされている最中なのです!!」

「つ・・・つまり、この世界がなくなるとどうなるんだ?この固まっている人たちは?街は?いったいどうなるっていうんだ!?」

「すべての説明はあとです!!ああもう・・・しょうがないのです、お前を【デュアルフェンサー】の支部に連れて行くのです。とりあえずはそこにいれば【異形】による脅威をうけなくてすみますから・・・」

「ってまてよおい!!勝手に決めんなよ!!つまりあれか?そこにいったら俺はもうそこからでられないってことなんじゃないのか!?」

「———その説明もしている暇はないのです!!さぁ、早く私の手をにぎ———」

「妹は!?家族はどうなる!?たのむからそれだけでも———」

黎迩が必死にシャルルにせがむ。それを見たシャルルは・・・黎迩が、すごく家族を大切にしているということがわかったのだ。わかったからこそ———シャルルの瞳には羨望と嫉妬の色が浮かび上がり———でもそれをシャルルは必死に抑えて・・・氷の表情で

「もう、タイムオーバーなのです」

その瞬間に、黎迩の足もとに大きな罅が入る。それはしだいに亀裂をましていき、固まっている人々などを粉々に砕いていき、建物などもすべて崩していく。そう、取り壊しが始まったのだ。それを見た黎迩は、それでも、とシャルルにせがむ。どうしても妹だけは守らなければならないのだ———もう二度と、自分のことで迷惑をかけないって誓ったのだ。剣道を失ったあの日から———ずっと、ずっと誓っていたのだ。だからこそ———黎迩は、シャルルにせがむ。

「たのむよ———シャルル」

それを聞いたシャルルは、無言で十字架を握る。すると、そこから黒い光が生まれ始めて、その光がやがて二人を包み込んでいく。それはどこまでも漆黒な闇で、それでいて、なにか優しいものに包まれているかのようなものを感じる不思議な光だった。
黎迩をそれにつつまれながら、それでも叫ぶ。声になっていないのに、声にならない絶叫をあげて、妹には・・・迷惑をかけたくないんだ、と叫びまくる。
そしてそんな中で・・・あるひとつの声が———黎迩の耳に、届いた。
それは美しくて、儚げで・・・そして、幼い———シャルルの声だった。その声にはどこか、自分を懐かしんでいるようなようにも思えるような、自嘲ぎみの色が、まじっていた。

「———しょうがないのです」

Re: Ebony girls dual Fencer ( No.6 )
日時: 2011/08/15 16:49
名前: 夕凪旋風 ◆PQzQy5g.72 (ID: aOQVtgWR)

初めまして、夕凪と申します。
以後、お見知りおきを<(_ _)>

周りの人たちの動きが止まるって、本当にあったらかなり怖いですよね←
下手すれば、誰もいない場所に居ることよりも。
隣の人が止まる前に叫んでいたら、口ガッパガパに開いたまま止まってるんですから。
お化け屋敷みたいd(ry
それとシャルルのですます口調とかちょっとした動作がすごく可愛いんですがこれは一体どうなんでしょう(殴蹴
それでは、更新頑張って下さいな。

Re: Ebony girls dual Fencer ( No.7 )
日時: 2011/08/15 18:45
名前: だいこん大魔法 (ID: qd1P8yNT)

夕凪旋風さま>>


おお・・・まさしくここに神さまからのありがたいコメントが・・・こちらこそ、以後お見知りおきを・・・^^

そうですねぇ・・・たしかに周りの人の動きが止まっているとなると、そりゃ相当怖いですよね・・・。黎迩の場合はそれどころじゃないからあんまりそこらへんは気にして書いていなかったのですが・・・たしかに、しゃべっている途中で止まっていたりしたら口はあけっぱなし目を見開いている人とかもとまっちゃっているかも知れないし・・・想像しただけで鳥肌が・・・///

シャルル・・・ふふふ、ヒロインが人に好かれるのはなんと気持ちのよいものなのか・・・。そうですね、自分でも一番すきなしゃべり方というものをこの作品のヒロインに導入しようと考えてた結果シャルルが生まれたという裏設定←w

それでは、コメントありがとうございました^^

Re: Ebony girls dual Fencer ( No.8 )
日時: 2011/08/17 02:28
名前: ツつセツつ「ツつアツゑソス& ◆h7Q7be4RW6 (ID: qd1P8yNT)

・・・拝見いたしました、更新がんばってください

Re: Ebony girls dual Fencer ( No.9 )
日時: 2011/08/17 02:31
名前: だいこん大魔法 (ID: qd1P8yNT)

やがて闇は薄れていく。
急に重力がもどって、黎迩は一瞬自分の体がどこにあるのかわからなくなって、そのあたりを転がる。だけど、地面の感触を思い出した瞬間に立ち上がって、開かない目を無理やりこじ開けて、自分のいるその場所をたしかめてみることにした。

「・・・おきたのですか?」

だが、黎迩のそのすぐ目の前に、シャルルの美しく整った顔があったから、それはかなわなかった。それを意識した瞬間、シャルルの甘酸っぱい梔子のいい香りが漂ってきて、一気に黎迩は覚醒する。どうやらシャルルの言葉から察するに黎迩は眠ってしまっていたらしかっ
た。
黎迩はシャルルの肩を押して、冷静に遠ざける。それにシャルルは不思議そうな顔をする。・・・どうにも、こういった面でシャルルは無防備というか無意識でやっているらしかったため、黎迩はなんか自分だけもりあがりそうになっていたことに罪悪感を覚えた。
だが、すぐに黎迩はわれに返る。そう、ここにはシャルルがいるのだ。さっきまで変な世界・・・夢だといってしまえば信じてしまうであろうさっきの現象・・・それが、本当だったということが証明されるというわけで———さらにここは・・・その世界の中でシャルルが言っていた———【デュアルフェンサー】なる組織の中なのでは?と、黎迩の頭に最悪な考えが思い浮かぶ。
黎迩にとって・・・妹、共働きでいつも言えにいない両親なんかよりも、ずっと大切に思っている存在・・・また、妹に迷惑をかけてしまうこと、妹を守れないこと———それに絶望しそうになったところで・・・シャルルが声をかけてくる。

「大丈夫なのです。ここはお前が思っているような場所ではないのですよ」

その声には、どこか羨望と嫉妬のような色が混じっているようにも思えた。だけどそれは一瞬で、黎迩はその言葉にすぐさま反応して、当たりを見回す・・・するとそこに広がっていたのは———自分のよく通っているCD屋があるビルの屋上だった。
普段は解放されていない場所だから、すぐには気がつかなかったが、ビルの下から流れてくる商店街の音楽、そしてほかの建物などを見る限り・・・ここは、商店街の中だった。いつも黎迩が通っている・・・普通の、なんの【異常】もない・・・ただの、商店街だった。

「ほ・・・本当にここは商店街の中なんだな?」

それでも、確認せずにはいられなかったのか、黎迩はシャルルにそうやって聞き返す。もちろん、とシャルルはうなずくが、ここで深刻な表情になって———

「そう・・・なんですけどね、お前、本当に【デュアルフェンサー】にくるつもりはないのですか?」

シャルルの表情には、どこかわかれを惜しんでいるかのようにも見えるし・・・どこか、なにかを失ってしまうのではないか。という色が感じとれたが・・・黎迩は、やっとの思いで解放されて、いままでの話はすべて夢物語として終わらせてしまおうと決断したのだろう、そんなシャルルの悲しそうな表情など無視して———こう言い放つのだ。

「いかないよ。もうお前らみたいな【化け物】と関わり合いになるのはごめんだしな」

その発言は・・・まったくもって、人のことを考えていない、自分勝手なものだった。その言葉が発せられた瞬間に、シャルルの表情がいきなり憤怒の形相になり、顔を真っ赤にして・・・【異形】と戦ったときのように、ありえない速度で黎迩の目の前までせまり、胸倉を思い切り掴みあげたのだ。
そのシャルルの速度に当然ただの人間である黎迩はついていけなかった。なされるがままに黎迩はシャルルに掴みあげられて、足が地面からはなれる感覚を味わう。そこまでいったところで・・・シャルルが瞳いっぱいに涙をためながら———

「おい・・・誰が【化け物】なのですか!?」

そう言い放ち、黎迩をおもいきり壁にむかって投げつける。その力は尋常なものではなく、正気を保っている人間の力とも思えなかった。
黎迩は壁に背中から叩きつけられて、ガフッといったふうに息を無理やり出さされる。その黎迩がぶつかったところの壁には罅が入り、シャルルの力が尋常ではないことはあきらかだった。

「こ・・・こんな力をもっているやつ以外に・・・誰が【化け物】だっていうんだよ」

それでも黎迩は、強気を保っていた。もとより・・・こうしなければ、シャルルは自分のことを【デュアルフェンサー】に誘い続けるだろうと思ったから———こうしなければシャルルは・・・この腐りきった自分を、大切に思ってしまうかもしれないから・・・だからこそ、なにも考えていないようなノリで最悪な言葉を言い放ち、シャルルを傷つけるのだ。なにかを守るにはなにかを傷つけることしかない・・・もう、そんな方法しか信じられない・・・腐りきってしまった自分の脳・・・中学のころに腐らされた脳を・・・心の中で、あざ笑う。

「お前は・・・お前はぁ!!」

黎迩がシャルルをあざ笑うかのようにしていったその言葉に、シャルルは再び黎迩にむかって走り出す。そしてそのまま黎迩の腹に防具につつまれた手を叩きつけようとする。それを見た黎迩は・・・痛いだろうなぁ、とか思いつつ、その拳を、早すぎるその拳を、ただみていることしかできなかった。

(これで・・・シャルルは俺のことを忘れてくれるかな?綺麗さっぱりに)

そう思ったところで拳はかわせない距離まで迫って———腹に当たる寸前に、ピタリ、と止まった。
いつまでもこない衝撃に疑問を覚えた黎迩は、おそるおそるシャルルの顔をのぞきこむようにして見上げてみる。するとそこには・・・またしても、顔を真っ赤にして・・・というか、どちらかというと若干恥ずかしがっているようにも見える染まり方をしたシャルルの顔があった。目もとにはまだ涙がうかんでいるが。やはりどこか恥ずかしそうで・・・

「ど・・・どうした?」

そう、とっさに黎迩は聞いてしまった。
それにシャルルは、うきゅううぅ・・・とかなんか奇妙な唸り声を上げて、拳を下ろしてそのままその場所にへたれこむ。それをみて再び黎迩は心配になってしまい、どうした!?と今度は必死な形相で叫ぶ。
それにシャルルはやはり恥ずかしそうな表情で・・・顔をそむけて、目線だけでこちらを見て・・・

「お・・・お前、さっきのは全部ウソなのか?」

「ギクッ」

その突然発せられた言葉に黎迩は体を硬直させる。・・・ば、ばれてる!?
そう思った黎迩だが・・・この少女が、普通の人間ではない、力をもっているのだとすれば、それもあたりまえか、と思い、あきらめようとするが・・・やはり、妹のこととかがなによりも重要である黎迩にとってそれはできない相談なわけで・・・まさかあんなに怒るとは思っていなかった、シャルルが【化け物】だということを・・・もっと言うしかなかった。
・・・実際問題、一目ぼれというのだろうか、それににたなにかを感じたシャルルのことを傷つけるのは、黎迩にとってもいやなことだし、できるのならばやりたくない。だけども・・・そうしなければ、自分のすべてを守れないから・・・なにかを犠牲にするしか、なかったのだ。

「・・・うそじゃねぇよ。全部本気でいってる」

だけど・・・それがいやだという自分がどこかにいて、かなり白々しい言葉がその口から吐かれてしまった。それを聞いたシャルルは、若干怒ったような顔になったけども、すぐに思案顔になって、いいことを思いついた、といわんばかりに顔を輝かせる。
その顔を見た黎迩は———再び、シャルルのその美しさ・・・というよりも、幼く、無防備に顔を輝かせるシャルルの顔を見て———口を開きそうになってしまうが、自制心でなんとかそれを止めて、シャルルの動きを見守る。
するとシャルルは、どうしてかいきなり背を向けて、歩きだしてしまった。それを黎迩は呆然と眺めて・・・

「お・・・おい!!も・・・もしかして諦めてくれたのか!?」

その言葉にはどこかわかれを悲しんでいるようにも見えて、どこかこれでよかったんだ・・・という諦めの色が眼に見えてしまうのではないかというぐらいに色強く感じ取ることができた。だからこそシャルルは、頬を紅潮させたまま黎迩のほうを振り返って、にこやかに笑いかける。

「しょうがないからお前を【デュアルフェンサー】に(連れて帰るのは)諦めてやるのです。でも、すぐに会えますから、別にこれは別れじゃないのですよ」

そうなにかを企んでいるような口調でいったシャルルは、黎迩が倒れている反対側の屋上の壁を乗り越えて、漆黒のマントを風になびかせながら、華麗にジャンプして、その姿をあっさりと消してしまう。あまりにもいきなりな出来事に、体が、とういうよりも脳がついていけなかった黎迩は、壁を背にしたまま、こうつぶやくのだった・・・。若干口癖になりつつある、その言葉を。

「いったい・・・なにがどうなってんだよ」

天を仰ぐかのようにして口にした言葉には、誰も答えてくれることはなく、虚しく空気に、風にかき消されて・・・夕闇に染まる街へと・・・流されていくのだった。





「ただいまっと・・・」

あの世にも奇妙な体験をしたあと、もう夢物語だったってことでいいやとか考えながら家の玄関を開けた黎迩は、若干気だるげにそんな言葉をはきながら、靴を脱ぎ捨てる。
というよりも、腰の痛み以外はなるでなにもなかったかのように時間が進んで言ったのだ。シャルルは簡単に自分の目の前から消えてしまったし、そのことから若干痛いけどめちゃくちゃかわいかったやつ、という認識しかもう黎迩の頭のなかには残っていないし、それはそれで名残惜しいのだけれども、あの夢・・・の中でいいのか、シャルルの言葉をかりるなら【異空間時計】という世界の中で足を攣ったはずなのに別段それもないし、あの【化け物】が歩いてできたはずの足跡だって商店街にはなかったし、人間もちゃんと動いていたし、夕闇も綺麗だったし、もうあれは夢としか思えないし・・・そう思ってもだいたいつじつまがあわないところがあるのだが、そこは無理やり無視しておけば大丈夫だ、とか思ったりして、本当に黎迩はさっきまでのすべての出来事を夢物語として終わらせようとしていた・・・なのに、だ。

「あ、お兄ちゃんおかえりー!!そんでもってお客さんがリビングにいるからよろしくねー」

二階から大きな声が返ってくる。それにはいはい、と黎迩は適当な返事をして、お客とは誰だろうか、と考える。
親の仕事関係のお客ならば、たいていは兄である黎迩に用事があるわけで、今回もそんな類の客だろうと適当に考えた後、鞄を廊下の適当な場所にほうりなげて、少しばかり乱れた制服を調えてからリビングのドアをあけて———

「・・・帰ってくるのが遅いのです、どこをほっつき歩いていたのですか?」

・・・優雅に黎迩の椅子に座って、裕香にだされたのであろうコーヒーを飲みながら、ジト目を黎迩にむけつつそう言い放つシャルル・S・リーネさまの姿がそこにあったのだった。





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