ダーク・ファンタジー小説 ※倉庫ログ

■漢字にルビが振れるようになりました!使用方法は漢字のよみがなを半角かっこで括るだけ。
 入力例)鳴(な)かぬなら 鳴(な)くまでまとう 不如帰(ホトトギス)

それはきっと愛情じゃない。
日時: 2014/05/10 22:03
名前: 柚々 ◆jfGy6sj5PE (ID: lMBNWpUb)

多くの方ははじめまして。
ごきげんよう、です


「それはきっと愛情じゃない。」は、
が受験勉強の最中にちまちまと描いていくであろう道筋のひん曲がった青春物語です。
テーマは、シリアスというよりはライトよりなのかもしれませんが、もしかするとただの恋愛物語だったりするかもしれません。
だからって複雑・ファジー板に行けって言うような目で見ないでくだ以下略。


・「自分の名前の大切さを知る物語」になる予定。きっとみんな幸せになれる。
・コメントはのメンタルを殺傷しない程度でお願いします。
・読みやすいようにある程度の改行は施してあります。
・ネチケットは守ってね。
・少なからずグロ描写がらあります。苦手な方は気をつけてください。


*


登場人物紹介 >>1(9月29日 編成・更新)

0 冒頭は悪に占拠され >>2 >>3 >>6 >>12 >>13 >>18 >>19 >>20 >>21 >>22 >>23 * >>24
1 そしていつもの月曜日? >>27 >>28 >>29 >>30 >>33 >>34 >>37 >>38 >>39(8月10日 更新)


*

Page:1 2 3 4 5 6 7 8



Re: それはきっと愛情じゃない。 ( No.10 )
日時: 2011/09/22 15:30
名前: 夜兎____ ≠ ◆8x8z91r9YM (ID: 4CT2wXi/)

初めまして。
題名から好みっぽさそうな空気を感じ取って覗き込んだところ、まさにジャストで好みでした。
上でも誰かが言っていましたが、シリアスとライトが混ざっていて読みやすいなあと思いました。序盤からいきなり重い話でうおっ、てなったのですがそれをカバーするように軽い話が続いておおっ、てなりました。
すいません。感想下手ですw

Re: それはきっと愛情じゃない。 ( No.11 )
日時: 2011/09/22 23:41
名前: 柚々 ◆jfGy6sj5PE (ID: SAsWfDzl)

>>朝倉疾風さん
いえいえこちらこそ^ω^)
柚々自身、とても内気なものなので、朝倉さんの小説にコメントするのにも勇気が要りました
今では、朝倉さんの小説にコメントして本当に良かったと思いますb

「眠り姫」「腐った豆腐」は柚々の直感ですかね…
主人公が「腐った豆腐」と、トーマを称した後に「豆腐は元から腐ってるじゃんよ」と、
トーマからの突っ込みを入れるのを忘れてしまい、すごく後悔しております…

男子って誰とでも仲良くつるめるけれど、
「コイツは俺の一番の友達だろーな」って心に決めてる人がいると思うんですよ
主人公とトーマはそんな関係だったらいいですb

会話文は全て、柚々のその時のノリで書かれています←
うらやましいだなんて… 勿体無いお言葉です!


>>夜兎____ ≠さん
こんばんわ。はじめまして…かしら、ほんのりと、どこかでお会いした気がします

柚々にはセンスというものが微塵もないので、
「この小説の〜が好み」などと言ってくださるとすごく嬉しいです。すごくすごく嬉しいです。
読みやすい!? 感動しすぎて体中の水分が弾け飛びそうですヽ(゜∀゜ヽ 三 ノ゜∀゜)ノ

嬉しすぎて涙が出てきそうです。柚々は今世紀最大の歓喜を味わっているようです←


お二方。コメント本当にありがとうございました。
今週中に、小説を更新できるように頑張らせていただきます。

Re: それはきっと愛情じゃない。 ( No.12 )
日時: 2011/09/23 11:04
名前: 柚々 ◆jfGy6sj5PE (ID: SAsWfDzl)

*


 小説の冒頭ってそれなりに大事な部分だと僕は思うんだ。
 最初の一文で、その小説が自分の好みか、別にそうでないかを区別する人は少なくないと思う。ちなみに僕もその一人だったりする。
 だからね、こう、なんて言うかね……。
 冒頭からクラスメイトとケンカして、嫌な空気を周囲に垂れ流してる主人公とか絶対気に入ってもらえないだろうっていうのが僕の考え。

 別に悪気は無かったんだ。
 水野さんとは前年度も一緒のクラスだったけれども、僕って大体人の名前とか呼ばないしなぁ。それに僕の眼中にはももちゃんと佐久さんしかいないし。
 そうそう。ももちゃんの説明が遅れたね。じゃあ今から愛を込めてももちゃんんについて話すよ。耳の穴かっぽじって聞いてね。
 ももちゃんとは、僕の担任の先生である。
 ももちゃんの容姿は、左の耳の下で纏め上げている長い艶やかな黒髪が特徴的。それとは対照的に、雪のように白い肌。熟れたリンゴのように赤い唇。下まつ毛の長い大きな黒い瞳。
 華奢だけれど身長が低いわけではないその体躯。淑やかな声音。
 いつも表情を崩さない彼女がたまに、くすっと噴出す瞬間のギャップだって、たまらないほど美しい。

 僕はももちゃんが好きだ。ライクじゃなくてラブの方で。

 彼女が僕のことをどう思っているのかは定かではないけれど、両思いだったら良い。
 僕が学校に通う理由はただ一つ。ももちゃんこと、百瀬璃央さんに会うため。だから水野さんという人物は僕の記憶にインプットされにくいということだ。
 まぁ、けれど、悪気は一ミクロンもないと言い張ったって「女子を泣かせる男は最低」という僕の座右の銘に従えば、今回頭を下げるべきなのは僕だろう。

 数分前に頼んだてりやきハンバーガーが御盆ごと目の前に置かれる。冷たいドリンクと塩のきいたフライドポテトも合わせられている。
 まずドリンクを手に取り、ストローを口に加えて中のコーラをすする。
 口の中で炭酸の弾ける感覚が妙に久しく思えて、まだコーラの味が残っている口でぽつりと一言。

「炭酸うま」
「だよな。何、伊南はコーラ党なの? 俺はカルピスソーダ。佐久と水野は?」

 僕の一言に食いつくトーマは、向かい合わせて座っている佐久さんと水野さんに話を振る。

「私は炭酸が飲めないから、オレンジジュースなの」
「……いまフライドポテトについてる塩の粒を数えるのに必死だから話しかけてないで」

 佐久さんは心地良いほど丁寧に答えてくれたけれど、水野さんは俯きながら独りでにフライドポテトを齧り続けている。

「ちょ、ちょっとサユ。それは失礼じゃないの」
「何が? どこが? 私、何か悪いことしたっけ」
「何がって……。わ、悪いことはしたでしょ。伊南くんのおでこ、赤いじゃない」
「じゃあ謝ればいいの? はいはい、ゴメンナサイネ」
「伊奈くんをバカにしてるの?」
「べつに…………私、フライドポテト食べ終わったら帰るから」
「あのさ水野さん」

 手に持ったドリンクを机に荒々しく置くと同時に僕は言い放った。
 困り果てている佐久さんを見るのは面白いことではない。水野さんは自分の怒りを、僕ではなく佐久さんにぶつけているだけだ。それはとても許しがたい。佐久さんは僕の敵だけれど、それ以上に大切な友達なのだから。
 水野さんは一度体をびくつかせてから、睨むような目つきで僕を見やった。やっと合わされた視線。そらされる前に僕は切り出す。

「ちょっと外出ようよ」
「……は?」

 何言ってるんだこいつは、というような顔つきをする水野さん。けれど僕は気を揺るがせない。
 まるで地に根を張った木のように動かない水野さんの手首を掴んで、半ば無理矢理彼女を店内から連れ出す。

「ままま待ってよ、伊南……」
「待たない」

 自動ドアに近づくと、その名の通り、ドアは自動に動いて僕と水野さんを迎えてくれた。息が苦しく感じてしまうほどの熱風がバックドラフトを起こす。あれ、バックドラフトって使い方あってるのかな。よし、今度辞書で調べておこう。

 衝動だけで水野さんを強引に連れ出してしまった。さてこれからどうすればいいのだろうか。とりあえず建物の日陰にでも移動して、水野さんの頑固な頭に言葉と言う名の水をかけて柔らかくしなければ、決して話は通じないだろうから。
 有言実行。また強引に水野さんの手を引っ張り、ファーストフード店の隣に位置する文房具店の屋根がかろうじて作り出す日陰に入った。
 そこでやっと水野さんの手首を離す。すると彼女は、僕の手汗の残る部分を、違う手でそっと撫でた。もしかすると、彼女の手首を強く握りすぎたのかもしれない。痛いなら痛いって言ってくれればいいのに。

「ごめん、痛かった?」
「べつに……」
「じゃあ本題に入ります」
「どうぞ」
「ちょっと名前間違えただけで怒らないでよ」
「だって」

 僕の言葉に速攻言い訳を重ねる水野さん。

「だってだって」

 それはまるで小学生の口調。だからと言って笑い飛ばすわけではないけれど、「だって」を繰り返す水野さんは、どこか言葉に行き詰っているとしか思えない。この際、口下手なのかな、という考えは必要ない。なんたって水野さんは僕のクラスのリーダー的存在に位置する女の子だからだ。笑うときは思いっきり笑い、怒るときは思いっきり怒る、そんな感情的な面を持っているからこそ、彼女はクラスのまとめ役として一目置かれているのかもしれない。

 きっと水野さんは僕のことが嫌いなのだ。だからきっと、口上手な彼女でも僕との付き合いをする為にぴったりの言葉が見つからないのだろう。
 綺麗な夕日が僕と水野さんの姿をオレンジ色に染め上げる。背を預けた文房具店の壁に二つの影が落ちる。今も続く水野さんの「だって」という言葉に、ミンミンゼミがコーラスを加え始めた。ふと、前方にある車の通行が多い車道の横に並ぶ桜に一匹のセミが止まっていることに気付く。ここからの距離ではそのセミの種類を確認することはできない。けれど鼓膜を揺らすジージーという鳴き声は、そのセミから発せられているようにしか思えなかった。

 車が道を通る時の音も。
 何を言っているか分からない、僕と同じ格好をした人たちのしゃべり声も。
 落ちていく真っ赤な太陽も。
 全ては今、僕と水野さんの為に用意された脇役のように思える。それは自意識過剰の考えとはまた違う。あえて名づけるすれば、二人だけの孤独感。僕と水野さんだけが世界に追い抜かされて、止まった時間を生きている感触。僕と水野さんとはまるで別の次元に生きているような、そんな感覚。

「だって——私、伊南が好き」


*

Re: それはきっと愛情じゃない。 ( No.13 )
日時: 2011/09/23 13:57
名前: 柚々 ◆jfGy6sj5PE (ID: SAsWfDzl)

*


 一瞬、体が宙に浮いた気がした。けれどそれはただの錯覚で、無意識のうちに目線を正面へと送り、水野さんの横顔を見ていた。彼女の横顔は、今まで僕が視界に移してきたどの女性の顔よりも美しかった。
 なぜそんな風に考えてしまったのか、理由はすぐに分かった——水野さんが泣いているからだ。

「一年生の時からずっと好き。一目惚れなの」

 涙でふやけた水野さんの声音はすっかりミンミンゼミの鳴き声と重なっているが、それが気にならないくらい彼女は大きな声で言っている。叫ばれる涙声は、なぜか僕の心を揺らした。

「でも誠くんは、佐久のことしか眼中にないから……名前覚えていなくて当然だから。でも、そう分かっていても苦しかった」

 水野さんの顔がこちらへ向けられる。大きな瞳に溜まる涙は夕日に照らされて、宝石のように綺麗だ。
 日が傾き変えているこの瞬間の水野さんはまさに絶世美人。ももちゃんにしか揺れないはずの僕の心が、大きくぶれる。鳩尾が一気に燃え上がり、思わず僕は息を呑んだ。
 僕が何も答えないで居ると、水野さんは「やっぱり」と呟いてその場にしゃがみ込む。震えだす華奢な肩は誰かに支えてもらうのをずっと一人で待っているというのに、僕はそうするべき自分の手を胸に当てて、高鳴りを必死で抑えた。

「佐久さんは僕の敵だよ」

 少し、大きな声だったかもしれない。
 しかしこの一言が小さな声であったとしても、水野さんは今のように、こうして肩の震えを止めたのだろう。

「ほんとうに?」
「うん」
「じゃあ伊南は、佐久のこと——」
「どうも思ってないよ」
「……それなら」
「でも他に好きな人がいるんだ」
「……」

 水野さんは押し黙る。けれど、先ほどまで両膝にうずめていた顔を起こして、僕を見た。そして大袈裟に感じるほどのまばたきを一回だけして、眼球を包み込んでいた多くの涙を流す。

「だれよ」
「え?」
「伊南の好きな人って、だれよ」

 「それじゃあ結局フラれたのね」等の言葉が返答されるかと考えていたから、予想が大きく外れたことに驚いて思わず聞き返してしまった。
 けれど水野さんは冷静な涙声で再び同じような言葉を繰り返す。

「教えなさいよ。伊南とソイツがくっつくの、応援してあげる」
「え……」
「いいから教えてよ」
「…………ももちゃん、じゃない——百瀬璃央さん」
「あのう、四月一日はとっくの昔に終わってますが」
「嘘じゃない」
「……」
「本気で言ってるよ。それを笑うなら、僕は水野さんのこと、思いっきり怒るよ」

 腐れ縁のトーマにでさえ話したことがない情報がある。それは、これが初恋だと言うことだ。
 僕の初恋の相手は中学二年生の担任の教師、百瀬璃央。つまり僕は現在進行形で初恋を楽しんでいる。初恋は大切にしないといけない気がするのだ。

 百瀬璃央を見ると急にみぞおちが熱くなって、呼吸するのがしんどくなる。
 目を合わせようとするけれど、目が合った瞬間にそらしてしまう。これが恋ってやつだろ。
 僕が恋をするということは、僕が人間的に成長したことと同様。異性をそのような対象として見れるようになったからだ。
 一番最初に語ったと思うが、僕には名前がない。名前がないという事実は心に大きな穴を開けていた。生まれつき持ったその大きな穴は、年を重ねるごとに、そうしてたくさんの人と触れ合うごとに塞がって行くのだ。確信は持てないがきっとそうだ。僕の生きる理由は、あらかじめ欠けている心を一つにする為だと言っても過言ではないように感じる。
 だから。
 いくら女子でも、僕の生きる意味を笑う奴は許せないということ。
 僕はとある誰かとケンカをすると、立場がどうであれ必ず相手をグーで殴るタイプの人間なのだ。

Re: それはきっと愛情じゃない。 ( No.14 )
日時: 2011/09/24 20:17
名前: 朝倉疾風 (ID: mGOQ1xar)
参照: http://ameblo.jp/ix3x-luv/



先生が恋のお相手ですか……。
朝倉も塾の先生を好きになった
ことがあったな、と懐かしい気持ち
になりました。

ポテトの塩の粒を数えるなんて
またとんでもなく途方に暮れる
ような作業を……。

突然の告白でしたが、やんわり?と
断りましたね。


Page:1 2 3 4 5 6 7 8



この掲示板は過去ログ化されています。