ダーク・ファンタジー小説 ※倉庫ログ
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- それはきっと愛情じゃない。
- 日時: 2014/05/10 22:03
- 名前: 柚々 ◆jfGy6sj5PE (ID: lMBNWpUb)
多くの方ははじめまして。
ごきげんよう、です
「それはきっと愛情じゃない。」は、
が受験勉強の最中にちまちまと描いていくであろう道筋のひん曲がった青春物語です。
テーマは、シリアスというよりはライトよりなのかもしれませんが、もしかするとただの恋愛物語だったりするかもしれません。
だからって複雑・ファジー板に行けって言うような目で見ないでくだ以下略。
・「自分の名前の大切さを知る物語」になる予定。きっとみんな幸せになれる。
・コメントはのメンタルを殺傷しない程度でお願いします。
・読みやすいようにある程度の改行は施してあります。
・ネチケットは守ってね。
・少なからずグロ描写がらあります。苦手な方は気をつけてください。
*
登場人物紹介 >>1(9月29日 編成・更新)
0 冒頭は悪に占拠され >>2 >>3 >>6 >>12 >>13 >>18 >>19 >>20 >>21 >>22 >>23 * >>24
1 そしていつもの月曜日? >>27 >>28 >>29 >>30 >>33 >>34 >>37 >>38 >>39(8月10日 更新)
*
- Re: それはきっと愛情じゃない。 ( No.1 )
- 日時: 2011/09/29 17:07
- 名前: 柚々 ◆jfGy6sj5PE (ID: SAsWfDzl)
*登場人物紹介
・伊南 誠 ((いな まこと))
一人称…僕
酒と女性の涙に弱い男子中学生。
・佐久 間琴 ((さく まこと))
通称…佐久さん
自分の名前にコンプレックスを持った女子中学生。
・藤間 駿 ((とうま しゅん))
通称…トーマ
発言の三分の二は正しい事だったりする酒に強い男子中学生。
・水野 早湯 ((みずの さゆ))
通称…水野さん
■■くん(本編参照)にフラれてから、髪型をベリーショートにした女子中学生。
・桃瀬 璃央 ((ももせ りお))
通称…ももちゃん
この世の人とは思えないほどの絶世美人である桐浜中学校二年B組担任。
・伊南 正義 ((いな まさよし))
通称…伊南さん
伊南誠のお父さん(仮)。息子(仮)との距離は長くなる一方である。
・鬼頭 アズサ((きとう あずさ))
通称…会長
成績優秀、運動音痴、凄まじいほどの女顔の桐浜中学校の生徒会長。
- Re: それはきっと愛情じゃない。 ( No.2 )
- 日時: 2011/09/17 17:38
- 名前: 柚々 ◆jfGy6sj5PE (ID: SAsWfDzl)
* 0 冒頭は悪に占拠され
僕は生まれてすぐに駅のコインロッカーに捨てられた。だから僕には名前なんてない。
なぜに両親は僕を捨てたのか理解できない。
もしかしたら僕に生まれてほしくなかったのかも。それか、生んだ後に僕の存在が邪魔だと言うことに気づいたのかもしれない。しかし結局のところ、どのような思考回路を使ってでも僕は邪魔な存在だという結論にしか行き着かない。邪魔ならばそれでいいけれど、どうせなら僕を生んだ瞬間に殺してくれれば良かったのだ。そうすれば僕はこんな感情を抱かずに済んだ。そして再び違う母体で産み落とされ、幸せな家庭で暮らしていけたのに。
僕は生まれてすぐに駅のコインロッカーに捨てられたが、すぐに発見された。
だからいま僕は、僕を見つけてくれた人の息子として暮らしている。
その人はコインロッカーから自分の荷物を取り出そうとして、すぐ隣のロッカーに僕が入っているのを見つけた。しかし警察等に連絡することなく僕を自分の息子として引き取ってくれたのだ。
その人の名前は伊南さん。
伊南正義さん。
僕は伊南さんのことを父親ではなく、命の恩人として見ている。だから伊南さんのことをお父さんと呼んだことはない。そりゃあ、小さいころはパパと言って慕っていたかもしれないけれど、小さいころの話だから今とは関係ない。
正直疲れるのだ。『仮のお父さん』っていうその響きが。
血の繋がっていない人と一つ屋根の下で暮らしている感想は、めんどくさい。これだけだ。
伊南さんは本当に僕のことを大切にしてくれるが、僕にとってはそれが迷惑なのだ。僕も気を使うハメになるし。だから逆に、いつになっても僕は伊南さんのことを『お父さん』って呼べないのだ。あ、今のなし。却下。僕のキャラじゃない。
僕の人生には父の日も母の日もない。
当然伊南さんには奥さんがいるのだが、僕をコインロッカーで拾った日に交通事故で他界しているらしい。だから伊南さんは僕という新しい命を手に入れたために、奥さんという愛すべき命を失った。それを知ったのは小学二年生のときだったかな。だからきっと伊南さんは僕を恨んでいるのだろう。伊南さんも僕が邪魔なのだろう。だから小学二年生のときから、『自分の家』のことを『自分の家』と言うことができなくなった。いつでも僕は『伊南さんの家』に住まわせてもらっているのだ。
小学二年生で家に居づらいとかありえないだろ? ありえるんだよ、これが。可哀想だって、指差して笑ってくれ。
伊南誠。
というのが僕の名前だ。伊南さんがつけてくれた名前だ。大切な名前だ。
まこと。
という三文字が空気を伝って耳に届くと、ああ僕は生きていていいんだな、と安心する。僕の名前は僕にとって大切な処方箋。
苦しいことや悲しいことがあったりすると、誰かに名前を呼んでもらいたくなるのはそのせいだろう。
名前は僕の存在意義だから仕方ないことだけれど、名前を呼んでもらうだけで安心するなんて、よくできた人間だと思う。手ごろで、手軽で、単純なやつだと思う。
けれど僕がどれだけ自嘲したところで、誠という名前が大切なものであることはぶれない。
僕にはどうやら無意識に自嘲を始めてしまう癖があるようだ。
でも大丈夫。
「まーこーとっ」
- Re: それはきっと愛情じゃない。 ( No.3 )
- 日時: 2011/09/18 01:07
- 名前: 柚々 ◆jfGy6sj5PE (ID: SAsWfDzl)
桐浜中学校の金曜日の五時限目には理科の授業がある。気だるい。だから授業の後半になると意識が飛ぶ。夏だから仕方ない。
教室の天井に四つ取り付けられた扇風機が一生懸命首を振ってくれているけれど、僕の席はどうやら死角のようで一切風が来ない。つまり僕の意識が飛ぶのは熱中症のせいだ。
けれど名前を呼ばれることによって、僕の意識はなんかすごい暗い所からようやく返ってこれた。感謝感謝。そうして、鉛のように重いまぶたを開けるのと同時に、机に突っ伏していた頭も上げた。
「あ、ごめん伊南くん。伊南くんじゃなくて、佐久の方の『まこと』なんだ……」
「ふーん。別に気にしてないからダイジョブ」
HPゲージは満タンでーす。
ということで、
僕には天敵がいる。天敵は僕のクラスメイトの中にいる。そいつは僕の隣の席に居る。
天敵の名前は、佐久間琴。
さくまこと。
さくま、こと。いや違う。さく、まこと。
佐久が名字で、間琴が名前。かっわいそーな名前してやんの。って言うのはただの強がりで、実はさっきのパターンすごい傷つく。
HPゲージが赤色で点滅しまくってます。ぴこーんぴこーん。
「ごめんね伊南くん」
僕の隣で小さな頭を下げる佐久さん。
佐久さんほど憎めない女子はいない。だから僕もすぐに頷く。正確には、頷かせられる。
「ダイジョブだって。仕方ないじゃん、名前おんなじなんだし」
「でも、さ……。伊南くんもいちいち面倒だよね?」
「ちっちぇこと気にすんなよ。こんなの日常茶飯事じゃねーか。佐久さんは人が良すぎるんだよ」
「そんなことないよ」
「誤らなきゃいけないのはこっちだよ。僕みたいなやつとおんなじ名前だなんて、かわいそーだ」
「いやいやいやいや、そんなこと——」
「まーこーとっ!」
僕と佐久さんの会話を裂く、えーと……ああ思い出した、中部さん。中部——中部ユナさん。中部湯女さん。違うっけ。
まぁいいんじゃねーの。だって僕、中部さんと接点ないし。
「あ、ごめんね伊南くん。私達もう帰るね」
「何言ってるの佐久さん。ついさっき五時限目終了したんでしょ? ってことは休み時間じゃん。すぐに六限始まるよ?」
「えっ……」
「ちょ、ちょっと伊南。教室見渡してから、時計見てみ」
戸惑う佐久さんに、僕を哀れむように見る中部さん。
僕は中部さんに言われた通り、ぐるりと教室を見渡す。
どうやら教室にいるのは僕と佐久さんと中部さんだけみたいだ。六時限目は移動教室だったっけか。次に、黒板の真上にかけてある時計を見る——えっと、ただいまの時刻、六時三十七分。
本来六時三十七分は、七時限目も終了して、とっくの昔に放課後になっている時間帯だ。
と言うことは、
「この時計壊れてるの?」
「壊れてるのは伊南の頭だなー」
「冗談はやめてよ中部さん」
「……」
「……」
なぜかその場の空気が一瞬で凍りつく。
口をぽかんとあけたまま突っ立っている佐久さんと、眉を寄せて唇を噛み締めている中部さんが目の前に居る訳なのだが、どうも状況が掴めない。
また無意識に変なことを言ってしまったのかもしれないし、もしかしたら二人を傷つけてしまったのかもしれない。と悩んでいると、中部さんの瞳が妙にきらきらと光っていることに気付いた。
まさか。
ま。さ。か。
中部さん泣いてるの? いや、僕が泣かせたのか?
「え、ちょ、中部さん?」
「中部って誰のことだこのアホタレー!」
唐突に顔面に何かが飛んできた。
「いてっ……!」
別に痛くはなかったが、びっくりして思わず反射して顔を歪めた。
「あ、ごめ……」
中部さんがそうやって何かを言いかけたが、途中で途切れたその言葉は再び繋がれることはなかった。
驚きに目を瞑っている最中、中部さんが教室から走り去っていくようなそんな急ぎの足音が聞こえる。続いて「あ、待ってよ、サユ……」という佐久さんの声が聞こえた。そして同様に、教室から走り去る足音。
二人の足音が遠くへ消えてから、僕はようやく目を開ける。痛む鼻の天辺を指で摩りながら、自分の足元に落ちている猫のストラップを手にする。きっとこの猫は先ほど中部さんが僕に投げつけた代物だろう。
あ、いや、違う。中部さんじゃないんだっけ。
そういえば佐久さん、サユって呼んでたっけ。中部サユさん……? いや違う、中部さんと呼んだから怒られたんだし、中部さんっていうのが違うんだ。
そしてなんとなく時計を見る。
時刻は六時四十二分。
席を立って窓側に移動し、開け放たれた窓の枠に腰を下ろす。そこから見える運動場には、一生懸命サッカーに勤しんでいる人たち。いや、サッカーだけではない。野球も、陸上も、ソフトボールも……弓道場にもなにやら人がいるようで。
「あ。僕って五時限目から今までずっと寝てたのか」
やっと真実に辿り着く。
まったく、誰も起こしてくれなかったのか。心の狭いクラスメイトだな。
*
- Re: それはきっと愛情じゃない。 ( No.4 )
- 日時: 2011/09/18 21:55
- 名前: 朝倉疾風 (ID: mGOQ1xar)
- 参照: http://ameblo.jp/ix3x-luv/
私の小説にコメをしていただき、
大変ありがとうございます。
感激でございます。
朝倉の感想は少し長く、グダグダ
していますが、よろしくお願いします。
タイトルがまず気になりました。
それはきっと愛情じゃない。
これを見て、人の心理をついた小説
なのかと、少しワクワクしています。
そういうの、大好き。
人の心理とかは難しいので、あまり
描けないのだけれど、そういうのを
テーマにしてらっしゃるのではないか、と。
衝撃を受けたのは、主人公である誠が
コインロッカーベイビーだと、最初に
バンッと出ているところ。
余計な描写は省いて、そこだけ書いていたので、
すごく強調されて、心に残りました。
少し不思議というか、変わった性格なのかと
思われます。 誠くん。
こういう男の子、大好きです。 じゅるり。
……ああ、すごく長い感想だし、ものすごく
評論家みたいになってますよね……。
申し訳ありません。
そんな大したタマじゃないのに。
また、来させていただきます。
それでは。
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