ダーク・ファンタジー小説 ※倉庫ログ
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- 消失病 Disappearance【人気投票】
- 日時: 2011/11/11 22:02
- 名前: Neon ◆kaIJiHXrg2 (ID: TtH9.zpr)
- 参照: http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%8D%E3%82%AA%E3%83%B3
URL……自己紹介((
改めて考えると、親子が出てくる話ははじめて書きます
コーヒーやミルクティーが手放せない今日この頃
カフェインに激しく依存している……
暮来月 夜道に改名しました
12月の夜道はネオンの明かりだらけということで
リア充のお祭りは好きではありませんが(苦笑)
読みは、くらづき よみち・やどう どちらでも
判別はトリップでお願いします
毎度の事ですが、引くほどグロテスクな表現が多いです
11/11:しばらく、更新を停止して読む側に回りたいと思います
>>32 人気投票用紙
序章
〆>>1〆
第一章『不死鳥の雛』
〆>>4§>>6§>>8-10§>>14-22〆
第二章『嘘吐きな道化の肖像』
〆>>24-31〆
- Re: 消失病 Disappearance ( No.23 )
- 日時: 2011/10/29 19:48
- 名前: 暮来月 夜道 ◆kaIJiHXrg2 (ID: I69Bg0jY)
- 参照: http://3678.mitemin.net/i33655/
クロア・ディナイアル=ディアボロス
を、書いてみた
何だろう、一応右手の靄は仕様だけれど
霧散することを知らなければ消し孫時を諦めたようにしか見えないと言う……orz
もう少し、練習しないと……
- Re: 消失病 Disappearance ( No.24 )
- 日時: 2011/10/29 20:44
- 名前: 暮来月 夜道 ◆kaIJiHXrg2 (ID: I69Bg0jY)
もう、始まった。 彼女の仕掛けた茶番劇。
ボクにできるのは、歯車に徹する事だけ。 誰かがゼンマイを巻かなければ、ボクは回ることもない。
カラクリ仕掛けの怪物を、動かすのが彼女なのだ。
不思議の国に迷い込んだが如く、運命に翻弄される運命を背負うはずだった彼女。 アリスによって。
ゼンマイを巻くのが彼女であれば、ボクはゼンマイを巻かれるがままに、怪物として。 彼女の人形として暴れまわる運命。
どう転ぼうとも、ボクの意思が関与することはない。 先代不死鳥、アリソンの仕組んだがままだ。
シグマの封印が解けたのも、アリスの年齢が15に近づいた所為だろう。
不死鳥としての運命を、娘に託すつもりか?
面白くないな、そんな事。 君は、その程度の化け物だったっけ?
己に全てを背負い込む、後先考えない怪物と思っていたのは、ボクの勘違いか?
そんなわけ、無いだろう?
「取り敢えず、この騒ぎを収拾する方が先だよ。 どう収拾すればいいと思う?」
「シグマを殺せばいい」
クロアの問いに、ファウストが不機嫌に返す。
だが、クロアは首を横に振る。
「いや、殺してはいけないよ。 アリスが、先代の運命を受け継ぐからね」
「いや、殺せ」
「君はアリスに、永遠を生きろと言っているのかい?」
クロアが、ここで初めてその顔から笑顔を消し去った。
真剣な表情で、ファウストを睨み付ける。 恐らく、クロアが真剣な顔をすることなど今までなかったのだろう。
ファウストは呆気に獲られたような表情で、クロアを見るが、一秒と経たない内に口を開いた。
「ああ、そうだ。 不死鳥としての定めを全うする事が、あいつの運命だ」
「ふざけるなよ?」
真剣だった表情を一瞬で拭い去ると、クロアは再び笑顔を向ける。
「ボクは、キミタチに比べれば大して生きていないけど……ずいぶん、無意味に生きるのは辛かったんだよね。 それを、彼女に押し付けるつもりか。 良いだろう、ボクがそれを阻止するよ? アリスがシグマを殺すよう、不死鳥の使命を全うさせようとするのであれば……容赦はしない。 ファウストくん、いくらキミタチであろうと、ボクは平気で殺せるんだ」
クロアは右手を霧散させ、周囲にその霧を振りまいた。
それに、フィオが煙たそうな視線を向ける。
「おっと、悪いね。 ま、運命の継承をさせるか否かはキミタチで決めてよ。 継承させるつもりなら、ボクが“不死鳥”を殺すよ」
クロアはそれだけを言い残すと、二人の前を後にした。
- Re: 消失病 Disappearance ( No.25 )
- 日時: 2011/10/30 20:43
- 名前: 暮来月 夜道 ◆kaIJiHXrg2 (ID: I69Bg0jY)
非常に不快だ。
まさか、あのクロアが裏切るとは……。 【道化】として出張ってきた辺り、完全に俺を敵と見なしたらしい。
まだ、奴の力は完全に出し切らせては居ないが、恐らくアレはハッタリだったのだろう。 奴の魔力の要領を考えれば、消失病を発症することなど、まずありえない。
奴の部下だったジェームズに関しては、恐らく隠居しているのだろう。 あの騒ぎの後、全くといって良いほど消息を掴めなくなってしまった辺り、それで間違いないだろう。
奴を探し、勧誘するか? いや、奴はクロアの犬だ。 俺に付く事などありえない。 紅葉は自殺したはずだ。
生き返らせたとしても、身体能力の強化が能力の疾患型。 能力を封じられればただの人間だ。
時を戻しての蘇生は、身体への負担が大きい。 恐らくは、雛を捕らえるまでに再生可能は二人がいいところだ。
どうすればいい? 人間では力不足。
かといって、悪魔と取引する気にもならない。
シグマは考えるのを止めると、丘の上から。 アリスが居るであろう船の甲板を見下ろした。
「中々、上手く回らないものだな……」
知恵戦争と同じだ。 相手が未だ、一枚上手。
自分の能力が如何に強化されようと、敵のトリッキーな戦術の前に豆鉄砲を食らうのだ。
今回は、そうなってはいけない。 何としても、あの雛は必要だ。
シグマは小さくため息をつくと、近くに止めてあったバイクにまたがり、エンジンをかける。
「三日後に、また強襲をかけるか」
それだけ言い残すと、道なりに町へと向かう。
* * *
「右肩、痛みはもうないだろ?」
なんだかんだ。 アリスは骸骨と打ち解けていた。
どういう経路でそうなったのか、それはアリスにも今一分かっていない。
危害がないイコール味方という考えで、恐る恐るアリスの発した言葉が、今の現状を作り上げていた。
どうも“彼”は、生前は民間人Aなどといった人間だったらしいのだが、この船の船長の目に付き、死んでから船医としてスカウトされたのだという。
どういうわけか、彼は医学の心得があり、単純に医術に長けた村医者で。 特に名を知られること無く戦死したとか何とか。
死ぬ間際までの記憶があいまいで、どんな人生を送ってきたか、今一覚えていないとか。
「うん、凄いね……この薬」
アリスは青緑色のスライム状の液体で満たされた薬ビンを片手に、笑っている。
それを喜んでか、彼はアリスに小さな薬ビンにそれを移し変えると、アリスに手渡した。
「それは俺の最高傑作だ。 少しもって行くといい、シグマがまたいつ襲ってこないか分からないからな」
「今後三日は襲ってこないよ。 ただ、その間は軍の攻撃を喰らいそうだけどね」
彼の言葉に、いつの間にかそこにいたクロアが割ってはいる。
戸口にもたれ掛かり、さっきまで【道化】の着ていたのと全く同じ。 左肩に歯車の柄が付いた服を着て。
つまり……【道化】がクロアさん? 確かに、雰囲気は同じだったけど、どうして?
「シグマは、どうしたの?」
アリスが思わず立ち上がった。
それもそのはず、川岸でシグマが来たとき。 クロアはその場所に“封印”されていると言っていた。
つまり、ここに居るという事はその封印とやらが解けたことになる。
「ん? 殺さず、追い返したよ。 今後三日は、消失病の情報を仕入れた各国の政府が君を狙ってウジャウジャ来ると思うよ。 さっき、君の写真と正体がボクの会社にも流れてきていたらしくてね。 9割がた、間違ってないと思うよ」
- Re: 消失病 Disappearance ( No.26 )
- 日時: 2011/11/01 08:08
- 名前: 暮来月 夜道 ◆kaIJiHXrg2 (ID: I69Bg0jY)
「情報を仕入れた?」
「魔術を組み込んだ科学技術を扱うネットワーク社会だからね。 情報の伝達速度は尋常じゃないし、コンピューターそのものが無くても人間の脳を媒介して電脳世界に情報をばら撒く事ができるんだよ」
クロアは笑顔でアリスに説明するが、中々どうして。 彼の話は話の内容とその表情が噛み合わないのやら。
彼の話の内容は深刻であったとしても、彼の顔は深刻に受け止めているようには見えないのだ。 先ほど、クロアと話していた二人がクロアの真剣な顔に驚いたのは、そのためだ。
彼は、今まで真剣に物事を考えた事がない。 つまりは、彼には出来事であり、それに危険レベルなど付かないのだ。
ただ単純に。 彼の前には目の前で爆弾が爆発する事も、知人が死ぬ事も。 全ては、ただの出来事であり、現在はその結果でしかない。
「ねっとわーく?」
ただ、クロアの説明には一箇所。
最大にして、最も大切な説明が抜けていた。
アリスは、今の今まで山の中の丸太小屋にいたのだ。 ネットワークの存在は愚か、ネットワークという言葉すら聞いたことはない。
そして、もっと言うのであればコンピューター自体、何を指しているのか見当すら付かないというのが現実なのだ。
「人間の作り上げた情報のやり取りをする通信網の事だよ。 大体都会に居る人間はそれをパソコンという機会で扱い、必要な情報をその網の中から探すんだ」
機転を利かせ、骸骨が代弁。
「この船に電源はこの部屋にしかない。 一度、繋いで現実がどうなっているか見てみるのも良いと思うぜ」
骸骨は机の引き出しからノートパソコンをとしだすと慣れた手つきで起動し、とあるプログラムを展開。
数字の呂律を眼球のないその空洞で見つめ、キーボードを叩く。
「おぉっ、確かにクロアの言うとおりだな。 まだ公開前の新聞の記事だ」
骸骨が画面をこちらへと向ける。
すると、そこにはアリスの写真が大きく掲示されていた。
『救世主、発見』というふざけた見出しと、【道化】の後ろに隠れるアリスの写真が、画面いっぱいのアップで表示された。
『本日、午後2時35分頃、アーレイン無人漁港、廃墟と化した教会にて。 S氏が撮影した写真である。
消失病を司るといわれる不死鳥と面識を持つ【孤独な道化】の背後に跪く少女が見て取れる。
【道化】は、知恵戦争時、人体強化実験の被検体として志願し強靭な肉体を誇る怪物であり、消失病の蔓延による知恵戦争の終結後。 消失したと考えられていた。
だが、本日彼の姿と、彼の守るようにして背後に置かれた少女に、本気者は違和感を覚え彼の記録を調べ上げた結果。
消失病の存在を真っ先に警告し、魔力発生源の存在を提言した。 “不死鳥”との遭遇記録から、彼は不死鳥との契約を交わし、今に至るのではないかと推察される。
現在、彼が【孤独な道化】であるのであれば、その年齢は158歳を迎えるという。
記事を全て読み終わったアリスは、驚いたようにクロアを見つめた。
記事の内容にも驚いたが、彼女が驚いたのはその最後。
「クロアさんが……158歳?」
そう、そこである。
- Re: 消失病 Disappearance ( No.27 )
- 日時: 2011/11/03 11:46
- 名前: 暮来月 夜道 ◆kaIJiHXrg2 (ID: I69Bg0jY)
人間は、生きたとして150年間生きられる。
だが、彼は人間ではないのだ。 これからも、同じ姿で数百年は生きるだろう。
「え? そう思われてると思ってたけど?」
「いや、俺はお前が150歳には見えねえ。 アリスの言葉は最もだよ」
そんな茶番とは逆に、フィオとファウストは珍しく向かい合って席に座り、まともに口を利いていた。
「時の魔道術は危険だぞ? 正気かよ……」
「ええ、正気だよ。 アリスには、シグマは荷が重過ぎる」
フィオはナイフを手に取ると、テーブルに円を彫るとその溝に黒い絵の具を詰めるとパレットナイフで均した。
それを見てファウストは掌でその溝をなぞり、消し去った。
「死ぬぞ? 人間の欲望だけで造られた、リスクを省みない危険極まりない魔術だ。 それも、アリソンですら完全には扱えていなかった。 時差1年前後が当たり前だっただろ? 普通は、目標時刻とずれた時点で術者の体がタイムブレイクを起こして壊れるんだぞ? アリソンは不死鳥だったから平気だっただけだ、お前がやれば間違いなく死ぬぞ? その方が、俺としても清々するが……同じ神に嫌われた人間として忠告する。 間違いなく、その魔術は失敗する」
ファウストは手近の棚から釣り天秤を取ると、円の中に置いて自分の指の皮膚を噛み、数的の血液をそれの片方に垂らした。
フィオも同じように、もう片方に自分の血液を注ぐ。
「俺は、魔術を扱う才能は無いに等しい。 その俺と、釣り合ってるんだぞ?」
「いや、若干私に傾いているよ? 確率の天秤」
ファウストの手に取った天秤は特殊なものだ。
魔術式の上において、術者の血液を垂らす事で二人の内どちらがよりその術を発動するに向いているかを計る。
いつも通りであれば、ファウストの血液など重さを感じていないようにフィオの方に傾く天秤だ。 だが、今回はほぼ平行線。
つまり、二人の内どちらがこの魔術を発動しようとも、同じ成功確率なのだ フィオは、魔術を扱う才能を持っている。
だが、殆ど魔術など扱えないファウストとつりあった。 つまり、2人のどちらがこの魔術を行使しようとも。
確実に、失敗する。
そして、対象物の時を巻き戻すに当たって。 失敗すれば巻き戻そうとした時間だけ、術者は一瞬の内に時空間を移動する程の負荷が掛かる。
時の持つ力は強力だ。
それこそ、不死鳥のように不死身でなければ失敗したときのリスクは大きい。
「ほらな、失敗するぞ? 俺としては、アリソンを生き返らせるより……本人に頼むべきだと思うぞ」
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