ダーク・ファンタジー小説 ※倉庫ログ

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消失病 Disappearance【人気投票】
日時: 2011/11/11 22:02
名前: Neon ◆kaIJiHXrg2 (ID: TtH9.zpr)
参照: http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%8D%E3%82%AA%E3%83%B3

URL……自己紹介((

 改めて考えると、親子が出てくる話ははじめて書きます
コーヒーやミルクティーが手放せない今日この頃
カフェインに激しく依存している……
暮来月 夜道に改名しました
12月の夜道はネオンの明かりだらけということで
リア充のお祭りは好きではありませんが(苦笑)
読みは、くらづき よみち・やどう どちらでも
判別はトリップでお願いします

毎度の事ですが、引くほどグロテスクな表現が多いです

11/11:しばらく、更新を停止して読む側に回りたいと思います

>>32  人気投票用紙

 序章
>>1

 第一章『不死鳥の雛』
>>4§>>6§>>8-10§>>14-22

 第二章『嘘吐きな道化の肖像』
>>24-31

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Re: 消失病 Disappearance ( No.7 )
日時: 2011/10/09 12:31
名前: ナイン ◆JCraIiK29s (ID: 6BbhaqaU)

<感想>
ふつう。

Re: 消失病 Disappearance  ( No.8 )
日時: 2011/10/10 19:45
名前: Neon ◆kaIJiHXrg2 (ID: QwdVpVQe)

 「そこまで、あの雛が大切か? 罪滅ぼしのつもりか、クロア」

 シグマの口調が、強くなる。 だが、クロアは気押されない。
 いや、正しくは恐怖を感じていない。 だが、通常の人間らしい思考を持ってすれば、シグマの口調以前に存在するその狂気に気付くはずなのだ。
 だが、クロアはそれを感じ取る術を、持たなかった。

 「う〜ん……罪滅ぼしか。 上手いこと言ったように聞こえるけど、全く違うね」

 焚火の横に寝かせてあった鉈を手に取ると、シグマに対して刃を向けた。

 「だとすれば、何があるというんだ? 貴様の感情は、善と悪の二沢であり怒りを感じることも! 一切無い! 喜怒哀楽の欠片すらない奴が、何故あの雛を庇う?」

 シグマの言葉に、クロアは相変わらず笑顔と手に握った刃を向けたまま、威圧を続けつつも、

 「恩……かな」

 一言。 シグマの予想に反した答えを、その口から吐き出した。
 この男が、他人に対して恩を感じるはずが無い。 人間ですら、恩知らずなのだ。 人間ですらないこの男が……そのような事を……?

 「貴様は、恩知らずな人間と同様、恩を感じることの無い生き物だ。 それが、どうした? 頭を強く打ったか?」

 「いいや、頭は打ってない。 考え方が、変わったんだよ」

 クロアの顔から、一瞬だけ笑顔が消えた。 猛禽類のような視線が、シグマに突き刺さると同時。 その手に握られた刃が、シグマの身体を方から腰にかけて両断する!
 鮮血が飛び散り、シグマの体が揺れた。 だが……彼の表情に、苦痛は一切無い。 それどころか、この不敵な笑み!
 一体、何を考えている?

 「そういえば、君は時間を戻せるんだっけ?」

 「ああ、知っての通り」

 シグマの一言の後、クロアのボディに強烈な打撃が叩き込まれる!
 シグマの両断された身体は跡も無く、鉈を手に今にもシグマを切倒そうとしたその直前へ。 彼は時間を戻して見せたのだ。

 「俺の金の砂時計の前には、時空を経由する物理攻撃は無意味に等しい」

 後ろに吹き飛ばされたクロアの体が、瞬く内にシグマの手元へと戻る。 そして、もう一撃。
 今度は彼の顔面に。 骨の砕ける音とともに腕が振りぬかれる!

 「何故、何故だ? 何故裏切った? 恩を感じただと? ふざけるな!」

 砕けたはずのクロアの頭蓋骨は再び戻され、シグマがそれを踏みつける。 クロアは霧散しようと試みるが、それは不発に終わった。
 シグマの靴底に仕込まれた金属が、クロアの頭を通じて地面を踏みしめる。

 「無駄な抵抗は止せ。 魔力吸収性質を持つ、特殊合金だ。 霧散はさせねえ」

 シグマの言葉に、クロアは相変わらず。 頭を踏みつけられているにもかかわらず、その笑顔は崩さない。

 「勘弁してよ、ボクは人間だ。 こんなことされたら死んじゃうよ」

 明らかに、クロアの口調は今にも殺される人間のものではない。 それどころか、シグマを更に挑発しているようにも聞いて取れる。
 だが、そんな彼の思考は、人間には読めなかった。 否、“人間だからこそ読めない”思考。
 まさか、自分を踏みつけた足に手を伸ばそうとも……その伸ばした手に、手榴弾が握られているとは誰が予想しただろう?
 それも、笑顔のまま。 奇怪な笑を浮かべるわけでもなく、楽しげに平然と——……。

 「生きるか死ぬか、選んでいいよ」

 爆発の直前、クロアは確かにそう言った。 後の爆風。 後の、煙幕。
 そして、それ以前の光景……。

 「何だ、死ぬのは怖いの?」

 クロアは鉈を片手に、シグマの目の前に相変わらず、立ちはだかっていた。
 焚火には魚が。 シグマはネクタイのゆがみを直し、スーツを着直した。
 川を隔て、両岸に両者が対峙している。

 「埒があかないな、雛を追うべきか」

 その言葉の直後、クロアの目の前に居たシグマは、まるで周囲の景色に溶け込むように。 透過し、消え去った。
 

Re: 消失病 Disappearance  ( No.9 )
日時: 2011/10/12 13:37
名前: Neon ◆kaIJiHXrg2 (ID: QwdVpVQe)

 「おーい、意識はあるかーい? おーきーろー」

 耳元で繰り返される、機械的な声。 そして、まだ何も見たくないとダダをこねる眼球の要求を無視し、半ば無理やりその瞼をこじ開けた。
 耳元で喋っているのは、恐らく女だろう。 機械的とはいえ、男の声ではない。
 黙って、アリスは声の方向へと顔を向ける。
 ほら、男じゃない。
 声の主は、倒れたアリスの脇にしゃがんで、その薄紫色の瞳で見下ろしている。 見た覚えがある、この容姿。
 この、奇妙に撥ねた紫色の髪。 間違い無い、フィオさんだ。 ただ、私の知っているフィオさんとは少し感じが違う。
 あの人は、いつも車椅子に座っていたし、笑うどころか表情一つ変えなかった。 いつもどこか遠くを見ているようで、私が話しかけてもこちらを向くだけ。 絵を描いていれば、完全無視だった。
 ボーっとした女の人。 そんなイメージしか、無い。 まさか、こんなお喋りな人だとは。

 「あれ? ……フィオさん……だよね?」

 「他に誰がいるの? 二日ぶり。 あれ? ずいぶん背が伸びたいだね」

 二日ぶり? いや、私は二年ぶりですが……。

 「驚いてる? 驚いてるね、アリス。 無理も無いよ。 クロアとすんでいたあの世界は、この世界と時間軸がまるで違う。 こっちの一日が、向こうでの一年なんだ」

 ほー、なるほど。 だとすれば、この意識のズレは説明が付く。
 ケド、それより前に本題。

 「それはいいけど、ここ……どこ?」

 その問いに、フィオは軽く笑う。

 「この揺れ駕何か、気にならないの? 船の上だよ。 小さなガレーの甲板。 君のお母さんは、良くそこで昼寝をしていた」

 フィオが丁度アリスの直ぐ脇を指差して言う。
 どういうわけか、若干黒く焦げているのは気のせいだろうか?

 「船の上……。 そうだ、クロアさんは?」

 「クロアはあの空間から出ることはできん。 アリソンが奴を封じ込めたんだ、人間にその呪縛が解ける筈がねえ」

 船室から黒髪の男がアリスへと歩み寄る。 金色の瞳を攻撃的に周囲に向け、癖のある黒髪を掻いている。

 「ファウスト、何か用? 君には関係の無い範囲だ、君は黙っていてもらおうか」

 フィオがファウストと呼んだ男の方に、その瞳を向ける。
 それも、好戦的な。 殺人狂ではないかと疑いたくなるほどの眼差しを。

 「俺は、俺の好きなように動くぞ」

 「勝手にしろ。 君が私の……私達の行動に死傷をきたすようであれば容赦なく排除させてもらう」

 フィオは手にパレットナイフと筆を握る。
 今一、その使い方はわからないがこの場面で持ち出すと言う事はそれは彼女の武具であるのだろう。 
 それに対し、ファウストは自らの手を変形させ、鉤爪を出現させた。
 明らかに、ファウストの方が攻撃的な形状で……殺傷力は高そうだ。

 「アリス、多分ファウストの鉤爪に私が負けるだろうと思っているはずだ。 けれど、自分の得手不得手を把握できていれば木の枝一本で鋼を砕く事も……私達魔人には不可のではないんだよ」

 そういうと、フィオは筆を甲板に押し当てる。 一瞬の出来事だった。
 ただの黒絵の具が、実体を得て三次元へ進出する! 
 無数の牙を持つ、ワニにも似たそれは、ファウストに牙を剥く!

 「ものは使いよう……って事だよ」

Re: 消失病 Disappearance  ( No.10 )
日時: 2011/10/16 12:28
名前: Neon ◆kaIJiHXrg2 (ID: QwdVpVQe)

 よくある話、とある夏の事。 ナイフを持った通り魔が、彼女の視界の端に居た。
 ナイフをコートに下に隠し彼女に一直線に向かう“何か”の顔は、憎悪と憤怒に歪んでた。
 とっさに口から出た言葉。 

 「私に何か恨みでもあるの?」

 問いに答えることなく貫いた。
 肌に触れた金属が、瞬間、自分を貫いた。 引き裂かれ、噴出す鮮血は黒いコンクリートを紅く染める。
 ああ、私は死ぬんだな。
 そんな思考の中、視界を遮る薄紫色の猫。 その毛並みは美しく、どこかのお金持ちが捨てたであろう野良猫が。
 私を見つめ、寄って来る。 血を舐めようとしているのだろうか?
 寄って来たのは、それだけではなかった。 視界を遮る猫の耳に、金色の糸が垂れ下がり、それは足跡一つ残したまま私はベッドに寝ていた。

 「ようやく見つけたよ、神に嫌われた人間を」

 彼女はそう言い消え去った。
 目が覚めたのはベッドの上。 船酔いに呻きながら、見上げる私の顔を見て満足そうに笑った。


 〆 〆 〆

 「ファウスト、君は通り魔ソックリだ」

 ワニのような奇妙な絵を迎え撃ち、その鉤爪で切り裂いた。 照りつける太陽の熱で汗が干上がっていく。
 足りない魔力を喰わぬよう、彼の爪はただの鉄。 私の絵では強度が足りずに接近を許してしまう。
 だがそんなに簡単に、接近を許すわけも無く。 次の絵が彼に喰い付きその隙にそれが貫く。
 銀色に光る、鋭利に尖った平べったい金属が。 彼の気付く前に、突き刺さる。 振りぬくと舞う血しぶきの色は、紅く綺麗な水玉模様。

 「また、結局勝てないか」

 「私を殺そうなんて1000年早いよ」

 フィオはファウストに対し、汚いものを見るような視線を向ける。
 ファウストは胸から肩にかけて大きな傷を残し、フィオはアリスのほうを向いた。

 「これから、船長に命じられた君の保護を開始する。 君は、知っての通り不死鳥の雛。 力が未熟な内に人間の手に渡れば一生実験動物の扱いを受ける。 それだけは、なんとしても阻止する」

 フィオは船内へアリスを案内すると、海図を広げ、コンパスを壁に掛かっていたコートから取り出した。
 現在地であろう場所に針を刺し、フィオはブツブツと小声を発しながら計算を始めた。 何か呪文でも唱えているようにも、誰かを呪おうとしているようにも見えないことは無い。
 その様子を、ファウストは何か気持ちの悪いものを見るかのような目で戸口に寄りかかって見ている。

 「二時間弱で港に着く。 それまで、何があったか君から事情を聞くとしよう」

 コートのポケットにコンパスを戻すと、それをフィオはアリスに投げ渡した。
 行動の意図もわからず、困惑するアリスに、

 「君のお母さんのものだよ。 さて……何があったの?」

 そう呟くと、机の下から椅子を二つ出して一つをアリスに。 もう一つは自分が腰掛けた。
 その様子をどうも気に入らない様子でファウストは見ているが、この際気にしないことにしよう。

Re: 消失病 Disappearance  ( No.12 )
日時: 2011/10/20 16:33
名前: 旬 ◆Q6yanCao8s (ID: aza868x/)

neon姐さん!
消失病って,消失病って……。いやめちゃいいタイトルだったんで惹かれるようにして来ましたw

さすがねおん姐! 才能って怖いですねw 最初のところが分かりやすくって,それで設定もよくって,まあまあまあまあすんばらすぃーですわ! 感動ですわこの文才(´□`。。
旬も負けないようにせねば!
いや負けますけど((

とにゃかく,続きを書くんだっ。
待ってまーす(・ω・)ノ


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