ダーク・ファンタジー小説

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悠久のカナタ(SF)
日時: 2012/07/11 00:31
名前: yuunagi(悠凪) (ID: wfu/8Hcy)
参照: http://ncode.syosetu.com/n1184bd/

・あらすじ

悠久の時が流れる世界「エミリア」に住まう人々は、みんな不思議な力を宿した宝石を所有していた。一つは「テレパス」と呼ばれる通信能力。残りは……。

・なお、当作品は小説家になろうさまの方でも投稿させていただいていますご了承ください。(只今、諸事情により更新停止中。涼しくなった頃に再開予定)

※お気軽にご感想などをよろしくお願いしますm(。-_-。)m

・終焉へ向かうプレリュード篇

 序 章 〜終焉へ向かうプレリュード 前 篇〜 其の一 >>01
 序 章 〜終焉へ向かうプレリュード 前 篇〜 其の二 >>02 >>03
 序 章 〜終焉へ向かうプレリュード 前 篇〜 其の三 >>04 >>05 >>06
 序 章 〜終焉へ向かうプレリュード 前 篇〜 其の四 >>07 >>08
 第一章 〜再会と旅出〜 其の一 >>09 >>10
 第一章 〜再会と旅出〜 其の二 >>11 >>12 >>13
 第一章 〜再会と旅出〜 其の三 >>14 >>15
 第一章 〜再会と旅出〜 其の四 >>16 >>17
 第一章 〜再会と旅出〜 其の五 >>18
 第一章 〜再会と旅出〜 其の六 >>19
 第一章 〜再会と旅出〜 其の七 >>20 >>21
 第二章 〜調律士と呼ばれし者〜 其の一 >>22 >>23
 第二章 〜調律士と呼ばれし者〜 其の二 >>24 >>25
 第二章 〜調律士と呼ばれし者〜 其の三 >>26 >>27
 第二章 〜調律士と呼ばれし者〜 其の四 >>28 >>29
 第二章 〜調律士と呼ばれし者〜 其の五 >>30 >>31

序 章 〜終焉へ向かうプレリュード 前 篇〜 其の一 ( No.1 )
日時: 2012/06/10 23:57
名前: yuunagi(悠凪) (ID: wfu/8Hcy)
参照: http://http://ncode.syosetu.com/n1184bd/1/

 見渡す限りの銀世界……。
 日光に照らされて煌めく細氷が織り成すダイアモンドダストが、幻想的な雰囲気を醸し出す……。
 そんな中を白い息漏らしながら「ピョンピョン」と、飛び歩く野兎たちの姿が何とも微笑ましく。子供たちが鼻水を垂らしながらはしゃいでいるようにも見受けられた。

 しかし、その微笑ましい情景に不釣り合いな物々しい施設が山を切り拓いた場所にポツリと建っていた……。

 その施設に物資を運び入れるため、汚らしい排気ガスを撒き散らしながら雪道を走行する一台の貨物トラックの姿があった。それを運転する中年男性は陽気に鼻歌を交じえ、煙草を吹かしながら慣れた手つきで片手運転をしていた。

 いつも通りの仕事、いつも通りの作業、いつも通りの行程……。

 中年男性は今日もいつも通りに施設に物資を運び込むために運転している。
 だが、中年男性はいつもと違うあるモノを目にしてしまい——思わずブレーキを踏み込む……。
 彼の視線の先——進行方向である道路中央に、綺麗な銀髪をなびかせながら佇む一人の少女がいたのだ。

 少女は血色の無い白い肌に、服装も白の外套を身に纏い。目を張るほどの綺麗なその銀髪と特徴的な穢れ無き金眼をしており。その姿がこの銀世界と相まって、雪の精にも見受けられるほどの不思議な雰囲気を漂わせていた。

 少々、その少女に見惚れてしまった中年男性だったが……少女の存在を不審に思う。

 ——人里離れたこのような辺境の地になぜ少女がいるのだ、と……。

 すると、中年男性が不審に思った矢先——少女は彼が乗った貨物トラックを見据えながら唐突に微笑む。
 「ニコリ」と、少し口角を上げながら微笑む少女の笑みはどこか寂しげなモノを彷彿させると同時に楽しげな雰囲気すら感じさせる不思議な笑みである。

 その笑みに釣られてか、警戒心を解いた中年男性が表情を緩ませてしまう。

 そして「気にする事無いか……」と、中年男性はエンジンを吹かせ、道路中央に立つ少々邪魔な少女を避けながら貨物トラックを走らせたその刹那——エンジン音とは違う、謎の乾いた音が突然、辺りに鳴り響く。

 中年男性がその音に気付いたとたん——トラックが言う事を効かなくなり。慌ててハンドルを必死に切るが、無情にも雪道から外れて脇にある雪原に「ドサ!」と言う、激しい音を立てて突っ込んでしまわれた……。

 トラックが反った状態で雪原に突き刺さり、後輪だけが空回りしている無様な様を先ほどの少女が涼しい顔をして見つめている。
 今し方の出来事はなかったように平然とした立ち姿は清々しささえ覚えた。

 「——終わった……」

 突然、か細い声で独り言のように口走った少女の両手を良く見ていると、銀の装飾が眩しい二丁拳銃が収まっている。

 【——了解。こちらも出陣する。クラリスも早急にこちらへ向かってくれ】

 「クラリス」と、呼ばれる少女の独り言に応答した謎の声……。
 この声は周辺からや通信機器などを介して聞こえるモノではなく——彼女の頭の中に直接流れ込んでいた……。
 クラリスはその言葉に小さく頷きながら、

 「……うん、分かった」

 と、再び、か細い声で返答する。
 そして、クラリスは、そのほんのり朱に染まった自らの唇で両手に持つ二丁拳銃に優しくキスを施す。

 軽くタッチをするように触れられた唇に呼応して——突然、二丁拳銃が光を帯び、細かい粒子状となって、彼女の左薬指にはめられたリングに装飾されている銀色の宝石に吸い込まれるように収まってしまった……。


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