ダーク・ファンタジー小説
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- Happy End と Bad End 【連載一周年感謝】
- 日時: 2015/10/04 17:21
- 名前: 音宮 (ID: KLpo2fZJ)
こんにちは。初めまして、音宮(おとみや)でございます。
普段は、コメディーライト小説のほうで活動をしています。
ここでは初めての小説…、なんとしても完結を目指したいです(-_-メ)
音宮が完結できるよう、皆様、応援よろしくお願いします!!
【作品の要素はこちら】 >>2
みんな、誰にでもハッピーエンドが必ず待っている……訳ではないと思う。
誰かひとりはバットエンド……になってもいいんじゃないかな。
【Table of contents】
≪Character introduction≫ >>1
≪Prologue≫ >>3
≪第一部(テーマ:恋愛)≫ >>34
≪第二部(テーマ:復讐)≫
第零番 >>35 第一番 >>36 第二番 >>37 第三番 >>38
第四番 >>39 第五番 >>40 第六番 >>41 第七番 >>42
第八番 >>43 第九番 >>44
【Guest】
雨空様 >>4、>>5、>>11、>>12
黒hana様 >>22、>>23
参照突破、ありがとうございます。
【News!!】
★三月二十四日に、第一部(美波&渚編)が完結しました!!
ありがとうございます!!
これからも頑張りますのでよろしくお願いします(≧◇≦)
☆第二部執筆中……
★もうすぐで連載一周年です!!
☆連載一周年です、ありがとうございます!!
- Re: Happy End と Bad End <千波&千夏編、開始 ( No.37 )
- 日時: 2015/04/08 09:21
- 名前: 音宮 ◆93nWkRSozk (ID: laaGvqHD)
第二番
我妻真琴。
それが私の名前。
十年前に、私を拾ってくれた人がつけてくれた……というか、私を買ってくれたの。
ある国で今の旦那様にあって私の位は奴隷からお嬢様へと一気に昇格した。
奴隷……そう、生まれてからすぐに私は、彼に連れ去られたらしい……彼はそう言っていた。連れ去られた私は、彼のもとで、表向きにはお手伝いということになっているけど、実際には奴隷の扱い。
——私は暗黒の中にいた。
そんな時、一本の光がきて、その汚い世界から私を助けてくれたの。
だから私は、お父様に逆らえないし、尽くさなければならない。
何があろうと、私はお父様のもの、お父様に尽くさないと。
「真琴」
コンコンと私の部屋をノックする音が聞こえる。
そう、今日は家族で毎年、ある家族のお墓参りに行くのですって。
「はい」
返事をすると、私の兄が、入ってきた。年齢16歳で高校一年生。
つまり、私と同い年で表向きには、双子ということになっている。
濃い青の艶やかなストレートの髪と二重の大きなマリンブルーの瞳。身長は私よりも高く、180を超える長身で色白の肌。
……誰もが、惹きつけられる容姿だった。
美形の兄は、私にもうすぐで出発だということを告げると部屋を出て行ってしまった。今から着替えようとする姉を見て、気遣ってくれたのだろう。
「……」
そんな姿を見送ってから私はお気に入りのロリゴシックに身を包むのであった。
「お待たせしました、お父様、お母様」
玄関に行くと、お父様方が黒いピカピカな車と共に私を待っていてくれたみたいだ。
「ああ、早く乗れ、私は仕事がこの後、あるのだから」
優しく微笑んで私を車に乗せてくださるお父様は、大企業の社長、我妻幸久。
濃い青の短髪と深緑色の綺麗な二重で、身長は180㎝前後。ちょっぴり日の焼けた肌が特徴の紳士であった。
「はい、お父様」
笑顔で私は返事をした。
車で30分のところにある誰かのお墓。毎年、お母様に誰の墓かということを聞くのだけれども、答えてくださらなかった。
「……一体、誰のお墓なのですか」
いつものようにお母様、我妻シャロンに聞く。すると、マリンブルーの二重の瞳がこちらをキョロッと向いて数秒間だけ私をじっと見つめると、困ったように笑って何も言ってくださらなかった。
ちなみにお母様はアメリカ人で、金髪のつややかな髪を本来はお持ちになるが、日本に住んでいるということで黒い髪に染めている。
「……」
今年も答えてくださらなかったと思いながら誰かのお墓前に立つ。
——あなたは一体、誰なんですか。
そんな疑問を胸に抱きながらも手を合わせ、墓参りを終えた。
- Re: Happy End と Bad End <千波&千夏編、開始 ( No.38 )
- 日時: 2015/04/08 09:34
- 名前: 音宮 ◆93nWkRSozk (ID: laaGvqHD)
第三番
ひらひらと舞い散る桜の花びらと共に、私は入学式を迎えました。
「千波、いい天気に恵まれてよかったな」
ふふっと楽しそうに笑う私の父、渚。カメラを持ち、先ほどからパシャパシャと私を撮っています。
「うん、そうだね、パパ」
ちなみに入学式一週間前は、私と千夏の誕生日なの。だから私は16歳になったばっか。
「千夏もいればな……」
肩を落として言う姿は、今にも泣きそうだった。
「そう……だね」
千夏……も今日、入学式だったんだよね、きっと。
私と同じ制服を着て、私とほとんど一緒の顔で楽しく迎えられたのかも。
「……あ、ごめんなっ。しんみりさせちゃって」
頭をかいて笑うパパだけれども内心、すごく辛いんだと思う。
本当ならママと千夏がここにいるから。ママの事がすごく好きだしね。
「別にいいよ。本当の事だもんね。私は千夏とママのためにも頑張るから
ちゃんと見ててよね」
そうだ。ママの分も千夏の分も私は、生きなければいけない。
生きることを楽しまなければいけない。
千の波のように強くたくましくいきるそれが千波……私なんだから。
それに美波の波から私はつけられてもいるし、きっと私の背中にはママがいるはず。だから寂しくないよ、パパ。
- Re: Happy End と Bad End <千波&千夏編、開始 ( No.39 )
- 日時: 2015/04/27 06:15
- 名前: 音宮 ◆93nWkRSozk (ID: laaGvqHD)
第四番
「真琴」
ふとお父様が声を掛けてきた。
「なんでしょう、お父様」
部屋で勉強をしていた私はくるりと椅子を回してお父様に向き直る。
「お前は、明日からこの学園に通うことになったからな」
一枚の紙と言葉を私にくれた。
「はぁ……、分かりました」
突然のことで全く理解できなかったが、お父様はそれだけ言うと、部屋から出て行ってしまう。
「お父様……っ」
何の説明もなく、行かないでほしいと思いながら部屋から出て行ってしまったお父様の後ろ姿を見つめて、追いかけることができない私。
『お父様の命令は絶対よ』
あの日、買われた、この家にきたときにお母様から言われた言葉。
それは今でも鮮明に覚えている。
たとえ、どんなにその命令は残酷であったとしても、私は命令に従わなければいけない。
「……」
だから今回の命令も聞き入れなければならない。
私は、もらった紙を見つめる。
『我妻学園』
ここってお父様が設計、設立した学園で確か、お母様が理事長をなさっている学園だったはず。
あとで兄に聞いてみると、兄も行くことになったらしい。
「そうなんだ」
ありがとうと言って、兄を見る。
「そう。俺と真琴はまた、一位の成績をとらなければならない」
また……、成績の話。
兄と私は成績の話しかしたことがない。競い合ってきたライバルで、二人で守ってきた一位の座。
「分かっているわ。そのくらい」
頷いて笑う。
「今度は一度も譲らないからな」
ふっと笑って覚悟しろっと私に言う。
「わたくしだって負けないわ」
お互いに笑いながら気持ちの良い宣言をした。
- Re: Happy End と Bad End 【4/26 更新】 ( No.40 )
- 日時: 2015/05/01 19:25
- 名前: 音宮 ◆93nWkRSozk (ID: laaGvqHD)
第五番
「増田薫…、萬田海…」
入学式。一人ずつ、点呼されて返事をしていく。
次は私だ。
「美濃…千波」
ドキッとしてそれから反射的に返事をする。
「はいっ」
たったそれだけだけれども、とても緊張して、特別な時間に思えて。
私の後に何十人か呼ばれた後、それは終わる。
「新入生代表、我妻真琴」
そうだ、次は新入生代表挨拶だっけ。
どんな子がするのかな。代表ってことは、きっと入学試験で一番の成績か、理事長の娘なんだろう。
噂によると、毎年、そうなるそうだから。
この子は、たぶん、苗字に我妻が付いているから、我妻家の人だとわかる。
気になったので、ひょいっと少し、背伸びしている。
「……ぁ」
あの子……。この前、お墓の時に見かけた子だ。
すごくきれいな子。ベールのようなもので顔を隠されていたからこの間は分からなかったけれども、すごくきれいな顔立ちをした子なんだ。
綺麗な深緑の二重の瞳、黒髪で腰の近くまである長さだけれども、ちゃんと手入れが届いていることが一目でわかるほどに、つややかな髪だった。
「桜の散る……」
そして澄んだ声で淡々と誓いの言葉を述べる姿は、天使のようにもちろん、綺麗だった。
- Re: Happy End と Bad End 【5/1 更新】 ( No.41 )
- 日時: 2015/05/15 17:10
- 名前: ・ス・ス・ス{ ◆93nWkRSozk (ID: laaGvqHD)
第六番
「我妻真琴」
そうフルネームで呼ばれることも少なくはない。
なぜなら敵対心を私に抱いている人が多いから。
敵対心を抱いている人がフルネームで絶対に呼ぶかって言われたらそうじゃないかもしれない。
だけど、なんだか私は嫌だった。感じの悪い発音で呼ばれるのも、なんだかバカにしたような感じで呼ばれるのも。
私は、同士否、友達が欲しかった。
敵対心、ライバルじゃなくて、何でも語り合える友達が欲しかった。
今まで私に近づいてきたのは、ライバル心からか、それとも羨ましい心か、それともお金にたかってきたか、そのうちのどれかの心情を抱いた人ばかり。
だから私はどこからか、孤立した気持ちになる。
『孤立』
多分、私の中で一番、恐れている物体のないもの。
感じるものだからこそ怖い。
一人だから怖い。人間は一人では生きれない。それは、ここからきているんじゃないかと私は考える。
だからいつも、周りに笑顔で挨拶。
それでも孤立してしまうのはなぜ?
私はなにもしてないよね。何も悪いこと、嫌なことなんてしてない。
でもなんで私はいつも一人なの。
その答えはいつになっても分からなかった。
あいにくなぜかいつも双子の兄の我妻優和とは違うクラス。
兄には多くの友達が存在するのに、私には一向に出来なかった。
同じ環境で育ったのに、同じものを与えられて生きてきたのにこんなにも違うのはなぜか……?
それをいつもぐるぐると考えて、一日が終わってしまう。
今、欲しいものは何かと誰かに尋ねられたら、きっと私はこう答える
『信頼できる学友です』