ダーク・ファンタジー小説

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I live with ヴぁんぱいあ。【1/10更新】
日時: 2021/01/10 23:29
名前: はるた (ID: vQ7cfuks)

【お知らせ】

 完結に向けて、一度物語の矛盾点等をなくすために書き直すことにしました。
 これから読む際は、目次をつくりますので、そこからお願いします。
 



 目次 >>198




 ※ 全編書き直しなので、すべて初期のものは削除しております。
   残ってるのは参照記念と番外編(幕間除く)だけです。作品を読むのであれば目次から飛んでください。









 初めましてor(知っている人がいましたら)お久しぶりです。
はるたと申します。
 五作目は吸血鬼ものです。頑張ります(; ・`д・´)



【参照記念】

 参照300記念小説 >>55
 参照600記念小説 >>81
 参照900記念小説 >>111
 参照1200記念小説 >>112
 参照1500記念小説 >>121








【お客様】

◇ゴマ猫様
◆ひよこ様 
◇雨空様
◆朔良様
◇覇蘢様
◆占部 流句様
◇いろはうた様
◆錦歌赤兎様
◇紗悠様
◆如月 神流様
◇みるく様
◆波璃様
◇星来様
◆蒼様
◇美奈様
◆ゆーき。様
◇戒壇様
◆ことり様
◇顔無し@様
◆村雨様
◇佐渡林檎様
◆Garnet様


【目次】




 ※調整中












 参照19000感謝です。
 



では、物語の世界へどうぞ。





Re: I live with ヴぁんぱいあ。 ( No.203 )
日時: 2020/10/22 23:45
名前: はるた ◆OCYCrZW7pg (ID: d6rzi/Ua)

 独特のあの嫌な臭いが、鼻にこびりつく。部屋に油を撒いた後、キッチンの引き出しからチャッカマンを取り出した。カチッと音が鳴ると青い炎がぼうと先に灯る。力を緩めて火を消すと、僕は大きく息を吸って、力いっぱい吐き出した。
 決心は固く、もう後戻りはできなかった。
 お姉ちゃんには嘘をついて、友達のもとに向かってもらった。この家にはお酒を飲んで眠っているお母さんと、荷物を取りに戻ってきたお父さんと僕の三人だけ。二人とも僕がこれからする行為に気づくことなんてないんだ。
 これで終わるなら、僕はどんな罪でも背負える。お姉ちゃんが、また笑ってくれるってこのときは信じていたから。



 ■ 消えない炎


 焼き焦げた。煙が部屋中を襲うように広がっていく。じりじりとそれは僕の足下まで近づいてきて、大きく燃え上がった。怖い、という感情はもうとっくの昔に捨てたんだ。
 僕の部屋の扉が勢いよく開いた。布で口元を覆ったお母さんが僕をじいと見ていた。

「どうしたの、お母さん」

 目を大きく見開いて、僕をじいと見ていた。
 犯人が僕だと分かっているような顔だった。けほけほと咳き込みながら、お母さんは僕にじりじりと近づいてくる。殴られるのかな、と思ったけれど、お母さんはそんな僕の予想を裏切ってぎゅっと抱きしめた。

「どうしたの、お母さん」

 おんなじ言葉を、僕は繰り返し呟いていた。ひざを地面につけて、僕を力強く抱きしめるお母さんの目には涙がたまっていて、耳元で「ごめんね」と何度も謝る声がした。
 今更謝っても遅いのに。僕はもう、戻れないのに。

「逃げなきゃ、」

 お母さんが僕の手を取って引っ張ろうとする。だけど、僕はこの場から動かなかった。僕はここで死ぬ選択肢か選ぶことはできないのだ。
 「悠真」鼓膜を破られそうになるくらい大きな声が部屋中に響く。
 



「悠真だけは、生きてくれなきゃ」


 どうしようもない僕のお母さんは、泣きながら僕に無理難題を押し付ける。もう戻れないのに。

 燃え上がる炎で息ができなくなる。煙を吸い込みすぎたのか、僕の頭はくらくらとしていた。目の前のドアが燃え尽きて、もう出口はない。
 ここで三人で死ぬんだ。

 何でか急に笑えてきて、そんで勝手に涙がでた。
 悲しいわけじゃないのに、僕の目からは滝のように涙が零れ落ちた。






 「どうしようもない親でごめんな」




 僕はどこかから聞こえてきたお父さんの、その言葉とともに意識を失った。





 とある冬の話。家じゅうには油が撒かれていて、キッチンの近くにチャッカマンが落ちていたことから、放火の可能性が高いと判断された。この家の子供がその日の前日に近くのスーパーで油を買っていたことから、その家の息子である悠真が放火の犯人と結論付けられた。悠真は両親に抱きしめるように守られて、命だけは無事の状態で病院に運ばれた。彼は意識不明のまま、そのまま深い眠りについている。両親は二人とも死亡。
 残されたのはその家の娘である一人の少女。家が火事になっていたころ、彼女は友達の家に遊びに行っていたこともあって助かった。それは、小さな少年が犯した、一家心中のお話。


 

Re: I live with ヴぁんぱいあ。【10/22更新】 ( No.204 )
日時: 2020/11/19 20:50
名前: はるた ◆OCYCrZW7pg (ID: d6rzi/Ua)





 大遅刻ですが、ヴぁんぱいあ。六周年になりました。おめでたい。
 いやもうおめでたいというか、はよ完結させろやってことなんですけど。最近は月1更新を目標にやってて、なんだかんだ一本書けてるので是非褒めてほしい。すごいぞ、わたし。
 今年の夏の小説大会でも銀賞をいただきました。読んでくださる皆様、投票してくれた皆様、本当にありがとうございました。これからも頑張りますので、引き続き宜しくお願い致します。

 



 十一月は更新できたら、更新したいなという気持ちです。無理だったら十二月に二回くらい更新されますので、頑張ってるよってことにしておいてください。はるたでした。

Re: I live with ヴぁんぱいあ。 ( No.205 )
日時: 2020/12/23 23:21
名前: はるた ◆OCYCrZW7pg (ID: vQ7cfuks)

 ■ 3 「 消えたい彼女と、淡い炎 」


 幸せとは何だろうか。いつか失う命を、どうして大事にしなければいけないのだろうか。
 考えても正解は見つからなくて、私は大事なものを全部捨てて逃げてきた。
 私に救われる未来はない。いつか、この仮初の幸せが壊れていくのを信じて、ずっとずっと、待っている。


     □ 好きになる、好きにならない


 私を拾ってくれた少年は、加瀬さんといって私と年齢はそんなに変わらないように見えた。ソファの上に置かれたスポーツバッグと脱ぎ捨てられたジャージの上着。磨いていた途中なのか、スパイクが彼の足下にあった。
 私の髪をドライヤーで乾かし始めた加瀬さんに、私は戸惑いながらもじっと正座で耐えた。

「家に帰らねえの?」
「……帰れないんです」

 髪を乾かし終わって満足したのか、加瀬さんは後ろから私に話しかけた。硬直した体がびくりと震えて、私は振り返ることなく答える。

「火事って家が燃えたのか?」
「そう、ですね。私がいない間に燃えて灰になりました」
「それは、なんていうか」
「可哀想、じゃないんですよ。ちゃんと自業自得ですから」

 私がすべての引き金だった。お父さんがよそで女を作り始めたのも、お母さんがお酒におぼれたのも、全部私のせいだった。私が病気になるから、全部狂っていったのだ。誰も悪くないのに、誰かのせいにしないと心が落ち着かない。人間の心理が私たち家族をあっという間に闇に突き落とした。
 その被害者が悠真だっただけ。

 私は被害者ですらない。悠真が泣いているのを知っていて、何もできなかった弱虫だ。自分のせいだから、と私は強く出られなかった。
 馬鹿な人たちと彼らを嘲笑うことで自分を正当化していたのだと思う。悠真のことが大事なんて口だけで、結局私は悠真をずっと傷つけ続けてきたんだ。
 その結果が、あの火事だった。


「ねえ、お姉ちゃん」

 今でも、悠真のあの日の声を昨日のことのように思い出せる。

「海里ちゃんがね、今日一緒に遊びたいから家に来てって、さっき電話がかかってきたんだ」

 悠真が私についた初めての嘘だった。
 行ってきます、と家を出たのが最後。悠真の笑顔が脳に鮮明にこびりつく。
 あのときにはきっともう。

 海里がそんなこと言ってないよ、と不思議そうに首を傾げた時、すっと背筋が凍るような嫌な予感がした。
 救急車と消防車の音が、絡まり合って響き渡る。気持ちの悪い音が、私の世界を壊していった。黒い煙と、灰になってきえていく家。救出された両親と悠真の姿を見て、私は絶句した。

 真っ黒になった両親は、悠真をまもるように死んでいた。

 酷い呪いだと思う。最後まで、私たちにとって嫌な親でいてくれればよかったのに、彼らは結局優しい感情を持った私たちの両親であることに変わりなかった。
 悠真が生きていたのは奇跡に近いぐらいのレベルで、いつ目が覚めるかはわからないけれど、悠真の捨てた未来は彼が殺そうとしたものによって突き返されたのだ。
 可哀想な悠真。目覚めても罪悪感できっと苦しむだろうに、それなのに死ぬことも許してもらえない。両親は、生きてほしいなんて残酷な愛を押し付けて死んでいったんだろう。


「お前はさ、これからどうすんの?」

 加瀬さんの質問と同時に、テレビで速報が流れた。
 行方不明になった女子高生の捜索が始まったという速報。ベテランのアナウンサーが渡された原稿を落ち着き払って読むその名前は、聞き覚えのある、それは私の名前。

「行方不明になったのは、××県在住の、相楽ゆたかさん十七歳で……」

 どうか私のことなんか忘れて、幸せに生きてくれればいいのに。
 私の願いは誰も聞いてくれない。私はこのまま誰にも気づかれずに、ひとりで死んでいきたかったのに。

Re: I live with ヴぁんぱいあ。【12/22更新】 ( No.206 )
日時: 2021/01/10 23:28
名前: はるた ◆OCYCrZW7pg (ID: vQ7cfuks)

加瀬さんは「死にたいの?」と私に尋ねて、その答えには興味のないように机の上に置かれたリモコンでテレビを消した。

「……」

 私は彼の問いに答えることができなかった。
 死にたいのか、死にたくないのか、私は考えることを放棄していたんだ。諦めていた、どうせ死ぬからと自分の中で割り切って、願うことも祈ることも無駄だと思い込んでいた。
 生きたい、といえば両親はどういう反応をしたのだろう。私が死を仕方のないことだと笑ったから、彼らはあんなふうに壊れてしまったのだろうか。

「加瀬さんはさ、死にたい、って思ったことありますか?」

 質問に質問で返した私の言葉に反応して、加瀬さんはこちらをちらりと見た。ちょっとだけ間があって、何も映っていないテレビに視線を戻して彼は言った。

「さあね」

 ヒーターで温まった部屋だけど、ドアの前は冷たい風が通っていて少し寒かった。くしゃみをした私を手招きして加瀬さんはヒーターの近くに座らせて、私の髪をタオルでぐしゃぐしゃと拭く。

「それより、髪濡れたままだと風邪ひくよ」
「……あ、えっと」
「俺は今まで普通に生まれて普通に生きてきたから、死にたいとかそういうことを考えたことはないけど、あんたがそういうことを考えるのが異常って言いたいわけじゃない」
「……」
「でも、こうやってあんたを探してくれてる人たちがいる以上、逃げ続けるわけにはいかないんじゃないの?」

 加瀬さんと視線がばちっとあって、私は思わず怯んでしまった。
 加瀬さんの言うことは正しい。私のことを少なからず心配してくれる人たちはいるんだろうし、その気持ちを無視するわけにはいかない。
 私は今までちゃんといい子でいたつもりだった。病気だって、悲しむ両親を見たくなかったから「大丈夫だよ」って笑顔で言ったじゃないか。両親が壊れても、どれだけ酷い暴力をふられても反抗しなかったじゃないか。悠真だって、今の今までずっと守ってきたのに。それなのに、私が悪いのかな。私が全部悪いんだ。

 世間は可哀想な私を、そういう目で見るから。



「生きたいって言ったら、加瀬さんは私のことを守ってくれますか?」

 今日会ったばかりの赤の他人に何を言っているんだろう。自分で言って、鼻で笑ってしまった。それなのに、馬鹿正直に目からは大粒の涙がこぼれて止まらない。
 何が怖いのだろう。死ぬことが怖いわけでも、悠真が目を覚まさないことが怖いわけでも、ここから連れ戻されることが怖いわけでもない。
 私は、また諦めることが怖いんだ。


「ここにいたいなら、いればいいじゃね」

 涙でぐしゃぐしゃな私の顔もタオルでごしごしと容赦なく拭く加瀬さんの雑さに思わず吹き出してしまった。タオルの隙間から見えた加瀬さんの優しく微笑む表情に胸がどきんと脈打つ。
 この気持ちの正体が何なのか、私はまだ気づいていなかった。きっと一生、気づかないままのほうがよかったんだ。
 




□ それが恋だと、知らない少女
 

 

Re: I live with ヴぁんぱいあ。【1/10更新】 ( No.207 )
日時: 2021/02/07 13:15
名前: はるた ◆OCYCrZW7pg (ID: DlG4FP6O)

 【嬉しいお知らせ】


 リメイクを始めて8か月くらいになりました。月に一回程度は更新できているので成長を感じます。これからも頑張りますので、引き続きどうぞよろしくお願いします。
 なんと今回は嬉しいお知らせが2つもあります。
 一つ目はこちらの小説が参照20,000を突破しました。すごいぞ!!!!!
 6年諦めずに書いてきた私にご褒美をくれたんだと思ってます。ありがとうございます。
 個人的には10,000突破したのがちょうど3年前の今頃なので、30,000突破するのは単純計算であと3年後? ということはきっともう完結しているはず。大丈夫、わたしはやればできるこ。
 何度も筆を折ろうとしましたが、書き続けていられるのはこうやって閲覧数が地道にこつこつ増えているおかげだと思っています。これからも読み続けていただけるような作品を書き続けていけたらと思います。

 そして、二つ目。冬の小説大会で銅賞をいただきました~。今回もほんとうにありがとうございます。もう常連と言っても過言ではないでしょうか。過言ですね、すみません。
 投票してくださった読者様、本当にありがとうございます。大好きです。
 読み続けてくださる皆様のためにも、小説の執筆を頑張っていきます。これからもどうぞ宜しくお願い致します。二月中に一回は更新できると思います。多分月末にはなると思いますが、お楽しみに~。


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