ダーク・ファンタジー小説
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- 茶色のブロックさんの執筆部屋。【小説投下しました】
- 日時: 2017/02/17 18:55
- 名前: 茶色のブロック (ID: rCT1hmto)
書ききるつもりと長くする予定です。
主題は心です。
楽しませられるよう頑張ります。
本当に頑張りますから!
というのは----過去の話である。もはややりたい放題になりました。
小説は投稿しますので、気軽に読みに来てください。もちろん小説ですけれどね。
興味がございましたらどうぞ ☆>>36 ☆>>43 ☆>>45 ☆>>46
序章「お前」
★>>1 ★>>2 ★>>3 ★>>4
死>>106
クライマックス>>107
物語>>108
- Re: イル 序章「お前」2 ( No.2 )
- 日時: 2016/08/24 11:07
- 名前: 茶色のブロック (ID: kgjUD18D)
リビングと繋がっている台所に着くと、そこにさも当たり前のように惜は立った。……嫁のような印象を受ける。しかし、惜は、俺の妹である。嫁と勘違いするな……俺……。
「お兄ちゃん、洋食と和食のどちらがお好みですかな、な、な?」
なんて可愛い仕草なのだ。燃えさせる気なのか。
洋食か和食か。本当なら、普段は母親が作ったものを食べるという形であり、こういうことはあまりない。……ないはずだ。
「なんでもいいよ。惜の好きな物を作りなよ」
「泥団子で良いかな」
「食べ物とは違うと思うな」
俺の答えにとぼけたことを言う。わざとだということは惜の笑顔で分かるけれども、つい想像してしまって口の中がじゃりじゃりしてくる。
にしても、俺と惜の喋り方はなんとなく似てるような気がした。惜の喋り方は柔らかくて、きっと幼児には良く好かれるだろうと思うが、俺はどうだろうか?
「えっと、今日は試しにあっさりしたものを作ろうと思うな」
やっぱり似ているよな……。
「お兄ちゃんはお魚嫌いなんだっけ?」
「……嫌いな訳じゃないよ。ただ胴体部分を焼いた物とか、ししゃもの焼いたやつとか、体があまり切られていないのが無理なんだ」
「じゃあ、ちりめんじゃこは?」
「無理だね」
すると、惜は頭を抱えてしまった。うーうー唸り始めてとても迷惑だ。
あれ、あっさりしたものはどこ行った?
しかし、惜の質問は続く。
「キャラ弁食べられる?」
「それも無理だね」
「ケーキの上の砂糖サンタさん」
「無理だね。あと質問の意味が分からないよ」
「肉団子……」
「それは大丈夫」
「……は無理だろうし」
「おーい、無理じゃないよー」
そうして惜は頭を抱えるのをやめると、棚からヤカンを取り出し、冷蔵庫から天然水を取り出した。
何を作るつもりなのだろう。カップラーメンだとしたら軽く衝撃だ。
「お兄ちゃんのお弁当を作るつもりだったのに、まさか朝食の食べ物を詰められないというのは軽く疲労覚悟だよ、どれだけ贅沢なのお兄ちゃんってば」
「……ん……?」
「朝食はお茶漬け、お昼はサンドイッチに決定だもん。仕方ないのだもん」
うわあ、むくれてるなあ。
俺としてはさっぱりなのだが、きっと冷蔵庫の中身を完璧に把握している我が妹にとっては苦渋の決断なのだろう。多分冷凍食品が無く、お魚がいっぱい泳いでいる。
機嫌をなおしてもらいたく、俺は惜の頭を優しく撫でてみる。
さらりとしているように見えて、触ると、意外に髪はとても柔らかい。
「ん……」
しかし、惜は頬を薄く桜色にしたあと、俺から少し離れて逃げた。
悦を感じた。叶うならもう一度撫でたい。
やがて、コンロにカチッと火が付いた。
- Re: イル 序章「お前」3 ( No.3 )
- 日時: 2016/08/23 23:15
- 名前: 茶色のブロック (ID: Lr4vvNmv)
料理というものにいまだ俺は慣れない。料理というか茶漬けを作るくらいは大して平気であるくらいで、もしも惜が野菜や肉や魚を切るものならリビングへ行っている。
俺は料理というもので、例えるなら人肉をミキサーでぐちゃぐちゃにしているようにしか見えないのだ。肉団子はさっきの通り平気だが、過程を見れば食べられない。
「お兄ちゃんって、もう恋人とか作るような歳なのだから、好き嫌いはやめた方が良いと思うな」
惜の顔が、どことなく悲しそうに見える。
「そう言われても、なんかトラウマみたいな感じがするんだよ。吐き気がしまくって喉に通らなくなるんだ」
「じゃあ、おにぎりは? 前に食べてなかったから」
「おにぎりも大丈夫だよ。けれど、具の入ったものは無理だね」
「もしかして……サンドイッチも無理なのかな」
「えっと、ハムマヨかチーズなら大丈夫だよ」
「卵は駄目かな……私の好きなサンドイッチなんだけれどね」
「ぐちゃぐちゃしたものは無理だよ」
「……」
「……」
「うん、わかった」
そして、寂しそうに笑う。
「そうだよね、私の作ったものなんかいつも無視してたし、私が運んだものも無視してたし、私が全部嫌われてるせいで栄養失調になって、お母さんに言われたとおりとてもしつこくして虐めてたから、私は嫌われてて——ふわぁあぁ」
俺には到底聞こえない小さな声で呟いていたと思ったら、いきなり大きな欠伸をした。両目の端から大きめの涙が流れ、惜はそれを両手で拭う。
「お兄ちゃん、眠い……」
「なら、早くに起こさずもう少し寝てたら良かったじゃないか」
「違いますぅ、お兄様が私の頭を撫でるからですよぅ!」
「いきなり喋り方変えられると、返事に困っちゃうな」
お兄たんの次、お兄様にくらっと来たが耐える。お兄ちゃん、倒れてしまうじゃないか……。
- Re: イル ( No.4 )
- 日時: 2016/09/12 18:49
- 名前: 茶色のブロック (ID: WEFYk.MN)
結局のところ、俺はお茶漬けを食べることになった。
机に並べられているのは、茶碗と皿にのった沢庵。沢庵を一枚口に入れたあと、お茶漬けを口のなかに掻き込む。正直、これでもトラウマを起こすのだが、それを言っては何も食べられない。
惜はお茶漬けに一切手をつけず、俺の様子を眺めていた。
「お兄ちゃん、いつかね、一緒にお料理作りたいな」
「無理だよ。トラウマだからさ」
「トラウマを起こしても、私を大事にしているのなら、叶えてよ」
「どうしたんだよ?」
すると、惜は微笑んだ。
「なんとなく、だよ」
「……」
黙ると、惜もお茶漬けを食べ始めた。
その様子を数秒眺めてしまい、俺は慌てた心で手元のお茶漬けを再び食べ始める。
……人として、失格だと思う。
俺はトラウマトラウマ言ってはいるが、そのトラウマを克服しようとはしていない。にも関わらずに、自分勝手な理由で惜の気持ちを台無しにして、傷つけることをして、本当に酷い奴だ。
努力が足りないのだ、今の俺には。
「いつか、な」
「え?」
「いつか一緒にお菓子とか、お弁当とか、お夕飯を作ろう。ほら、約束」
「あ……」
差し出した右手に、惜は一瞬身動きが止まり、
「……うん」
嬉しそうに笑った。すぐに惜は俺の小指に小さな小指を絡めて、言った。
「約束だからね、忘れちゃ駄目なんだからね!」
俺は、微笑みで返事をした。
- Re: イル ( No.5 )
- 日時: 2016/09/11 01:01
- 名前: ひのえ (ID: AfPwTfPW)
えっと、来てみましたので、一応ご挨拶をと思いまして。
先日は返信ありがとうございました。
……これ、コメントして良いんですかね? ダメだったら消します。
いやー、なんか変な感じがしますね。知らない場所で知っている人とか作品と会うというのは。
惜ちゃんはかわいいですね。かわいい。うん。
返信によってお二人のトラウマを完全理解したのでスッキリです。
序章ということは、続くか、連作になるということですかね?
ちらちら見に来ようと思います。
……そういえば一応私はお義姉さんということですが、多分、多分ですが私のほうが年下だと思うんです(笑
もうこれは世界の設定をひっくり返して茶色のブロックさんを兄にするべきだと思います(錯乱)
それでは、又お会いしましょう。失礼しました。
- Re: イル ( No.6 )
- 日時: 2016/09/11 09:13
- 名前: 茶色のブロック (ID: hjs3.iQ/)
ひのえ様、ようこそいらっしゃいました。
コメント有りなので、消すのは勿体ないかと(笑)
確かに変な感じがします。金木犀さんやみーふぁ先生、青葉様の作品とか別サイトで見かけた時は、なんぞこれ、とか思いましたから。
惜は、言わば世界一になるヒロインですから(笑)
早くマイスマホかマイパソコンが手に入らないか苛ついています。
手に入れば、必ず有名になれると思うんですよね……。
二人のトラウマ、考え付くのにとんでもない時間が必要でした。もうトラウマなのに自慢したいくらい!
この『イル』ですが、ある登場人物の名前です。お話を読む限り、現時点でも分かるかなとおもいます。そして、Anotherのアニメの方並みに仕上げるつもりです。
序章、といいますか、これライトノベルで三十巻くらいに仕上げるつもりなのですけれどね。時間が足らんのですよー。
お義姉ちゃん、ではないと……!?
でも、私は高一ですよ? もしお義姉ちゃんが、俺のひのえ、という年下の妹なら、お義姉ちゃんは私を兄で呼ばなくては……。
と言いつつ世界の設定ですか(笑)
何てこと(笑)
父親母親が私の息子娘になってしまいますよ(笑)
はい、又お会いするときを楽しみにしております。
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