ダーク・ファンタジー小説
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- ストラグル タブー サクリファイス
- 日時： 2017/08/24 16:18
- 名前： 狂yuki （ID: WgIzNCa0）
- 参照： http://www.z-z.jp/?earth-love
主要登場人物
柊 拓徒(ひいらぎ たくと):両親を侵略者に殺された過去を持つ15歳。そのため、仲間の死を許さない。ファッションセンスがないのがコンプレックス。階級は少尉。
十文字 麗子(じゅうもんじ れいこ):とても堅実な24歳の女性。拓徒を我が子のように可愛がり、ときに厳しく接する。階級は中佐。
南 勇児(みなみ ゆうじ):お調子者だが拓徒からは信頼されている。14歳。階級は少尉。
クローリー・レイン:拓徒が密かに憧れるファッションリーダーの上官。25歳。ルックスもいいのでモテる。階級は大佐。
桜庭 凛音(さくらば りんね)寡黙だが密かに拓徒に好意をよせる14歳。階級は中尉。
鬼宮原 飛鳥(おにみやはら あすか):少し天然な麗子と正反対で、拓徒をしっかり導こうとする。名家、鬼宮原家に生まれたエリート少女。17歳。階級は大尉。
宝倉 天奏(たからのくら あまね):旧日本の本家の令嬢。常に気丈に振る舞うが、拓徒には、少しだけ気を許したような態度を取る。
敵
セラフィム
地球を突如襲った謎の侵略者。古代生物のような見た目に反して、脅威の能力を持つ。
プロローグ
ゲンシ
地球が、宇宙からの侵略者達によって破壊されはじめた。
侵略者は圧倒的な力を持っていた。人間は抗う術を知らずに逃げ惑うだけだった。世界中の主要都市は全て破壊された。
しかし
1987年、人類の抵抗が始まった。
人類は、人型超戦闘兵器「メシア」を開発。
そしてついに、人類の希望の砦「地球死守軍」が動き出した。
絶対的侵略者に反旗を翻す時が来た。
ー世界の中で侵略を免れた都市、名古屋。
そこに、地球死守軍の拠点のひとつがあった。
そこへ、セラフィムが襲来した。亀型のセラフィム。
司令が実動部隊に指示を出す。
「実動部隊、緊急配備！敵は時速10キロメートルの超低速型！しかし配備が遅延すれば
確実にメインタワーが破壊される！準備を急げ！」
その指示は軍施設全体に響き渡った。
整備員達が最終確認を終えた頃だ。
そして、拓徒達もこの指示を聞いていた。
「……よし。行くぞ」
「………待て。カレー全部…」
「黙れ行くぞ。カレーなら明日食わせてやる」
お調子者の勇児を連れ、運命の戦場へと向かう。
続く
- Re: ストラグル タブー サクリファイス ( No.1 )
- 日時： 2017/02/24 22:00
- 名前： 狂yuki （ID: bmJ5BkM0）
- 参照： http://www.kakiko.info/upload_bbs3/index.php?mode=image&file=396.jpg
人型戦闘兵器「メシア」
その乗降ゲート付近、十文字 麗子は既に待機していた。
「……あ、麗子中佐。流石早いですね」
それに、麗子は微笑んで言う。
「ああ拓徒君。あなたも、いつもより早いじゃない。どしたの？」
「あ、ええと。勇児が『カレー奢ってくれるならいつもより早く待機場に集合してやんよ！』って…」
「おい拓徒、うさぎ堂のカレーじゃねーと許さねえからな！」
「黙れって！…麗子中佐、今回の敵って…その、…ヤバいですか？」
「……え？」
「全機高火力ライフルとメガウォール装備なんて、…通常戦闘なら
隊長機だけ重装備でも充分な筈ですよね」
すると、麗子は顔を曇らせて、
「今回の敵、シークレットフォンの分析データによると、かなりの装甲と火力を持ってるらしいの。欠点はスピードだけ…ほら、これ」
そう言って、麗子はシークレットフォンの画面を拓徒に見せる。
シークレットフォンとは軍に配布される機密情報交換用通信機器のことだ。
拓徒は、シークレットフォンの情報に絶望する。
「…これって…こんなのに外壁超装甲を攻撃されたら…」
「装甲どころかメインタワーも塵になるわ」
そこで、司令室から指示が出た。
「敵、狙撃可能最大射程範囲内に侵入！第二部隊、第五部隊が射撃開始！」
拓徒達は待機中の第四部隊所属だ。
「そろそろ私達ね。でも、私達が攻撃に加わる頃には、相手も攻撃出来る」
「………」
「拓徒君、勇児くん、頼むわね」
「…はい！」
勇児も、ここだけはしっかりしている。
するとそこへ
「俺を忘れちゃいないか？」
金髪で長身の男がやってくる。クローリー・レイン大佐だ。
一度の戦闘で五体のセラフィムを撃破したことでも知られる、軍の中での英雄だ。
「クロ。何してたの！また女ったらし？」
麗子が頭を抱えて言う。クローリーが必死に弁解する。
「待てって！そんなことしてないよ！3ヵ月くらい前からは…」
「…………ねぇ、出来るなら3ヵ月前までのことを報告してほしいんだけど…」
「その頃はしてたよ。もう両脇に抱えれないくらいの女の子たちが俺にメロメ………」
麗子は拳を握ってピクピク震えていた。クローリーは動揺する。
「……ロだったらよかったのにな〜♪あーあ、モテない男はつら…」
「3ヵ月前までやっぱり女ったらししてたんじゃないのよ〜！もう、アンタはセラフィムの前に倒〜す！」
「ひぇ〜。亀の歩みは鈍いけど君の恨みは呪いだ〜！」
などと、おちゃらけている間に、
「第四部隊！ただちに出撃せよ！第五部隊の隊長機が大破！隊長は死亡が確認された！」
司令室からの出撃命令が出た。
そして、第五部隊の隊長機の大破という衝撃的な事実を聞き、一同は驚きを隠せなかった。
第五部隊の隊長 大隈 宗典(おおくま むねのり)はクローリーにも負けない英雄だった。
教官時代は生徒の奪い合いだったという。それだけ実力があり、人気だったのだ。
だから、クローリーがいちばん驚いた。
「…そ、そんな…！宗典…ムネノリ…ムネノリィィィイイイ！！」
すると、遺体回収班が大隈中佐の遺体を運んできた。
腹から下がない。焼け焦げた耐久スーツ。絶望したような表情の顔。
全て、クローリーが一度も見たことのない大隈 宗典だった。
クローリーは遺体をちらと見遣る。しかし、歯を食い縛り、自機のコクピットへと駆ける。
麗子、拓徒、勇児が続けて自機に乗り込む。
絶対、これ以上の犠牲は出させない。
メインエンジン点火 システム:オールグリーン 安全装置解除 リアクター:良好
パネル操作を全て行い、ゲートオープンの信号を確認し、出撃する。
前線に出た拓徒達第四部隊は、地平線の向こうに亀型セラフィムを確認する。
「…確かにあれは手強そうだな…」
珍しく愚痴をこぼす勇児。さきほどの英雄の死に影響されたのだろう。
第四部隊全員の乗機が高火力ライフルを構える。
メガウォールからライフルの銃口だけを出し、一斉射撃準備を整える。
隊長のクローリーが叫ぶ。
「発射！」
その声は震えていた。怒りと悲しみに。
そして第四部隊が一斉射撃を開始。
亀型セラフィムは甲殻による防御で大半を弾いた。しかし
クローリーの一発が頭部に命中する。セラフィムの頭部が割れる。
しかし
『うわあああああああああああッッ………』
第二部隊の隊員の声。
拓徒達はそちらを確認する。
すると、第二部隊の機体が大破していた。
亀型セラフィムは、破損した傷口から高火力のレーザーを放ってきたのだ。
「……っ！」
メガウォールを装備しても、一撃で大破させるほどの火力。
そんな火力のセラフィムははじめてだ。
拓徒達第四部隊は、それでも再び、臆することなく、ライフルを構えた。
続く
- Re: ストラグル タブー サクリファイス【挿し絵一部閲覧注意】 ( No.2 )
- 日時： 2017/02/24 21:59
- 名前： 狂yuki （ID: bmJ5BkM0）
- 参照： http://http://www.kakiko.info/upload_bbs3/index.php?mode=article&id=396&page=1
第二部隊の藤堂中佐。亀型セラフィムの高火力レーザーを食らい死亡。
拓徒がライフルを連射する。
「うおあああああああああああああああッ！！」
セラフィムの甲殻に傷がいく。
第四部隊が壊滅すれば、戦力不足の第一部隊が出撃することになる。
だが、第一部隊では到底、このセラフィムは倒せない。
拓徒達がやらねばならない。
麗子のライフル弾がセラフィムの甲殻を貫く。
「クローリー！」
クローリー機がとどめのメガバスターを背後から取り出す。
「一発で仕留める！！」
射程内に入るまで、拓徒達が牽制する。
そして
「今よ！」
麗子が無線越しに怒鳴る。
クローリーのメガバスターが火を噴く。
ドオオオオオオオオオオオオオオオオン！！
亀型セラフィムは、完全に消失した。エネルギー反応がレーダーから消える。
司令が無線で伝える。
「お前達、ご苦労だった。帰還せよ。」
クローリーは無線が切れたのを確認し、言った。
「今度、司令にプロポーズしようかな...」
一同が突っ込む。
「懲りろ！！」
クローリーは、冗談を言って悲しみを抑えようとしたが、
効き目は無かった...。
続く
- Re: ストラグル タブー サクリファイス ( No.3 )
- 日時： 2017/02/23 21:52
- 名前： 狂yuki （ID: bmJ5BkM0）
軍の食堂のひとつ、「うさぎ堂」のカレーは兵士達の間でかなり評判の悪いカレーだ。
整備員から聞いたところによると、常人が耐久出来る辛さではなく
最早セラフィムを殺せるレベルで辛いらしい。
そんな、聞くだけで嫌になるカレーを、勇児は目の前でモシャモシャと食べている。
思わず、訊く。
「……なぁ勇児」
「あー？何だよ」
「そのカレーさ…」
「…あ、狙ってるな！絶対ダメだぞ！このカレーはやらねぇ！」
「いや、カレーは要らないよ。てか俺の奢りだし。そんなんじゃなくてさ、
そのカレー、辛くないのか？」
「……………………すっげえ辛いよ」
「は？」
すると、勇児は声を潜めて言った。
「…これはここだけの話にしてくれよ…。凛音ちゃんっているだろ？」
「ああ」
桜庭 凛音。今度、拓徒達が所属する名古屋本衛防衛第四部隊に新しく配属される、エリートと名高い少女だ。
「…で、それが何で辛いカレーと関係ある？」
「凛音ちゃん、実は麻婆を作るのが好きらしくてさ。でもその麻婆がま〜辛いんだと。
下手すればこのカレーより！」
拓徒は一瞬たじろいだ。味にうるさくない兵士ですら文句を言うような激辛カレー…
それを越えるカレーとは…。
「………え？でも、それ、食わなきゃいいだろ」
「それがそうはいかないんだよ！作戦遂行中、臨時拠点とかって食堂ないからさ…」
「…俺たちのうちの誰かが食事を作らなきゃならないな………うげッ！！」
「そうなんだよ！しかも俺たちは料理出来ないだろ？」
「麗子中佐とクローリー大佐は？」
「バカヤロ！二人ともスタイル抜群ってことは普段料理も味薄めにしてるに決まってるだろ！
凛音ちゃん、多分『ほほほ！あんたたち使えないわね！今日からはもう私が作るわ！』ってなるのがオチだよ！」
「…一応言っとくが、体型と料理の味の薄さはそんなに関係ないと思うぞ」
「大いに関係あるね！」
「というか、臨時拠点での自炊訓練はやったけど、
あれこれまで一回も実践したこと、ないよな」
「…まー、まだ平和な方でいーんじゃねえの？
確かに東京とか大阪とか、外国も、セラフィムにぶっ壊されて滅茶苦茶になっちまったけど…
でも、それでも俺らこーしてさ、生きて友達でいられて…、
何か、もうこれ以上のことを望んだら、神様が天罰下して俺らを引き離すんじゃないかなぁって…」
「…………」
勇児が、珍しく真面目な表情で言う。
するとそこに、クローリーと麗子がやって来た。
「…あ…」
勇児は慌てて二人のもとへ駆け寄り
「あ、あ、あ、あのーですねぇ、その、さっきのは何ていうかその…
いや、ホント味の薄さとスタイルは関係ないっすよね！
拓徒の奴が『中佐と大佐の作る料理は味薄そう』とかバカなこと言うもんだから…」
「おいテメー！」
すると、二人は何があったのか分からないというふうな顔でそれを受け流し、麗子が二人に告げた。
「葉月司令から呼び出しよ」
「はい。分かりました。至急」
二人が行ったのを確認して、麗子が言う。
「……あ、このカレー…本当に食べてたんだ、勇児君。あはは、水、空っぽじゃない。私も食べてみようかしら…」
するとクローリーが横から茶化す。
「やめとけって、恋とカレーは甘いのがいちばんだ」
それに麗子は、
「ふざけてるとあなたも葉月司令に呼び出しくらうんじゃないかしら？」
「……へいへい。慎みますぅ〜」
そして、顔を見合わせて、笑った。
続く
- Re: ストラグル タブー サクリファイス ( No.4 )
- 日時： 2017/02/24 22:52
- 名前： 狂yuki （ID: bmJ5BkM0）
- 参照： http://www.kakiko.info/upload_bbs3/index.php?mode=image&file=397.jpg
拓徒と勇児は、おそるおそる、葉月司令のいる大きな部屋に入った。
「は、葉月司令...?」
葉月司令はデータで埋め尽くされたモニターに集中している。
勇児はそれを考えずに、もう一度呼ぶ。
「司令！！」
「聞こえている！何度も呼ぶな！」
葉月はようやく返事をした。
呼び出したのは葉月だが、それを指摘したら多分...。
勇児ですら怯える女性なので、察しはつくだろう。
葉月は咳払いをして言った。
「...貴様ら第四部隊にミッションを与える。」
「ミッション？」
二人は怪訝に思い、訊いた。
続く
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