ダーク・ファンタジー小説
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- レールの敷き方
- 日時: 2018/05/05 08:54
- 名前: ゆっくり (ID: 5mFOhOS/)
産まれてから中学2年生まで
大半の人が敷かれたレールの上を歩いてきたんじゃないだろうか。それが中学三年生になると自分で「進路」というものを決めてそれに向かって努力をする必要がある。中には適当に行ける高校を決めるだけの人もいるかもしれない。受験をしたことの無い自分にとってはとても不安なことだらけだ。
私たちはどうやってレールを作っていこう。
- Re: レールの敷き方 ( No.1 )
- 日時: 2018/05/05 08:56
- 名前: ゆっくり (ID: 5mFOhOS/)
「やばいよ・・やばいよ。」
午前11時近く
春休み初日のこと。
制服姿で重いカバンを持って息を切らしながら走っていた。
昇降口まで来ると走るのを止めて呼吸を整えた。
清水音羽きよみずおとは
「まだ余裕じゃん。」
彼女は清水音羽
今年から中学三年生になる。
「早くない?」
あとから入ってきた同級生が言う。
清水音羽
「そうかな。準備あるから早く来た方がいいって言ってなかったっけ。」
速水優衣
「まあ早いに越したことないか。あと気のせいかな?昨日一緒に買った時より差し入れ増えてない?」
清水音羽
「お別れ会のこと話したら叔母さんがくれたの。」
速水優衣
「めっちゃいいじゃん。私なんかお小遣い無くなるの嫌だからファンタしか買ってない。」
清水音羽
「ファンタ?!ポッキーもうひと袋あげるから少しちょうだい!」
速水優衣はやみゆい
「いいよ。2本あるから。」
音羽と一緒に話してるのは速水優衣
2年でクラスが同じだった。
一応それなりに仲が良いとわたしが思い込んでる。実際はどうか分からない。
2人で階段を上がり音楽室へ行くと
秋花真理子あきはなまりこ
「おはよう!荷物は準備室の中にしまっておいてね。」
音楽担当の秋花先生
歳はかなりいってるけどスタイルが良くて綺麗
あと優しい。成績の付け方がどの先生よりも甘い。
赤点とってもよほど変なことしない限り3以下はつかない。
普通に助かる。
清水音羽
「はーい!」
秋花真理子
「随分持ってきたね。」
清水音羽
「みんな持ってくるって言ってたけど。全部食べられますかね。」
音楽室の中にはもう何人か人がいた。
机の上にお菓子をパーティー分けにしたり準備している。
速水優衣
「三年生もう来てます?て言うか全員来れます?」
秋花真理子
「残念だけど一人欠席・・北条がね。」
速水優衣
「わあ。主役的存在なのに。」
清水音羽
「なかなかみんなの予定が合うのは難しいよ。」
秋花真理子
「そうそう。もうすぐ時間だから1、2年は並んどいて。」
春休みだと言うのになぜ音楽室に来たか。
この学校には部活とはちょっと違くて「昼休み合唱」って言う昼休みになんもすることがない陰キャの集まりがあるんだけどその三年生のお別れ会がある。
今日は一二年で「さくら」を歌い
全員で「トレイン・トレイン」を歌い
速水優衣
「えっと。じゃあ身長が150センチ以内の人!」
清水音羽
「はあ?!私しかいないの?!」
レクで「なんでもバスケット」をやった。
5回座れなかったら罰ゲーム
清水音羽
「4回目じゃん。・・それじゃ肩に髪がついてる人」
「なんでもバスケット」って言うのはほとんどの人がルール知ってると思うけど人数分からマイナス1イスを引いて円を作り例えば「八月生まれの人」とか「乙女座の人」とか条件を言ってそれに当てはまる人が動いてイスを確保する。
「それじゃ体重40キロ以下の人」
清水音羽
「死ねっ!」
「はい。5回目!」
今はあれだね。
うん。いじめられてる。
秋花真理子
「それじゃこれ以上やると食べる時間なくなるから終了!」
清水音羽
「ああっ!」
軽く発狂した。
「ドンマーイ」
「罰ゲーム何にする?」
同級生がニヤニヤしながら話していた。
速水優衣
「内村先生を怒らせてきて。おい!先公!って言ったら大体の先生は怒るから。」
清水音羽
「やだ!死ぬもん!」
さっきちょこっと出てきた
内村先生は国語担当の先生
普段は優しいけど怒ると超怖い。
詳しいことはまあ後ほど
速水優衣
「罰ゲームだからね。」
清水音羽
「いじめだ!」
「お前どこの高校?」
「横野総合高校」
「俺の高校まじやばい。ギャルとかオラオラしたやつめっちゃいんの。まじ気持ち悪い!」
ポッキーを口に含めると近くから今年高校生になる人の会話が聞こえた。
「高校生でピアスしてる奴なんだろうね。」
「ミニスカは引く。俺より足細くなって出直してこい!」
自分で受けた高校なのに随分と不満を垂れ流すなあ
わたしは一応志望校は決めてある。
今の学力じゃ到底無理な高校だけど。
清水音羽
「・・・・」
- Re: レールの敷き方 ( No.2 )
- 日時: 2018/05/05 08:57
- 名前: ゆっくり (ID: 5mFOhOS/)
「はい。勝った!」
「クソー!」
体育館で発狂しながら走っていく男子がいた。
彼は体育館のすぐそこの水道の蛇口を思い切り捻り乱暴に顔を洗った。
清水音羽
「うわっ!とんだ。」
大石大地おおいしたいち
「ごめん!ごめん!それと次試合」
水筒に水を入れてる音羽の体操服に水が飛び慌てて蛇口を閉めた。
清水音羽
「誰とだったっけな。」
大石大地
「花凛とだったような。」
清水音羽
「よし!死んでくる!」
大石大地
「笑うな!怖いから!」
彼は大石大地
2年生で同じクラスでそれなりに親しいと思い込んでる。ときどきすごいくだらない喧嘩をすることがある。
わたしは卓球部に所属している。
2年の夏までは北海道に住んでいてその時は運動は苦手だし自分に合う部活がないから部活に所属していなかった。引っ越してからは部活やってみたいなと思ってこの学校は文化部が家庭科部・美術部しかなくこれらの分野が壊滅的なため運動部で一番楽そうな卓球部にした。ちなみにわたしの体力は悲惨だ。
大澤花凛おおさわかりん
「また勝った。」
試合に買ったら普通喜ぶものだけど当たり前のようになってる。
清水音羽
「わたしなんぞ暇潰しにもならないってか。その反応は。」
大澤花凛
「そこまで言ってないって。」
彼女も同じクラスでしっかり者で正義感が強いがたまに手が出ることがある。男子に負けないくらいの体力がある。卓球部の部長
内村陽太うちむらようた
「時間だから片付けてミーティングの準備して。」
ホワイトボードに試合の結果を書き込み指示した。
清水音羽
「おいせんこっ!・・内村先生!」
内村陽太
「いま先公っつった?!で、なに?」
清水音羽
「言ったけど言ってません!新入生の勧誘ポスターどこに貼ればいいですか?」
内村陽太
「なんなんだよ。4階の部室の前に貼っといて。」
清水音羽
「分かりました!あとこれは罰ゲームで決して自分の意思じゃないんで。」
内村陽太
「地味な罰ゲームだな。」
清水音羽
「他に何があるんですか。」
内村陽太
「禿げてる人にハゲっていう。デブにデブって言う。チビにチビって言う。」
清水音羽
「先生は今わたしを怒らせました。」
内村陽太
「頑張れ。俺も自分で言ってて悲しくなった。」
部活が終わりいつものように駅に向かった。
私が住んでるのは1駅先のマンション
清水音羽
「ただいまと言っても誰もいませんよっと。」
玄関のドアを開けて自分の部屋に入る。
ジャージから部屋着に着替えて勉強する時間までYouTubeを見ていた。
「ただいま。」
今帰ってきたのは同居相手の人
そもそもなんで私が学校から遠いこのマンションに住んでいるか。わたしの母親は2年の冬休み中に消えた。そして叔母さんに引き取られこのマンションで別々に住んでいる。その同居相手がまぁわたしと同じような状況だった。なんで引き離しているかはわたしの同居相手の人と一緒に暮らしてもなかなか打ち解けることが出来ずにいた。だから叔母さんはその人が伸び伸び暮らせるようにマンションを買ったそうだ。
なのによそ者のわたしが上がり込んじゃっていいのかなって思ったけど。
最初はしんどかった。
相手は高校三年生の女子で県内でトップの高校に通ってる優等生
とても気難しい性格の人
ご飯を作ったら「媚びてるなら止めて。」「お互いに居ないものと思って生活して」と冷たい。
だけど私がインフルに掛かった時はお粥作ってくれたり薬買ってきてくれたりしてずっと看病してくれたから何だかんだで優しい性格の人だなって思ったりもした。
実際冷たいのか優しいのか本当によく分からない。
清水音羽
「・・・・なんじゃこれ。」
LINEの通知が50件
グループとかだよね?個チャだったらいじめだ。
清水音羽
「オエッ」
昨日のお別れ会の動画みたい。
盛り上がって頭おかしくなった先輩がポッキーゲームをしていた。口しっかりついてるし。男同士だし。
清水音羽
「やば!時間だ。」
- Re: レールの敷き方 ( No.3 )
- 日時: 2018/05/05 08:59
- 名前: ゆっくり (ID: 5mFOhOS/)
神代美玲かみしろみれい
「なの、ひなの!」
神代陽菜乃かみしろひなの
「・・・・」
神代美玲
「聞こえてんの?!いい加減にしないとスマホ取り上げるよ!」
神代陽菜乃
「それはいや!」
とある一軒家での事だった。
音羽の叔母の神代美玲が娘の陽菜乃に夕食ができたことを報告したが今日買ってもらったばかりのスマホに夢中になっていた。
神代美玲
「だったらとっとと来なさい。今すぐに。」
神代美玲
陽菜乃の母親
外見の特徴として身長はやや高めでやや細め
茶髪の肩につくストレートヘアー
服装として日によってバラつきはあるがまぁラフなチュニックブラウスで下はジーパン
神代陽菜乃
「はーい!」
神代陽菜乃
今年から小学六年生
外見の特徴として
同級生と比べると小柄
髪は親譲りの薄目の茶髪で耳の下でツインテールにして結んでいて長さは肩より少し上
服装は小学生らしく白い長袖のシャツに紺のジャンパースカートを着てしたには黒いタイツを履いていた。
神代陽菜乃
「あした音羽ちゃんとLINE交換出来るかなー」
機嫌良さそうに軽くスキップをして階段を降りた。そんな陽菜乃を見て美玲は優しそうな笑みを浮かべた。
神代美玲
「本当に音羽ちゃんが好きなのね。」
神代陽菜乃
「うん!大好き!」
{浜ヶ丘中学校}
斎藤明さいとうあき
「新三年生の先生の中で誰か荷物運びしてくれない?体力のある若いのとか。」
元2年生学年主任の斎藤明が職員室で呼びかける。歳は秋花と同じく60代くらいで身長はやや高め。茶髪の肩に付くか付かないかの癖のある天然パーマが特徴
生徒が選ぶ怖い先生ランキング一位である。
担当は英語で60歳既婚で子供が自立している。
坂下真理亜さかしたまりあ
「はい。やります。」
キーボードを打ち返事したのは音羽の2年生の頃の担任の先生
外見の特徴として身長はやや高めで細め
白い肌に鮮やかな桜色唇に透き通る声
胸元まである黒くツヤツヤな髪
そして何よりも彼女の特徴を物語るのは大きな胸
服装は白いブラウスの上に黒いカーディガン下は黒の膝丈スカートでその下に黒いタイツを履いている。
怖い先生ランキング二位
美人ランキング一位
生徒があげる坂下先生の特徴▶クールビューティ担当は理科で年齢27の未婚
宮村麗子みやむられいこ
「内村先生も手伝ってやんなって!女性にあんな重たいもの持たせる気?」
キーボードを打つ手を止め口を挟んだのは今年2年生担当の宮村麗子
外見の特徴として身長は高めそして細め
すごく細い。芸能人で例えると桐から始まって玲で終わるあの人分かるよね。
黒髪の緩い天然パーマをポニーテールして肩に着くくらいの髪と耳のやや下の前髪と1センチ近くある長いまつ毛
服装はほとんど白いTシャツの上に赤いラインの入ったジャージを着ている。下もおそろい。彼女がスーツを着るのは始業式や修了式など特別な行事がある時くらい。
バド部の顧問をしていて「鬼畜顧問」と呼ばれている。数学担当で28歳既婚
内村陽太
「はい。分かりました。」
宮村に指摘されてペンを止めて席から立ち上がったのは多分今年も三年生担当になるであろう内村陽太
初登場で説明しておくべきだった外見の特徴として黒縁メガネを掛けていて身長はやや低め。
髪は前髪が眉よりやや下らへんでサラサラのベリーショート
上は服装は白いワイシャツに紺のネクタイ
下は普通に黒いズボン
紺のジャケットは常に全開
好きな先生ランキング一位
美人ランキング二位(内村先生は男)
国語担当の27歳未婚
内村陽太
「重いのから運びます?」
坂下真理亜
「内村先生はそこの各クラスの総合ファイルと学習ファイルをお願いします。わたしは新しい教科書を少しずつ運びますから。」
2年生の学年室に来た二人
教科書の入ったダンボールやら3年間使うファイルやらたくさん置いてある。
内村陽太
「一番軽いじゃないですか。ファイルとか。」
坂下真理亜
「私の方が力あるからいいじゃないですか。分かったらとっとと運びますよ。」
内村陽太
「正論過ぎてなんも言えねぇ・・」
小声で呟きリングファイルの山のうちの半分を運び始めた。
真理亜はひとクラス分の教科書が入ったダンボールが手に持った。
内村陽太
「あれ、やばい。段差が見えない。」
坂下真理亜
「1度にそんなに持つからじゃないですか。」
陽太がファイルの山で階段の段差が見えなくなり慎重に降りていくのに対し真理亜は軽々と降りていき下から少し呆れた表情で言った。
内村陽太
「ああっ!クソっ!」
階段の一番上にそのうちの半分を置いてさっさと階段を降りた。