ダーク・ファンタジー小説
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- 喧嘩無双
- 日時: 2024/05/15 23:57
- 名前: ミートスパゲティ (ID: LQINEF0U)
- 参照: https://www.kakiko.info/profiles/index.cgi?no
>>1- 一気読み用
・ストーリー編
チーム結成編
>>1 1話「繰り返す日々」
>>2 2話「族絡み」
>>3 3話「消えた愛人」
>>4 4話「偽物」
>>5 5話「怒り」
>>6 6話「デマ情報」
>>7 7話「逆恨み」
>>8 8話「新たな事件」
>>9 9話「新発見」
>>10 10話「決戦前夜」
>>11 11話「初陣」
>>13 12話「チーム結成!?」
・扇堀豊連合軍戦編
>>14 13話「謎のメッセージ」
>>15 14話「助っ人」
>>20 15話「決戦へ」
>>23 16話「敗北…?」
>>25 17話「喧嘩屋」
>>29 18話「悪英雄」
・関西連合傘下編
>>32 19話「傘下提案」
>>33 20話「決意」
・狩屋戦編
>>35 21話「不吉な予感」
>>37 22話「忍び寄る不穏な影」
>>39 23話「最悪の事態」
・武道戦編
>>41 24話「新たな敵」
>>43 25話「増援」
>>44 26話「釣り野伏」
>>45 27話「予想外の助っ人」
•八苦座戦編
>>47 28話「共同任務」
>>49 29話「接触」
>>50 30話「脱出」
>>56 31話「リベンジ」
>>58 32話「抗争開始」
>>59 33話「総長発見」
>>62 34話「50vs1」
>>63 35話「偽物」
>>64 36話「危機一髪」
>>65 37話「チャカ使い」
・悪英雄作戦会議編
>>69 38話「武器」
>>70 39話「徹夜の成果」
>>73 40話「チャカで暴走」 →「お悩み相談室編」へ続きます。
・魔異鼓護衛編
>>77 41話「護衛任務」
>>80 42話「野宿」
>>81 43話「急襲」
>>84 44話「地獄」
>>86 45話「壊滅寸前」
>>87 46話「まさかの援軍」
・内通者抹殺編
>>88 47話「内通者」
>>92 48話「取引」
>>94 49話「噂」
>>95 50話「犯人」
>>96 51話「説明会」
>>97 52話「戦」
・龍心誘拐編
>>98 53話「誘拐」
>>99 54話「最悪の予感」
>>100 55話「拉致」
>>101 56話「目印」
>>102 57話「涼達の作戦」
>>103 58話「公開処刑」
・悪英雄巨大化計画
>>106 59話「新しい仲間」
>>109 60話「正しい仲間の集め方」
>>111 61話「受付」
>>112 62話「悪英雄作戦会議2」
>>113 63話「構成発表」
・八苦座侵攻編
>>114 64話「司令」
>>115 65話「連れ去られた拓海」
>>119 66話「八苦座の目的」
>>120 67話「準備」
>>121 68話「全面戦争」
>>126 69話「暴走」
>>127 70話「止まらない暴走」
>>128 71話「酔拳」
>>136 72話「拘束された2人」
>>137 73話「2人を追って」
>>138 74話「同盟成立」
>>139 75話「解離性同一性障害」
>>140 76話「次の司令」
>>141 77話「模擬刀」
お悩み相談編
>>67 1話「悪英雄作戦会議」
>>68 2話「初めての客」
>>89 3話「後輩の頼み」(前編)
>>91 4話「後輩の頼み」(後編)
日常編
>>12 1話「寝起きドッキリ」
>>31 2話「パンチングマシーン」
>>72 3話「皆の休日」 今週の投稿予定
>>74 4話「拓海と華恋のイチャイチャデート」
>>93 5話「寿司パーティー」
勢力図
>>16 結成時
キャラクター紹介
・悪英雄
>>17 >>46 前田拓海
>>18 >>48 永瀬龍心
>>19 >>54 中嶋宗樹
>>21 渡辺宗四郎
>>22 植谷陽汰
>>24 槌井蓮
>>26 浅田淳平
>>27 福田荒
>>30 田口虎徹
>>34 木口華恋
>>105 長澤涼
>>108 谷山流加
>>116 菊下颯太
>>117 中川冬弥
>>118 紀田千尋
・関西連合
>>38 マクリーン・レオ
>>60 国崎智
>>61 坂本綾也
>>66 山本遥輝
>>124 泉幸太郎
>>125 吉田将太
・魔異鼓
>>78 西上瑠騎
>>83 北川達規
・八苦座
>>75 山下裕也
>>122 藤岡弘
>>123 高松香
チーム紹介
>>76 悪英雄
>>79 関西連合
武器説明
>>36 スティンガー
>>42 チャカ
>>82 ドス
お知らせ
>>28 投稿日数について
>>71 投稿日数について、金賞のご報告
>>90 イラスト投稿について
>>104 投稿日数、イラスト投稿などについて
>>107 キャラクター紹介、小説の変更などについて
その他の細かい設定
>>40 ソリーゾ
>>57 チームの種類
>>85 チームの人数
ありがたいコメント、その返し
>>51 >>52 >>53 >>129 >>130 >>131 >>132 >>133 >>134 >>135
2022年 12/18 連載開始
2023年 1/15 閲覧数100突破!
3/29 閲覧数500突破!
4/17 閲覧数1000突破!
5/1 閲覧数1500突破!
7/12 閲覧数2000突破!
9/26 閲覧数2500突破!
11/5 閲覧数3000突破!
2/8 閲覧数3500突破!
4/24 閲覧数4000突破!
・変更内容
詳しくは>>110
・余談
2022冬の小説大会
ダーク・ファンタジー部門次点
2023夏の小説大会
ダーク・ファンタジー部門金賞
この物語はフィクションです。実際の人物、団体とは一切の関係はありません。
- 2人を追って ( No.137 )
- 日時: 2024/04/24 13:32
- 名前: ミートスパゲティ (ID: LQINEF0U)
「おい!綾也、どうすんだよ!?」
そう丁度電話をかけ終わった頃に宗四郎達が駆け寄ってきた。
「まぁ見とけって。」
俺はそう言う。
「見とけって…5分経つまで後1分もねぇぞ?」
そう陽汰が聞いてくる。
「まぁまぁ、落ち着いて見てろ。」
俺はそう皆を宥める。
そして約束の5分は刻一刻と近づいてくる。
「おい!残り10秒だぞ!さっさと降伏しろ!」
そう高松が大声を出す。
(頼む…間に合ってくれ!)
俺は内心焦っていた。
思ったよりも3人の合流が遅いからだ。
「5…4…」
ついに地獄のカウントダウンが始まってしまった。
「3…2…」
(頼む!!)
俺はそう唇を噛みしめる。
その時だった。
「1…」
「ゼロおぉ!」
そう叫びながらレオ達が山下達の後ろから出てくる。
「何でお前らがここに…!」
そう山下は焦っている。
「どりゃあぁぁ!」
焦っている山下を無視し、遥輝は山下を殴り飛ばした。
「総長!」
そう高松が吹き飛ばされた山下を救出しにいこうとする。
「お前の相手は俺だよ!」
そう智がチャカを取り出し、高松の急所を的確に撃ち抜いていく。
「ぐっ!」
高松は痛みで一瞬動きが止まる。
「死ね!」
そう智は高松の腹をドスで抉った。
「ぅ…!」
高松は抉られた場所を抑えて倒れ込む。
「お前ら!撤退や!」
そう山下が指示を出す。
すると全員が戦闘をやめ、逃げる準備を始める。
そして驚くほどのスピードで、逃げ去って行った。
「おい!拓海と龍心がまだ連れ去られたままだ!」
そう虎徹が声を上げる。
「俺達も追うぞ!」
そうレオが皆に指示を出し、それぞれ自分のバイクに乗る。
悪英雄のメンバーは俺達の後ろに乗る。
「幸太郎、場所は?」
「このまま真っ直ぐ行って次の信号を左だ。」
幸太郎は片手にタブレットを持ちながら、そう言う。
「ここを左…。そんでそこで右だ。」
幸太郎の指示通りに進んでいると狭い路地の近くに着いた。
「この奥の建物みたいだな。」
そう幸太郎が言う。
そこには小さな雑居ビルのような建物が建っていた。
「お前らは待っててくれ。」
俺はそう関西連合、悪英雄の幹部以外にそう伝える。
あまりに人数が多すぎたら、狭い建物の中で戦いにくいと思ったからだ。
そうしてレオを先頭として狭い路地を進んで行く。
建物中に入り、人の気配がする1つの部屋の前まで来た。
その部屋の扉の前でそれぞれが武器を構え、中に入る準備をする。
レオはこちらを向く。
俺達が首を縦に振ると、レオは扉を蹴破った。
「関西連合だ!」
そう言い、俺達は中に入り込む。
するとそこには驚きの光景が待っていた。
- 同盟成立 ( No.138 )
- 日時: 2024/05/03 23:25
- 名前: ミートスパゲティ (ID: LQINEF0U)
部屋の中に入るとそこには如何にも高級そうなソファーが綺麗に並べられており、その上に拓海、龍心、山下、高松の四人が座っていた。
まぁ龍心に関しては気絶しているの方が正しいかもしれない。
「関西連合様ですね。お待ちしておりました。」
部屋の一番奥にある社長が座ってそうな椅子に腰掛けている男が立ち上がり、俺達に話しかけてくる。
「まずはこれまでの数々のご無礼にお詫び申し上げます。今までの関西連合様に対する攻撃はこの場に集まってもらう為でした。」
男はそう言い深く頭を下げる。
「そもそもお前は誰なんだよ。」
智が男にそう尋ねた。
「申し遅れました。私、『八咫烏』天神隊若頭、四條千手と申します。」
そう四條と名乗る男は再び深々と頭を下げる。
「八咫烏?そんな組聞いたことねぇが…。」
横で綾也がそう呟く。
レオ自身も地方連合レベルとなればほとんどの組を覚えているが、その中に『八咫烏』なんて組が無かった筈だ。
「八咫烏…!?」
そんな中、幸太郎が一人驚いたような声を上げる。
「知ってるのか?」
俺はそう聞いてみる。
「知ってるも何も、情報屋界隈で『八咫烏』を知らねぇ奴なんていねぇよ!」
そう幸太郎は言う。
「そんな有名なのか?」
淳平が幸太郎にそう尋ねる。
「有名レベルの話じゃねぇよ。四国・中国地方の地方連合だよ。」
「ん?」
俺は幸太郎の話で引っかかる所があった。
「けど四国地方の地方連合は「讃岐連合」だろ?それに中国地方だって「三本之矢」がいるじゃねぇか。」
そう綾也が言う。
そう。俺が引っかかっていたのはそこだった。
四国地方も中国地方も別の地方連合が支配しているのだ。
「それは一年前の話だ。今は「八咫烏」が支配してる。」
確かに。俺達が作った書類は去年のデータを基に作った物だった。
だが、地方連合が一年もの間で滅ぼされるものなのだろうか?
それにもし地方連合程の大きなが滅ぼされたとしたならすぐに情報が入ってるくるはずなのだが…。
「私達も有名になったものですね。」
俺が色々考え込んでいる時に男は再び話し出す。
その時の男の表情は少し嬉しそうにも見えた。
「さて、さっそくですが本題に入らせて頂きます。」
そう男が言うと同時に全員な息を呑む。
「単刀直入に言います。我々と同盟を結んで頂けないでしょうか。」
そう男は思いも寄らない事を言ってくる。
「何であんた達みたいな二地方も治めてる組が俺達なんかと同盟を組もうと思ったんだよ?」
そう綾也が四條に問いかける。
「我々も関西連合様と同じ目的だからです。」
「同じ目的?」
「はい。我々も平和の世を創りたいと思っております。その為に関西連合様と協力し、平和な世を創る為に暴走族を殲滅しようと考えております。」
確かに。平和な世を築くという点では目的は一致している。
だが、それ以上に圧倒的な戦力を持ち合わせているという点がかなり大きい。
ここで味方につけられれば天下泰平の世を築くのもかなり楽になる。
「良いでしょう。これから共に協力していきましょう。皆もそれで良いな?」
俺はそう聞くと誰も首を横に振る奴はいない。
俺は四條の手を握った。
四條も握り返してくる。
こうして、関西連合と八咫烏の同盟が成立したのであった。
- 解離性同一性障害 ( No.139 )
- 日時: 2024/05/01 23:22
- 名前: ミートスパゲティ (ID: LQINEF0U)
俺は気が付けば真っ暗な空間にいた。
(またこの夢か…。)
ということはまた症状が出たのだろう。
(まぁ、俺が悪いんだけどな。)
あの時に症状を出したのは龍心自身だった。
起きたら皆に解離性同一性障害のことを説明しないといけない。
(俺の場合は症状が変わってるからな。)
普通、解離性同一性障害の場合、症状が出ていた時の記憶は無い。
だが、龍心の場合は体の主導権がもう一人の自分に握られているだけで記憶はある。
とはいえ、その時に意識があるというだけで今回の様に真っ暗な空間にいるだけなので、自分が今何をしているかは分からない。
言ってしまえば眠っている状態だ。
(また滅茶苦茶にしてるんだろうな。)
一番最近に症状が出たのは2ヶ月前だった。
その時は家にいた筈が、隣の区まで移動していたという事が起きた。
今回はどうなっているのか。
考えるだけでも恐ろしい。
目を凝らしてみると人影が見える。
その人影の正体は俺だ。
もう一人の俺は地面に座って何処かを見つめている。
「なぁ。そろそろ体返せよ。」
俺はそう奴に話しかけるが、奴からは何の返事も返ってこない。
奴は無表情のまま何処かを見つめ続けている。
「何見てんだよ。」
俺はそう奴の視線の先を見ようとする。
すると激しい睡魔に襲われる。
(そろそろか…。)
体の主導権が返ってくるのだろう。
俺はそのまま眠りについた。
――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
「――心、龍心、起きろ。」
誰かの声が聞こえる。
恐らく拓海の声だろう。
俺は目を開き、体を起こす。
恐らくここは、関西連合の倉庫だろう。
「お、起きたのか。」
「あぁ。」
そう言い綾也が近づいてきた。
すると綾也に続き、俺の周りには続々と皆が集まって来る。
「今回本当にすまなかった。これから説明…」
「そのことはもう虎徹から聞いた。何でこの事隠してたんだよ。」
そう宗四郎が俺の話を遮って言う。
「……変に心配をかけられたくなかったから。って言ってもただの言い訳にしかなんねぇよな。」
俺はそう一息つく。
「本当は早く忘れたかったんだ。あんな事。」
「あんな事?」
そう宗樹が頭にはてなマークを浮かべる。
「俺さ、昔殺されかけたんだ。知らねぇおっさんに。裏路地歩いてたら刃物握ったおっさんを見かけて。丁度誰かを殺そうとしてたんだろうな。」
そこまで話し、俺は一度間を開ける。
「そん時に俺に見つかって計画は失敗に終わった。その腹いせに俺の事を殺そうとしたんだと思う。そん時に初めて本当に殺されると思った。俺は生きる為に近くにあった鉄パイプでおっさんの顔面をぶっ叩いた。おっさんが呻いてるうちに俺は逃げた。そん時のトラウマで俺は解離性同一性障害になっちまった。」
俺が話し終えると少しの沈黙が流れる。
「そんな事が…。すまん…。」
そう淳平が呟く。
「気にすんな。もう昔の事だ。そんな事より取り敢えず、すまなかった。」
俺はそう立ち上がり頭を深く下げる。
「いや、その事はもういい。だからこれからは隠し事はすんな。」
そうレオは俺に優しく言う。
「わかった。」
俺はそう返事をした。
「ならこの話はこれで終わりだ。いつまでも過去の事思い出しても何も進まねぇ。俺達は平和な世を創る為に前に進むだけだ。違うか?」
そう遥輝が言う。
「遥輝の言う通りだ。『八咫烏』とも同盟を結んだ。俺達も早く勢力拡げてくぞ! 」
そうレオがそう言う。
そう。こんな所で止まっている場合では無いのだ。
俺の様な思いをする人が一人でも減るように。
俺達は暴走族を殲滅しなくてはならない。
「気合い入れてくぞ!」
「おぉ!!」
耳が痛くなる程の俺達の大声は倉庫の中に木霊した。
- 次の司令 ( No.140 )
- 日時: 2024/05/13 23:19
- 名前: ミートスパゲティ (ID: LQINEF0U)
「神戸に行ってほしい?」
「あぁ。」
俺と龍心と宗樹、そして宗四郎は土曜日の昼に綾也に急に呼び出され、そう告げられた。
「『八咫烏』と同盟も結んだ。俺達が足引っ張る訳にもいかねぇ。だから完全に関西を統一する事にした。」
そう綾也は言う。
「完全に関西を統一って…。まだ統一できてなかったのか?」
そう宗四郎が尋ねる。
「まだ"完全"には出来てないだけだ。大阪は『大大阪連合』の件で、京都は『魔異鼓』が完全に統一したが、残りの兵庫、奈良、滋賀、和歌山の四県が統一出来てない。そこでお前達に兵庫を統一してほしい。」
「別に構わないが…兵庫なら『八咫烏』と挟んで簡単に潰せるんじゃないか?」
そう俺は尋ねる。
俺達が東側、『八咫烏』が西側から攻撃したら簡単に潰せる筈だ。
「『八咫烏』も俺達と同じでまだ四国と中国完全には統一出来てないらしい。まだ『讃岐連合』の奴らや『三本之矢』の元幹部達が暴れ回ってるらしい。」
讃岐連合も三本之矢も地方連合だ。
八咫烏がいくらでかい組とは言えど、地方連合二組を相手にするのはかなりキツいだろう。
「向こうも大変だな。」
宗樹が他人事のように言う。
その視線は明後日の方向を向いていた。
「あ、それとここに寄って行って欲しい。」
そう言い綾也は俺達にスマホの画面を見せてくる。
「どこだ?ここ。」
そこにはマップで映し出された一つの店が映っていた。
見た感じ洋食屋っぽい感じだ。
「まぁいいから。損することはねぇよ。」
綾也はそう俺達に言う。
「で、神戸の何て組潰してきたらいいんだ?」
そう龍心が聞く。
「『神奈』。神戸、姫路、丹波そして淡路島を拠点として活動する『大大阪連合』に次ぐ巨大な組だ。気をつけてほしいのはあいつらは武器の使いに慣れてる。慎重にいけよ。」
そう綾也が言う。
「ま、取り敢えずぶっ潰してきたらいいんだろ?」
そう宗四郎が言う。
「そういうことでさぁ。」
宗樹がそう答える。
こいつらは何も分かっていないようだ。
「明日にでも行っていいか?」
そう俺は綾也に尋ねる。
「あぁ。もちろん。だがそこに寄るのは忘れるなよ。」
余程大切なのか年を押してくる。
「分かったって。」
俺はそう言い、他のメンバーに明日神戸に行けるかをメッセージで聞く。
幸い、誰も用事がある人はいないようで明日行くことになった。
「まぁ、取り敢えず頼むわ。」
そう綾也は俺達に伝える。
「任せろ!」
そう宗四郎が返事をする。
「なら帰りますか。」
そう宗樹はもう入ってきたシャッターに向かって歩き出していた。
「あ!ちょ待て!」
宗四郎がそう急いで宗樹を追いかける。
俺も宗四郎の後を追いかけるが、途中で龍心が追いかけて来ていないことに気づいた。
「龍心。帰ろうぜ。」
そう俺は龍心に声をかける。
「すまん。先帰っといてくれ。」
そう言われた。
何やら綾也と話している。
俺は言われた通り、先に宗四郎達と一緒に帰ることにしたのであった。
- 模擬刀 ( No.141 )
- 日時: 2024/05/15 23:56
- 名前: ミートスパゲティ (ID: LQINEF0U)
「模擬刀が欲しい?」
「あぁ。」
俺が話を終えた後、そうすぐに龍心が聞いてきた。
「模擬刀なら何本かはあるが…。お前使えんのか?」
俺はそう尋ねる。
ドスなら兎も角、模擬刀ともなると扱いがかなり難しくなる。
模擬刀を扱える奴はそうはいないだろう。
「一応、10種類程は免許皆伝を受けた。」
「免許皆伝!?」
俺は思わず声に出す。
剣道をあまり知らない俺でも免許皆伝の凄さくらいはわかる。
確か、奥義を全て伝授された剣士のみが受けれた筈だ。
しかもそれを10種類程。
それもこの若さで。
「てかお前免許皆伝受けてるなら自分のがあるんじゃねぇのか?」
俺はそう龍心に聞く。
「まぁいいじゃねぇか。」
そう適当にはぐらかされてしまった。
「まぁいい。武器庫から好きなの選んで持って来い。」
俺はそう言い武器庫の鍵を渡す。
「ありがとう。」
そう言うと龍心は武器庫の中へ入って行った。
(ヤバいな。あいつ…。)
俺はそう思わず頭を抱える。
(いや、待てよ。龍心が嘘を付いてるって可能性も十分ある。)
そうその可能性も十分あるのだ。
そもそも免許皆伝を10種類も受けたなんて、話がぶっ飛び過ぎてる。
そんなことを考えている内に龍心は一本の模擬刀を持って武器庫から出てきた。
「これ貰っていいか?」
そう龍心は武器庫から持って来た一本の模擬刀を俺に見せる。
「いいが…。お前本当に模擬刀使えんのか?」
俺はもう一度確認する。
「だから使えるって。」
龍心はそう言い自分の右側に模擬刀を差す。
普通、刀は自分が左利きであろうと自分の右側に差す筈だ。
そもそも龍心は右利きな筈だ。
俺の中で龍心への疑いが深まる。
「なら何か技見せてくれよ。」
俺はそう龍心に言う。
「いいけど…。何かぶっ壊していい物ねぇか?」
「ぶっ壊していい物…。こんなんはどうだ?」
俺はそう龍心に言われたので何故か倉庫に転がっていた丸太のような物を見せる。
「それを何かで固定しててくれねぇか?」
そう言われたので、俺はコンクリートブロック2つを外から持ってきて丸太を挟む。
「これでいいか?」
俺がそう聞くと、龍心は頷く。
「で、何の技見せてくれるんだ?」
俺がそう聞くと、龍心はしばらく考えるような素振りを見せる。
「『新陰流』の抜刀術とかでいいか?」
そう聞かれたので俺は咄嗟に頷いてしまった。
まぁいい。
これで龍心が嘘をついているか知る事ができる。
「久しぶりだからな…。」
そう龍心は自信無さげな事を言う。
龍心は模擬刀の柄の部分に手を添える。
次の瞬間だった。
龍心が目にも止まらぬ速さで模擬刀を抜き、丸太を斬りつける。
模擬刀で斬られた丸太は見事、綺麗に真っ二つに斬られてしまった。
「マジか…。」
ある程度斬れるとは言え、ここまで斬れるとは思っていなかった。
下手したら人間を殺せるレベルだろう。
「な?使えたろ?」
そう龍心は模擬刀を鞘に直す。
「疑ってすまなかったな。模擬刀は持って行っていいぞ。」
「よっしゃ!」
龍心は両手でガッツポーズをして喜んでいる。
こうして俺は、龍心の恐ろしさに気づいたのだった。
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