二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ
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- ボンゴレ一世と亡国の王女
- 日時: 2010/03/08 16:19
- 名前: 蒼井瑞希 (ID: 8TaBVFdu)
はじめまして!!蒼井瑞希・14歳女子です。
新人ですが、頑張ります!よろしくお願いします♪
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- Re: ボンゴレ一世と亡国の王女 ( No.213 )
- 日時: 2010/04/05 16:53
- 名前: 蒼井瑞希 ◆AKXdr04juU (ID: 8TaBVFdu)
「はぁ…はぁ…」
荒くなった息を抑えるように、水を一気飲みする。
「……だめだ」
足りない。水という飲み物じゃ、この喉の渇きは潤せない。
もっと、もっと。体が求めている。水なんていらない。今欲しいのはあれだけだ。
「……血…」
口に出すと、ぞくりと快感が走った。
血、血、血。そう、血がほしい。
それも、あの子の血じゃないとだめだ。君の真っ赤な美しい血。
「何で…?」
君の病気を知った途端、これだ。
一体、どうして。
今までは、君の白い首筋を見ても、吸ってほしいと言われても、欲しいとは思わなかったのに。
『アノコガ シヌクライナラ
キュウケツキデモイイカラ ソバ二イテホシイ』
声がした。自分の中から。
悪寒が走る。
「……やめろ」
胸を押さえる。
『ナゼ オマエダッテ ソウ オモッテイルダロウ』
そう…思ってる?
僕は、目を見開いた。
(血を吸って、吸血鬼にしてでも、生きている君と、ずっと一緒にいたい?)
そう、心の中で聞くと、再び喉が乾いていく。激しく胸が音を立てる。
理性が「やめろ」と忠告している。もう、壊れかけた理性。
その代わりに大きく、強くなった本能は、僕の欲をどんどん膨らませていく。
『いけ。元々、お前は吸血鬼だろう?』
「……」
僕は、頭を抱えた。
ダメだ。君がいないと僕は生きていけない。
関係ないんだ、君が死んでしまうという事実がある以上、たとえ、心が無くなってもいい、君を傍に置いておきたい。
「……」
僕は、口元をぬぐった。
カチャ…。
ドアを開ける。
『すぅ…すぅ…』
君の規則正しい呼吸音。
僕は、正しい。死を目の前にした君だって、望んでいただろう?
自分にそう言い聞かせ、僕は君のベッドの傍まで歩み寄った。
「ん……」
寝ているようだ。安らかな寝顔に、また本能がゾクリとうずいた。
息が上がる。ドキドキする。
欲しい、欲しい、欲しい。
君の血が欲しい。
「…ん…」
顔にかかった君の髪をかきわけると、君は幸せそうな顔をして眠っていた。
「こんなときだって言うのに、君は起きないんだね」
僕は、君の小さな唇にキスをした。
心ある君との、最後のキス。
君の唇は、温かくて、甘かった。
「…ばいばい」
僕は、君の体を抱き起こすと、その首に咬みついた。
「…んっ、え…?あっ」
君が目を覚ます。
「ヒ、ヒバリン様っ」
君は驚いて、抗うように僕の胸を押す。
「ヒバ…」
「黙ってなよ」
僕は、さらに強く、君の血を吸い上げた。君が、声を出せないくらい痛くなるように。
そのつらい声を聞きたくない。
「いた…っ痛い…っ」
君の大きな瞳から涙が。
悪いとは思ってないよ。君も望んでいるはず。だって、君だって僕とずっと二人でいたいでしょ。
泣かないでよ、痛いのも、もうちょっとだからね。あと少しで、君は自由になれるんだから。
君は、もう抗わなかった。ただ、僕を見つめている。
「……っ」
ただ、涙をこぼしながら。
「ヒバ……リ…ン様…っ」
君は、痛さのあまりか、僕の腕にしがみついた。
ああ、君のそのやわらかい体が冷たくなっていくのが伝わってくる…。
でも、僕はあざけるように笑う。
一瞬でも、つらいと思ったら、きっと僕は、血を吸うのをやめてしまうから。
傷つかないで、美しく、純粋なままの君でいて。
「何、君、ずっとこうしてほしかったんでしょ」
一言そういってみせると、不意に、君は笑った。
「はい……ヒバ…リン様…私…嬉しい……」
涙を浮かべながらも、幸せそうに笑う君。
『心はなくても…ずっと…一緒です…』
君の唇がそう動いた気がした。
「!!」
その瞬間、僕にかかっていた暗示はとけた。
何をしているんだ、僕は。
「ダメだ…っ」
僕は、首から口を離した。
嫌だ、どうかまだ、無事でいてくれ。
でも…その時には、もう遅くて。
君は、とっくに冷たくなっていた。
「ああ…」
僕は、君の体を抱きしめた。
その顔は、とても幸せそうで。
もうすぐ、再び君は動き出す。
僕に血を吸われた吸血鬼として。
心がない君は、本能で、僕を主として、傍にいるだろう。
僕と君は、死ぬまで一緒にいるだろう。
それが、君の血を吸った僕への一生のご褒美。
そして、一生の償いだ。
僕は、君の心を愛していた。だから、その心が宿る体も愛していた。
しかし、もう君に心はない。
心ない君を永遠に愛さなければならないという、見かけだけの惨い愛情。
それが、償いだ。
あなたは、私の血を吸ってくれた。
でも、ごめんね、私、あなたを騙してしまった。
無邪気なふりをして、あなたに愛されていた。
本当は、病気になんてかかってなかったのよ。
あの紙は、偽物。
でも、優しいあなたは、それを信じた。
私ね、とあるお金持ちの御曹司に見染められていたの。
結婚しろって何度も迫られた。この容姿だけが、私の自慢だから。
だけど、結婚なんて嫌。私はあなたの物だもの。
でもね、血を吸われて吸血鬼になった女なんて、誰も欲しがらないでしょ。
これで、私はあなただけの物。
優しいあなたは罪悪感を感じて、私を傍に置いていてくれるでしょ?
だから、そう。
あなたも永遠に私だけの物。
愛してる、ヒバリン様。
ずっと、離さないでね。
私もずっと、あなたを離さないから。
私たちは、永遠に離れられない、吸血鬼の館に潜む…
『囚われの二人』
<あとがき>
終わった〜!長かったです…
感想など、いただけると嬉しいです!
次回からはまた、ジョットとレイアを進めます♪
よろしくおねがいします!
- Re: ボンゴレ一世と亡国の王女 ( No.214 )
- 日時: 2010/04/06 14:13
- 名前: 明璃 ◆cFjTObC2sw (ID: 0voqWvLL)
- 参照: 元あかりです。読み方一緒です。トリップもついでに変えました。
嘘だったんだ・・・あれ、この子名前出てなかったような。
なんか感動したよ蒼井〜!(なんか?)
吸血鬼は・・・いいね〜(ぇ
前になんか吸血鬼の話あったんだよ〜それもよかった。うん。(関係あんのか?)
また番外編?も本編も楽しみにしてるよ〜。
- Re: ボンゴレ一世と亡国の王女 ( No.215 )
- 日時: 2010/04/07 17:30
- 名前: 蒼井瑞希 ◆AKXdr04juU (ID: 8TaBVFdu)
ありがとうございます。
名前はね…考えるのメンドイから(-_-;)……うそですよ!?
本当は、名前がない方が読んでる人が感情移入しやすいと思ったからです。
- Re: ボンゴレ一世と亡国の王女 ( No.216 )
- 日時: 2010/04/07 20:35
- 名前: 明璃 ◆cFjTObC2sw (ID: ghfUqmwe)
- 参照: 元あかりです。読み方一緒です。トリップもついでに変えました。
なるほど〜さすが蒼井。
新学期も始まって今クタクタでございます。
そしてご飯食べたのにお腹減ったという・・・
- Re: ボンゴレ一世と亡国の王女 ( No.217 )
- 日時: 2010/04/08 16:54
- 名前: 蒼井瑞希 ◆AKXdr04juU (ID: 8TaBVFdu)
新入生の皆さん、ご入学おめでとうございます。
そして、他の学生の皆さんも、ご進学おめでとうございます。蒼井です。
おそくなっていたレイアとジョット、いきます♪
第26話(合ってんのかな?)
「…………」
もぐもぐもぐもぐ…。
「おいおい、レイア。何怒ってるんだよ」
「怒ってないよ?」
もぐもぐもぐもぐ…ごっくん。
二時間くらい前からレイアの手は止まらない。
「この料理美味しくって。ねえ、リンクさんも食べましょ」
「え、ああ…」
リンクも食べ始める。
「……」
レイアは、内心、もうぐるぐるになっていた。
席へと歩いて行く二人。ジョットは、リサの肩に手を回していた。
(いけない…!もうさっきから、このことばっかり気になってるみたい…。何でかなぁ…?)
それに、思い出すたび、リサに何とも言えない嫌な感じを抱いている。
(ひどい子…リサさんは何にもしてないのに)
ぎゅっ。レイアは、スプーンを握りしめた。
「あ…そ、それで。大事な話って…?」
「そうだな…ちゃんと、話さなきゃ」
リンクは、真面目な面持ちで、レイアを見つめた。
「聞いてほしいんだ。本当に、これからのことにかかわってくるから」
「?…うん」
レイアは手をとめ、リンクを見た。
「…レイア」
「!」
ドキリとした。少し低くて優しい声は、ジョットのテノールのそれと似ていたから。
「…なに?」
レイアはこくりと息を飲んだ。
「俺と、結婚してください」
「!!」
周りの何もかも、見えなくなった。
食事している他の客も、料理を運んでいる店員もなにも、わからない。
広い広い空間に、自分とリンクだけがいる、そんな気がした。
いや、もう…ひとり。
遠くから、じっと見ている。
自分が焦り戸惑い、返事をするのを、じっと見ている。
(…ジョ…ット…さん……)
見ている、憐れむような、馬鹿にするような眼…。
そう、いつも。ジョットが自分を見ているときは、そんな目だった。
優しいと、温かいと思っていた彼は、本当は…。
「レイア」
ハッとする。レストランらしい雰囲気が戻る。
たくさんの人々もちゃんと存在するし、ジョットも自分を見てなんかいない。二階の席で、楽しそうにリサと談笑している。
「…あの、私突然で…どうすればいいか…」
「落ち着けって。返事はいつでもいいから。もうお腹いっぱいになった?」
「え?あ……え、ええ」
「じゃあ、出ようか」
リンクは優しく言って、レイアの椅子を引いた。
その顔は、ただ、純粋に優しかった。
心から、私を愛してくれている人の眼。
(あ……)
レイアは、熱い何かがこぼれるのを感じた。
「レ、レイア!?」
「うぅ…っうっ…」
止まらない。次々に流れていく涙。
「リン…ク…さん…っ」
「どうした、大丈夫?」
レイアの泣き声を聞いたのか、食事を済ませたジョットとリサがかけてきた。
「レイアちゃん?どうしたの」
「…っ」
「レイア。何があった!?」
ジョットの声。レイアの肩がびくりと跳ねた。
やめて、私のところに来ないで。
私が記憶を失った二年前から変わらない、その温かそうで、本当は冷たすぎる眼。
その眼で、私を見ないで。
やめて、やめて、やめて!
私をもう傷つけないでください…っ。
「いや…っ!!」
レイアは、ジョットの手を振り払っていた。
「!」
ジョットの目が見開く。
「……レイア?」
「リンクさん、私」
レイアは、リンクを見つめた。
「さっきのプロポーズ…受けます」
「!…本当に!?」
リンクが嬉しそうに聞き返す。
「もちろん」
レイアはにっこり笑った。
この心をいやしてくれるのは、心から私を愛してくれている、リンクさんだけ。
「レイア…」
茫然としているジョットの隣。
くす…。
リサがひっそりと笑みをこぼしていた。
(まったく本当に…馬鹿な子ね)
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