二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ

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涼宮ハルヒの嫉妬
日時: 2010/09/01 22:37
名前: song (ID: kulimlUM)

 『涼宮ハルヒの嫉妬』始まります♪
 この小説を書き始めて2年が経ちました。いやー、たくさん人に意見・感想を頂けて感無量です。
 何度か小説が消えるアクシデントもありましたが、ここまでやってこれました。いや、まだまだ続くんですけどね(笑)
 これからも、『涼宮ハルヒの嫉妬』をどうぞよろしくお願いします。
 ではでは〜!

—登場人物—

・キョン(本名不詳)
 本作の主人公。全作品を通しての語り手でありツッコミ役も兼ねる。涼宮ハルヒ絡みの厄介ごとを背負い込む苦労人で「やれやれ」としばしば口にする。性格は事なかれ主義。理屈っぽくよく愚痴をこぼすが、文句を言いつつも人付き合いはよく、お人好し。

・涼宮 ハルヒ
 ヒロイン。黄色いリボン付きカチューシャを着けている。美少女ではあるが、性格は唯我独尊・傍若無人・猪突猛進で感情の起伏が激しく、情緒不安定になりやすい。実は『どんな非常識なことでも思ったことを実現させる』という、神にもなぞらえられるほどの力を持っている。
 
・長門 有希
 いつも無口で無表情だが、知識欲、食欲は旺盛。谷口曰く容姿はAランク−。読書を好み、いつも何かしらの本を読んでいる。正体は、情報統合思念体によって造られた対有機生命体コンタクト用ヒューマノイド・インターフェース。平たく言えば人造『宇宙人』。

・朝比奈 みくる
真面目で気が弱い性格。キョンに「朝比奈さんより可愛い生物はいない」と言われるほどの超美少女。正体は、はるか未来から来た『未来人』でハルヒの監視係だが、まだ研修生以下の見習いレベルでほとんど権限が無い。

・古泉 一樹
 いつも微笑を浮かべ穏和な物腰をしており、学校でも女子からの人気は高い様子。正体は『超能力者』であり、その集団である組織・「機関」に所属する。現在の性格や表情などは「ハルヒの願望」に沿った演技であるらしく、そうした演技を強いられる不満をキョンに漏らしたこともある。

・島尾 日和
 今小説オリジナルキャラクター。キョンとの事故がきっかけで彼と親しくなる。家族とは殺人狂による一家殺害という惨い別れを過去に持ち、現在も親戚をたらい回しに。持ち前の忍耐力と天真爛漫な性格が、かろうじて彼女の精神状態を保っており、キョンはその限界を危惧している。

—目次—

 第0話 プロローグ
 >>2

 第1話 スパイラル ジェラシー
 >>3 >>4 >>5 >>6 >>7 >>8 >>9

 第2話 デステニー デイ
 >>11 >>12 >>13 >>14

 第3話 ウェザー コンディション
 >>16 >>17 >>18

 第4話 ミステリック サイン
 >>19 >>21 >>22 >>23

 第5話 クリスマス クリスマス
 >>24 >>25 >>26 >>27 >>28

 第6話 S〇S meetnig
 >>29 >>30 >>31 >>32

 第7話 涼宮ハルヒの嫉妬Ⅰ
 >>42 >>50 >>53 >>56 >>58

 第8話 涼宮ハルヒの嫉妬Ⅱ
 >>61 >>65 >>67 >>68 >>71

 感想・意見など、遠慮なくドンドン書き込んで下さい! 待ってます!

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Re: 涼宮ハルヒの嫉妬 ( No.24 )
日時: 2010/01/07 02:02
名前: song (ID: p17IpJNR)

 第5話 クリスマス クリスマス


「ふぁあ……」
 布団から目を覚ますと、窓の桟から心地の良い朝日が漏れてきていた。
「いい天気だ」
 俺は寝ぼけた頭で体を起こそうとしたがなぜが下半身が動かない。そぅっと目を下に向けると……——

「うわッ ! 」

 布団越しにひよりが俺の脚を枕にしてすやすやと寝ていた。
「……おーい、ひよりー起きろー」
 間延びした声で俺はひよりをさすると……
「ふわッ ! ご、ごめんなさい ! 」
 ひよりはパチと目を開けた瞬間に自分の行動が分かったらしい。
「案外寝相悪いのな……お前」
「こ、これはその……えっと」
 必死に説明しようとするが、結果答えるのは自分の寝相を物語るだけだった。
「いや、別にいいよ」
「あうぅ……」
 真っ赤な顔になったひよりは結構可愛い。そのひよりの姿を見て、俺は朝方にも関らず脈動が活発になるのを感じた。


 — 朝食 —

「おはようございます……」
「おはよう。昨夜はよく眠れたかい ? ひよりちゃん」
 テーブルには母さんと妹がすでに座っていたが、なぜか父さんは鎮座していなかった。
「あれ ? 父さんは ? 」
 さりげなく俺は母さんに聞く。
「もうとっくに会社行っちゃったわよ。今日は帰りも遅くなるんだって。まだ、ひよりちゃんとしっかり挨拶できてないっていうのに……」
 それを聞いたはひよりは少しうつむいたように見えた。
「大丈夫だよ。ウチの親父は異論がなければそれについてしつこく喋らない。つまり、ひよりのことはちゃんと受け入れてくれてる」
 そして、俺は母さんの言葉にフォローを入れる。ひよりの表情も今ので晴れた気がする。
「ありがとう」
 ひよりはニコりと微笑んだ。
「おう」
 俺は軽く会釈し、朝食を前にする。
「さぁ、ひよりちゃんも食べて」
「はい。いただきます」

 ——そして、俺は母親の手回しの早さに本当に驚いた。

「そうだ。言い忘れるトコロだった」
「ん? 何? 」
 母さんは俺を見て何かを思い出したようだ。
「ひよりちゃんの再入学だけど、学校の先生は快く承諾してくれたわ。一度入学試験は受けてるし、今日からでも転入できるって」
「……マジか !? 」
 普通、冬休み前日に転校生を入れるか? 学校側も何考えているんだか……いや、新年を迎える前に入学しておけば、二年になってからも尺が取りやすいからかもしれないな。まぁ、俺の知る範囲ではない。
「ありがとうございます」
 ひよりは座ったまま会釈し、お礼を言う。
「それはいいけど、学校への交通手段は? っていうか、俺も自転車大破して足止めだけど……」
 俺はハシの動きを止め、ここで重要事項を述べた。
「しょうがないから、今日はバスでお行き。自転車はたぶん元に戻らないから、新しいのを買うしかないね」
「……そーなるな」
 そう言えば、バスって手段もあったな。すっかり忘れていた。
 そんなこんなで、俺達はこれから同じ道を登校することとなった。さぁ、ハルヒにバレたらどうしよう。今度はデコピンじゃ済まないぞ。理由を言う前にボコボコにされそうだ。

Re: 涼宮ハルヒの嫉妬 ( No.25 )
日時: 2010/01/07 01:09
名前: song (ID: p17IpJNR)

 — 登校時バスの中 —

「はいこれ」
 俺はひよりから何かを受け取った。
「これは……? 」
「昨日、キョンのお母さんから預かってた。クリスマスプレゼントだって」
 なるほど、と思いこの手に馴染まない分厚い包装を俺は解いた。すると……——
「やっぱりな。去年とさほど変わらない」
「ん? 何それ? 」
 ひよりは俺の肩を乗り出し、ソレを覗き込む。
「『一潤林』……国語辞典だ」
「あはは……」
「ひよりは何か貰ったのか? 」
「う、うん。これを貰った」
 すると、ひよりは満足気に携帯に付いている熊のストラップをかざす。
「そんなんでいいのか? 」
 俺はちょっといじった。
「いいの! 可愛いじゃない」
 強引なところがどことなーくハルヒに似ているようなそうでないような……しかし、俺はこうも思った。

「だいぶ元気になってきたみたいだな」
 気さくに俺は思ったままのことを言う。
「……! そうみたい。昨日なんて本当にたくさん笑ったよ」
 ひよりは少し驚いた後、満面の笑みを浮かべ俺に答えた。

「しばらくは窮屈だろうけど、よろしくな」

「うん。よろしく」

 こうして俺達の縁は深く深く刻まれ、一生消えることなく残っていて欲しいと、心から俺はそう思った。

Re: 涼宮ハルヒの嫉妬 ( No.26 )
日時: 2010/01/07 01:19
名前: song (ID: p17IpJNR)

 昨日俺がサボった学校での時間に何か変わったことがあったかもしれない。そう考えるとほんの少し不安になる。例えば俺抜きの教室・授業。谷口たちが騒ぎ出す休み時間。そして、誰一人ハルヒに意見を交わさないS〇S団。
 どうにもこうにも、今日ばかりは自意識過剰になりやすい。そんな日だ。

「うぃーす」
 テンション低めの挨拶。俺は一旦ひよりを職員室に案内して、一人で教室に入った。
「お! 来たなキョン! お前昨日テレビに出てたよな」
 しょっぱなからの谷口の派生。
「大いに盛り上がってるトコ悪いが、女に縁のない人間に何言われても痛くも痒くもないぞ」
「ウゥッ! 」
 俺の発言は谷口に大きなダメージを与えたようだ。
「そう言えば、昨日キョン学校に来てなかったけど、どうかしたの? もしかして、デートに向けたサボりとか? 」
 そして、今一番からみ辛い国木田が嫌な質問をけしかけてきた。
「別に好き好んでサボったわけじゃねーよ」
「何かあったの? 」
「ちょいと事故ってな。おかげで自転車一台オシャカにしちまった」
「ありゃりゃ」
 大丈夫だったのか? とは聞かない二人。まぁ今の俺を見れば全然問題ないことくらいはわかるだろう。しかし、本当の問題はこの次だ。

「よう。ハルヒ」
「……今日はいつもより早いのね」
 相変わらずおはようの挨拶は返って来ないが、これが俺に対するハルヒの挨拶……なのかもしれない。
「あぁ、昨日自転車ぶっ壊れてな。今日はバスで来た」
「って、それで昨日は来なかったわけ? 半分サボり見たいなじゃない! 遅刻してでも学校には来なきゃ! 」
 いかにも遺憾としてハルヒは俺に訴える。
「お前に叱られてもイマイチ実感湧かねえよ。いっつも校則違反してんじゃねーか」
「自分が悪いくせに、そうやって人の落ち度訴えてるあたり、アンタもまだ子供よねぇ……私がそのねじまがった根性を叩き直してやろうかしら」
 ハルヒは俺の額を鉛筆の尻でツンと当てて言う。何か知らんが今までで一番コイツが憎たらしく思えてきた。
「……あぁそうかい。大層なご高説をどうも……」
「フフン! 」
 勝ち誇ったハルヒは腕を組み、俺を見下す。

 ちなみに、ひよりのことはハルヒには言わないようにしていた俺だが、ハッキリ言ってそれは時間の問題だろう。なんせこんな中途半端な時期に転校生が来ればどこの組だろうと引っ張ってくるヤツなのだから。

 だからこそ俺は思った。ひよりと同じ組なら一体どうなるのだろうか……と。

Re: 涼宮ハルヒの嫉妬 ( No.27 )
日時: 2010/01/07 01:22
名前: song (ID: p17IpJNR)

「おーし、皆席つけー! ホームルーム始めるぞ」
 担任が教室の戸を開け、入るなり頭をボリボリ掻いて現れた。
「起立! 礼! 着席! 」
 クラス委員長が元気良く挨拶し、引っかかりだらけの今日の一日が始まる。
「えー、明日から冬休みに入るわけだが今、転入生の紹介がある」
「!」
 来た。俺の予感は間違うことなくピタリと的中した。
 え? 今日? 明日から休みなのに? という疑問の声をよそに、ギラギラした視線が俺の後頭部を刺した。
「キョン聞いた !? 転入生ですって! それも冬休み前日に! あー私今日は何かが起こる気がしてたのよね! 」
 高らかな歓喜を俺は冷や汗前回で受け止める。
「そーだな……」
 はっきり言ってテンションは上がらない。すると……
「入れ」
 担任のその一言で戸が開き、クラスメイト全員の視線が集まった。そして、その視線の先には……——

「し、島尾 日和です。よろしくお願いします」

 見覚えのあるそのポニーテールの女の子は間違いなくひよりだ。あー頭痛い。
「まぁ、これから暫く休みが続くから、今日は顔見せみたいなモンだ。おら、皆から質問でも何でも聞いてやれ」
 嬉々と語る担任はおどおどするひよりの代わりに話を進行した。
「あーッ! あの時の! 」
「もう静かにしなよ。みっともない」
 お決まりのように谷口は雄たけび、国木田が制止する。その行動はクラスをさらに盛り上げた。
 一方のひよりは真っ赤なカオをして突っ立ている。まぁ当然と言えばそうか。そして始まる質問タイム!
「誕生日と星座は? 」
「十月四日の天秤座」
「趣味とか特技は? 」
「い、以前に絵を描いていました」
「『ひよりん』って呼んでいい? 」
「はい?」
「スリーサイズは? 」
「ほえ? 」
「好きなタイプは? 」
「え?え? 」
 だんだんと質問の趣旨が変わり、ひよりは混乱する。気付けばクラスメイトのほぼ全員に囲まれていたのだから。そして、こんな質問まで……
「どこに住んでいるの? 」
 当然その質問にひよりは戸惑っていた。ちらっと一瞬俺を見たようにも見える。
「ちょっと事情があって……友達の家に居候してます……」
 考えあぐねたのか、それともウソを付きたくなかったのか、ひよりは俺の家とは言わなかった。俺にとってもそれはありがたい。

 気のいい連中に、すっかり馴染んだひよりであったが、ひっそりと息を潜めるヤツが放課後を待っていた!

Re: 涼宮ハルヒの嫉妬 ( No.28 )
日時: 2010/01/07 01:36
名前: song (ID: p17IpJNR)

 — 昼休み —

 ようやく、ひよりのクラス連中からの質問攻めが冷め始めた頃、俺は必死に言い訳を考えていた。正確には説明の仕様だが。
 いつまでもひよりと一つ屋根の下にいることを隠しきれるわけがない。早いウチに俺はハルヒに告白したかった。

「ん〜。ストレートに言うと、これまた閉鎖空間が出来そうだし……かと言って回りくどく言っても結果は変わらん。ん〜」
 悩んだあげく、やはり告白は延期することとなる。
「どうしたのキョン。うんうん唸って……大丈夫? 」
 俺は今、一番心配されたくないやつに心配された。
「何でもねーよ。それよか、やっぱ島尾を勧誘すんのか? 」
「当たり前でしょ! 昼休み中にとっ捕まえて、放課後には部員にするの」
 ハルヒさん、それは拉致です。野蛮な考え方は今すぐ捨てなさい。
「島尾は他のクラス回ってるみたいだし、今日は諦めたらどうだ? 」
「そんな簡単に私が諦めると思う? 」
 ハルヒは俺に指をさして言う。
「思いません」
「当たり前でしょ! 冬休み前日に転校なんて、よっぽどのことがあったに違いないわ。明日あたり校庭のグラウンドに宇宙人からのメッセージが刻まれてるとか! 」
 相変わらずその発想の出所がわからん。というか、そもそも俺はひよりの事情を知っている。
「へいへい……」
 呆れ半ば、俺は答えた。
「ところでちょっと気になってたんだけど、このクラスに転校してすぐに他のクラスへ挨拶っておかしくない? 」
 始まった。ハルヒの無駄に特化した詮索網が。
「お前先生の話聞いてなかったのか? アイツは元々ここの生徒! 前のクラスメイトに挨拶してるんだろう」
「……ふーん」
 妖しくほくそ笑むハルヒ。
 ……しまった。ハルヒにいらん情報を与えてしまったかもしれん。


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