二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ

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 薬指  ( 黒ばす長篇 )
日時: 2012/12/03 15:36
名前: 兎欠 (ID: vj3b3W/M)
参照: 映像からごっそり移動。

→@. 勿体ぶった感情論受けんな
→@. 届けよtell me about it


目を閉じても そう傷んだメモリー。


/!\工業女子(主)の妄想・自己満足小説
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あてんしょんぷりーず(´^ω^)!
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   灰色 [>>02] 秀徳10番とエースと三角関係
   薬指 [>>57] 帝光中バスケ部主将と恋人




 
2012.0527〜2021.0827→2012.0827[ 映像から移転。 ]
唄::: カタルリズム     
( 元もずく現兎欠 )

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灰色 ( No.43 )
日時: 2012/09/20 20:48
名前: 兎欠 (ID: vj3b3W/M)
参照: http://nanos.jp/zotbox77/

27. さようならを




それからの事は、よく覚えてない



気づいたら自分の部屋で朝を迎えていて、空空寂寂な自分に嫌気が差す。




出るものと言えばただただ涙と乾いた笑いで。


ケータイのディスプレイを慣れた手つきで触って打つ『さようなら』



送信者は決まっていた。




川島夏生





送信完了の文字を確認して布団の中に携帯を押し込む。

バッシュと、タオルと、ユニフォームと、部活に必要なものを鞄に詰め込んだ。
部活に出て、バスケして、気持ちを切り替えれば元の俺に戻ると信じて。





『さようなら』はどうしてこんなにも辛いんだろう?



重い玄関のドアを開けて今日も俺は部活へと向かう道を歩んだ。


灰色 ( No.44 )
日時: 2012/09/21 21:14
名前: 兎欠 (ID: vj3b3W/M)
参照: http://nanos.jp/zotbox77/

27. 何一つとして




いつも通りにバッシュを右足から履く。


紐を結びながら、3Pをする緑間をみた。
しかし放ったボールはガコンと音を立てゴールのリングから床へと落下した。



ボムッ




珍しく3Pをはずした緑間に体育館中がシンと静まり返る。




*  *  *




ザァザァと雨がアスファルトを叩き付ける音はもう2時間ほど前から聞こえていた。


折り畳みの傘を取り出し広げる。



「高尾」

低い声がして振り返ると、そこには案の定大坪さん
「なんっスか?」と言うと大坪さんは腕組みをして大きく溜息を吐く。




「最近の緑間はどうも調子が悪いみたいだ。」
「ああ、そうみたいっすねえ」

「お前なにか心当たりはないか?」



むしろ俺はあいつに傷つけられまくってますけどね



そう言いかけて言葉を飲み込む
こんな事を言ったところで何も解決しないのがオチだ。

期待はしていないし、期待をしてどうなるとも思っちゃいない。





いつから俺は誰かに頼る事をしなくなったんだろう


いつから俺は緑間とちゃんと話をしなくなったんだろう




考えれば考えるほど遠い昔の記憶のように感じて




だから緑間と夏生のこと何一つわかんねーんだって今更気づく。





ちゃんと話をしなくちゃいけない。

でも聞きたくないと内心じゃ叫んでる。





『さようなら』は告げたけど、それでいいのか?


灰色 ( No.45 )
日時: 2012/09/23 22:49
名前: 兎欠 (ID: vj3b3W/M)
参照: http://nanos.jp/zotbox77/

29. 超えられない人




足元を濡らす雨


一人で歩く、出会いの街



すれ違う人はみんな笑顔なのに、俺だけは違うようだ。
今はこの街の思い出さえ、痛々しく瞼の裏側を過ぎる。

話を、しなくてはいけないと頭では分かっているのに




それを恐ろしく怖がっている俺って一体なんなんだ。



ふと視線を上げると、傘もささずに前を歩く見覚えのある後ろ姿






「なつ、」



パシャン、



膝から崩れ落ちるようにその後ろ姿が大きく揺れる

肩が小刻みに震えて、夏生の細い腕が自分を抱きしめた。






「う・・・ふ、っ」



嗚咽、


泣いて、る。



駆けつけたいのに、足が動かなくて

声をかけたいのに、声が出なくて





なんでこんな時に限って



緑間、






「なつき」


「しんた、ろ」
「何をしているのだよ」



だから俺は勝てないのか



越えられないのか






・・・何で、俺じゃダメなんだ


灰色 ( No.46 )
日時: 2012/10/20 19:36
名前: 兎欠 (ID: vj3b3W/M)
参照: http://nanos.jp/zotbox77/

30. 残酷な武器




   時として、



   言葉とはとても無残に


   そして残酷な武器として







   存在してしまうのだ。———




* * *



「体を拭け、風邪をひく。」


ずっと探し続けていた、答えは何れにせよ自分で遠ざけていると気づいていた。
それをどう受け入れるか、悩んで迷って苦しんで。



結局、俺はまたここへとたどり着いてしまうのだ。




どうしたものか



彼女はあいつのモノなのに。

俺が手を伸ばしてはいけないと、知っているはずなのに。



突き放したのは自分



だけれど雨の中泣き崩れる彼女に手を伸ばした感情に、罪悪感があるかと問われれば




     『無い』、と答えるだろう。


「しんた、ろ」





俺を見たその瞳は、美しくも艶やかに、だがしかし曇を伴っていた。



「わかん、ないよ」



「・・・」

「どうしたらいいの、私」



そばにいて欲しいと、





会いたいのだと、


願ったのは、紛れもない自分




「わからないよ・・・!」



“会いたい”のその一言に彼女は






これ程に心をボロボロにして



あいつと俺で悩んだと言うのか。







・・・・・・馬鹿にしてくれるなよ。




俺はまた




    “言葉”という武器で







     彼女を傷つける———。

灰色 ( No.47 )
日時: 2012/10/20 20:08
名前: 兎欠 (ID: vj3b3W/M)
参照: http://nanos.jp/zotbox77/

31. 突き放せない




   それは甘くて



   でも切なくて


   まるで






   初恋のような、味でした。




* * *



“会いたい”と表示されたディスプレイを見て、不覚にも涙が溢れてしまった。

それは今、私の隣に肩を並べてくれる人からではない。


過去に拭い去ったはずの、初恋の相手から




どうして今更そんな事をいうの?




私は、あなたに振られたのに。

あなたが私を振ったのに。



私ね気づいたの、やっと。





高尾くんを好きな気持ち


でもいつでも瞼の裏から消えない人は




慎太郎なんだよ。


高尾くんを好きな気持ちに気づけたのに、慎太郎を忘れられない自分に嫌気が差した。
私の“すき”が彼を不安にさせていると知っている。

紙に貼り付けたようなその言葉に彼がどれだけ顔を歪めたか。



心から伝えても伝えても





届かない

届いてくれない




すきよ、高尾くん。



でも








私には、慎太郎を突き放すことも







できないの。


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