二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ

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ひぐらしのなく頃に 輝—第二期—
日時: 2010/06/23 15:33
名前: マユ ◆vars8VB/bg (ID: 13s.kbX8)

新しい仲間が増えた時
それは新たな惨劇を意味する

新たなカケラが増えた時
それは戦いのループを意味する

それでも私は戦える

たとえ貴方が信じないとしても、私は絶対信じてる———

これが運命だとしても、奇跡は必ず起きるから———ッ!

☆*☆*☆*☆

はじめましての方も、お馴染みの方も、クリックthank you!

作った瞬間、消えちまったゼ★ww(連続5度もw
これなんのいじめww

はい、しょーこりもなく作ってしまいましたw
ただでさえ受験時で、小説更新してないのに(-_-;)
オワタ!\(^o^)/


此処はオリキャラ含むひぐらし小説ですw
たまの番外編では、甘〜死ネタまで、色々と取り寄せる…つもり^^;

※部活メンバーからの注意事項※
部活会則、第1条!
魅音「ひぐらしが嫌いな子、若しくは作者が嫌いな子は、さっさとおさらばしたほうが身のためだよ!クックック★」

会則、第2条!
沙都子「これ常識ですが、荒らしやなり済まし、パクリなんてことは絶対にしないでほしいですわ!」
梨花「他の人の迷惑になりますのです」

黒梨花「もし犯したら…その時は覚悟してもらうわよ…?くすくす…」

会則、第3条!
レナ「なるべく控えるよう心がけますが、この小説には多少のグロ、暴力表現が入ることがあります」
圭一「苦手な奴は閲覧を避けてくれよ!」

部活条、第4条!
詩音「あ、更新はのんびりとやらせていただきますので、そこんとこよろしくですーw」
詩音、その台詞ウチの(泣

羽入「では、小説にレッツゴー!なのです☆」


ベルンカステル「作者が他にも書いている、小説置き場よ」

「ひぐらしのなく頃に 輝」
ht☆p://www.kakiko.cc/novel/novel3/index.cgi?mode=view&no=15454
他掲示板
「ドラゴンクエストⅧ 新たな光を差し込む者達」
ht★p://story.web.infoseek.co.jp/story.htm
「ひぐらしのなく頃に 禊」
ht★p://www.monhan.com/patioz/read.cgi?no=1403

♪ひぐらしソング&ひぐらし動画♪
「澪尽し編OP」
h☆tp://www.youtube.com/watch?v=hj0HAaK0kfU&feature=related
「その先にある誰かの笑顔のために」
h★tp://www.youtube.com/watch?v=XdvOUCeYYZo&feature=related
神画質 「Super scription of data」
h☆tp://www.youtube.com/watch?v=hILGMmFHPnY&feature=related
アニメ「ひぐらしのなく頃に解」厄醒し編〜祭囃し編
h★tp://www.youtube.com/watch?v=GRvlA9TSY6Y&feature=related
「why,or why not」
h☆tp://www.youtube.com/watch?v=2Y169Ca5sxE
「最終巻絆、PV」
h★tp://www.youtube.com/watch?v=EVUI67P9Es8&feature=related

〜*♪此処に来てくれた仲間達♪*〜
ゆずき
うっさー
ユメさん
まっさん
藍羽さん
瑠留
月乃さん
クリスティさん

皆!ありがトゥーッス☆
〜*〜*〜*〜*〜*〜*〜*〜*〜*〜

では楽しんで読んでもらえたら光栄です♪

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Re: ひぐらしのなく頃に 輝—第二期— ( No.1 )
日時: 2010/03/02 18:21
名前: マユ ◆vars8VB/bg (ID: 3vRaS4Dr)

         番外編2、雪祝し編

—圭一side—

—12月24日—
今宵は聖なる日———。


「Merry Xmasッ!」
パーンと、部屋中にクラッカーの音が響いた。
皆一斉に鳴らしたせいか、火薬のような臭いが充満し、俺は思わず咳き込む。


「よし!今日はパァーっと派手にやるよ!」
サンタのコスプレもし、通常より一層騒がしくなる俺達。

そう、今日は待ちに待ったクリスマスイブ!
クリスマスは皆用事があるということで、今日パーティーをすることになった。

先日、全員で大急ぎで立てたツリーは、電球が色とりどりに光っている。



「よし!皆はサンタに何を頼んだかな?」
「今時サンタかよ・・・」
「サンタクロース・・・。それは人々の幻想なのか!それとも現実なのかッ!」

「サンタはいるよ!」
いつもの騒がしい姿とは裏腹に、純粋な気持ちをぶつける麻由。
ロマン好きだなぁ・・・おい・・・。

その麻由に便乗して、レナも意見を出す。
「サンタさんはいるんだよぉ☆」
その言葉を聞き、皆は黙り込んだ。

「ランディ君人形みたいなサンタさんが、レナにプレゼントを持ってきてくれるの☆」
そのかぁいいモード全開レナのお約束に、周りは苦笑いを忘れない。
多分レナの場合、産業廃棄物の不法投棄業者全員がサンタの気がする・・・。

「てか、趣旨変わってっから」
桃が突っ込むと、零と優羽が「うんうん」と頷く。
それを見た魅音は、「いけない」と自分の頭を小突いた。


「コホン・・・」
一つ咳払いを済ませ、途端に目を光らせる。


「それでは、クリスマスイブ恒例のアレ!やりますかッ!」
魅音が勿体ぶるように目を光らせるが、言いたいことは分かっていた。

「「プレゼント交換!」」
声を揃えてジャンプをする。着地の際に、畳が軋んだ。


部屋の真ん中には、仲間分のプレゼントが集められる。
しかし、皆同じ袋に入れただけで、ラッピングはしていない。

「だってぇー・・・。ラッピングしたら、誰の物か分かっちゃうじゃ〜ん!」
「でも、そしたらやり直しとかさ・・・」
「今回は、一回のやり直し無し!」
魅音の言葉を聞いた時、一斉にブーイングが起こった。

「それはキツイだろ・・・」
「だよなぁ・・・・?」
「はいはい!却下却下ッ!」
仕方なく了承し、魅音は背を向ける。
すると魅音は、用意していたラジカセとカセットテープを取り出す。


「よし!じゃあ、試しに曲を流すよ!」
始まりが待ち遠しく、これでもかと胸が躍る。

そして、魅音がラジカセのスイッチを押した。


「・・〜〜〜♪」
「「・・・・・」」
そのメロディーを耳にした瞬間、俺達の顔は一瞬にして冷める。
「これ・・・『戦場のメリークリスマス』?」
「そのとーり!」
ビシッと親指を立てる。

「お姉・・・。空気読めなさすぎますよ・・・」
いやいやまったくだ・・・・。
真面目に空気を呼んでくれ・・・。

その楽しそうな表情は、俺達の反応で徐々に曇って行く。

「魅音」
「ま、麻由。な、何?」
麻由は魅音に迫り、怒り口調で問い質した。

「今日はクリスマスイブなんだよ。楽しい楽しいイブなんだよ。それを・・・それをお前はぶち壊しにしたいのかぁぁぁ?」
「わぁぁ!ご、ごめんごめん!」


そして、後に魅音にはお持ち帰り刑が決行されるとして、再会する。

「まあこんなこともあろうかと、ウチもピッタリな曲を持ってきたんだよ」
そして、テープをラジカセにセットし、スイッチを押した。

「〜〜〜♪〜〜♪〜〜♪」
それは、ケ○タッキーのCMで有名な、あの竹内さんの曲だった。


プレゼントを手渡され、隣にプレゼントを手渡す、の単純な動作を繰り返す。
・・・心なしか、魅音が燃えているように見えるのは気のせいだろうか・・・。

「〜〜♪〜♪〜♪〜〜〜♪」
ブツリと曲が止まり、皆も手を止める。


皆で順々に袋を開けていく。

一番に袋を開け、叫んだのは魅音だ。
「おじさんは自分のが戻ってきちゃったよー!」
あぁ、よくあることだな・・・。
普通はやり直しがきくものだけど、魅音自身が「無し」と宣言したから・・・。

「『策士策に溺れる』とは、まさにこのことか・・・」
「まさにその通りですわね・・・」
麻由が呆れ、沙都子が呟き、周りは頷くばかり。
魅音は床にうつ伏せになり、滝のように涙を流していた。


「このマフラーかぁいいよぉ〜☆お持ち帰りぃ☆」
「それウチの!今回はお持ち帰りしていいよ!」
レナの腕の中にあるマフラーは、綺麗に編み込まれていた。
麻由って意外と器用なんだな・・・。

その麻由に行き渡ったのは、小さいプレゼント。
「ウチが当たったのは・・・ブレスレット!」
「それは僕のなのです!シュークリームのチャームがポイントなのです☆」
さすが羽入・・・。シュークリーム好きなだけある・・・。

「それは俺のだな。梨花ちゃんに当たったか!」
「当たってしまったのです。にぱー☆」
梨花ちゃん、さり気なく酷いこと言うのは止めようぜ・・・。
・・・そして、心なしか魅音が悲しんでいるのは、気のせいだろうか。

「私は沙都子ちゃんのが当たったよ!トラップセット!」
「おーほほほ!たぁっぷりとお楽しみあそばせ!」
優羽、それは喜んではいけない品だ!

「これは・・・、ワイングラス?」
「それは僕のなのです。二日酔いを堪能するとよいのです」
ワインは零に合いそうだな・・・。
あと酒は20歳からな。

「俺は優羽のだな!これ、バッヂだな!」
「ライト機能付きだよ」
優羽はこういうものを買うのか。メモメモ・・・。

「私は幸弥さんの野球ボールですわ!」
よし沙都子!俺がホームランを阻止するぜ!

「僕は詩音のスタンガンなのです!あうあう!」
物騒だな・・・。

「私は零さんのです。・・・これカラコンですよね?」
プレゼントにカラコンって!!

まあ色々あったものの、遂に俺の順番になった。
妙に重くデカイプレゼントを担ぎ揚げる。
「俺が当たったのはぁー!・・・ランディ君人形?」
「はぅー!それはレナのなんだよ☆だよ☆今回はちょこっとミニサイズにしたの!」
目を輝かせて、「嬉しい?」と迫りくるレナ。
俺は案の定、苦笑いで言葉を濁す他ない。
・・・道理で、レナのだけデカイと思った。

てか魅音、お前は何故さっきから表情を転々とさせているんだ。
「「この大物鈍感野郎」」
零と幸弥はそう呟くと、さっさとプレゼントを床に置いた。



そして時間はあっと言う間に過ぎ、もう時計は7を差していた。

「よし!外に行こうか!」
「「はぁ?!」」
思いっきり間抜けな声を出す。

「もう外も暗いよ?」
「イブの夜は、何かが起きるって決まりなんだよ!」
答えになってねぇよ!
魅音のよく解らない説を前に、俺は腕を引っ張られ表に出た。



「「わぁぁあ!」」
玄関口を飛び出した直後、女子の歓声が沸く。

外は、雪が降ったホワイトクリスマスだった。
顔に一つ、また一つと雪が肌に触れると、ほんのりと冷たい。

「イブに雪なんて、ロマンチックだな!」
麻由は撫でるかのように、そっと雪に触れる。
うたかたの雪は、空から贈り物として、俺達に渡されていく。


「たまにはこういうのもいいよな」
さっきまでの騒がしい声は無くなり、皆は黙って空を。

気持ちよくて、天を仰ぐ。

「・・・あれ?」
俺に見えたのは、金色の満月。

・・・ソレが見えた瞬間、俺は満月に釘付けになった。
「え・・・」
聖なる夜、満月を背に現れた、一つの人影——。

俺が目を奪われていると、横から麻由と魅音が寄ってくる。
皆が見ていたらしく、全員人影に釘付けになっていた。


「サンタかもね!」
「——そうだな」
俺は否定せず、縦に頷く。


サンタなど信じる年頃じゃないけれど、今日だけは信じて、空に願おう。

この幸せが、ずっと続きますように———。

そんな願いが届くかは分からないけど、それが俺にとって最高のプレゼント。



シャンシャンと、窓の外から鈴の音が聞こえる真夜中・・・。
その心地のいい鈴の音で、俺は目が覚めた。


窓の扉が少し開き、床が軋む音が聞こえる。

・・・誰だ?
俺は半分寝ぼけながら顔を上げ、人影の正体を探ろうとする。
しかし、逆光で顔が見えない。

人影は口元に指を立てて、「静かに」のポーズをとる。

そして、その人物は俺の耳元に手を添え、囁いた。

——幸せに——

その言葉が何を表しているのか、それは誰にも分からない。
それは聖なる夜に現れた、聖なる者からのプレゼントかもしれない。


———Merry Xmas!———

Re: ひぐらしのなく頃に 輝—第二期— ( No.2 )
日時: 2010/01/17 00:24
名前: マユ ◆vars8VB/bg (ID: ZGMmo6SO)

         番外編4、鬼隠し編(リメイク)

—麻由side—

君と一緒に走るあの道。
私は大好きだよ。
だって君と一緒にいれるから——。


「おはよ〜ス!」
「おはよー!」
レナと一緒に待ってくれてる圭一は、どこか優しくて、でも意地悪で。
それでも、どんな時も笑って話しかけてくれる圭一が好き。
「遅いぞー!早くしねーと遅刻だ!」
「よーし!じゃあ走るか☆」
「「オー!!」」

君が笑って走るように、私も君と笑って走る。
それだけで十分だった。
それだけでも、毎日が輝いていた。

「はいはい!では罰ゲーム!!」
「うー!制服メイドはセコイー!!」
「圭一のエンジェルモートの服よりはまし!」
「お前なー!!!」
「「あははははッ!」」

こんなに楽しい毎日。神様が与えてくれたように感じた。
こんな幸せな毎日は、明日も、その先も続く。
当たり前の、幸せな日々。
ずっとずっと、続くと信じて疑わなかった。

「オヤシロ様の祟りって、何なんだろうな」
この圭一の台詞がなければ・・・。

私自身は祟りに関しては知っていた。
偶々魅音達の話し途中を耳にして、魅音やレナに問い詰めたら教えてくれたから。
・・・でも、気分のいい話ではなかった。


それから数日間、圭一は私達と距離を置いた。
雛見沢連続開始事件・・・。
それが全ての歯車を狂わせてしまった。


1人で帰宅する圭一についていき、私は問い掛けた。
「圭一はいいのか?このまま1人でいいのかよ?!」
「関係ないだろ・・・」
冷酷に言い放つ圭一に、胸が疼いた。
温かさがなくて、冷たい暗闇のような瞳。

「私達は、仲間じゃなかったのかよッ?!」
「お前等はもう仲間じゃないっ!」
そう怒声を上げ踵を返す圭一。
その圭一の背を見て、泣きそうになった。


それでも、私は諦めない。
「圭一っ!」
「ついて来る・・・!」
「圭一・・・ッ?!」
突然音を立てて倒れた圭一に、私は走り寄った。

圭一をおぶって、おもむろに道を歩く。
左へ右へとよろめいて、途端身体を地面に打ち付けた。

それでも、今圭一を助けられるのは私しかいないから。
頑張ろう———。


「・・・・ん」
「圭一ッ!」
「・・・ッ!」
瞼の先にあるものが私と察知すると、すぐさま怯える。
「圭一をおぶってくるの大変だったんだぜ!何度も転んでさ!」
「・・・・・・・」

大丈夫、怯えなくてもいいんだよ———。
私は何もしないから———。

「お粥作ったから、ちゃんと食べてね?」
「・・・早く出てけよ・・・・」
胸が苦しかった・・・・。

つきつけられた現実は、幸せには戻らなくて。
不幸になるばかりで・・・。

「明日は、部活で大騒ぎしような!」
返答は・・・ない。

襖に手を掛けながら、私は振り返る。
「圭一、私のことが嫌いなら・・・、言って——?」

そしたらもう、圭一には近寄らないから———。
圭一が幸せになるなら、別にいいよ。
私だけを無視したって・・・いい。
だからお願い。

せめて、あの笑顔を見せて——?



圭一が道端で倒れていたと聞きつけて、すぐに圭一宅に向かった。
「よかった!ちゃんと生きてるじゃん!」
「道端で寝てるなんて、お前は猫か!」

「監督は、野球チームの監督とか、工事現場の監督とか!」
「圭一は馬鹿な質問するねぇー」
怯えてる圭一に、私達は戯言のように茶化す。

おはぎの罰ゲームを実行するため、レナは圭一を羽交い絞めにする。
魅音がマジックを取り出し、キャップは外した。
私は、圭一の傍で立膝になる。

「じゃあね。圭ちゃん♪」
そして、魅音が圭一の腕にマジックを近づける。
「圭一!」
私は圭一を呼び掛ける。

「早く元気になぁれ☆」
そう、圭一の左頬を突いた・・・。



貴方の腕が振り落とされる度に、涙と血を零れ落とす。

身体が極寒のような寒さを覚えるけど、血が溢れ出る箇所は灼熱のように熱かった。
痛みとはかけ離れた激痛が、私の身体を蝕む。

・・・胸が疼いて、堪らない。

貴方の瞳から零れた涙が、私の顔に降り掛かる。
断末魔を目の当たりにして、胸が締め付けられた。
「ごめんね・・・ごめんね・・・」
今更のように涙を流し、謝罪を口にする。

身体が鉛のような重さを覚え、立ち上がることさえ辛くなる。

「私を信じて———」
「レナぁ・・・ッ!」
圭一の奇声と共に腕が振り落とされ、レナは布団にと倒れた・・・。
微動だにしない魅音とレナは、・・・冷たい人形と化していた。


「魅音・・・ッ」

「レナ・・・ッ」

「圭一ぃ・・・ッ!」
何筋もの涙が、私の頬を伝う。


圭一・・・休もう?
休んで、また笑おう。

つきつけられた、残酷な日々・・・・。
でも私は諦めない。
いつか元に戻る。そう信じてる・・・。
だから、私は頑張る。

明日になっても、また笑いあえるように———。
私は圭一が笑顔になれるように、頑張るから———。

「・・け・・いち・・・」
私が呼びかけた瞬間、圭一の手が一時的に止まる。
そして、私はふら付きながら、おもむろに歩み寄った。

バットを強く握る圭一の手を握り、私は微笑む。


「圭一、———笑って?」
傷つき、血で汚れてしまった貴方の手を握り締める———。
もうそれ以上、血で染まらないように———。
ずっとこの手で、支えてるから———。

「大丈夫・・・。大丈夫だから・・・」
いつもの意地悪で何処か生意気で、それでも優しくてカッコイイ・・・。
そんな、普段の温かい笑顔で・・・。


「うわあああッ!!!」
奇声のような叫び声を上げ、私は身体ごと振り払われる。
壁に激突し、喉から血の味がした。

心臓の周期的な鼓動が、先程より大きく聞こえる。
周期が段々と遅くなっていることに気付き、悟った私は笑みを浮かべた。


幸せとは言い難かったけど、それなりに幸せだった———。
だって、仲間と笑えてたから———。


でも、最期にこれだけは貴方に伝えたい——。
「圭一」
圭一の頬に手を伸ばし、涙で濡れた頬を撫でた。
圭一に弾き飛ばされ、壁に寄りかかる。

「仲間でいてくれて、ありがとう———」


振り落とされる金属バットと、貴方の悲願の顔を目前にして、私は笑った。
突如、目の前が真っ暗になるような感覚を覚える。

揺らいで見える貴方を見つめて、微笑んで瞳を閉じた———。
一筋の涙を、右頬に流しながら———。



また逢えたなら、伝えたい。
君と一緒に走ったあの道で。

貴方は、どんな態度をとるのかな。
どんな表情になるのかな。

微笑んでくれる?
それとも、落ち込んで「ごめん」かな?狼狽えるのかな?
・・・いや、ただキョトンとして見つめるだけだろう。
あいつは、人一倍鈍感だもんね。

それでも、貴方も笑ってくれたらいいな———。


今此処で、貴方に伝えます。
圭一、私は貴方が、大好きです———。

Re: ひぐらしのなく頃に 輝—第二期— ( No.3 )
日時: 2010/01/17 00:25
名前: マユ ◆vars8VB/bg (ID: ZGMmo6SO)

         番外編3、年明し編

—圭一side—
元旦、極寒のような寒さを肌で感じさせられながら、迎えた朝。

「「新年!明けましておめでとうございます!」」
正座をしながらお辞儀をする。


「おんや、よぅ来たのぅ」
「「お邪魔してます!」」
奥の襖から顔を出した魅音の婆さんに、俺達は会釈を済ます。

今日は元旦、お正月である。
景色もクリスマスから一変し、イルミネーションは消え、注連縄を飾る家が増えた。
今でも、雛見沢は銀景色で包まれている。


魅音や麻由は、着物を着飾っていた。
「はぅ〜☆皆の着物姿かぁいいよ〜☆」
今にもお持ち帰りしそうな勢いで、レナはメンツを見渡す。

「そういうレナも綺麗だぜ!」
「えっ?!は・・はぅ・・・」
俺がレナを茶化すと、レナは顔を赤らめる。

「圭一〜!ウチは?」
麻由も楽しそうに着物の裾を掴んで、此方に走ってくる。
「馬子にも衣装だな」
突如、俺の頬は麻由の鉄拳を喰らった。

「正直に即答しすぎなのです。にぱー☆」
「あうあう!梨花と麻由が怖いのです!あうあう!」
2人共・・・、俺を憐れみの目で見ないでくれ・・・。


その後、ようやく落ち着きを取り戻した俺達は、雑談を始める。

「魅音、何故か魅音の年賀ハガキ、クシャクシャなんだが・・・」
魅音に可愛くデコレーションされたハガキを見せる。
魅音は顔を赤らめながらも、言い訳を始めた。

「あははは!ちょいと水零しちゃって・・「嘘は駄目だよ、魅音♪」
麻由が言葉を遮り、してやったとばかりに悪戯笑みを浮かべる。

すると魅音が観念したように、口を開いた。
「おじさんが汗水垂らして書いたハガキだよー!あはは!」
「始めからそう言えよ。ったく・・・」
笑って誤魔化そうとする魅音が馬鹿らしくて、俺は放っておく。
俺が振り返ると、麻由が「鈍感・・・」と呆れながら呟いていた。


「さ、さぁさぁ!早速朝食にしようか!」
魅音が慌てふためきながらも、俺達を居間へと連れていった。

「「うわぁぁぁ・・・」」
豪華な料理が、俺達の前のテーブルに並べられる。

「おせちは婆っちゃと私で作ったんだ!雑煮は婆っちゃ特製!どれも絶品だよ!」

沙都子がお弁当を食べ合う感覚で、ひょいっと煮物を摘む。
「あら、美味!」
「おっ!これこそおふくろの味!いいなぁ・・・」
俺が箸を進めていると、魅音がガッチリと腕を掴んできた。

「雑煮美味い!」
餅を美味そうに口にほうばる麻由は、熱さを逃がすため、口を「はふはふ!」と動かしている。
その姿は、ほんのあどけなさを残していた。


やはり元旦といえば、これだけでは終わらない。
かるたに羽根つき、凧揚げに百人一首と、様々な遊び・・・いえ、部活をした。

「おじさん、ちょいとナメてたねぇ・・・」
かるたで最小しか取れなかった魅音。

「ぅぅ〜・・・!卑怯ですわよーっ!!」
羽子板を片手に、頬に何度も落書きをされる沙都子。

「凧揚げ、久々だったからなぁー・・・」
言い訳を呟き、何を逃れようとする麻由。

「皆取るの早いよー!」
見事に史上最少の0枚という記録を持った優羽。

ちなみに、優勝は桃と綾子だ。
前の学校で、大会が多かったことから、リードしやすかったらしい。
恐るべし、純情ペア・・・。


「あ!ねぇ!見てみて!」
嬉しそうに窓の外を指さすレナ。
レナにつられて、俺も窓の外を覗いた。

「・・あぁ・・・」
レナの喜ぶ意味が理解でき、俺は笑みを零した。

一つ、また一つと、綺麗で小さな雪が降った。
刹那、外一面が、柔らかな雪で包まれる。

雛見沢の雪は、うたかたで、でも温かに感じ取れる。
ゆったりと宙を舞う雪は、また人々を優しく包み込んでいく。
まだ、銀景色は充分に堪能できそうだ。


「「a Happy new year!!!」」
銀景色の元旦、広々とした雛見沢に、賑やかな声が響き木霊した———。


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