二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ

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零崎双子の人間救出〜殺人鬼だって世界を救う!?〜
日時: 2011/01/13 18:10
名前: 時雨飴 (ID: MMm5P7cR)

 初めまして、時雨飴というものです。
 西尾維新先生をリスペクトしています。

 今回は、零崎一賊の双子の話です。

 コメント・アドバイスなど、お願いします。

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Re: 零崎双子の人間救出〜殺人鬼の人命救助〜「奇野篇」 ( No.43 )
日時: 2011/01/12 21:42
名前: 弌杙 (ID: 8HTDhaI.)

僕は萌太君の柳のような少年って理想だと思います。
僕って直接的な暴力が本やPCにふりかからなければいいんですけど

Re: 零崎双子の人間救出〜殺人鬼の人命救助〜「奇野篇」 ( No.44 )
日時: 2011/01/12 21:56
名前: 時雨飴 (ID: MMm5P7cR)
参照: http://tyuukoehon.web.fc2.com/top.htm

(虚識視点)

 時刻は五時。
 段々と、空の夕暮れに広がり始めていた。

 そんな中、高速道路を——真っ赤なコブラが走っていた。
 まるで、燃え上がる紅蓮の炎のような、一台のスポーツカー。

「幸織の命の保証はあるんですか?」
「…………」
「何ですか、その沈黙は」
「……縄でしばってきた」
「縛り上げていいですか?」

 アホかこの人。
 何やってるんだこの請負人は。

「いや、奇野のアジトだとか思わなかったんだよ」
「分からなかったんですか?」
「あ゛ー、もううるせえ。むーみん黙ってろ」
「むーみん?」

 僕は、首を傾げて聞き返す。

「お前のことだよ、むーみん」
「……某アニメキャラよりは殺伐とした人間だと思いますけれど」
「むーみん可愛いー」
「…………(赤面)」
「あー、照れてるー」

 僕は高速道路を見つめて、眼を逸らす。
 あー、空が真っ赤っか。
 僕の顔も真っ赤っか。

 請負人も真っ赤っかにしていいですか?
 いや、もとから真っ赤っかだった。

「しかしお前——なんで人殺さねえの?」

 不思議そうに——哀川潤は訊く。
 僕は、少し首を捻ってから、答えた。

「僕は、おまけなんですよ。幸織のね」
「ふうん、幸織のおまけ?」
「そうです」

 僕は、思い出す。

「幸織は、昔から普通じゃありませんでした。僕達は『零崎』に成る前まで、施設にいたんです。まあ、そんなかんじで——幸織は、施設の人間を皆殺しにしちゃいまして」
「うわあ、怖ぇー」
「僕は、殺したいのがただ一人」
「ん? 誰だそりゃあ?」

 哀川潤は、僕を見る。
 僕は、さらりと答えた。

「自分です」

 と。

「あ? 自分って、むーみんか?」
「……あだ名については、何も言いませんが」
「ふうん、なんで?」
「理由なんて、ないですよ。理由なく殺す——それが零崎でしょう」
「へえ」

 哀川潤は、カーブのハンドルを切った。

「……じゃあ、これから自分を殺しにいく、とか?」
「…………」

 僕は、しばらく黙って——、



「妹が生きるために殺されるなら、本望ですよ」



 僕は、肩をすくめた。

 
 やっぱりお前は零崎か——そう言って、哀川潤はわははと笑った。
 
 

Re: 零崎双子の人間救出〜殺人鬼の人命救助〜「奇野篇」 ( No.45 )
日時: 2011/01/13 17:29
名前: 時雨飴 (ID: MMm5P7cR)
参照: http://tyuukoehon.web.fc2.com/top.htm

>ひとぐいさん

 萌太くんはいいですね。
 崩子ちゃんがうらやましい限りです。

Re: 零崎双子の人間救出〜殺人鬼の人命救助〜「奇野篇」 ( No.46 )
日時: 2011/01/13 17:47
名前: 時雨飴 (ID: MMm5P7cR)
参照: http://tyuukoehon.web.fc2.com/top.htm

(幸織視点)

 私は家を飛び出し——哀川潤を探した。
 ここにもいない、どこにもいない。

 虚識が殺されたら——きっと私は生きていけない。

 虚識の顔を、思い浮かべる。

 大切な、兄の顔。
 最愛の、兄の顔。

 虚識は、零崎らしくない零崎だ。
 なぜなら、虚識は——人を殺さない。

 殺意が外に向かずに、内で循環しているようだ。
 触れられない厚い壁の中に——渦巻く、その「何か」。

 虚識は、一体何を考えているのだろう。
 
 見えない。
 全然、見えない。

 双子なのに。
 兄妹なのに。

 家族なのに——触れることができない。

 それを、素直に悔しいと思う。
 すぐ近くにいるのに、まるで闇を通じて喋っているような、そんな感覚。

 そこにいるのに——そこにはいない。

 昔は——まだ零崎ではなかったときには、そばにいたのに。

 否。
 昔から、そうだった。

 笑っているときも。
 悲しんでいるときも。
 照れているときだって。

 ずっと、私の隣にはいなかった。

 いつ私は——虚識の隣を感じることができるのだろうか。
 それはきっと——永遠に、無理なんじゃないかって。

 『幸運終極』を受け取ったときだって。
 罪口さんに代償を払ったのは、虚識だったのだ。

 右腕の大きな傷で、分かった。

 きっと、虚識は——私を生かすために、私を幸せにするために——死んでいく気がする。

 殺されていく気がする。

 それだけは嫌だ、だから——、











 
 そして、ほの暗い橋の下で——哀川潤を見つけた。

Re: 零崎双子の人間救出〜殺人鬼の人命救助〜「奇野篇」 ( No.47 )
日時: 2011/01/13 18:07
名前: 時雨飴 (ID: MMm5P7cR)
参照: http://tyuukoehon.web.fc2.com/top.htm

「哀川潤——でいいの?」
「あぁ?」

 哀川潤と思わしき人物は、怪訝そうに振り返った。

 真っ赤な赤い髪に、赤いワインレッドのスーツ。
 容姿端麗だが、目つきが異様に悪い。

「何だ、てめぇ? 殺意振りまきやがって『殺し名』か?」
「ご名答だよ——人類最強さん」
「うわあ、友達には、なれそうにないな」
「友達? そんなの、なれてもなれなくても一緒だよ——」

 今から、殺されちゃうんだから——私は、哀川潤に飛び掛り、「幸運終極を振りかぶる。

「ああ、でも自己紹介くらいはしておこうかな?


 零崎最幸、幸せの象徴、零崎幸織——、


 哀川潤——あなたに、最幸の『幸運終極』をプレゼントしてあげる——!」


「そうか。零崎か——」


 哀川潤は、微かに笑みを浮かべたようだった。
 そしてその笑みに、感じた。

 人類最強の、魂を。

「…………ぐぁっ……!!」

 鳩尾に、突き抜けるような痛み。
 哀川潤の拳が——電撃となって、身体中を迸る(ほとばしる)。

「——う、ぐ」
「おいおい」

 ずしゃり、と地面に倒れる。
 哀川潤の赤いブーツが、視界の端に入った。

「零崎最幸が、聞いて呆れるぜ。あたしは不幸なまんまだよ、不幸。逆にもっと不幸になっちゃいましたよー? 幸織ちゃん。ハッピーエンドどころか、バッドエンドじゃねえか」

 ざり、と耳元で砂利がこすれる音。
 そして。


「こんなんじゃ——てめえの兄貴も簡単に殺せちゃいそうだ」


 シュッ


「……うおっ」

 哀川潤が——自分の傍のコンクリートに突き刺さった『幸運終極』を、間一髪で避ける。

 私は、ゆらりと立ち上がった。
 突き刺した『幸運終極』を構えなおし、哀川潤を見据える。

「! がふ……っ」

 そこで——倒れた。
 先ほどの拳が、効いてきたようだ。

「さすが、零崎だ。油断も隙もありゃしねえ」

 哀川潤が、余裕たっぷりの声で、そんなことを言う。

「しかし、お前から来てくれるとはな」
「え?」
「ちょうど、お前を拉致しようと思ってたんだ」
「は? それはどういう……?」

 顔を上げて、哀川潤を見る。
 邪悪な笑みを、更に凶悪に見せているのは——、

 金属バットだった。

「え、ちょ——む、虚識、助けてーっ!!」

 そんな風に、叫ぶ私に。
 哀川潤は、声を少し低めて言う。

「残念だな。愛しい愛しいむーみんおにーちゃんは来ない」

 哀川潤が、バットを振り上げる。




「なぜなら——あいつには『奇野』と戦ってもらうからだ」




 そこで、意識が途絶えた。


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