二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ
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- 零崎双子の人間救出〜殺人鬼だって世界を救う!?〜
- 日時: 2011/01/13 18:10
- 名前: 時雨飴 (ID: MMm5P7cR)
初めまして、時雨飴というものです。
西尾維新先生をリスペクトしています。
今回は、零崎一賊の双子の話です。
コメント・アドバイスなど、お願いします。
- Re: 零崎双子の人間救出〜殺人鬼の人命救助〜 ( No.23 )
- 日時: 2011/01/10 19:35
- 名前: 時雨飴 (ID: O/vit.nk)
- 参照: http://tyuukoehon.web.fc2.com/top.htm
7.(虚識視点)
廊下を進んでいると、奥からピアノの音が聞こえてきた。
多分、曲識さんだろう。
僕は感性なんて持ち合わせてはいないが、美しい演奏であることは分かる。表社会では「クラッシュクラシック」とかいう店も経営しているらしい——人識さんは、そこに嫌な思い出があるというけれど、何なのだろう。それが「酷い目」にあったということか。
演奏が終わり、僕は自室のドアを開けようとした。だが、
「虚識」
と。
呼び止められてしまった。
曲識さんが、部屋から顔を出して、手招きをしていた。
というか、いつも燕尾服なのか。
「はい、何ですか」
「頼みがあるのだが」
「? 頼み、ですか……?」
曲識さんに近づきながら、僕は首を傾げる。
曲識さんはピアノの椅子。
僕は適当に、床に座った。
「で、頼みとは」
「まあ、そう固くなるな」
曲識さんは、家族と一緒にいる感じは、まるでない。
むしろ、かけ離れた雰囲気を持っている。
その曲識さんが、あまり話したことのない僕に頼みごとなんて、考えられないのだ。
「これだ」
「はい、何ですか、これ?」
曲識さんが取り出したのは、大きめの封筒だった。
質感からして、硬いものが入っていることは分かる。
「CDだ。僕の作曲した曲が収録されている」
「へえ、そうなんですか。で、どうすれば良いのでしょう?」
「それをだな——、
哀川潤に、渡して欲しい
——のだが」
度肝を抜かれた。
「あ、哀川潤って……本気ですか?」
哀川潤——人類最強の請負人。
真っ赤な衣装に身を包んでいる、と聞く。
噂では「殺し名」や「呪い名」に容赦ないという。
人識さんや舞織さんを、ぼっこぼこにしたとか。
「命の保証は?」
「ない」
「……………………」
「ないからこそ、お前に頼むんだ」
酷ッ!
なんで僕?
僕にはまだ、可愛い妹を守るという使命が残ってるんですけど。
「ああいや、そういう意味ではない」
「どういう意味でしょうか?」
黙りこんだ僕に、曲識さんはゆるりと首を振る。
「お前は『殺し名』のくせに——人を殺さないそうじゃないか」
「…………まあ、そうです」
「哀川潤も——『殺し名』とは言え、殺人を犯していない者には、無闇に当たることもないんじゃないかと」
「はあ、そういうものですか——」
僕は、納得しかねる。
「そういえば、哀川潤とあなたに、どんな繋がりが?」
「…………」
露骨に目を逸らし、黙った曲識さん。
なんか、顔が赤い。
はッ!
いえないような関係なのか……!?
この話題は避けておこう。
「わ、分かりました。期限とかは、ありますか?」
「いや、特にないが——できるだけ早く、届けてくれ」
「承知しました。では」
腰を浮かしかけた僕に、
「虚識」
と、曲識さんが呼びかける。
「はい?」
僕が腰をもう一度下ろして言うと、
「お前は——何故、人を殺さない?」
と、尋ねてきた。
人を、殺さない理由。
人を生かしておく理由。
それは。
「——ずっと、殺したい奴がいるんです」
と、答えた。
「ほう、それは誰だ?」
「それは——」
それは。
それは、それは——。
「虚識っ、あれ、曲識兄も一緒じゃん! 見てこれ、刀もらっちゃった! 綺麗だねー」
と、幸織がはしゃいでいた。
「……ああ、そうですね」
と、僕は答える。
そして、僕は腰を上げた。
「虚識。答えは今度に持ち越しか?」
「——ええ」
僕は答えた。
静かに、頷く。
幸織を——たった一人の妹を、見やりながら。
「今は、妹もいますからね」
と。
こいつがいる限り、そいつは殺せないから。
- Re: 零崎双子の人間救出〜殺人鬼の人命救助〜「奇野篇」 ( No.24 )
- 日時: 2011/01/11 05:56
- 名前: 唄李 (ID: 8HTDhaI.)
ふぇっ!哀かw…潤さん!
初恋の人だったよねぇ…
本編では最期に会えて良かったねっていう感じだったよね
私、真心ちゃんってキャラは好きなんだけどさぁ…
いずむんも曲識さんも〈寸鉄殺人〉の人もやっちゃったからあんまり好きじゃないんだよね…
幸織ちゃん関係の人かなっ!?
曲識さんファンクラブがあったら即座に入る私です!
- Re: 零崎双子の人間救出〜殺人鬼の人命救助〜「奇野篇」 ( No.25 )
- 日時: 2011/01/11 13:13
- 名前: 時雨飴 (ID: O/vit.nk)
- 参照: http://tyuukoehon.web.fc2.com/top.htm
>唄李さん
来てくれてありがとう!
そうなんですよ、曲潤は書きたくて書きたくて。
真心ちゃん、哀川さんには負けちゃいそうですね……。
人を殺せないのが、人類最強のいいところです。
出夢君を殺したとき「人識君と万々歳が良かった!」と西尾さんに文句を言いたかったです(いえないですけど……)。
出人や萌虚も書こうかなと思っています。
曲識、いいですね! 曲識さんは、哀川さんのブログ(人間関係の)の常連客とお見受けしたww
また来て下さい。
- Re: 零崎双子の人間救出〜殺人鬼の人命救助〜「奇野篇」 ( No.26 )
- 日時: 2011/01/11 13:31
- 名前: 唄李 (ID: 8HTDhaI.)
うな〜…肩こった…
いおりんとの関係をこの前読んだのですが…
人識君の死亡フラグ立ったぁぁぁぁぁああぁぁぁぁ!
最低八年は生きるんだよね!戯言遣いとの関係で「俺に会いに来た」って言ってくれたもんね!
と家の中で絶叫しました。崩子ちゃんの方よりそっちでマジ泣きしました。
零僕零至上主義です。他のカップリングも好きだけど…
- Re: 零崎双子の人間救出〜殺人鬼の人命救助〜「奇野篇」 ( No.27 )
- 日時: 2011/01/11 13:38
- 名前: 時雨飴 (ID: O/vit.nk)
- 参照: http://tyuukoehon.web.fc2.com/top.htm
8.
哀川潤がどこにいるかは玖渚さんに調べてもらって、話もつけてもらった。哀川潤が約束を守るかどうかは分からないが「殺しちゃだめ」と話してあるらしい。
あらかじめ、どんな人か聞いてみたら、
「うに、いい人だよ」
と、一言で済まされた。
嘘はついてなさそうだったのだが、どこまで信用していいものか……。玖渚さん、大丈夫なのか……?
というわけで、待ち合わせは喫茶店だった。
少し洒落た雰囲気の店。店名は『レッドバルーン』という。
幸織と、一度だけ入ったことがある。
玖渚さんは赤い服だから、すぐ分かるといっていたが、常時着ているわけじゃないだろうに。大体、そんなに目立っちゃって大丈夫なのか?
ドアを開けると、一番手前の席に——、
哀川潤は、いた。
玖渚さんの言うとおり、赤いスーツをビシッと着こなしている。
人類最強。
請負人。
予想外に美人で、驚いたが、それより——、
なんで、店員と言い争ってるんだ……?
あれ、殴り合い始めたけど。
店員、一発KОですけど……。
なんか、僕の全存在をかけて、関わりたくねえ。
全身全霊をかけて、話したくねえ。
「よー」
哀川潤は、旧友に会ったときのように——ひらひらと、手を振った。
……僕で間違いなさそうですね。
目つきが悪いけど、まあ、笑ってるからな……。
そして倒れてる店員は、気にしないでおこう。
「どうも……」
「んー? お前、零崎くんより美少年じゃん。あ、ってことはよお、零崎くんが二人になるなあ……しち面倒くせぇ」
人違いではないけど、なんかイメージと違うな。
冷酷な性格とか、正義感溢れるって感じを想像していたのだけれど。
僕は、哀川潤と反対側のソファに腰掛ける。
座り心地はいまいちだ。
「お前が零崎虚識って奴? 零崎一賊の」
「そうなります。哀川潤さんで間違いな、」いですか?
縦のフルスイングをくらった。
あの、滅茶苦茶睨んでるよ。
「…………あの」
「あたしを名字で呼ぶな」
「はい?」
「あたしを名字で呼ぶのは≪敵≫だけだ」
「≪敵≫ですか?」
それなら、僕も十分に敵だと思うんだが。
「お前は人を殺してないんだろ? それに、殺意もそんなに感じねえなあ……だったらいいだろ、別に」
「はあ……」
読心術も心得てるのか。
やっぱり、人類最強だ。
まさか、思わなかった。
いや、思いたくなかったのかもしれない。
この人類最強に、とんでもないことを依頼されるだなんて。
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