二次創作小説(紙ほか)
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- 黒魔女さんが通る!!〜チョコの息子の物語〜
- 日時: 2013/12/17 22:25
- 名前: ノヴァ (ID: 6.Nua64i)
初めまして!黒魔女さんが大好きな「ノヴァ」と申しますm(__)m
今回書くのは、以前投稿した作品のリメイク版の黒魔女さんです。
あまり見てもらえないくらいつまらない物だと思いますが、どうぞよろしくお願いいたします。
注!
・荒らしはできるだけやめてください。
さて、主要人物の紹介です。
「黒鳥 雷夢」(くろとり らいむ)
・とある事情で未来から来たチョコと大形京の息子。主人公。
「ギューリット」
・雷夢と同じく未来から来たギュービッドの娘。雷夢の護衛兼インストラクター。
「アテナ・アルタイル」
・雷夢の家に居候している白魔女。(途中からの登場です。)
すみません、前置きが長くなってしまいましたm(__)m
では、どうぞご覧になってください!
一覧表
第1話>>1-19第2話前編>>20-57
第2話後編>>58-77第3話>>78-102
第4話>>103-112第5話>>115-135
第6話>>138-176第7話>>178-218
第8話
その1>>242-276その2>>293-
番外編>>237>>285>>289>>292
キャラ更新>>21>>34>>66>>136>>231
★オリキャラ募集中! 詳しくは↓を御覧ください!★
5年1組座席表&キャラ募集用紙>>279
読者様投稿のオリキャラ
あかり様「白鷺一子」>>220、Dr.クロ様「月闇クロ」>>222「リリス・メアリーナ」>>283
ゆきだるま様「鈴木大輝」>>223「尾周 大歩」>>280、モンブラン博士様「クレープ」>>226、「星野 天使」>>301
くもくも様「秋冬春夏」>>233、塩月夏子様「皐月 ジュン」>>282
陽和様「花舞 雅」>>305
プロローグ
心地よいそよ風で目が覚めた。目の前には青空が広がっていた。
「どこだ・・・ここ?」
体を起こし辺りを見回すと、雷夢がいたのは草原だった。それもとてつもなく広い。
雷夢には見覚えのない場所だった。
「おーい!誰かいないですかーー!」
力の限り叫ぶが、それに答える者は誰一人いなかった。ただ風が吹き去っていくだけだった。
「まいったな・・・。これからどうしよう・・ん?」
見ると遠くから何かが雨雲と共に近づいてきていた。
その巨大な体を大きくくねらせながら。
「そこの貴様!我が草原に入るとは許しがたし!!」
いきなり巨大な声が響いた、と同時に大粒の雨が雷夢に降り注いだ。
顔を滴る雨粒を拭いながら再び空を見る。
そこには、とてつもない威厳を放つ巨大な龍が怒りを持った目でこちらを睨み付けていた。
「我が怒りの雷に裁かれるがよい!!はぁぁぁぁっ!!」
龍が叫ぶと同時に一つの落雷が雷夢を狙っていた。当たれば即死は確実だろう。
「う、うわぁぁぁぁ!!・・・・・」
落雷は雷夢に逃げる暇も与えずその身体を電気で焦がし、焼きつくした。
跡には一片の炭も一塵の灰も残されていなかった。
- Re: 黒魔女さんが通る!!〜チョコの息子の物語〜 ( No.95 )
- 日時: 2013/02/27 20:55
- 名前: ノヴァ (ID: BoToiGlL)
「なんだてめぇは!?」
ヤンキーの頭領が怒号をちらした。それを合図に、部下と共々何かを取り出してくる。
部下のヤンキーは分銅付きのチェーンや、釘の刺さった木製バット。さらには棘付きグローブまではめているやつもいる。
頭領に至っては、キラリと光る刃物。恐らく果物ナイフだろう。
「アンタ達ソンナ物持っててハ、ダメ! 銃刀法違反で捕まるネ!」
チャイナドレスの女の子はカタコトで注意するも、ヤンキーがそれを聞くはずはない。
「うるせぇ、やっちまえ!」
『おりゃあぁぁ!!』
ヤンキー達が武器と共に女の子に接近する。さすがにこれはあの子にとって鬼畜過ぎる。竹串があれば助けてやりたいが…。
しかし、女の子はそれに動ずることなく言い放った。
「アリス、分かった。アンタ達、悪いヤツ。アリス、アンタ達、倒す!」
そう言うが早いか、女の子は一番前のヤンキーに回し蹴りを見舞い、後ろにいたヤンキー共々吹っ飛ばした。
続いて別方向から迫っていたヤンキーに裏拳をヒットさせ、その勢いのままにもう一人の腹にに正拳突きをめり込ませる。
『ぐおぉぉうっ!?』
4〜5人いた部下のヤンキーが、十秒持たずに殲滅された。
「黒鳥さん、大丈夫デスカ?」
茫然として、口を開けて眺めていた雷夢に女の子が歩み寄ってきた。暗がりでわからなかった女の子の顔が明るみで鮮明に雷夢の目に映る。
「き、君は確か……『アリス・ファミリオン』?」
アリスは母親がイギリス人、父親がドイツ人、祖父が中国人という国際人。日本に来たのは4月で、3ヶ国語が話せるという。日本語は習得中で、先程のようにカタコトである。
「黒鳥さん、コレ、忘れ物」
そう言うと、アリスは何かを差し出した。それは待ち望んでいた竹串のホルスター。竹串が不特定多数収納されている雷夢の必需品だ。
「机の上に、置いてアリマシタ。アリス、黒鳥さんに届けようと、持ってキマシタ」
「あ、ありがとうアリス! これで形勢逆転できる!」
「何が形勢逆転だとオラァ!!?」
アリスの後ろを覗くと、ヤンキーの頭領が起き上がっている。しかも、果物ナイフを持つ反対側の手に、何かが握られている。
火花をバチバチ鳴らすそれは、恐らくはスタンガン。こいつら何だかんだでおかしい、狂っている。
「お前ら地獄に送ってやるよ…。気絶させたあとにメッタ刺しにしてやる…」
しかし、雷夢は怯むことなく言ってやった。
「地獄に行くのはそっちだ、歩く銃刀法剣類所持等取締法違反」
「んだとぉ!!? お前ら武器を持った俺に勝てるわけねぇだろ」
「なら、お前自慢の武器とやらを見てみろ」
「ああっ!!? なんだ……と…?」
ヤンキーは目を見開いた。自慢の武器に、竹串が刺さっていたからだ。ナイフは鍔本から折れ、スタンガンは何度スイッチを押しても火花が出ない。
「お前らの負けだ」
「クソゥ! この俺がこんなガキにぃ!!」
ヤンキーの頭領は、後ろを振り向き逃げ出した。しかし、逃がすわけがない。
「その負け惜しみの続きなら、地獄で言え。警察署の取調室という名のな。」
雷夢は一瞬で肉薄すると、死なない程度にヤンキー達をメッタ刺しにしてやった。
声もたてずに、ヤンキーが崩れ落ちる。
「牢の中で自分の身を呪え」
「黒鳥さん、カッコヨカッタ! アリス、真似したい!」
「あ、ありがとう…」
あのあと、ヤンキー達を交番に引きずっていき警察の人に逮捕してもらった。その時に分かったが、どうやら最近暴れまわっている暴走族の輩だったらしい。
「ところでアリス、なんで僕のところに来れたの?」
「アノデスネ、暇潰しにオサンポ行ったら、ヤンキーに追っかけられテル黒鳥さんイタネ。ダカラ、アリス後をオッタネ」
なるほど、そういうことだったか。アリスがいなかったらどうなっていたやら。
「あ、ところでテト見なかった? 今探してるんだけど……」
「テトさんナラ、サッキ見たネ。コエ、かけたケド、ドッカ行ったネ。タブン、学校にムカッタと思うネ」
「あ、ありがとう! じゃあ、僕行くね!」
雷夢はアリスに別れを告げると、ス魔ホの電話機能で家に電話をかけた。
「あ、もしもしギューリット? 雷夢だけど…」
- Re: 黒魔女さんが通る!!〜チョコの息子の物語〜 ( No.96 )
- 日時: 2013/02/28 20:04
- 名前: ノヴァ (ID: L3izesA2)
「おい、雷夢!」
「雷夢さーん!」
学校の校門前で待っていると、先程電話で呼んだギューリットとアテナがやってきた。
「おい、テトが学校に行ったって本当か?」
ギューリットが心配そうな顔で尋ねてきた。
「うん、同じクラスのアリスが言ってたから、多分」
「にしても、なんで今さら学校なんかに……」
「ま、考えてても仕方ない。取り合えず探すぞ!」
意を決して、雷夢達は学校に潜入した。今は夕方なので校門は鍵が掛かっていなかったので、潜入は容易だった。
先生方は全員、放課後に教員集会とかで出払っており、学校内は人の気配が全くない。
「取り合えず、一階から順に探してみるぞ」
『わかった!』
このような感じでローラー作戦を実行するも、テトは見つからず、残るは四階と屋上のみとなった。
「こっちもいませんね…」
「こっちにもいなかったぞ」
「こっちもだよ」
そして四階で残ったのは自分達の教室、5年1組だけになった。
恐る恐る近付いてみると、中に誰かがいるみたいだ。
雷夢は、慎重に扉に手をかけた。
ガララ…。
「あれっ、亮?」
「あれ、お前らどうしてこんなところにいるんだ?」
教室にいたのは亮だった。何やら自分の机を漁っていたようで、机の引き出しに手を突っ込んでいる。
「僕達は、テトが学校に行ったって聞いて探しに来たんだけど…。亮はどうしたの?」
「ああ、俺は忘れ物。大事なUSBメモリ忘れてきちゃってな」
「ところで、亮はテト見てない?」
そう尋ねると、亮は顎に手をあてて考えていたが急にハッとした表情になった。
「そういえば…テトは見かけなかったが尾丘ならいたぞ」
「え、ミカ!?」
これは思わぬ収穫だ。テトを探しに来て、ミカの所在まで分かるとは。
「で、どこに居たんですか?」
「確か…さっき教室に来るときに屋上への階段を上がってるのを見た。声をかけたんだが、聞く耳持たずでさっさと行っちまったよ」
「まって、聞く耳持たずって……テトと同じだ!」
確かアリスは、テトに話しかけたが無視されて学校の方に向かったと言った。そして、ミカは亮を無視して屋上に行った。
「なんか、繋がってきましたね。恐らく、二人が居る確率が高いのは……」
「ああ、多分。というよりほぼ確実に…」
「屋上だな」
いったい、この些細な出来事に何が関わっているのだろうか。
「取り合えず、まずは屋上に行くぞ!」
雷夢達はダッシュで教室を飛び出すと、屋上への階段に向かった。
「まてっ、俺も行くぞ!」
その後を、亮も追いかけていった。
雷夢達が階段を駆け上がると、程なくドアが目の前に現れた。しかし、普通のドアと違い、何となくメカメカしい。強いていうならば、普通のドアより重厚感がある。
「よし、行くぞ……ってあれ?」
雷夢がドアノブをいくら回そうとしても、ドアノブが回らない。反対側に回してみても結果は同じだった。
「雷夢さん、これ電子ロックみたいです!」
雷夢がドアの脇を見ると、液晶画面のような物が付いている。蓋のような物があったので開けてみると、あったのは1から9までの数字のボタン。
「暗証番号を入力か…」
「んなもん必要ねぇよ。『鍵を開ける呪文』で…。ルキウゲ・ルキウゲ・アプリーレ!」
バチバチバチッ!!
「わっ!?」
ギューリットが呪文を唱えた途端、辺りに電撃が走った。辛うじてかわしたが、電撃が当たった壁が焦げている。
「くそっ、黒魔法が効かないように封印がしてある!」
「俺に任せろ!」
雷夢が振り向くと、そこには息を少し切らせた亮が立っていた。
「久米島さん、どうする気ですか?」
「まぁ見てろ。今すぐにわかる」
そう言うやいなや、亮はいつものタブレットと、こちらはお初のケーブルを取り出した。
そのケーブルで、タブレットと暗証番号入力のパネルを繋ぐと、亮はものすごいスピードでタブレットを指で叩き始めた。
「なにやってんの?」
「見りゃわかるだろ。ハッキング。」
「へぇ、ハッキングか……ってはぁ!?」
ハッキングと言えば、コンピューターに不法侵入してデータなどを盗んだりするあれだ。はっきり言って犯罪だ。
「おい、大丈夫なのかそんなことして!?」
「大丈夫だ、問題ない」
問題ありまくりだっての。
「ちょっとね、父さんが警察官で、サイバー犯罪対策の本部長やってて。そこに腕を買われて、コネである程度のハッキングは許されてんだ俺」
そんなことを息子に許可させるサイバー犯罪対策課の父親などはたして大丈夫なのだろうか。
「よし、ハッキング完了。開けるぞ。」
ガチャ。
そんな音がして、液晶画面に「通行許可」の文字が浮かんだ。
「よし、行くよ!」
雷夢がドアを思いっきり開けると、そこは間違いなく屋上だった。雷夢達は、慌てて周りを見渡す。
「あ! テト、ミカ!」
屋上の端に目をやると、そこにはテトとミカが立っていた。しかし、何やら様子がおかしい。
「テト、どうしたんだ!?」
いくら雷夢が呼び掛けても、二人は反応を見せない。
二人が顔を上げたが、その顔には精気が感じられない。目もどんよりと黒くなっている。
「いくら話しかけても無駄よ。その子達には『洗脳魔法』かけてるから」
突然上から声がしたかと思うと、誰かが屋上に降り立った。
黒く長い黒髪に、黒と白のコンストラクトのワンピース。腕には幾多もの腕輪を纏った女性。恐らくギューリットと同じ位の年齢だろう。
「誰だお前は。なぜテトとミカに洗脳魔法をかけた?」
そうギューリットが尋ねると、その女は不敵な笑みを浮かべて告げた。
「私はスキュラ。ロベ様の命により、あなた達を連れにきたの」
- Re: 黒魔女さんが通る!!〜チョコの息子の物語〜 ( No.97 )
- 日時: 2013/03/01 12:59
- 名前: ノヴァ (ID: /B3FYnni)
「ん、黒鳥を連れていく? ってことは誘拐か」
「ああ、そんなふうに解釈してくれると助かるよ」
「あら、黒鳥雷夢。どうやら自分達の事情をその子に話してないみたいね」
スキュラとかいった女が、派手な付けヅメでこちらを指差しながら不敵に微笑む。実に面白くない。
「なんなんだよ、事情って」
「それは後で話しますから、今はミカさん達を…」
「あ、そうそう。雷夢くん、女の子の身体はもうなれたかしら?」
一番他人に聞かせたくなかった言葉を、スキュラは言い放った。
「は……どういうことだ黒鳥? 女の子の身体って……」
「えっと、話せば長くなるんだけど……」
雷夢は一連の出来事を亮に説明した。最初は「ナニソレ?」みたいな顔で聞いていた亮だったが、話が進むごとに理解してくれたようだ。
「つまり、通販サイトから配達ミスで送られてきたドリンクで、今黒鳥は女の子の身体ってわけか」
「そういうことなんだけど……ってあれ?」
雷夢は違和感を覚えた。なぜ今あったばかりのロベの手下のスキュラがそのことを知っているのだろう。
こいつが盗聴や覗きなんてするようなことは余り想像できない。
「貴女が欲しがってるのはこれでしょ?」
「誰が女だ」
「よく漢字がわかったわね…。まぁいいわ、これを見なさい」
スキュラが懐を探って取り出したのは、一本のドリンクのボトル。
ラベルを遠目で見ると。
「異性の身体体感ドリンク(効果打ち消し用)」
・一週間以内に戻りたくなったらお飲みください。元の性別に戻れます。
「それ、僕が飲んだドリンクに同封されてたドリンク!」
それは、雷夢が求めて止まなかった元の性別に戻れるドリンクだった。
「そうそう。貴方これが欲しいのでしょ?」
「なんであなたがそれを持ってるんですか!?」
「まぁ、話せば長いけど…」
スキュラの話は長かったのでまとめると、
1・一昨日の夜、どうやって雷夢を捕まえようか悩んでいると楽天国市場の鳩を見つけた。
2・捕まえて調べると、雷夢の家へのお届けものだった。
3・そこで、例のドリンクを注文し捕まえた鳩が持っていた荷物と届けられた荷物をすり替えた。
4・鳩の記憶を書き換えて逃がした。
とのこと。
「じゃあ、なんでそんなことをしたんですか?」
「だって取引出来るじゃない。このドリンクと雷夢くんを」
「残念だけど、あのドリンクの効果は一週間で消えるんだ。だからそのドリンクはいらない」
ここで一戦交えるより、ミカとテトの洗脳を解いてトンズラして、一週間経てばすむことだ。取引なぞする必要はない。
「あ、言い忘れてたけどあのドリンク効果激増させてるから、一生戻らないわ」
「なにぃ!?」
スキュラの一言で、雷夢は一瞬絶望しかけた。このまま逃げても、あのドリンクがないと一生女の子の身体で暮らさねばならないのだ。それだけは避けたい。
「ま、取引する必要がないから、この二人を使って連れていってから飲ませてあげるわ。それならいいでしょ?」
よかないわい。
「なら、力ずくでそのドリンク……いただきましょうか!」
言うが早いかアテナはエンジェル・ビットと共にスキュラに接近していた。
「行きなさい」
スキュラが冷酷な表情で命ずると、ミカとテトがその前に立ちふさがった。二人とも戦闘体勢だ。
「二人とも、すみません! エンジェル・ビット、『遮る障壁形態』!!」
アテナが叫ぶと、組合わさったエンジェル・ビットの先端部から光の防壁が生成され、ミカとテトの行く手を遮った。
その隙に、アテナはスキュラに接近する。
「そのドリンク、もらい受けます!」
「あらダメよ。ルキウゲ・ルキウゲ・コートラーレ、壺」
スキュラが呪文を唱えると、アテナの周りに謎の物体が4つほど現れた。骨董品の大きな壺をケーキの如く4つに切り分けたような物だ。それがアテナに引き寄せられるように殺到する。
「え、あっ…ちょっ…!?」
その物体が、アテナを収納するかの如く合わさると、そこに現れたのは大きな壺。
「ちょっと、動けないんですけど! 誰かーっ!?」
「ついでにこれもどうぞ♪」
ものすごい笑顔でスキュラが指を振ると、アテナが入っている壺の上に一回り小さい壺が現れ、アテナの壺に何かを注いでいく。
「え、なんですかこれ? ってナメクジナメクジNAMEKUZIナメクジィィィィィィィィィィィッ!!?」
どうやらスキュラがアテナの壺に注いだのは、女の子が嫌いな物の一つ、ナメクジのようだ。
「だ、大丈夫かアテナッ!?」
「ひえぇぇぇっ! ヌ、ヌメヌメしてて気持ち悪いーっ!! 服の中にもーっ!?」
「それーっ♪」
続いて、スキュラがまたもや笑顔で何かを壺に注いでいく。
「ぎゃあっ!? ゴキブリ! ムカデ! クモ! いやぁぁぁぁぁぁっ!!?」
今度は女の子が嫌いな虫。しかも結構大量にぶちこんでいる。
「ほらほら、早く降参しないとこの子発狂しちゃうよ〜」
「お、お前……っ!」
「あら、もしかしたら失禁の方がいいかな〜?」
「く、くそっ……!」
間違いない。こいつはドSだ。しかも半分狂っている。
早くしないと、アテナがいろんな意味でアテナではなくなってしまう。ダメだあいつ、早くなんとかしないと。
「(どうすれば……アテナを助けて、あいつをどうにかする方法……)」
高速で頭脳を処理していき、雷夢は方法を模索した。
「(なんか、こう…あっと驚くようなもの……。驚く…?)」
その時、雷夢の頭にビビビッと何かが走った。
- Re: 黒魔女さんが通る!!〜チョコの息子の物語〜 ( No.98 )
- 日時: 2013/03/01 20:59
- 名前: ノヴァ (ID: N.hBywMC)
「ギューリット、あれ持ってる?」
「なんだよあれって」
「あれだよ、ゴニョゴニョ……」
雷夢はスキュラに聞こえないように耳元で用がある物を話した。
「ああ、あれか。あるぞ、ほれ」
ギューリットが懐をまさぐり、例の物を取り出す。それはただ…のような箱。
「あのさ、あいつを倒すから芝居協力して」
「いいけど、どんなのだ?」
「それは、ゴニョゴニョ……」
雷夢は手短にギューリットと亮に作戦を伝えた。早くしないとアテナが発狂してしまう。それを聞いてギューリットが笑みを浮かべる。
「それはいいかもな。よし、それでいこう」
それを聞き届けると、雷夢はスキュラに向き合った。
「スキュラ、わかった降参する」
「あら、それでいいのよ」
「ところで、餞別とはなんですが……渡したいものがあるのでこっちに来てくださいませんか?」
「別に構わないわ、何をくれるのかな〜?」
雷夢の発言に釣られ、スキュラが近づいてくる。
やがて目の前にきたが、意外に背が低い。雷夢より数センチ高いだけだ。遠目だとギューリットと同じ位の年齢に見えたが、近くで見ると背の高さもあって中学生位に見える。
「で、餞別って何かしら?」
「この箱の中の宝石です。けど余りにも眩しく光るので、下の方に持っていってから開けた方がいいですよ」
「そうなの? ならお言葉に甘えて……」
スキュラが箱を自分の腹の前で開き始めた。その結果は見なくても雷夢にはわかる。なぜならそれは……。
バゴンッ!!
「あっふーーん!?」
グーパンチ仕様のビックリ箱だから。
ビックリ箱から繰り出されたグーパンチを腹に受け、スキュラは目測10メートルは吹っ飛んだ。こんなこともあろうかと、威力を最大にセットしておいたのだ。
そして、スキュラの落下地点にあるのはアテナの入った壺。
バギャアァァン!
「ひえぇぇぇっ!!?」
ものすごい音と共に壺が割れ、中からとんでもない姿のアテナが飛び出す。
「ら、ら、ら、雷夢さーん!!」
「来るなー、来るなーっ!」
身体中に虫やらナメクジやら引っ付いた状態で、アテナが雷夢に迫る。当然雷夢も逃げる。
「アテナ、こっち向け! ルキウゲ・ルキウゲ・ハイドラーレ!」
ギューリットが呪文を唱えると、その指から大量の水が吹き出した。どうでもいいがあの水はどこから持ってきているのだろう。
そんなことを思っているうちに、アテナの身体はきれいさっぱりになった。
ヒューン……。
「よっ、と!」
空から何かが降ってきて、亮がそれを受け止めた。
見ると、それはあのドリンクだ。
おおかた吹っ飛ばされた時に飛んでったのだろう。
「う、うーん……」
壺の瓦礫の向こうで、スキュラが立ち上がった。
「さっきはよくもやってくれましたね! おかげでSAN値が発狂寸前の数値までいきましたよ!」
なんのことを言ってるのかはわからないが、取りあえずアテナが怒っているのはわかった。
「けどあなたたちは終わりよ。逃がしはしないんだから!」
スキュラの怒りに呼応するかのように、テトとミカがこっちに接近してくる。
「この子達を助けたいなら、腑抜けにしてみなさい! できるものならねぇ!」
「え、腑抜け?」
腑抜けいえば、簡単に言うとヘナヘナにしてしまえばいいわけだ。つまり……。
ドガッ!!
「がっ!」
考えてる間に、テトが雷夢を屋上に押し倒した。背中に痛みと衝撃が走る。しかし、これは同時に雷夢にとってチャンスでもあった。
「く……このっ!」
雷夢が無我夢中で手を伸ばし、掴んだのは。
「へぁんっ……ら、らいむどにょ……そ、そこは……らめぇ……」
テトの尻尾だった。
「な、なにっ!? わ、私の洗脳魔法が解けただと!?」
スキュラが信じられないといった顔で驚いている。それはそうだ。これは昨日、テトが雷夢のベッドに潜り込んだときに始めて知ったのだ。
テトは尻尾を掴むと腑抜けになることを。
「な、なんかよくわかんないけど……よくやった雷夢!」
「亮! ミカの尻尾も掴んでみて!」
「え……わかった!」
亮は接近していたミカの後ろに回り込むと、その尻尾を掴んだ。
「はぅん……! 久米島くん……触らないで……」
ミカが顔を赤面させながら、その場にへなへなと倒れこむ。どうやら洗脳が解けたようだ。
「そ、そんな……私が負けるの……?」
スキュラは茫然自失とした顔で後ずさるも、後ろのボイラー室の壁に行く手を遮られる。
「よし、それじゃあ……」
「ボコりますか」
そのあと、スキュラを皆で袋叩きにしたのは言うまでもない。
- Re: 黒魔女さんが通る!!〜チョコの息子の物語〜 ( No.99 )
- 日時: 2013/03/01 21:03
- 名前: ティル (ID: 8qWxDU4Y)
はじめまして!(自称)黒魔女さんファンのティルと申します!
小説、面白かったです!いつ更新されるか分からないので、できるだけ見にこようかとおもいます!
(タメ口OKなので、そこんとこ、よこしく!)
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