二次創作小説(紙ほか)

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黒魔女さんが通る!!〜チョコの息子の物語〜
日時: 2013/12/17 22:25
名前: ノヴァ (ID: 6.Nua64i)

初めまして!黒魔女さんが大好きな「ノヴァ」と申しますm(__)m
今回書くのは、以前投稿した作品のリメイク版の黒魔女さんです。
あまり見てもらえないくらいつまらない物だと思いますが、どうぞよろしくお願いいたします。

注!
・荒らしはできるだけやめてください。

さて、主要人物の紹介です。
「黒鳥 雷夢」(くろとり らいむ)
・とある事情で未来から来たチョコと大形京の息子。主人公。
「ギューリット」
・雷夢と同じく未来から来たギュービッドの娘。雷夢の護衛兼インストラクター。
「アテナ・アルタイル」
・雷夢の家に居候している白魔女。(途中からの登場です。)
すみません、前置きが長くなってしまいましたm(__)m
では、どうぞご覧になってください!

一覧表
第1話>>1-19第2話前編>>20-57

第2話後編>>58-77第3話>>78-102

第4話>>103-112第5話>>115-135

第6話>>138-176第7話>>178-218

第8話
その1>>242-276その2>>293-

番外編>>237>>285>>289>>292

キャラ更新>>21>>34>>66>>136>>231

★オリキャラ募集中! 詳しくは↓を御覧ください!★

5年1組座席表&キャラ募集用紙>>279

読者様投稿のオリキャラ

あかり様「白鷺一子」>>220、Dr.クロ様「月闇クロ」>>222「リリス・メアリーナ」>>283
ゆきだるま様「鈴木大輝」>>223「尾周 大歩」>>280、モンブラン博士様「クレープ」>>226、「星野 天使」>>301
くもくも様「秋冬春夏」>>233、塩月夏子様「皐月 ジュン」>>282
陽和様「花舞 雅」>>305




プロローグ

心地よいそよ風で目が覚めた。目の前には青空が広がっていた。
「どこだ・・・ここ?」
体を起こし辺りを見回すと、雷夢がいたのは草原だった。それもとてつもなく広い。
雷夢には見覚えのない場所だった。
「おーい!誰かいないですかーー!」
力の限り叫ぶが、それに答える者は誰一人いなかった。ただ風が吹き去っていくだけだった。
「まいったな・・・。これからどうしよう・・ん?」
見ると遠くから何かが雨雲と共に近づいてきていた。
その巨大な体を大きくくねらせながら。
「そこの貴様!我が草原に入るとは許しがたし!!」
いきなり巨大な声が響いた、と同時に大粒の雨が雷夢に降り注いだ。
顔を滴る雨粒を拭いながら再び空を見る。
そこには、とてつもない威厳を放つ巨大な龍が怒りを持った目でこちらを睨み付けていた。
「我が怒りの雷に裁かれるがよい!!はぁぁぁぁっ!!」
龍が叫ぶと同時に一つの落雷が雷夢を狙っていた。当たれば即死は確実だろう。
「う、うわぁぁぁぁ!!・・・・・」
落雷は雷夢に逃げる暇も与えずその身体を電気で焦がし、焼きつくした。

跡には一片の炭も一塵の灰も残されていなかった。


Re: 黒魔女さんが通る!!〜チョコの息子の話〜 ( No.15 )
日時: 2012/12/13 23:17
名前: ノヴァ (ID: BoToiGlL)



時間は3時30分。雷夢達3人はイシダヤショッピングセンター3階のゲームセンターに来ていた。時間が時間なだけに、あまり人は居ないようだった。
「何で修行する場所がゲーセンなわけ?」
「さっき言ったろ、大当り魔法の修行だよ。」
それは雷夢もアテナもわかっていた。つまり聞きたいことはそこではなかった。
「だから僕が言いたいのは、何で大当り魔法っていう実戦に向かなそうな魔法を教えるのかってこと!」
「ああ、実は大当り魔法は魔力の大きさを判別しやすいんだよ。」
「あ、なるほど!」
頭の上に『?』が3つほど浮かんでいる雷夢の隣でアテナが一人だけ納得していた。
「雷夢さん、大当り魔法は使った物事の結果がその人の魔力で大きく変わるんです。」
「えっと、つまりスロットで大当り魔法を使ったときに、使用した人の魔力が大きければコインがいっぱい出て、逆に少ないとその分のコインが減って出てくる・・みたいな?」
「そう、その通りです雷夢さん。つまりギューリットさんは大当り魔法の結果で雷夢さんの今の魔力を計ろうとしているんですよ。」
「おお、アテナ鋭いな。その通りだよ!」
するとギューリットは両替機の前に進んでいって千円札を入れ始めた。
ジャラジャラ・・。
取りだし口に落ちた大量の100円玉を持ってギューリットが戻ってくる。
「というわけで、今日までは息抜き!好きに遊んでよーし!」
「イヤッホーイ!ありがとうございますギューリットさん!さて、どれから遊びますかな〜。」
アテナはギューリットから100円玉を大量に受け取り財布に入れた。しかしアテナは財布などいつ買ったのだろうか。
「ほれ、雷夢も。」
ギューリットが100円玉を突きだしてくる。仕方なく雷夢はそれを受け取った。
「じゃあ、ちゃんと見ててよ。僕の魔力がどれくらいなのか。」
「ああもう、わかってるってーの!」
そう言いつつ、ギューリットは奥の方にあった太鼓の付いたアーケードゲームに向かっていた。全然分かってないではないか。
「んじゃ、僕もなんかやってみるか。」


「あれっ、もしかして雷夢くん?」
ゲーセン内を歩いていて急に声をかけられた。振り向くと、どこかで見た女の子が立っていた。
「えっと・・・。あ、確か『夏野 花梨』(なつの かりん)・・だっけ?」
「そうそう、こんなところで会えるなんて花梨感激〜!」
そう言って顎の下で両手のガッツポーズ。それが語るように、花梨はぶりっ子なのだ。確か両親がファッションコーディネーターで、そのためかいつもかわいい服を着てくるらしい。現に今着ている服も人形が着ていそうな服だった。
「てか、そっちこそなんでここに?」
「あ、実は花梨、こう見えてゲーム大好きなんだ!ここのゲーセンもよく遊びに来るんだよぉ。」
「へぇ、そうなんだ。なんなら一緒に遊ばない?あんまりこういう場所のゲームしたことなくてさ。」
「やったぁ!花梨、うれしいよ〜。あ、このクレーンゲームやってみない?これおもしろいんだよ。花梨もずっとやりこんじゃうぐらい!」
そこにあったのは、中に黒いカプセルが置いてあるクレーンゲームだった。隣のガラスケースに様々な商品が置いてあるところを見ると、カプセルの中にある鍵で商品が手にはいるシステムらしい。
「じゃあ、花梨がお手本見せる〜!」
そう言い、花梨が100円玉を投入口にいれる。
その瞬間、周りの空気が変わった。どす黒く、かつ邪悪なそれに。
「クククク・・・。」
花梨を見ると、うつむいて不敵な笑い声を出していた。
「か、花梨・・・?」
雷夢が呼び掛けると、花梨がゆっくりと顔をあげる。
そして叫んだ。
「さあ、かかってこい!大金食らいのクレーンゲームめ、この私にたてつくとどうなるか教えてやるよ!」
もう、そこにいたのは先程の花梨ではなかった。いつものぶりっ子の欠片を残さず変貌させた、ぶりっ子には必ず潜む、裏の心の花梨だった。

Re: 黒魔女さんが通る!!〜チョコの息子の話〜 ( No.16 )
日時: 2012/12/15 21:39
名前: ノヴァ (ID: /B3FYnni)

「オラオラァ!行けやアームよぉ!」
花梨は半ば半狂乱に近い状態と化していた。これはもうゲームが終わらない限り元には戻らないだろう。
雷夢がそう思っている合間に、「裏」花梨は黒いカプセルをアームで掴み、取りだし口へと易々と運んでいた。
ゴト。
カプセルが無事に取りだし口から出てくる。
「見たか、金食いのクレーンゲーム!ざまぁ見やがれ!」
そう言いながら花梨はカプセルを開け、中に入っていた鍵でガラスケースを開けた。中から出てきたのはモデルガンだった。
「やったぁ、花梨最高〜!」
いつの間にやら花梨は元のぶりっ子に戻っていた。嘘の如く先程の面影は全くなかった。
「あ、あのさ花梨・・・。」
「ん、どうしたの雷夢くん?」
雷夢は思いきって聞くことにした。
「花梨って、ゲームするといつもあんななるの?」
「え?あ、うんそうなのぉ。花梨ってゲームすると今みたいに理性崩壊しかけちゃうの〜。」
正直すでに崩壊していたような気もしたが、ぶりっ子に免じてあえて口をつぐんだ。
「ほら、雷夢くんもやってみてぇ。」
「う、うんわかった。」
そう言われ、雷夢は100円玉を投入した。そしてボタンを押す。

一回目のチャレンジ。
ぼと。
失敗。
二回目のチャレンジ。
ぼて。
失敗。
三回目
ことん。
失敗。
・・・・・・・・
十回目。
かつん。
失敗。
「全然取れないじゃんこれ!」
あっという間に千円すっ飛んだ。しかもこの十回でカプセルを1センチ以上上げた試しは一度もない。
「絶対クリア出来なく作ってあんだろこれ。」
「そんなことないよ、花梨だって取れたんだもん。」
そう言って花梨と変わる。
「こんなのも取れねぇなんてショボいぞ黒鳥!」
再び裏花梨が出てきた。
「こんなもんこうしてこうすれば・・・。」
ガタン。
いとも簡単に取っていた。このクレーンゲームは雷夢を毛嫌いでもしているのだろうか。
「ゲームがプレイヤーを毛嫌いするわけねぇだろ。悪いのはプレイヤーの腕と経験の無さだ。」
真っ向から否定された。
「じゃあさ、ここにスロットマシンとかある?それなら結構いけるかも。」
「ほぉ、そうなのか。じゃあ、花梨についてきてぇ〜。」
今度は瞬間的に人格をチェンジするという芸当を花梨はやってのけた。



「ほらぁ、着いたよ!」
花梨についていくと、そこにはスロットマシンが数台か並んでいた。3つのドラムに、側面のレバー。まさに雷夢がイメージしていたスロットマシンだった。
「ようし、それじゃやってみるか。」
「あ、まってまって雷夢くん!」
やろうとしたとたん、花梨に腕を掴まれた。
「まずはあっちのカウンターでコイン貰わないと。100円じゃスロットはできないよぉ。」
「あ、ごめん。さっき言ったみたいにあんまりゲーセンきたことなくって。」
さっそくカウンターでコインを100円と交換して、再び雷夢はスロットマシンの目前に舞い戻った。
「(えっと、確か大当り魔法は『ゲットーネ』だったな・・・。)」
そう思いつつ、コインを投入する。そして丹田に力をいれ、雷夢は呪文を唱る。
「ルキウゲ・ルキウゲ・ゲットーネ!」
パンパカパーン!
ジャラジャラジャラジャラ・・・。
するとファンファーレと共にコインがスロットマシンが溢れだした。
「わぁ!すごいね雷夢くん、花梨びっくり〜!」
「す、すごい・・・。」
自分でやっておいて呆然としつつ、コインをケースに容れまくる。
「ようし、花梨も・・いや、私もやるぜ!」
花梨も裏モードに変貌し、スロットを開始した。
「こっちも負けないぞ!ルキウゲ・ルキウゲ・ゲットーネ!ルキウゲ・ルキウゲ・ゲットーネ!」
ジャラジャラジャラジャラジャラジャラ・・・。
見ると、すでにコインケースは満杯になっていた。
「あ、花梨。このコインってあっちで交換できる?」
「オラオラオラオラオラオラァァァ!!」
花梨は半狂乱で聞く耳持たずだった。
「じゃあ、僕交換してもらってくるね・・・。」
一端ゲームを中断し、雷夢はカウンターへ向かった。受け付けに聞くと、どうやらお菓子と交換できるらしい。なんでもここでこんなにコインを出した人は、つい最近に女の子が一回やってのけただけだという。ぜひとも会ってみたかった。



「お、重い・・・・。」
雷夢は両手に大量のお菓子入りビニール袋を下げ、息を切らせながらゲーセン内を歩いていた。しばらくはこれだけでお菓子代が浮くに違いなかった。
「雷夢!すごいじゃねぇか、そんなにお菓子と交換できて!」
「私もいっぱいぬいぐるみ取りましたよ!みんなかわいいです!」
「ところで、ギューリット。僕の魔力どのくらいかわかったの?」
「もちろんだぜ!そうだな、だいたい・・・。」
ところがギューリットの話は突然途切れさせられた。

「見つけましたよ、黒鳥雷夢さん。」

三人が振り向くと、そこには少しばかり身なりを整えた男性が立っていた。
「誰だ、お前は。なぜ雷夢の名を知っている。」
「おっと失礼。紹介が遅れました。」
ギューリットが聞くと、その男は深々と一礼してこう告げた。

「私は『フルーレティ』。ロベ・ル・プティ様の命により、あなた様をお連れに参りました。」


Re: 黒魔女さんが通る!!〜チョコの息子の話〜 ( No.17 )
日時: 2012/12/17 19:11
名前: ノヴァ (ID: /B3FYnni)


「ロベの手先だとっ!?」
フルーレティという男の一言で三人は身構えた。まさかこんなに早く見つかるとは思ってもいなかった。
「お待ちください、私も紳士ですので手荒な事はしない主義でして。ロベ様にも『黒鳥雷夢は生かして出来るだけ傷つけずに連れてこい』と命令されていますゆえ。」
「ほぉ、じゃあどうする気だ?」
ギューリットが聞くと、フルーレティは悠然と答えた。
「そうですね・・・。では、ゲームで決めましょう。」
『ゲ、ゲーム?』
三人が聞き返すとフルーレティは続けた。
「そうです、あなた方三人と私がこのゲームセンター内のゲームでどれかひとつでも私に勝てたならば、今回は手を引きましょう。」
「・・・勝てなかったら?」
「無論、あなた方三人をロベ様の元へお連れします。まぁ、あなた方が私に勝つなど微塵にも考えていませんがね。」
「むっ!どんだけ自信過剰なんですかねあの人!」
「いいだろう、私たちがお前のそんな自信ぶち壊してやるよ!」
「あ、いい忘れましたがお互いに黒魔法は使わないということで。それでしたら公平でしょう。」
「おう、わかったぜ!雷夢、この勝負絶対勝つぞ!」
「うん、言われなくてもわかってる!」



「では、手始めにどなたからどのゲームで対戦しますか?」
「私がやります!」
勢いよく声を上げたのはアテナだった。
「対戦するのは・・・クレーンゲームです!」
「いいでしょう。では、どのようなルールで?」
「お互いに一回ずつプレイして、多くとれた方の勝ち。で、どうですか。」
「わかりました。ではお先にどうぞ、私は後からでよろしいです。」
「おい、アテナ大丈夫か?」
雷夢はアテナに耳打ちした。
「大丈夫です。これでもクレーンゲームは得意な方なんです。」
そう言ってアテナはクレーンゲームの前に足を進めた。そしてコインを入れゲームがスタートした。
「よしよし、そのまま・・・。」
アテナの操るアームは幾多ものぬいぐるみの上を通り、そして降下する。
がし。
そしてアームは複数のぬいぐるみを挟んで戻ってきて、取り出し口にそれらを落とした。
「やったぁ、3つ一気取りです!」
「なるほど、それだけですか。」
「なっ・・・、どういうことですか!?」
「それでは私の足元にも及ばないということです。では今度は私が・・・・。」
そう言い、今度はフルーレティがゲームを開始する。アームは順調に動いている。
「・・・・そこです!」
そう叫ぶと、フルーレティは↓ボタンを押した。アームが降下し、その爪を閉じる。
「う、うそ・・・・。」
アテナは驚愕していた。それはそのはず、フルーレティが操るアームには今やアテナの時の倍近い数のぬいぐるみが挟まっていた。
どさっ。
「ふぅ、6こですか。まぁまぁですね、これでそちらのお嬢さんとの勝負は私の勝ちです。」
「くっ!雷夢さん・・・すみません。」
「大丈夫だアテナ、まだ雷夢が連れていかれると決まった訳じゃない。」
「そちらの黒魔女の言う通りです。では、お次はどちらで?」
「私だ!対戦ゲームは『太鼓の達人』、レベルは『おに』で曲は『さいたま2000』、これでどうだ!」
「いいでしょう、では今回は同時進行で。」
「わかった、お互いに妨害無しな。」
そう言い、二人は太鼓の達人の前に並んだ。ギューリットがコインを投入する。
『さあ、始まるドン!』
マスコットキャラのドンちゃんの声が響き、演奏が始まった。
・・・ドカドドドカドドドカドンカドドカドカカドカドドドドカドカドドカドカカドカカカドカドドドドカドカカ・・・・!!!
文字で書くとゲシュタルト崩壊を起こしそうなほど、周囲に太鼓の音が響き渡る。
ドドドカドカドカドコドンカカカカドドドカドンカカカッドドドカドン!!
『フルコンボだドン!!』
再びドンちゃんの声が響き、演奏が終わった。どうやら二人ともフルコンボしたようだ。
『結果発表だドン!』
そして結果発表の画面へ移った。
「なっ、なにぃ!?100000ポイント差だと!?」
「ええっ!?」
雷夢が覗き込むと、ギューリットは903254ポイント。対するフルーレティは1003678ポイントだった。
「な、なぜだ!お互いにフルコンボ出したんだぞ!」
「ふっ、それは簡単なことです。」
「ど、どういうことだ?」
「あなたのプレイを見ると、フルコンボはしていましたが『可』を多く出していた。」
「それがどうした!」
「それに対して、私は全ての音符を『良』。つまり『全良』を成し遂げたのです。」
「な、なに!?そんな・・・バカな。」
ギューリットはそう言うと、落胆しひざまづいた。
「さて、これであなた一人になりましたね。黒鳥雷夢さん。」
「うっ・・・!」
雷夢には勝機が全くなかった。雷夢から見て充分上手いこの二人を、いとも容易くフルーレティは退けた。もっと強いプレイヤーならともかく、ゲームをあまりやったことのない雷夢には勝ち目がなかった。
「(ど、どうすれば・・・。)」
雷夢が勝機を失い、頭がパニックで混乱し始めた時だった。
「あれぇ?雷夢くんどうしたの、こんなところでぇ。」
「な、夏野さん!?どうしてここに?」
雷夢が見ると、太鼓の達人の影から花梨が顔を出していた。
そのとき、雷夢の頭にふと思いついたことがあった。
「なぁ、フルーレティ。」
「どうしましたか?」
「僕が選手交代・・・ってのはダメかな?」
「ほう、別によろしいですが・・・。どちらのお方と交代しますか。」
「わかった、ちょっと待ってくれ。」
そう言い、雷夢は花梨を奥に引き込んだ。
「な、何?どうしたの雷夢くん。」
「実はカクカクシカジカで・・・。」
雷夢は花梨に事のあらましを説明した。
「なるほど、つまりあの人に勝たないと雷夢くんは連れていかれちゃう・・・ってことね。わかった、花梨協力するよ!」
「ありがとう、花梨。ところで、花梨がこのゲーセンで一番得意なのはどのゲーム?」
「ええっとねぇ、一番得意なのは・・・あれ!あれなら誰にも負けないよぉ。」
花梨が指差したさきのゲーム機を見て、雷夢は勝機を見いだした。

Re: 黒魔女さんが通る!!〜チョコの息子の話〜 ( No.18 )
日時: 2012/12/23 22:46
名前: ノヴァ (ID: N.hBywMC)

「よし、決まったぞフルーレティ。」
「では、どなたと交代するので?」
「はぁ〜い!花梨にま、か、せ、てぇ〜。」
「ええっ!?(はぁ!?)」
花梨が名乗り出たとたん、アテナとギューリットはすっとんきょうな声を上げた。いや、どちらかというと驚いているに近かった。
「おいおいおいおいおいぃぃぃぃ、雷夢!大丈夫かお前は、そんなやつがそいつに勝てるわけないだろ!」
「そうですよ雷夢さん!プロのゲーマーならまだしも、ぶりっ子の夏野さんには無理ですよ!!」
「確かに、そのお二方の言う通りです。早く手を引いた方がよろしいですよお嬢さん。」
「もう!みんなして花梨をバカにして、花梨頑張るもん!!」
「確かに、僕は花梨ならあいつに勝てると思った。だから花梨、お前に任せた!」
雷夢は花梨の肩を叩き、ゲームの勝敗を全て花梨に託した。
「まぁ、いいでしょう。では、どのゲームで対戦しますか?」
「ええっとねぇ、じゃああのクレーンゲームで!」
花梨が指差したのは、中に黒いカプセルが入っているクレーンゲーム。そう、雷夢が先程苦戦を強いられ惨敗した、あのゲームだった。
「あの中のカプセルには隣にあるガラスケースの鍵が入っているんだけど、ただのキーホルダーが入ってることもあるの。」
「それがどうしました?」
フルーレティが聞くと、花梨は自信たっぷりに答えた。
「あの中のカプセルを取って、先に鍵を取った方の勝ちでどうかな?開けるのは二人同時にで。」
「わかりました。では始めましょう、そちらからどうぞ。」
「やったぁ!ありがとうございますぅ。」
そう言うと花梨は100円を手に取り、それを投入した。
「・・・・む?」
「えっ・・・なんですか?」
「なんだこの・・・邪悪な空気は。」
どうやらここにいる全員が感じ取っているようだった。そう、

裏モードの花梨が発する邪悪な気を。

「クックックッ・・・・。面白そうじゃねぇかええ?」
「な、夏野さん・・・・?」
「あ?どうしたアテナよぉ・・・。まぁ、いい。フルーレティとか言ったな貴様。」
「どうかしましたか?」
「いい忘れたが、このバトル一度ミスったらその時点でそいつの負けだ。わかったか!」
「ほほう、勝手にルールを後から追加するなど・・・。ですがその方が面白いですね、いいでしょう。」
もはや二人の間には火花がぶつかり、二人の闘争心がオーラとして背後に見えていた。
「ら、雷夢さん。花梨さんってゲームするとああなるんですか?」
「あ、うん。さっき見せてくれたから別にびっくりしないけど。」
「お前らのクラスっていったいどんなんだよ・・・。」



「そんじゃ、私から始めるぞ。」
花梨は先程100円を入れたゲームの前に立ち、→ボタンを押し始めた。
「そのまま、そのまま。」
そう言いながら花梨は↑ボタンを押す。
「・・・・そこぉ!!」
花梨が叫び、ボタンから手を放す。アームはゆっくりと下降し、落下地点のカプセルをがっしり掴む。
・・・ガコン。
「よしっ!」
無事にカプセルは取り出し口から出てきた。
「では私も。」
続けてフルーレティもゲームをスタートした。
ガコン。
フルーレティも難なくカプセルを取った。
「じゃあ、中身の確認だ。」
ガポッ。
二人が同時にカプセルを開ける。見ると二人とも鍵のようだった。
「一回目は引き分けですね、では続けましょう。」
「言われなくてもそのつもりだ。」
・・・・・・・
「今度はどっちもキーホルダーか!」
「くっ、全く勝負が終わりません・・・。」
すでに二人の勝負は十回目に突入していたが、未だに二人とも同じものが当たり続けていた。しかし突然フルーレティが笑い声を上げた。
「ハハハハッ!わかりましたよ、この勝負私の勝ちです!」
「なっ!?どういうことだフルーレティ!」
雷夢が聞くとフルーレティは悠然と答えた。
「見なさい、カプセルはあと1つだけです。」
全員が見ると、ゲーム内に黒いカプセルはフルーレティの言う通りあと1つしかなかった。
「私の計算では、あのカプセルの中には鍵が入っています。」
「じゃあ、私があれを取れば雷夢達の勝ちってわけだな。」
「ふふふふ・・・・。しかしそう簡単にいきますかねぇ?ご覧なさい、カプセルの位置を!」
「カプセルの位置・・・・あっ!?」
花梨が急にうろたえた。雷夢達が見ると、カプセルはゲーム内の右側の端にあった。
「いったいどうしたんだよ花梨?」
すると花梨は口をゆっくりと開いた。
「あ、あの場所は・・・アームが届かないんだ。つまり、あのカプセルは取れない。」
『ええっ!?』
雷夢達が驚くと、フルーレティが再び笑い始めた。
「ハハハハッ!そうとも、あの場所のカプセルは誰にも取れない。この私でさえもだ!これでそちらの負けは決定です!」
「・・・・『私でも取れない』?なら、それを取れば僕達の勝ちってわけだな。」
そう言いはなったのは他の誰でもなく、雷夢本人だった。
「なっ!?雷夢お前っ・・・。」
「ほぉ、あれを取ると言うのですか?」
「ああ、そうだ。」
雷夢は自信を込めて言い放った。
「何をバカなことを!いいでしょう、取れたら私は素直に帰りましょう。」
「言ったな?男子に二言なしだ!」
そう言って雷夢は100円を入れ、ゲームを始めた。
「(雷夢の野郎、いったいどうする気だ?)」
花梨がそう思っている間に、アームはカプセルに一番近いところまで迫っていた。雷夢がボタンを離し、アームを降下させた時だった。
「今だっ!!」
そう叫ぶと、雷夢は腰のホルスターから竹串を取り出し、取り出し口からゲーム内に投擲した。
「なっ!?いったい何を・・・。」
予想外の出来事に驚愕しているフルーレティを尻目に、雷夢の投擲した竹串はゲーム内を幾度となく反射し、そして。
カンッ!
反射の末、竹串はカプセルの後方に命中しそれを前方に押し転がした。当然その先にあるのは下降してくるアーム。
ガシッ。
アームは自分の方に転がってきたカプセルを簡単に掴み、取り出し口へ戻ってくる。
ガタンッ!
そして、取り出し口からカプセルが転がり落ちてくる。雷夢が取り出し、中身を見ると鍵が入っていた。
「や、やったぁ!!私達の勝ちです!」
「うおおっ!めっちゃキテるぜ雷夢〜!」
そう言われアテナとギューリットに抱きつかれた。
「ええい!貴様貴様貴様ぁ!明らかに今のは反則だろう、今のは取り消しだ!」
物凄い剣幕でフルーレティが罵ってきた。今までの紳士さが欠片もないほどだ。
「えっ、僕は反則なんてしてませんよ。」
「貴様よくもぬけぬけと!」
「だってあなたが言ったじゃないですか、『黒魔法はお互いに使わない』って。僕は黒魔法なんて使ってませんよ。ただ、竹串の反射角度を計算して投げただけなので黒魔法は使ってません。」
「く、くそう・・・。」
「さあ、フルーレティ!今すぐ魔界に帰りやがれ!」
「ぐっ・・・・。え、ええい!こうなれば力ずくでぇぇぇ!!!」
そう叫ぶや否や、フルーレティがこちらに突進してきていた。

Re: 黒魔女さんが通る!!〜チョコの息子の話〜 ( No.19 )
日時: 2012/12/19 23:12
名前: ノヴァ (ID: uY/SLz6f)


「来るぞ!雷夢、アテナ、気を付けろ!」
そう言われ、花梨も含めた4人は身構える。フルーレティは怒り狂いながらこっちに向かってくる。
「ハハハハッ!くたばれぇぇぇぇぇぇ!!!」

プルルルルルル。プルルルルルル。

『!?』
今まさにフルーレティがこちらに飛びかかろうとした瞬間、鳴り響いた場違いな音にその場にいた一同は硬直した。恐らく携帯の着信音だろう。
誰の物かと雷夢が全員を見る。アテナは首を横に降る。花梨に目を向けると、同じ動作をした。
「わ、私じゃないぞ!」
ギューリットは雷夢が見る前に否定した。
「僕でもないよ・・。」
雷夢が否定した結果、他に考えられる人物は1人だけだった。
「わ、私のか!?」
フルーレティが懐に手を入れス魔ホを取り出すと、画面が点滅しているようだった。
「ええい、肝心な時に!はい、もしもし!・・・なんだ、スローネか。今いいところだ、話は後で・・・。」
そこまで言って、フルーレティが話すのを止める。
「な・・・っ!ロベ様が・・・くっ、仕方ない分かった!」
ス魔ホの画面をタップすると、フルーレティはこちらを向いた。
「ちっ、お前達!今回は私の負けだ、潔く帰ってやろう。」
「さっき全然潔くなかったよな。」
「だな。(ですね。)(うんうん。)」
「ええい、うるさい!」
雷夢とギューリット達がツッコミをいれると、フルーレティはくやしながらに反論した。
「ロベ様から呼び出しがかかってな、今回は諦めるが次は無いと思え!ルキウゲ・ルキウゲ・ムオベーレ!」
フルーレティが呪文を唱えると、瞬く間にその姿は消え失せていた。



「あ〜、今日はほんっっっっっとに疲れたな。」
「けどいい経験になりましたし、何より遊べて本当に楽しかったですよ!」
夕日が照らす住宅地の道路を、花梨と別れた雷夢達は歩いていた。今日は色々と大変な1日だったとつくづく思う。
「そういえば、あの星羅・・・でしたっけ?あの子の占い当たりましたね。」
「あ、確かに『二人とも ゲーセン行ったら 大波乱』って言ってたけど、言われてみれば確かに当たってるね。」
「ん、なんの話してんだ?」
「いや別に、ギューリット。」
「お、そうだ!さっきいい忘れてたな。」
「何を・・・・。あ、僕の魔力!フルーレティのせいで聞いてなかった。」
思い出せば、ギューリットがその事を話そうとしたときにフルーレティがやって来た為にその事を聞いてなかったのだった。
「お前の魔力は大体、黒魔法使い6級レベルだな。まだまだ駆け出しの魔法使いだな。」
「うーーん。ま、これから修行頑張ればいいかな。早くレベル上げてロベに対抗できるようにしないと。」
「そう、そのいきですよ雷夢さん!私も頑張って行きますからお互いに頑張りましょう!」
「よく言った二人とも!じゃあ、明日からキバっていくぜーー!」
『おおーーっ!』
夕焼け射す住宅街に、雷夢達三人の声は響くのだった。

第1話「過去の世界で大波乱!?」終
〜第2話に続く〜


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