二次創作小説(紙ほか)
■漢字にルビが振れるようになりました!使用方法は漢字のよみがなを半角かっこで括るだけ。
入力例)鳴(な)かぬなら 鳴(な)くまでまとう 不如帰(ホトトギス)
- 黒魔女さんが通る!!〜チョコの息子の物語〜
- 日時: 2013/12/17 22:25
- 名前: ノヴァ (ID: 6.Nua64i)
初めまして!黒魔女さんが大好きな「ノヴァ」と申しますm(__)m
今回書くのは、以前投稿した作品のリメイク版の黒魔女さんです。
あまり見てもらえないくらいつまらない物だと思いますが、どうぞよろしくお願いいたします。
注!
・荒らしはできるだけやめてください。
さて、主要人物の紹介です。
「黒鳥 雷夢」(くろとり らいむ)
・とある事情で未来から来たチョコと大形京の息子。主人公。
「ギューリット」
・雷夢と同じく未来から来たギュービッドの娘。雷夢の護衛兼インストラクター。
「アテナ・アルタイル」
・雷夢の家に居候している白魔女。(途中からの登場です。)
すみません、前置きが長くなってしまいましたm(__)m
では、どうぞご覧になってください!
一覧表
第1話>>1-19第2話前編>>20-57
第2話後編>>58-77第3話>>78-102
第4話>>103-112第5話>>115-135
第6話>>138-176第7話>>178-218
第8話
その1>>242-276その2>>293-
番外編>>237>>285>>289>>292
キャラ更新>>21>>34>>66>>136>>231
★オリキャラ募集中! 詳しくは↓を御覧ください!★
5年1組座席表&キャラ募集用紙>>279
読者様投稿のオリキャラ
あかり様「白鷺一子」>>220、Dr.クロ様「月闇クロ」>>222「リリス・メアリーナ」>>283
ゆきだるま様「鈴木大輝」>>223「尾周 大歩」>>280、モンブラン博士様「クレープ」>>226、「星野 天使」>>301
くもくも様「秋冬春夏」>>233、塩月夏子様「皐月 ジュン」>>282
陽和様「花舞 雅」>>305
プロローグ
心地よいそよ風で目が覚めた。目の前には青空が広がっていた。
「どこだ・・・ここ?」
体を起こし辺りを見回すと、雷夢がいたのは草原だった。それもとてつもなく広い。
雷夢には見覚えのない場所だった。
「おーい!誰かいないですかーー!」
力の限り叫ぶが、それに答える者は誰一人いなかった。ただ風が吹き去っていくだけだった。
「まいったな・・・。これからどうしよう・・ん?」
見ると遠くから何かが雨雲と共に近づいてきていた。
その巨大な体を大きくくねらせながら。
「そこの貴様!我が草原に入るとは許しがたし!!」
いきなり巨大な声が響いた、と同時に大粒の雨が雷夢に降り注いだ。
顔を滴る雨粒を拭いながら再び空を見る。
そこには、とてつもない威厳を放つ巨大な龍が怒りを持った目でこちらを睨み付けていた。
「我が怒りの雷に裁かれるがよい!!はぁぁぁぁっ!!」
龍が叫ぶと同時に一つの落雷が雷夢を狙っていた。当たれば即死は確実だろう。
「う、うわぁぁぁぁ!!・・・・・」
落雷は雷夢に逃げる暇も与えずその身体を電気で焦がし、焼きつくした。
跡には一片の炭も一塵の灰も残されていなかった。
- Re: 黒魔女さんが通る!!〜チョコの息子の物語〜 ( No.75 )
- 日時: 2013/02/16 22:15
- 名前: ノヴァ (ID: uY/SLz6f)
『ふあぁぁ・・・。』
眠い、ひたすらに眠い。少しでも油断すると眠ってしまいそうだ。それは隣にいるアテナやギューリット、ミカにも言えることだ。全員まぶたは半開き、下手をするとうたた寝に入りかけていることもある。
「ふぉんと、暇すぎて欠伸が出ますよ・・・ふあぁぁ。」
そう、アテナが言った通り、暇なのだ。朝からずっと観戦しているだけで、特に出場する競技もないので、かなり暇だった。
しかし、この苦痛もあとわずか。雷夢達が待ちに待った本家の競技があと少しで始まるのだ。「地域対抗リレー」が。
「雷夢さん、そろそろ集合の時間ですよ。」
「え、もうそんな時間だったっけ?」
未來に言われプログラムを見てみると、リレーは今やっている組体操の二つ後だった。
「おいミカ、そろそろ出番だぞ!」
「あ、う〜ん・・・。」
寝ぼけ眼のミカを連れて、雷夢は入場門に走って行った。
『それでは、次が今回最後の競技となります、「地域対抗リレー」です!』
放送が流れ、雷夢達を含む参加者全員が入場する。一度に四地区、1チーム20人という大がかりなリレーで、この運動会の一種の目玉と言ってもよいものだった。
「やっぱり二つに別れるんだな。えっと、こっちにいるのは・・・ミカとテトか。」
ちなみにテトは、リレーの選手だというのを思いだし、ついさっき来たばかりだ。
全チームが二つに分かれ準備が整うと、最初の選手がスタートラインに立った。ピストル係が立ち、ピストルを構える。
「位置について・・・。よーい・・・。」
ズギャァァァァァァンッッッ!!!
その爆音で、会場の空気が凍りついた。無論ピストルの音ではない。雷夢が音のした方を見ると、先程まで何も無かった校庭の中央に深い亀裂が入っていた。まるで爪で切り裂かれたかの如く。
「グルルァァオゥッ!!」
間髪入れず、何かが校庭の中心に降り立った。そこにいたのは、山で出会ったあの巨大ヘルハウンドだった。
『キャァァァァァァッ!!』
会場にいた人達が、それを見て一瞬で悲鳴を挙げ我先にと逃げ出した。
「ルキウゲ・ルキウゲ・テンポラーレ!」
すると、なぜか観客が全員動きを止めた。いや、止まっている。
そこにギューリットが人混みを掻き分けて駆けつけた。
「ギューリット、どういうことなの? 人がみんな止まってるけど・・・。」
「今、この辺り一帯に『時間停止魔法』をかけた。あんまり騒ぎを大きくするといけないからな。」
「グオォォォォォ!!!」
ヘルハウンドが咆哮をあげて、こちらに向かってきた。すかさず横跳びでかわす。
「ガブリエ・ガブリエ・キャノラーレ!!」
ドギュドギュドギュドギュゥゥン!!!
突然呪文が聞こえたかと思うと、ヘルハウンドに無数のビームが直撃していた。
「大丈夫ですか雷夢さん、ギューリットさん!?」
「アテナ! 今のは・・・。」
「私のエンジェル・ビットの『砲撃呪文』です。少しは堪えてくれればいいんですけど・・・。」
ズシン、ズシン、ズシン。
黒煙の中から、ヘルハウンドが歩み出てきた。あれだけの砲撃を喰らったはずなのに、目立った外傷が見られない。耐久性がかなりダンチということが目に見えてわかった。
「この前みたいに一発喰らうのじゃあ!」
ヘルハウンドの背後で、テトが跳躍するのが見えた。恐らく、以前と同じように飛び蹴りを喰らわせるつもりらしい。
テトが勢いをつけて飛び蹴りの体勢で突っ込んでいくと、ヘルハウンドも気付いたのか後ろを向いた。
「反撃しようとも遅い! 喰らうの・・・じゃ?」
ガパァ・・・。
テトの突っ込んで来る先で、ヘルハウンドが大口を開けた。
「ちょ、ちょっとちょっと待つのじゃ〜!」
今の状態だと、テトは慣性の法則で止まる事ができない。その先に待っているのは、ヘルハウンドが開けた巨大な口。
「にょわーーーっ!?」
パクン。
ゴクリ。
テトが飛び込むと同時に、ヘルハウンドは口を閉じて、それを飲み込んだ。
「・・・・・・。」
「・・・・・・。」
『食われたあぁぁぁぁぁぁぁっ!!!???』
読んで字のごとく食われた。テトが食われた・・・。
「う、うあぁぁぁぁぁっ!!!」
凄まじい叫び声が聞こえたかと思うと、ミカが怒りを露にしてヘルハウンドに突っ込んでいた。
「よくも、よくもよくもよくもっ! よくもテトちゃんをぉぉぉぉっ!!」
「ミカ、不用意に近付くな! 危険だ!」
しかし、ギューリットの声は怒り狂ったミカには届かず、更にヘルハウンドに突っ込んでいく。
「グオォォォォォ!!」
一瞬何が起きたか分からなかった。気づくと、ヘルハウンドはミカに一瞬で肉薄していた。
「あ・・・。」
ガリガリゴリンッ!!
もうそこにミカの姿は無かった。あったのは無惨に抉れた校庭だけ。
ゴクン。
これでミカも食われてしまった。雷夢達はただただ唖然とすることしかできない。
それがいけなかった。そのせいで反応が遅れ、ヘルハウンドが飛びかかるのに気づくのが遅れた。
雷夢は自分の終わりを悟った。
「(し、しまった・・・。父さん・・・ごめん、生きてる間に会えなくて・・・。)」
「いや、そんなことはないさ。」
バゴオォォンッ!!
目を開けると、ヘルハウンドが吹っ飛んでいた。しかも、目の前に誰かが立っている。
ウェーブのかかった髪、右目を隠した前髪。その人物を、雷夢は知っていた。
「やっと会えたな、雷夢。自分の父親・・・黒鳥 京に。」
- Re: 黒魔女さんが通る!!〜チョコの息子の物語〜 ( No.76 )
- 日時: 2013/02/17 16:34
- 名前: ノヴァ (ID: FX8aUA2f)
「え、まさか・・・。父さん・・・?」
雷夢が問いかけると、その男は少し微笑んだ。
「そう、僕はお前の父親の黒鳥京だ。」
やっと会えた。自分がこの世に生を受けてから11年間、会うことができなかった父親が目の前にいる。
「全く、敵に隙を与えるなんて、僕の息子らしくないぞ。」
「と、父さん・・・。」
ゴオォォォアアアァァァァッッッ!!
先程吹っ飛ばされたヘルハウンドが、再び立ち上がって雷夢達に飛びかかった。
「と、父さん! 早くにげ・・・。」
「その必要は無いぞ、雷夢。」
ゴッシャァァァァン!!
物凄い金属音がしたかと思うと、ヘルハウンドが崩れ落ちていた。
そこに、空から誰かが降り立った。またしても、雷夢はその人物を知っていた。
「全く、雷夢に会いに来たのに当の本人が襲われてるなんて。」
「母さん!?」
そう、そこにいたのは自分の母親、黒鳥千代子その人だった。
「久しぶりね、雷夢。」
「母さん・・・。ってそれどころじゃないよ! あいつに僕の友達が二人食われたんだ!」
「なるほど、それで隙だらけだったわけか。」
「って、また来ましたよ!」
見ると、三度ヘルハウンドが強襲してきている。二回もやられて怒り爆発のようだ。
「行けるよね、チョコ。」
「当たり前でしょ、京。」
すると、母はどこからかフライパンを取り出した。まさかさっきのはこれで叩き伏せたのか。
「ルキウゲ・ルキウゲ・トラスフォルマーレ!」
母が呪文を唱えると、先程取り出したフライパンが変形し始めた。きれいな円形が、次第に四角くなっていく。どうやら卵焼きを焼くときに使うフライパンのようだ。
「それじゃ、雷夢達の防御は任せたわ!」
そう言うと、母はヘルハウンドに向かって突っ込んで行った。
突然ヘルハウンドが首を反らせ始めた。猛烈に嫌な予感を感じる。
「みんな、僕の後ろに!」
父の言うことに従い、雷夢達はその後ろに移動した。
「ゴオォォォッ!!」
ヘルハウンドが口を開けたかと思うと、その中から大量の火球が打ち出された。無論こちらに飛んでくる。
しかし父はそれに動じることなく、右手をつきだした。
バヒュバヒュン!
すると、雷夢達に向かっていた火球がことごとく弾けた。
「これはいったい・・・。」
「ただの防御魔法だよ。このくらい消し飛ばすのは簡単さ。」
ギューリットの質問に、父は平然と答えた。
当の母は、信じられないほど軽やかな足取りで火球を避けている。この二人、色々とチート過ぎる。
「さて、雷夢のお友達・・・返してもらいましょうか!」
母はヘルハウンドの火球を避けまくると、その真下にまわる。
「はぁっ!」
バゴン!
鈍い音がして、ヘルハウンドの鳩尾にフライパンがめり込む。
そのとたん、ヘルハウンドは苦しそうに身もだえしはじめた。
「グ、グ、グ・・・ゲボァッ!」
べしゃべしゃ。
もがきまくった果てに、ヘルハウンドは何かを吐き出した。
「テト、ミカ!」
それは、ヘルハウンドの胃液がまとわりついたテトとミカだった。雷夢はアテナと共に二人に駆け寄る。
「テト、テト! しっかりしろ!」
「う・・・ら、雷夢殿。た、助けてくれて・・・ありがとう・・・なのじゃ。」
テトがうっすらと目を開けた。どうやら命に別状は無さそうだ。
「テト・・・無事で良かった・・・。」
雷夢はテトを抱き締めた。嬉し涙が止まらない。
「ミカさんも大丈夫です!」
雷夢は二人の無事を確認すると、テトを抱えて皆のところに戻った。振り返ると、母はヘルハウンドと已然格闘していた。
「このままじゃ、埒が明かない。雷夢、行くぞ!」
「え? っておわっ!?」
雷夢の腕を掴み、父は母のところに跳んだ。
「ふんっ!」
父が手をかざすと、ヘルハウンドは吹っ飛んだ。
「雷夢、竹串はあるよな。」
「え、あるけど・・・どうしたの?」
「あれをやるのね、京。」
雷夢は頭に「?」を浮かべた。何をするのか全く予想できない。
「雷夢、それでやつに止めをさせ。」
「はぁ!? 無理だよこんなんじゃ!」
こんな竹串があんな化け物に聞くはずがない。倒せるならとっくにやっている。
「大丈夫、私達がサポートしてあげるから。思いっきりぶちかましなさい。」
「・・・・・・わかった、やってみる。」
振り向くとヘルハウンドは再び立ち上がり、こちらを睨み付けている。
雷夢はヘルハウンドと対峙した。両親の思いに答えるべく、すべての思いを竹串に込める。
『ルキウゲ・ルキウゲ・ファミリアーレ!』
両親が呪文を唱えると、竹串が光はじめた。
「(これなら・・・いける!)」
雷夢はヘルハウンドに向き直り、竹串を構えた。
「ゴオォォォォォォォォォォッッッ!!」
ヘルハウンドがこれまでにない威圧で突進してくる。雷夢はそれに標準を合わせた。
「ぬうぅぅぅおおぉぉぉぉぉっ!!」
ズギャァァァァァン・・・。
雷夢の竹串は光の尾をたなびかせ、ヘルハウンドを貫いた。
- Re: 黒魔女さんが通る!!〜チョコの息子の物語〜 ( No.77 )
- 日時: 2013/02/19 07:09
- 名前: ノヴァ (ID: N.hBywMC)
「取り合えず一件落着ですね。」
今雷夢達は、身動きひとつしないヘルハウンドを取り囲んでいる。ちなみに両親は戦いで破壊された会場をもとに戻している。どうやら「時間巻き戻し魔法」を使っているらしく、辺りがみるみるうちに元に戻っていく。
しかし雷夢は雷夢で苦労していた。
「うえぇぇぇん! 怖かったのじゃ雷夢殿〜!!」
「私もどうなるかと思ったよ〜!!」
「わ、わかったからもう泣くなよ。てか近い近い近い!」
先程までヘルハウンドに飲み込まれていた二人に泣いたまま抱きつかれ、雷夢はあくせくしていた。
「ところで二人とも、体操服どうするんですか?」
どうやらヘルハウンドの胃の中で胃液まみれになったせいか、二人の体操服はボロボロだった。下手に引っ張ると全部無くなってしまいそうだ。しかし何故二人の身体が溶けていないのかが不思議で仕方がない。吐き出されたとき、二人は全身胃液に浸っていたはずだが。
「でしたらこれをどうぞ。」
振り向くと、そこには体操服を抱えた穂香が立っていた。
「え、なんで穂香動けんの? ギューリットの時間停止魔法が効いてるはずなのに。」
「何故かは知らないのですが、私達だけは動けるみたいで。先程まで戦いをお嬢様と観賞させていただきました。」
テントを見ると、こちらに向かって手を振っている未來が見えた。動けたのなら手助けの一つでもしてくれれば良かったのだが。
「会場の修理は終わったよ。全く派手にやってくれたもんだ。」
肩を回して父が戻ってきた。その後ろには母も一緒だ。
「グ、グ、グ、グ、グ・・・。」
全員が振り返ると、先程まで身動きしなかったヘルハウンドが身悶えしている。
「こいつ、動くぞ!」
「む、良くも動く!」
ガンダムネタを飛ばしながらギューリットとアテナが戦闘体勢をとる。
「いや、まて! ようすが・・・おかしい。」
父が二人を制するやいなや、ヘルハウンドが淡く輝き始めた。
「おや、ヘルハウンドのようすがっ!?」
「空気読め。」
空気を読まずにポケモンネタをかましたギューリットに竹串を突き刺す。
そうこうしているうちに、ヘルハウンドが光の中で形を変えながら縮んでいく。やがてその光も収まり、ヘルハウンドが確実に姿を変えていた。
「え、フルーレティ!?」
そこに倒れていたのは、以前二、三回ほど戦いを繰り広げたロベの手下、フルーレティだった。
「でも、どうしてこんな姿に?」
「これのせいだろ。」
父がフルーレティの傍らから何かをつまみ上げた。それは何かの肉片のようで、指先でピクピク動いている。見ているだけで気持ち悪い。
「京さん、それは?」
「多分、『魔獣の核』とか言うやつだろう。これを埋め込まれてたから、あんな化け物になったんだろ。」
「それより、こいつどうすんの? 取り合えず縛っとく?」
「それなら既に。」
見ると、穂香が既に荒縄でフルーレティを縛り上げていた。手をうつのが早すぎないかこいつ。
「じゃ、魔界警察に連絡して連行してもらうか。」
「それじゃ私が。」
ギューリットはポケットからス魔ホを取り出すと、画面をタップし始めた。
『それでは、位置について。よーい・・・。』
バーン!
ピストルの音と共に、四チームの第一走者が走り出した。
あの後、フルーレティを魔界警察に連行してもらい、会場の人々の記憶を一部、両親が『忘却魔法』で消してから、時間を元に戻した。
これでようやくリレーが始まるわけで。
ちなみに両親はテントでギューリットと応援中。
『おっと第二小の率いる赤チームの愛さん、トップの直樹くんに大きく突き放された!』
見ると、二番の愛と一番を走る直樹とかいう男子と、かなり差が開いている。しかし、大丈夫。何故なら次の走者は・・・。
「愛殿〜! こっちなのじゃ〜!」
そう、テトだ。テトならこの差を埋められるはずだ。
直樹が二番走者にバトンを渡した二秒後、愛のバトンがテトに渡された。
「おりゃあ〜!!」
そのとたん、テトは物凄い勢いで二番走者を追跡し始めた。そして遂にはその横に並ぶ。
「雷夢殿! 頼むのじゃ!」
「任せろ!」
走ってきたテトのバトンが雷夢に渡される。しかし雷夢は呪文を唱えない。
唱えたくないのだ。両親が見守っているなか、黒魔法でズルをして勝つなんてことはしたくない。だから今は自身の力で走るのだ。
「うおぉぉぉぉぉっ!!」
第一小の走者に抜かされないように、雷夢は全力で走る。抜かれそうになれば抜き返す。その攻防の果てに、雷夢は第三走者を突き放して未來の元にたどり着いた。
「お願い、未來!」
「任せてください、雷夢さん。」
雷夢からバトンを受けとると、未來は走り去っていった。
「よくやったじゃないか、雷夢。」
「母さん、雷夢のあんなかっこいいとこ見れてよかったわ。」
「そ、そうかな・・・。」
雷夢達は帰宅の路についていた。リレーの結果は、雷夢の頑張りも奏して第二小のトップで幕を下ろした。
「それより、久しぶりに雷夢に会えたから今日は私が晩御飯つくってあげる!」
「ええ、本当!?」
「おっ、僕もチョコの手料理を久しぶりに食べてみたいな。」
「やふ〜! 雷夢殿の母上の手料理楽しみじゃの〜。」
「私もご一緒によろしいですか?」
「いいわよ。ミカちゃんも食べてきなさい。」
「よっしゃ、今日はパーティーだ!!」
『おおーっ!!』
こんな会話を交わしながら、雷夢達は家へと帰っていった。
「あれ、どうしたの大形くん?」
なんか雷夢くん達をずっと見てるけど。
「なんか・・・雷夢くん達の後ろにいるのって、僕と黒鳥さんに似てるねぇ。」
あ、確かに言われてみればそんな気も。
「もしかして・・・。未来からきた僕達だったりしてね、黒鳥さん。」
まさかぁ、って大形くんなんでぬいぐるみ取ってるの!? 大形くん早く付けてよ、桃花ちゃ〜ん!
〜第二話「また居候!?過去の母と運動会 後編」〜
〜終〜
第三話に続く〜
- Re: 黒魔女さんが通る!!〜チョコの息子の物語〜 ( No.78 )
- 日時: 2013/02/20 06:51
- 名前: ノヴァ (ID: L3izesA2)
第3話「〜雷夢の身体に大異変!? 新たな魔の手〜」
気持ちいい朝の日差しで目が覚めた。いつも思うがここの部屋の窓から射し込む朝日は最高だと思う。朝一番でリラックスできる。
昨日はパーティーの後夜中まで父と語り通し、そして両親に別れを告げたのだ。
『大丈夫、母さん雷夢のことはいつでも見守れるから・・・。頑張ってね!』
『こっちのことは心配しなくていいから、お前はこっちで頑張れ。未来のことは任せておけ。』
両親が別れ際に話した言葉が心に染み付いている。二人が言った通り、こっちはこっちで修行をしなければ。
そう思い、雷夢は寝返りを打った。
「すー・・・。すー・・・。」
目の前にテトの寝顔があった。
「ちょっ、なんでまたここに居るんだよ!」
「あ・・・。雷夢殿・・・。おはよう・・・なのじゃ。」
思いっきり肩を揺さぶってやるとテトが目を開けた。
「言うの二回目だけど、なんでまたここに居るんだよ。」
「えっ、それはの・・・お礼がしたかったのじゃ。」
「へ? っておおぅ!?」
いきなりテトが抱きついてきた。しかし以前と違い、とてもふんわりと雷夢を包み込む・・・。そんな感じだった。
「雷夢殿が母上と力を合わせて我とミカ殿の命を助けてくれたのは、とても言葉ではお礼がしきれなくての・・・。だからこんな感じでお礼するしかないのじゃ。」
「い、いやお礼ならもう充分だよ。てか、こんなとこギューリットとかに見られたら・・・。」
自分がテトと一緒にベッドで抱き合っている。そんなとこをギューリットやアテナに見られた暁には、一生変な目で見られそうだ。それだけはマジで勘弁。
「大丈夫じゃ。ギューリット殿は仕事に向かっておるし、アテナ殿も眠っておる。」
「そ、それはそうだとしても・・・。」
ふと雷夢はテトのフリフリ動く尻尾に目が止まった。以前から思っていたが、何となくあれを触ってみたい。
雷夢は手を伸ばしてテトの尻尾を掴んでみた。途端にテトの顔が朱色に染まった。
「あっ・・・。りゃいむどにょ・・・しょ、しょこはぁ・・・。」
「ど、どしたテト!?」
「し、しっぽはちゅかまにゃいでぇ・・・。そこをつかまれると・・・我力が入らないのじゃ・・・。」
どうやら本当に力が入らないらしく、所々呂律が回っていない。ここまでやるとテトがどうかなってしまいそうなので雷夢は手を放した。
「はふぅ・・・。雷夢殿もひどいのじゃ。」
「ご、ごめん・・・。」
「まぁ、雷夢殿は知らなかったから許すが、次触ったら我とミカ殿と未來殿とでいろんな女装させてやるのじゃ!」
「う・・・。わ、わかった。」
何がなんでもテトの尻尾を触らないと雷夢は心に決めた。ただでさえメイド服が嫌だったのに、色々な女装をさせられた暁には雷夢は精神崩壊を起こしてしまいそうだ。
「じゃあ、下行ってなんか飲んでくる、喉乾いたし。あと、さすがに部屋戻ってくれるけ?」
「了解したのじゃ!」
そう言ったテトを後ろに見ながら、雷夢は一階に降りていった。
「てか全然いいのがないな。ギューリットに買ってきてもらわないと・・・。」
喉の渇きを癒しに来たのに、冷蔵庫にはほとんど飲料水が入っていない。コーラ等があったが、ジュース系は喉の渇きを誘発するとかで雷夢はあまり飲まない。飲むのは大概お茶などだが、それらは冷蔵庫には入っていない。
「他にはないかな・・・あっ、あった。」
見るとテーブルの上にドリンク剤のようなビンが置いてあった。ドリンク剤は別に飲まないわけではない。むしろ歓迎する。
雷夢はビンを手に取りフタを開けた。
ゴクゴクゴク・・・。
そこそこ旨い。リポ○タンDやオ○ナミンCに似た味だ。こんな味は結構大好きだったりする。
ゴキュ・・・。ちゅぽん。
最後の一滴までいただきました。
「あ、おはようございます雷夢さん・・・ってちょちょちょっとぉーー!?」
二階から降りてきたアテナが、あいさつするやいなや雷夢に攻めよってきた。
「ら、雷夢さん・・・。まさかそれ全部飲んじゃいました・・・?」
「う、うん。飲んだけど・・・それがどうした?」
そう言った途端、アテナの顔が青ざめた。
「ら、雷夢さん早く出して出して出してっ!!」
「な、なんだよいったい!?」
アテナが半狂乱で雷夢の背中を擦りまくる。
「そ、それを吐き出さないと・・・雷夢さんがぁ!!」
すると突然雷夢の身体に痛みが走った。何やら身体中が軋んでいくようで少しきつい。
「な、なにが起きて・・・。」
そこで雷夢は意識を失った。
「雷夢さん、雷夢さん!!」
「うっ・・・ん。」
目を開けるとそこにはアテナ達三人の姿が見えた。どうやら気絶している間にベッドに運ばれたらしい。
「僕いったい何が・・・あれっ?」
そこで雷夢は自分の声に疑問を抱いた。なぜだかいつもより高い気がする。強いていうなら、こっちの母の声に似ている。
「実は・・・。雷夢さんに残念なお知らせがあります。」
そう言うとアテナは少し大きめの鏡をどこからか取り出した。そこに映るのは、少し胸の大きな自分。
いやちょっと待て。雷夢は男だ。なら鏡に今映っている自分は何故に胸が大きい。
それと、身体の違和感にも気づいた。まるで上半身に何かが足され、下半身から何かがなくなった違和感。
「ま、まさか・・・。」
雷夢はアテナ達に背を向けてズボンの中を覗いてみた。
結果。
無かった。
「はあぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!?」
雷夢の声が朝日降り注ぐ黒鳥家にこだました。
- Re: 黒魔女さんが通る!!〜チョコの息子の物語〜 ( No.79 )
- 日時: 2013/02/20 20:35
- 名前: ノヴァ (ID: HDoKOx/N)
「雷夢さん、少しは落ち着きました?」
「あ〜・・・。うん、なんとか・・・。」
雷夢はどうにかこうにか絶望のOTZから立ち直り、精神力の回復を待っているところだ。先程叫んだあと、しばらくは立ち直れないくらいに絶望していたが、アテナ達の呼び掛けで持ち直して今に至る。
「でも、なんで僕の身体こんななっちゃったの・・・?」
「えっと、原因はこれです。」
アテナはそう言うと、何かを差し出した。見るとそれは、気絶前に雷夢が飲んでいたドリンク剤のビンだった。
「なんでこれが原因なんだよ。どうみたってただのドリンクじゃん。」
「じゃあ、これ見てください。」
アテナは後ろに手をまわすと、また何かを取り出した。どうやらこのドリンクが入っていた箱のようだ。
そこに書いてあったのは。
<新発売!!>
「異性の身体体感ドリンク(男性用)」
効果
・飲むと一週間異性の身体になります。(元の身体に戻りたい時は同封のドリンクをお飲みください。)
効能
・肩凝り、腰痛によく効きます。
「は、なんだよこれ!? 僕これを飲んだのか!?」
「どうやらそのようで・・・。」
「そもそも、なんでこんなのが家にあるんだよ。」
「実は・・・。」
アテナが説明したのをまとめると。
1・昨日の夜、天界の通販サイト「楽天界・市場」で「エンジェル・ビットカスタム&整備用具コンプリートセット」を買った。
2・しかし配送ミスでこのドリンクが届いてしまった。
3・返品は明日にしようと、机の上に置いて寝た。
とのことだった。
「じゃあなんで開いているんだよ。そのままにしてたんだろ?」
「いや、実は私が見つけて、開けて飲もうとしたらパッケージに気づいて、そのままにしたんだ。」
どうやらこの事件の犯人はアテナとギューリットの二人らしい。
「じゃあ、早く同封のドリンク飲ませてよ。」
効果を見る限り、一週間はこのままの身体で過ごさなければならないらしい。しかし、その表記の横に「同封のドリンクで元に戻る」と書いてあるではないか。それを飲めば一件落着なわけで。
「実は、不良品でドリンクが同封されてないんですよ・・・。」
「はぁ!? じゃあ僕一週間ずっとこのまんま!?」
「残念ながらそんな風に・・・。」
どうすればいいのだ。今日は月曜だが、昨日の運動会で振替休日。しかし、そのあとは普通に学校が四日続く。その間はどうすればいいのだ。
「てか、そもそもアテナが配達ミスするようなサイトで注文したのがいけないんだぞ!」
「ええっ!? だってあのサイト、配達ミスはありますけど、それでも五年に一回あるかないか位なので・・・。」
「あ、そうだったんだ。責めてごめんなアテナ。」
「それにしても、この状況をどうするのじゃ?」
「まぁ、今日はあまり考えなくてもいいだろ。問題はそのあと四日間だな・・・。」
そこが一番の難所なのだ。そこさえ乗りきればあとは休みだからどうにでもなる。
「あ、こうすればよいのではないかの?」
「どんなのだ?」
テトが説明するには。
1・明日は風邪ということで休む。
2・次の日から金曜まではマスクを着けて当校する。マスクがあるから声はいくらか誤魔化せる。
らしい。
「じゃあこれはどうすんだこれは。」
雷夢は自分の胸をつついて示した。
今の自分の胸は、アテナやテト以上にでかい。そんな状態でいつもの服を着れば、絶対怪しまれるだろう。
「ならこれならどうじゃ?」
「にょっ!?」
テトはどこからか包帯のような帯を取り出すと、雷夢の背中に手を突っ込みそれを胸と背中に巻き付け始めた。
「テ、テト・・・。くるし・・・っ。」
「我慢するのじゃ・・・。よし、これならどうじゃ?」
見ると、先程は二人より大きかった胸がいつもの自分と同じくらいにまでへこんでいる。これならばれることはないだろう。
「それじゃ、その方法でいくか。あとは私生活に支障はないだろうから、普通に暮らせばいいんじゃないか?」
「本当に支障がなければいいけど・・・。」
雷夢は後の未来の安寧を健やかに願った。
「ふふっ、どうやら上手くいったようね。」
何ら違和感はないただの電柱。その上に、女が立っていた。その黒いワンピースを風にはためかせながら。
「さて、次の作戦考えなきゃ。」
その女がその言葉を発した時には、その姿は掻き消えていた。
Page:1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15 16 17 18 19 20 21 22 23 24 25 26 27 28 29 30 31 32 33 34 35 36 37 38 39 40 41 42 43 44 45 46 47 48 49 50 51 52 53 54 55 56 57 58 59 60 61 62 63 64 65 66 67 68 69 70 71 72 73 74 75 76 77