二次創作小説(紙ほか)
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- 黒魔女さんが通る!!〜チョコの息子の物語〜
- 日時: 2013/12/17 22:25
- 名前: ノヴァ (ID: 6.Nua64i)
初めまして!黒魔女さんが大好きな「ノヴァ」と申しますm(__)m
今回書くのは、以前投稿した作品のリメイク版の黒魔女さんです。
あまり見てもらえないくらいつまらない物だと思いますが、どうぞよろしくお願いいたします。
注!
・荒らしはできるだけやめてください。
さて、主要人物の紹介です。
「黒鳥 雷夢」(くろとり らいむ)
・とある事情で未来から来たチョコと大形京の息子。主人公。
「ギューリット」
・雷夢と同じく未来から来たギュービッドの娘。雷夢の護衛兼インストラクター。
「アテナ・アルタイル」
・雷夢の家に居候している白魔女。(途中からの登場です。)
すみません、前置きが長くなってしまいましたm(__)m
では、どうぞご覧になってください!
一覧表
第1話>>1-19第2話前編>>20-57
第2話後編>>58-77第3話>>78-102
第4話>>103-112第5話>>115-135
第6話>>138-176第7話>>178-218
第8話
その1>>242-276その2>>293-
番外編>>237>>285>>289>>292
キャラ更新>>21>>34>>66>>136>>231
★オリキャラ募集中! 詳しくは↓を御覧ください!★
5年1組座席表&キャラ募集用紙>>279
読者様投稿のオリキャラ
あかり様「白鷺一子」>>220、Dr.クロ様「月闇クロ」>>222「リリス・メアリーナ」>>283
ゆきだるま様「鈴木大輝」>>223「尾周 大歩」>>280、モンブラン博士様「クレープ」>>226、「星野 天使」>>301
くもくも様「秋冬春夏」>>233、塩月夏子様「皐月 ジュン」>>282
陽和様「花舞 雅」>>305
プロローグ
心地よいそよ風で目が覚めた。目の前には青空が広がっていた。
「どこだ・・・ここ?」
体を起こし辺りを見回すと、雷夢がいたのは草原だった。それもとてつもなく広い。
雷夢には見覚えのない場所だった。
「おーい!誰かいないですかーー!」
力の限り叫ぶが、それに答える者は誰一人いなかった。ただ風が吹き去っていくだけだった。
「まいったな・・・。これからどうしよう・・ん?」
見ると遠くから何かが雨雲と共に近づいてきていた。
その巨大な体を大きくくねらせながら。
「そこの貴様!我が草原に入るとは許しがたし!!」
いきなり巨大な声が響いた、と同時に大粒の雨が雷夢に降り注いだ。
顔を滴る雨粒を拭いながら再び空を見る。
そこには、とてつもない威厳を放つ巨大な龍が怒りを持った目でこちらを睨み付けていた。
「我が怒りの雷に裁かれるがよい!!はぁぁぁぁっ!!」
龍が叫ぶと同時に一つの落雷が雷夢を狙っていた。当たれば即死は確実だろう。
「う、うわぁぁぁぁ!!・・・・・」
落雷は雷夢に逃げる暇も与えずその身体を電気で焦がし、焼きつくした。
跡には一片の炭も一塵の灰も残されていなかった。
- Re: 黒魔女さんが通る!!〜チョコの息子の話〜 ( No.10 )
- 日時: 2012/12/08 23:04
- 名前: ノヴァ (ID: BoToiGlL)
ガツガツモグモグガツガツ・・・。
「お、おいひい!おいひいでふよこのカレー!!」
雷夢、ギューリット、ミカの三人が見ている中、女の子はただひたすらにカレーをむさぼっていた。
先程、雷夢とミカはその女の子を連れて帰り、家に到着。家に先に帰宅していたギューリットに訳を話して、カレーライスを高速で作ってもらったのだが、出来た途端に起きて今に至るわけだった。
ガツガツモグモグガツガツモグモグ・・・。
「ふぅ〜美味しいですねカレーは!」
「あのさ、君いったいどうし・・・・。」
「あ、すみません。お代わり貰えますか?あと、特盛で!」
雷夢の質問は礼儀を知らないお代わり追加の注文で遮られた。仕方なく雷夢はキッチンに戻り、特盛にカレーを注いで持ってくる。
「あ、すみません。いただきまーす!!」
ガツガツモグモグガツガツモグモグガツガツ・・・・。
再びカレーを口に運ぶ音のソロ演奏がスタートした。
ガツガツモグモグ・・・。
「ふぅ〜。」
三人が見ると、山のように注いであったカレーが何事もなかったかのように消え失せていた。
「よし、今度こそ聞くけど君いったいどうし・・・。」
「あ、すみません。またお代わりいいですか?」
「いい加減に・・・。」
「はい?」
「しろ!(しやがれ!)(してよ!)」
「あぎゃーーーす!!!?」
三人の堪忍袋の緒が力強く切れ、目の前のカレーブラックホールに向かい、三人の怒り+雷夢の竹串10数本がぶつけられた。
「な、なんですかいきなり!?せっかく人がカレーを頂いているのにどうしたんですか?」
「なにあたかも自分の家で食ってるみたいな発言してんだ、飯食わせてる側の身にもなれ!!」
ざく。
「フェレスッ!?」
雷夢は怒りをぶちまけて、さらにもう一本、フルパワーでブラックホール女の額に竹串を投擲した。
「わ、わかりましたわかりましたよぉ!ご、ごちそうさまでしたぁ!」
ようやく、女の子は食べるのをやめた。全く余計な浪費をさせてくれた。
「じゃあ今度こそ聞くけどさ。」
「はい、なんですか?」
「君、いったい誰?」
「あ、申し遅れました!私、『アテナ・アルタイル』っていいます。『アテナ』って呼んでください。」
「へぇ、外国人なんだね!私はミカ、よろしくね。」
「ところで、なんで行き倒れてたの?」
先程から疑問に思っていたことを雷夢はアテナにぶつけてみた。
「実は、用事があってこの町に来たんですけど、お金持ってなくてお腹が空いて・・・って訳です。」
「ほぉ、その用事って一体なんだ?」
「人探しですね。『クロトリライム』って人です。」
「えっ!?誰に頼まれた?」
雷夢がそう尋ねると、アテナの口から聞きたくない人物の名前が出てきた。
「えっと、確か『ロベ』って人です。」
「あのさ、そのロベって人が探してる『クロトリライム』って僕のことなんだけど。」
「ええ!?ならよかったです!じゃあ早速連絡を・・・。」
「でも、それは僕を殺す為だと思う。」
『ええ!?どういうことですか!?(なの!?)」
なぜミカまで驚くのかと思ったが、ミカにはこちらの事情を教えていなかった。
「仕方ない、こっちの事情全部教えるか雷夢。」
「うん、わかった。」
「えっと、つまり雷夢とギューリットさんは未来から来た人で、ロベって人が雷夢の命を奪うために探してるってこと?」
「うん、そういうことなんだ。」
「私よりすごい秘密隠してたなんて・・・腰抜けそう。」
「私もです。たまたま魔界に降りてきただけなのに、まさかこんなことになるなんて・・・。」
「はぁ?魔界に降りてきたぁ?」
アテナがそう言うと、なぜかギューリットが反応した。
「あ、はい。話せば長くなるんですけど・・・。」
アテナの話は本当に長かったのでまとめると、
1、魔界の雲より高い場所に天界という場所があって、アテナはそこから来た修行中の白魔女である。
2、ある日修行の為に魔界に降りたら、ロベという男に話しかけられ、自分を連れてくるように頼まれた。
3、理由を聞く間もなく、『時間巻き戻し魔法』と『瞬間移動魔法』を同時にかけられ、この時代に来た。
とのことだった。
「ったく、ロベの野郎許せないぜ全く!」
確かに、関係のない人を巻き込んで自分を連れてこさせるのはいかんせん許せなかった。恐らく連れていったら「用済み」などと言って殺すのだろう。
「頼むんだったら、タダじゃなくせめて金払えよな!」
どうやらギューリットは全く関係ないところに腹を立てていたようだ。しかもとてつもなくどうでもいいところに。
「それは私も思いましたよ!せめて1000円は出して欲しいところですよ!」
当のアテナ本人もだった。この二人は金のことしか頭にないのだろうか。
「で、アテナは結局どうすんの?僕を連れていく?」
「いえ、事情を知ったので雷夢さんを連れていくのはやめます。けど・・・。」
「けど?」
「私、『時間巻き戻し早送り魔法』使えないんです!」
「なに!?それじゃ未来に帰れないじゃねぇか!どうすんだよ!」
ギューリットが聞くと、アテナは急に頭を下げた。
「そこでです!私をこの家に居候させてください、お願いします!時間早送り魔法が使えるようになるまででいいので!」
そう言うとアテナはさらに土下座までした。こうなると、アテナの所在を決めるのはギューリットになった。別に居候させてもいいと雷夢は思っているのだが、今現在、この家の主人であるギューリットがそれを決める権限を持っていた。
「おお、いいぞ!」
早すぎる了承だった。
「私達の他に事情信じてくれそうなやつは居なさそうだし、好きなだけ居候していいぞ。」
「あ、ありがとうございます!!」
アテナは涙をこぼしながら何度もお辞儀をしていた。
「ところで雷夢とアテナは学校どうするの?」
「あ!?どうすんのさギューリット!」
「この際だから、ミカと同じ学校行けばいいじゃねぇか。それなら、まだいいだろ。」
「やったぁ!ライムと同じ学校で生活出来るんだ、よろしくねライム!」
「こちらもよろしくです、ライムさん!」
「あ、えっと・・・うん!二人ともよろしく!」
なんだかんだで学校の問題も解決したが、これからどんな毎日が待っているのか。雷夢は様々な気持ちを頭の中に巡らせた。
「よし、明日は私達の日用雑貨買いにいくぞ!」
『おーー!!』
そして、新しく増えた家族とも仲良く出来るのか、そんなドキドキも感じていた。
- Re: 黒魔女さんが通る!!〜チョコの息子の話〜 ( No.11 )
- 日時: 2012/12/09 21:29
- 名前: ノヴァ (ID: /B3FYnni)
雷夢は自分の部屋の新しいベッドで横になっていた。先日から居候することになったアテナの分の家具や、生活必需品の買い出しに一日を費やしたため今日はそこそこ疲れていた。
「ん〜・・・っ。そういえば明日から学校か・・。ギューリットのやつ、編入手続き済ませたのかな?それにしても、いったいどんなクラスなんだろ・・。」
先日のギューリットによると、先生なんかに頼んでミカと同じクラスに入れてもらえるらしい。ミカと一緒ならば少しは安心できる。
コンコン。
「雷夢、入るぞ。」
部屋のドアを叩き、ギューリットが入ってきた。
「どうしたの、こんな時間に?」
ちなみに今は夜の10時、一般家庭なら子供は寝るのを強制させられることもある時間帯だった。
「いや、ようやく家なんかの準備も落ち着いてきたしな、お前が生活の中でやらなければいけないことを始めるんだよ。」
それを言われて雷夢は、もしやと思った。
「もしかして、黒魔法修行?」
「ピンポンピンポーン!ってわけで、お前にこれをやろう!」
そう言うとギューリットは黒コートの中から何かを取りだし、雷夢に渡した。
「黒魔法の教科書だ、しっかり読んでおけよ!それと黒魔法ドリルも。」
「うっ・・・。これが母さんも苦しんだっていう黒魔法ドリル・・っ!」
「ああ、それは修行の合間に宿題として範囲いうから、ちゃんとやれよ。」
「あ、うん・・・。」
「なにぃ?聞こえんなぁ〜!」
どこかで聞いたような台詞と共に、ギューリットがこちらに耳を向ける。
「は、はい!」
「それでよし。んじゃ、今日は基本中の基本の『基本呪文』を覚えてもらう。」
「き、基本呪文?」
雷夢が聞くと、ギューリットが説明した。
「基本呪文っていうのは、黒魔女や黒魔法使いが一番初めに覚える黒魔法だ。主に、死霊という低級魔物の退治や空を飛ぶときに使う魔法なんだよ。基本中の基本だから覚えとけ、てか忘れるな!」
「わ、わかった!」
すると、ギューリットは何故かcampusノートを取り出した。
「違う違う、よく見てみろ。これは『キャ魔パスノート』っ、これに書いた黒魔法の呪文は頭に染み付くっていうノートだよ。」
雷夢がよく見ると、表紙の英語が『campus』ではなく『camapus』になっていた。魔界はこんなに胡散臭い物が多いのか。
「まずはそれに基本呪文、『ルキウゲ・ルキウゲ・ロフォカーレ』と書いてもらう。ちなみに100回な。」
「多っ!?書いたら呪文染み付くんでしょ?」
「あのな、世の中そんなに甘くないんだよっ。そのノートは100回書かなきゃ効果がないのっ!」
「それ効果出る前に確実に覚えるよね。」
「うるさーいっ!いいからさっさと書く!書いたら次は覚えるまで呪文暗唱だからな。」
「わ、わかったよ・・・。」
そんなわけで、雷夢が左手と声帯をご臨終させて、ベッドに入ることができたのは12時を回った頃だった。
「来夢さん来夢さん、起きてください。」
そんな声が聞こえたが、眠気で体が言うことを聞かない。
「んー。起きないですねぇ。」
「アテナ、そういうときはなぁ、これだぜギヒヒヒ!」
「おお、それを使うんですね!」
何やら会話が聞こえてきたが、気にとめないことにした。
がっ。
いきなり誰かに口を強引に開けられた。
ポポポイッ。
そしてその中に何かを放り込まれた。その瞬間口の中に痛みが走った。
「か、辛あぁぁぁぁぁああぁぁぁっ!!!」
自分でも驚くくらいの叫び声を上げ、雷夢はベッドから転げ落ちた。いつの間にか痛みは鼻にまで達しており、鼻で息ができなかった。
「ほら、起きただろ。」
目を向けると、ギューリットがこちらを見ていた。
「おお、本当に起きましたね!」
さらにその隣にはアテナもいた。となるとさっきの会話はこの二人のものだろう。そしてその話の内容からして、雷夢に何かしたのはギューリットのようだ。
「ひ、ひったい何したの?」
口を真っ赤にして雷夢は聞いた。
「朝練やるってのにお前が起きないから、これ使ったんだよ。」
「何それ?」
ギューリットが自慢気に持っていたそれを雷夢が見てみると、それは袋のようなもので何かが書いてあった。
『激辛!唐辛子のタバスコ漬け』。
「これお前に食わせたら案の定辛さで飛び起きたぜ!むっちゃウケる〜〜!!」
「なるほど!人を起こすには唐辛子を使えばいいんですね!」
「いや、明らかに間違ってるから。にしても、朝練って何、ギューリット?」
「あのな、朝練ってのは『朝』に『練』って書くの!つまり朝に練習するんだよ!」
そのくらい、雷夢でも知っている。そういえば、母親も昔そんなことをしていたことを思い出した。
「ほれ、これが朝のメニュー。」
そう言うとギューリットは何かを書いた紙を突き出した。
朝のメニュー
1、ベッドを整える。(感染魔法よけ)
2、部屋の掃除。(上に同じ)
3、魔方陣の書き取り又は黒魔法ドリル
「って、毎日こんなことすんの?てか今何時?」
雷夢が時計を見るとまだ5時半だった。
「まだ早くない?もう少しゆっくりさせてよ・・。」
「アホかお前は!朝早くからやっていれば修行の時間も増えるだろ!」
「そうですよ!私なんかもっと早く起きて掃除したんですからね。」
「わかったよ・・・。」
さすがに雷夢も折れた。
「それじゃ、掃除開始〜!」
『おぅ〜!』
そんな掛け声で始まった掃除だったが、想像を越えるほどの重労働だった。
ベッドメーキングでシーツのしわをきっちり取り、枕の形を整えたら、ギューリットに言われ髪の毛も残さず取り除く。これで『感染魔法』というものが防げるらしい。その後は床を掃除機できれいに掃除した。
「よし、終わったな。んじゃ、魔方陣の書き取り始めぇ!」
そして休む間もなく、本格的な修行。
「トホホ、毎日これか・・・。先が思いやられるよ。」
「頑張ってください雷夢さん!私も自分の修行頑張りますので!」
そんなアテナのエールを受けながら雷夢は溜め息を漏らすのだった。
- Re: 黒魔女さんが通る!!〜チョコの息子の話〜 ( No.12 )
- 日時: 2012/12/10 21:00
- 名前: ノヴァ (ID: N.hBywMC)
そんなこんなで魔方陣の書き取りを終えた頃だった。
ガラガラ。
「おっはよー、ライム!」
「おはよ、ミカ・・・。」
窓を開けてミカが顔を出した。
「って、どうしたの!?今日から学校なのに元気ないじゃん!」
「いや、朝っぱらから朝練で疲れてさ・・・。朝飯食ったら何とかなるかも。」
「なんだかんだで大変だね、雷夢も。」
「うん、今日はクラスの人との緩衝材になってくれればすごい助かるよミカ。」
「うん、任せといて!」
「おーい!雷夢、アテナ、朝飯できたぞ!」
話をしていると、ギューリットが下で呼んでいた。同時にいい香りも漂ってくる。
「んじゃ、僕はこれで。あ、アテナの方もよろしく頼むね!」
「オッケー、そっちも任せといて!」
そして雷夢は一階にかけ降りていった。
「結構いけるねこれ。」
「だろ、これでも苦労したんだぜ。人間界の料理の作り方覚えたりとか、グロい食材使わずにどうしたら美味くできるか考えたりとか。」
今、雷夢達三人はギューリットの作った朝食を食べているところだった。因みにメニューは目玉焼きに白ご飯と、いたって普通だった。それにしてもグロい食材を使っていたらどんな物になっていたのだろうか。そして使うのは一体なんなのだろうか。
「うん、うまいですね!目玉焼きは半熟でとろけるし、白ご飯も程よい美味しさです!」
「だろ!焼くときの時間もちゃんと計って半熟になるように仕上げたんだよ。めっちゃキテるぜ〜!」
「てか、自分で言ってて自分を褒めるって自己満足じゃない?まあ、うまいからいいけど。」
「そうだ!ニュース見ないと。」
そう言ってアテナがテレビの電源を入れた。それにしても地デジの整備などいつの間にやっていたのだろうか。話に聞いたところ、工事は少しばかり時間がかかるはずだったが。
『めざましセブン!』
テレビから聞こえた音声から、アテナが見ているのは「めざましテレビ」のようだ。これは雷夢も好きなニュース番組だった。
「結構、いろんなニュースありますね。なるほど、『中国で反日デモ発生』ですか・・・。」
そんなわけで三人で朝食を食べながらニュースを見ていると、
ピンポーン。
玄関のチャイムが鳴った。
「ライム〜アテナ〜。そろそろ行く?」
どうやらミカが迎えに来たようだ。雷夢とアテナは慌てて歯磨きを済ませ、ランドセルを背負った。
「よし。ギューリット、行ってくるね!」
「私も行ってきまーす!」
「おお、行ってこーい。頑張ってこいよー!」
ギューリットの言葉を後ろに聞きながら、雷夢とアテナはミカと合流した。
「よし、二人とも来たね。今日は私がみんなとの緩衝材になるから任せといて!」
「おお!期待してます、ミカさん!」
そして雷夢達は三人仲良く学校に向かって歩き出した。
- Re: 黒魔女さんが通る!!〜チョコの息子の話〜 ( No.13 )
- 日時: 2012/12/11 23:08
- 名前: ノヴァ (ID: N.hBywMC)
「おーい!はやくはやく二人とも〜。」
「ま、待ってよミカ・・・。速い・・・。」
「ミカさん、身体能力人間離れしてんですから・・・自重・・。」
先を急ぐミカに、雷夢とアテナは着いていくことができない。無論、アテナが言ったようにミカの身体能力が人外なこともあるが、二人の身体能力にも問題があった。
母親が運動音痴、略して出版規制の雷夢は、母親のその遺伝子はあまり継いでないものの50m走10秒25の足なのだ。
アテナは先日買い物をしているときの会話で、「私、こう見えて移動は速いですよ!」と自身満々にぬかしていたが、雷夢のほんの数m手前で息を上げている様子を見るとどうやら虚言のようだった。
「は、はひぃ・・・。し、仕方ないです。私が言ったのは杖で空を飛ぶって意味ですので・・・はふぅ。」
「二人とも〜。どうもお疲れ、到着だよ!」
二人が見ると、いつの間にか校門に着いていた。校舎を見ると、4階建ての立派な作りだった。
「そう、ここが第2小だよ。大きくていいでしょ?そうそう、少し離れたところに第1小っていう結構有名な学校もあるよ。」
「あ、母さんが通ってるのはそっちか。こっちのクラスは母さんのクラスに比べたらどんなんだろ。」
「多分、同じくらいのキャラの濃さはあるとは思いますよ、雷夢さん。」
「さあどうかな?先生の所に案内するからついてきて。」
他の生徒に混じり、雷夢とアテナは校舎に入った。ミカの後をついていくと、すぐに職員室に着いた。
「清井先生〜。転校生の二人連れてきました!」
ミカがそう言うと、すぐに誰かが出てきた。
「初めまして。えっと、黒鳥雷夢くんと妹のアテナさんね。私は尾丘さんのクラスの担任の『清井飛鳥』(きよい あすか)よ。よろしくね。」
『は、はい・・・よろしくお願いします。』
雷夢とアテナは少しあぜんとした。その先生がかなりのプロポーションだったからだ。見事な卵のような顔、やさしくかつ活発さが溢れるぱっちりした目、程よい弾力を想像させる唇、ウェーブがかったストレートの茶髪。体型も上から下までバランスよく、文句無しのスタイルだ。
「二人とも、これからよろしくね。尾丘さんは先に行ってていいわ。」
「は〜い。じゃあライム、アテナ後でね!」
そう言ってミカは階段を上がっていった。
「じゃあ、二人とも私についてきて。教室まで案内してあげるわ。」
「あ、はい!ありがとうございます。」
「それにしても、清井先生って美人ですね!」
アテナが、雷夢も言いたかったことを清井先生に言った。
「ありがとう。初めて会った生徒には必ず言われるんだけどね、なぜだか彼氏できなくって。」
こんな美しい人に目もくれないとは、男は
「こんなにきれいな人に目もくれないとは、男はいったいどこ見てるんでしょうかね!」
先に言われた。
「色々楽しそうね、あなた達兄妹って。見てるだけで楽しくなっちゃう。」
ちなみに、雷夢とアテナは一般には兄と妹ということで通すらしい。ギューリットが提案したのだが、これは案外悪くない。
「あら、色々話してたら着いちゃったわね。ここが5年1組の教室よ。」
見るといつの間にか、5ー1と書かれた教室についていた。
「じゃあ、入ったら自己紹介お願いね。」
そう言うと、清井先生は教室の扉を開けた。
「はい、みんな席ついてー。転校生の紹介するわよ、入ってきて。」
清井先生が手招きしたので、二人は教室に入った。素早く教室を見回すと、ミカは教室の左奥に座っていた。
「それじゃあ、自己紹介を。」
「く、黒鳥雷夢です!よろしく。」
「その妹のアテナで〜す!よろしくね。」
自己紹介を終えると、教室の中央辺りに座っていた女の子が立ち上がった。見るからにおしとやかそうな風貌で、こちらに向かいにっこりと微笑んでいる。
「初めまして、私は5年1組学級委員長の『鳳 未來』(おおとり みらい)です。一緒に楽しく過ごしましょうね。」
「あ、はい。こちらこそよろしく。」
すると、その隣に座っていた女の子も立ち上がった。長く伸ばした髪の毛に相反してボーイッシュな服装で男らしい格好だった。
「僕は5年1組学級副委員長の『一路 蘭』(いちろらん)だ。言っとくが、こんな顔だけど男だからな。」
「えっ!?ご、ごめん。今見たとき女の子かと・・・。」
「は〜い。それじゃ二人とも、空いている席に座って。授業始めるわよ〜。」
急いで二人は席に座ると、授業が始まった。ちなみにアテナはミカの隣で、雷夢は一番近かった女の子の隣に座った。
「・・別に、うれしくないから。」
隣の女の子がなにか呟いた。
「え、今何て言った?」
「べ、別に!私は『津出 玲奈』(つで れいな)。あんたそれより早く教科書出しなさいよ!授業始まるわよ。」
小さくかつ、激しく怒られた。これは俗にいう、「ツン」なのだろうか。
「(こりゃこのクラス、キャラ濃そうだな。)」
授業を受けながら雷夢はそんなことを思うのだった。
- Re: 黒魔女さんが通る!!〜チョコの息子の話〜 ( No.14 )
- 日時: 2012/12/12 20:06
- 名前: ノヴァ (ID: HDoKOx/N)
「あー、疲れた!」
雷夢は小さな声で教室の椅子に座って呟いた。まだ昼休みなのだが、本当に疲れていた。授業が疲れたわけではなく、別の出来事で疲れたのだ。授業が終わると教室の皆から話し掛けられ、質問や雑談の嵐に巻き込まれたためだった。
「私もですよ、雷夢さん。けど皆さんのことを色々知ることが出来ましたし、ギブアンドテイクですよ。」
「まぁ、確かにそうだよな。母さんから記憶レスの遺伝子は継いでないから、全員のこと、早く覚えられるかも。」
「へっくしゅん!」
「どうした黒鳥、風邪か?」
「風邪なら俺の調伏真言で治してやるよ!」
い、いや大丈夫です。なんか誰かに噂されてる気がしただけですから。
「東海寺!お前なんかの呪文で黒鳥の風邪が治るわけないだろ。黒鳥、後で薬持ってきてやるから安心しろな。」
ああ、もう本当に大丈夫だからぁ!!
キーンコーンカーンコーン。
いつの間にか午後の授業も終わり、放課後になった。
「さて、と。アテナ、帰るぞ。」
「はいはーい!それでは皆さんさようなら〜。」
クラスの皆と別れて、通学路を歩いている時だった。
「よいしょっと。」
見ると、女の子が何故か机を運んでいた。大変そうだったので、アテナと手伝おうと近寄る。
「ねぇ、君大丈夫?」
「よかったら私たちも手伝おうか?」
「あ、ありがとう。じゃあ、この机を飛行機公園まで運んでくれるかな。」
雷夢は快く引き受け、机を運ぶ。
「しかし、いったいどうして机を?それにその箱、なんか占い道具入ってそうだね。」
「実は私、占いなんかが得意でね。今からクラスのみんなにやってあげようと思って。ところであなた達第1小では見かけないけど、もしかして第2小?」
「うん、僕は雷夢、こっちは妹のアテナ。」
「よろしくね。」
「こっちこそ。あ、着いたわ、ありがとう。」
見ると、そこは雷夢とギューリットがこちらに来たときにいた公園だった。
「よいしょっと、セッティング完了!お礼にあなた達の運勢占ってあげるわ。」
「あ、ありがとう。じゃあさっそくお願いできる?」
「わかったわ。じゃあ二人の運勢を占うわね。」
すると女の子は、あらかじめ置いていた水晶玉に手をかざした。
「うーん・・・。きました!」
「ど、どんなのですか?」
「二人とも ゲーセン行ったら 大波乱」
「えっ、何で俳句調なの?」
「あ、私守護霊が松尾芭蕉なの。そうそう、言い忘れたけど『如月星羅』よ。」
そのとき、雷夢の頭に思い返す事があった。母親のクラスには占い好きの女の子がいたことを。もしやこの女の子がそうなのか。
「あ、早く帰らないと姉ちゃんに怒られるよ!」
言われて初めて思い出したが、帰ったらギューリットが黒魔法修行をすると言っていた。早く帰らないとまずいかもしれない。
「じゃあ、僕たちはこれで!」
「またいつか〜。」
そう言って別れると雷夢とアテナは家に向かい、孟ダッシュを開始していた。
「遅い!どこで雑草食ってた雷夢、アテナ!」
「それいうなら、『道草食ってた』だろ!誰が雑草食うか!」
帰ってきたとたん、ギューリットが間違いを含んだボケ兼怒りをぶつけてきた。無論、雷夢はツッコミで弾き返す。
「まあ、それはいい。んじゃ、二人ともさっさとランドセル置いてこい。」
「いったいどうするんですか?」
アテナが聞くと、ギューリットは鼻の穴を広げて答えた。
「ちょっと今日は家じゃなくて別の場所で黒魔法教えてやろうと思ってな。『大当り魔法』ってやつだ。」
「で、どこ行くの?」
するとさらにギューリットの鼻が大きく開いた。さすがに女として自重してもらいたかった。
「それはな・・ゲーセンだ!」
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