二次創作小説(紙ほか)

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俺の妹がこんなに可愛いわけがない 妄想(京介×桐乃END)1
日時: 2013/05/14 04:25
名前: あたらしPULS (ID: tKz6b/Pj)

俺の名前は高坂京介。平穏をこよなく愛する至って普通の高校3年生だ。
俺には3つ下に桐乃という妹がいる。
桐乃は、成績優秀で容姿端麗、スポーツ万能のちょうハイスペックなやつである。
故に、俺はそんな妹と自分を比べ打ちのめされてきた。
だがそんなすごい妹にも、周りにひた隠しにしていた秘密があった。それはオタクだということ。アニメやゲームが大好きで、その中でも一番のお気に入りなのがほしくず☆うぃっちメルルというお子様向け魔法少女のアニメである。これこそが、俺が桐乃の趣味を知ることとなった原因でもある。だが俺の妹の底はしれなかった。これよりももっとやばい趣味。どちらかといえば、こっちを知られることの方が恐怖だろう。そいつは、妹モノのエロゲーにドハマリしていることだ。そいつのせいで俺の愛してやまなかった平穏はどっかにいっちまった。
きっかけはこうだ。俺があいつのDVDを拾って犯人捜しを始めてしまい、結果あいつのものだと判明。どうでもいいと思いながら俺が口にした言葉に妹は俺に人生相談してみようと思ったらしい。それであいつの人生相談されてエロゲをやらされたり友達を作るためのオフ会に付き合わされたり、親父に妹の趣味を認めさせるために頑張って、あげく親父にぶっ飛ばされたり、妹の親友に近親相姦上等の変態に思われ殺人ハイキックをくらったり、例をあげればきりがない。
それなのにあいつときたら、兄を慕うどころか「きもっ」だの「変態」だのと俺を罵り殴られ蹴られ、兄を兄とも思っちゃいねー。
だけど、一時に比べれば大分ましになったと思う。一緒に出掛けたり(大抵荷物持ちだけど)一緒にゲームしたり(一方的にエロゲを押し付けられてるだけだが)…やっぱ、ちょーむかつく妹だな。
それでもたまに、ほんとごくたまにだが、素直な時もあって、…可愛いと思ってしまう、ときもある。そんな妹に俺はいかれちまったらしい。あいつがアメリカに留学して、離れ離れになって初めて気付かされた想い。俺はあいつがいなくて寂しくて寂しくて死んじまうんじゃないかと割とまじに思った。俺は妹がいないとつまらないと感じていた。愛してやまなかった平穏を退屈だと思うようになっていた。あいつの人生相談に振り回される日々こそが俺にとっての日常なんだ。俺はあいつのことが、大嫌いだ。大嫌いで、大嫌いで…大好きなんだ。そう、俺は妹のことが大好きなシスコンだったんだ!ってな。
だから俺は、無理してダメになっている妹をアメリカから連れて帰ってきた。あいつのあんな姿見ちゃいられなかったし、何より俺がそうしたかったからだ。
それからも色々なことがあった。彼氏のフリをさせられたり、偽彼氏騒動では嫉妬して盛大に自爆した。せっかく出来た彼女ともあいつが「あたしが1番じゃなきゃ嫌」なんていうから別れちまった。おふくろには、俺と桐乃の仲を疑われたあげく家を追い出されるようなはめにもなった。…結局、おふくろの策略だったわけだけど。その甲斐あってか、模試でA判定取ることが出来たよ、ちきしょー!そして、俺と桐乃と麻奈美での話し合い。俺の恥ずかしい中学時代のエピソードを語らせられただけの気もするが…。結果だけいえば、麻奈美の思惑通りにいかず、俺と桐乃は仲直りすることは叶わなかった。それでも、桐乃と麻奈美の方は一応?仲直りした…のか?だけど、その話し合いによって分かったことがある。ずっと心の奥底で眠っていた想い。気付きそうで気付けなくて、気付きたかったような気付きたくなかったような複雑な想い。だけど、この想いは間違いなく俺の本当の想いで、気付いちまった以上どうしよーもねーもんだし、否定しようもんならそれは俺が俺自身を否定するようなもんだ。そんなこと俺には出来ないね。いつも言ってるだろ?俺は蔑むような真似だけは絶対しないと心に決めている。それが妹のことであっても他人のことであっても…もちろん、俺自身のことであてっも…だ。だから、何が言いたいのかと言うとだな、つまり、俺と妹の話も終わりに近づいてるってことだよ。
そして、俺の出した結論は…

Re: 俺の妹がこんなに可愛いわけがない 妄想(京介×桐乃END)1 ( No.23 )
日時: 2013/05/14 05:12
名前: あたらしPULS (ID: tKz6b/Pj)

桐乃は今、俺の横で眠っている。俺はこの時ほど至福な時はないと思う。
俺は桐乃に絶対に言わないと決めていることがある。だが、本当は口にしちまいたくて仕方がない。
言ってしまえば楽になれるのだろう。いや、もっと辛い道に行くだけどとわかっているから言わないと決めたんだ。
「…でも、いまならいいか?」
もちろん、桐乃は眠っているので返事はない。そもそも、桐乃に問いかけたのだろうか?きっとそれも違う。俺は俺自身に問いかけたのだ。
その問いに、俺の中のもう1人の俺が答えた。
”いいんじゃないか”
都合のいいやり取りだ。
でも俺は、たとえ桐乃に聞こえなくても、桐乃に向かって言いたかったんだろうよ。言って楽になりたかったんだろうよ。
「俺、おまえのことがずっと好きだったんだぜ」
妹としてだけではなく、1人の女として。
これが俺が隠していた本音の中の本音だ。
あの日、桐乃に告白されて本当はものすごく嬉しかった。俺もだって言ってしまいたかった。でも俺はおまえの兄貴だから、妹を不幸にするような真似は出来なかったんだよ。
俺は桐乃に幸せになってもらいたい。でも俺じゃあ、駄目なんだ。
俺がこれまで桐乃を護ってこられたのは兄貴だったからで、1人の男として1人の女になった桐乃を護るには、俺はとても無力なんだ。
きっとこいつにはまだ、わかってもらえないと思う。でも、もう少し大人になればきっとわかってくれるはずだ。兄妹で好き合っていくのが、どれだけ大変で辛いことなのかが。
こんなこと言ったら桐乃は怒るだろうけど、エロゲーは所詮、エロゲーなんだ。俺達は現実を生きていかなきゃならないんだから。
「それでも、おまえのこと好きなのをやめられそうにないけどな」
俺が気づきたくなかったこととは桐乃への想い。ずっと気づかずに済んだら、どんなによかったことかと思う。でも、俺はこんな俺を否定することだけはしない。もちろん、肯定などもしない。
俺はずっと妹のことを気にかけていた。無視しあうようになってからも、ずっと。
一度は気づきそうになったものの気づくことができなかった。それは麻奈美がいたからだ。
麻奈美はあの時、こう言った。
”いいところを見せたかったからじゃない?わたしとか—あとは、妹さんとか”
”きょうちゃんは、いつも『妹に自慢した話』ばかり、わたしにしてたよ”
つまりは、そういうことだったのだ。
でも俺は、麻奈美に頑張らなくてもいいと言われ、頑張ることをやめた。それと同時に、気づくことにもやめてしまったんだと思う。
俺は麻奈美がいたから”救われた”。
その代わりに、麻奈美がいたから”気づけなかった”ということに気がついてしまった。
べつに麻奈美のことを恨んでるってわけじゃねーし、きっと誰が悪いとかそんなんじゃないと思う。それでも、桐乃と麻奈美と俺との3人で話をしたことを少し後悔していた。あの日がなかったらきっと気づかずに済んだんじゃないかって思うからだ。
俺はこのことを麻奈美に言うつもりはない。だってあいつだって散々言わなかったんだ。言う必要なんかないだろ?それにあいつはとっくに気づいてる。
俺が受験する学部を変えたことに何も言わなかった。そして、それを後悔してるってあいつ自身が言ってたしな。それでも俺と麻奈美はこれからも、これまでと同じように幼なじみとして接していくもだろう。
どんな思いで俺を見守ってきてくれたのだろう。
どんな思いを抱きながら見守っていくのだろう。
俺はそんな幼なじみの身を案じていた。…あいつが一番辛かったのかもな。
誰にも相談せずに1人で頑張って、俺に気づかせないようにしてくれていた。俺が苦しむのがわかっていたから。麻奈美はそういうやつなんだ。
あいつは俺がこれから苦しむことを知っている。だから後悔しるんだろ?でも大丈夫だ。覚悟はしてるから。桐乃の傍にいれない方が辛くて苦しくて死んじまいそうなんだから。
だから、いつもありがとな、麻奈美。
俺は心の中で幼なじみに感謝をした。
桐乃、俺はたしかにおまえのことが好きだ。愛してると言ってもいいね。
だけど、けして口にはしないよ。おまえが幸せになる、その日までは、な。
「桐乃、大好きだぜ」

Re: 俺の妹がこんなに可愛いわけがない 妄想(京介×桐乃END)1 ( No.24 )
日時: 2013/05/14 22:48
名前: あたらしPULS (ID: tKz6b/Pj)

翌日。桐乃が日本を発つ日がやってきた。俺達は今、千葉駅まで来ていた。
この日のために集まってくれた桐乃の友達と幼なじみ。
「桐乃、向こうに着いたらちゃんと連絡してね?」
「あたりまえでしょ?あやせ」
「絶対だよ!電話も毎日しようね?」
「できるだけするね」
「メールも1日50通はしようね?」
「…さすがにそれは、無理かな。って30分に1回計算!?寝る時間ないよね?」
「大丈夫。私、返信来るまで寝ないから!」
「重い!あやせの友情ハンパなく重い!」
「桐乃に嫌われた?!もう私、生きていく意味ない…」
「嫌いになんかなってないよ!電話はなるべくするし、メールは…1日10通くらいで、どおかな?」
「うん…それでいい。嬉しい」
「…あやせのために頑張れ、あたし」
「さすが”闇天使”ね」
「あんたも元気でね」
「もちろん、私にも同じように電話とメールくれるんでしょうね?」
「こっちにも友情ハンパなく重いやつがいた!」
「…まさか、私のことはほったらかしにするつもりなの?」
「するよ!すればいいんでしょう?!……あたしの親友の友情の度合いって、おかしいよね?」
「拙者のことはあまり気を遣わなくても構いませんぞ、きりりん氏」
「ありがとー、沙織!あんたも元気でね」
「…できれば、皆さんと一緒がいいのですが、きりりんさんも大変でしょうし。べつにわたくしへの友情が薄いなんて思ったりしませんわ。…言わないだけで」
「もういっそ、殺して!あたし、向こうで生きていく自信失くした!」
「…きめー!こいつら全員、きめー!お前等は桐乃の彼女かっての!」
「加奈子ちゃん、そんな言い方したら可哀相だよー?みんな、桐乃ちゃんのことが大好きなだけなんだから」
「にしたって、度が過ぎってし、師匠もそー思うだろ?」
「うーん、ちょっと気持ち悪いかなー」
「「「!!!」」」
「だろ?大変だなー、桐乃」
「ありがとね、加奈子も元気でね。…それでねっ!メルルのイベントあったら写真送ってね!アルちゃんのも一緒に!!」
「うげっ…結局、桐乃本人もきめーな」
「ガーン!メルちゃんに、キモいって言われた…」
「わーったよ!送ってやるから、泣くなよ!」
「…うん」
「なんだろう………加奈子が憎くてたまらない…」
「…呪ってしまおうかしら」
「…それよりも社会的に抹殺したほうが早いですわ」
…物騒な話してんな、あの3人。
でも、桐乃のために集まってくれたこいつらには感謝しないとな。
「おーい、桐乃!そろそろ発車するぞー!」
「わかってるってば!今日は来てくれて、ありがと、じゃあ、みんな元気でね」
「うん。桐乃、元気でね」
「さっさと向こうで1番になってきなさい」
「きりりん氏ご達者で、でござる」
「桐乃がいない間に加奈子がトップアイドルになってから、楽しみにしとけよ」
「桐乃ちゃん、元気でねー」
「うん!」

「桐乃ちゃん、最後にいいこと教えてあげる」
「なに…ですか?」
「ホントはこんなこと言うのは、わたし的には気が進まないんだけど、餞別に。特別だよ?」
「は?ダジャレ?さぶっ」
「きょうちゃんはねー、桐乃ちゃんと口をきかなくなってからも、いっつも桐乃ちゃんの話ばかりしてたよ」
「…それ、ホント?」
「ホントだよー。いつも桐乃ちゃんのことばっかりで妬けちゃうくらい。きょうちゃんの頭の中は桐乃ちゃんのことでいっぱいなんだよ?小学生の時も中学生の時も、高校生になってからも…ずっとそうだったから。きっと、これからもずっと」
「なんで、そんなこと教えてくれるの?今までさんざん邪魔ばかりしてたくせに…やっぱり何か企んでるっての?」
「全然違うよー。言ったでしょ、餞別にだって。あえて言うなら…きょうちゃんには、もうなにを言っても無駄だってわかったから、かな。」
「あっそ、べつにお礼は言わないから」
「うん、そんな必要はないよー。わたしが勝手に話してるだけだから。桐乃ちゃん、きょうちゃんのことお願いね」
「あんたに言われなくたって、わかってますけど!…なに?結局、認めてくれるってことなの?」
「うーうん。それとこれとは話が別。認めてなんかあげません。わたしは今でも、2人にはふつうの兄妹になって欲しいって思ってるよ?」
「…ムカつく。やっぱり、あんたムカつく!」
「それは…お互い様、でしょ?」
「ふん。元気でね…まなちゃん」
「うん。きりのちゃんも、またね」

「お姉さん、桐乃と何の話してたんですか?」
「んー?内緒」
「気になります」
「私達には言えない密約でも交わしたとでも言うの?」
「内緒話するほど、仲が良くなったのですなー」
「師匠、加奈子にだけ教えろよー」
「だーめ。幼なじみ同士の内緒の話なの」

Re: 俺の妹がこんなに可愛いわけがない 妄想(京介×桐乃END)1 ( No.25 )
日時: 2013/05/14 22:56
名前: あたらしPULS (ID: tKz6b/Pj)

成田までの車内で、俺は桐乃にさっきの麻奈美とのやりとりについて聞いてみた。
「なぁ、桐乃。さっき麻奈美となに話してたんだ?」
「なんだっていーでしょ」
そっけない返事が返ってきた。どことなく嬉しそうにも見えるけど、一体なんの話だったんだ?
俺は空港まで桐乃を見送りについてきている。あいつらは駅までっていう話になっていたらしい。でも、なんでだ?べつに空港まで来てもらえばよかったのに、と思って聞いてみたが
「べつになんだっていいじゃん。それともあんた、あたしと2人っきりなのが、嫌なわけ?」
「な、なわけないだろ!?」
「それならいーけど」
そんなの当たり前だろーが、むしろ助かる。いくら2ヵ月後に会えるといっても、実は寂しくて泣きそうだ。
それに、本当はもう知ってるんだぜ。
あやせにそれとなく聞いたら
「私も本当は空港まで見送りに行きたかったんですけど、桐乃が駅まででいいって言ってきたんです。きっと、余計に寂しくなるから、ですよね?桐乃、かわいい」
だってさ。
こいつもなんだかんだいって、友達と離れるのは寂しいんだよな。
なら、なんで行くんだって?そんなの聞くだけ野暮ってもんだ。
夢を叶えに行くのさ。
そう人は皆、どんなに離れたくなくたって離れ離れになってしまうときが来る。それぞれの夢に向かって旅立つときに、さ。
俺だってそうだ。
俺の夢は、世界にマンガやアニメ、ゲームを広げたい、そんな手伝いの出来る仕事に就きたいって思ってるんだ。
桐乃・黒猫・沙織、あいつら3人を見ててさ、オタクも悪くないなって思った。好きなことに一生懸命でそれによって出会えたあいつら、友情を深め合えたあいつらを見ててさ、いいなって思ったんだよ。
だからそれを世界中の人に知ってもらいたい。そのために何が出来るんだろうって考えた結果、留学って結論に至ったってわけ。
まぁ、桐乃のこともあるっちゃあるんだけど、これが俺の留学のもう一つ理由だ。世界に向けてってことはやっぱり話せたほうがいいんだろうし、向こうでは日本のアニメやマンガが人気だっていうから、そこで仕事してもいいと思っている。俺に選ぶ資格なんてないし、向こうが俺を雇ってくれるかなんて全然わかんねえけど。
でも夢なんてそんなもんだろ?わからないから面白くて、やりがいがあるんじゃねえの。
桐乃だってそうだ。向こうでモデルとして成功するかどうかなんてわからない。いや、こいつのことだからきっとするんだろうけど。
でも、それだって今はわからないことなんだ。だから桐乃はさ、自分を試しに行くってわけだ。期待と不安を胸に膨らませて。そして俺は、そんな桐乃をこれからも傍で見守り、支えていくつもりだ。桐乃が俺を本当に必要としなくなる日まで…な。
最初からどんなことがおきるとわかってるほどつまらない人生はない。俺が身をもって体験して言うんだから間違いない。俺の人生は桐乃によって平凡ではなくなった。けど、俺はそんな日々が大好きだ。桐乃のせいで大変なことに巻き込まれることが多いけど、その分、楽しいことや嬉しいことが増えたから。それになにより、大好きな人の傍にいれるってことが嬉しくて仕方がない。こういうのを幸せっていうんじゃないかな。
だから、俺は今、幸せだ。

「ねぇ、京介」
「ん?どうした」
「あんたさー、…あたしのこと好きなんでしょ?」
「あぁ、大好きだぞ」
「妹としてって意味で聞いてないからね」
「え…」
「…本当は、あたしのこと好きなんでしょ?ひ、1人の女…として」
ひょっとしてこいつ、起きてたのか…?
「なに黙ってるの?言っちゃいなさいよ」
「…好きだよ」
「…ホントに?」
「俺は…シスコンだからな」
「…は?だから、そーゆー意味で聞いてんないって言ってんじゃん!」
「俺はシスコンだから、おまえのことが大好きなんだ!それだけだ!」
俺は精一杯の強がりでそう言った。
「…ばか」
それでも、桐乃には十分答えになっていたみたいだった。
「もういい。今はそれで勘弁してあげる!」
「そうかよ」
「でも…覚悟してよね!あんたがあたしの傍にいたいって言ったんだからね!」
「…お、おう」
「あんたがあたしをその気にさせたんだから!その責任、取ってもらうから!」
「………」
「絶対、あんたをその気にさせてみせる!なんたってあたしは、可愛い妹なんだから!」
そして、桐乃は最後にとびっきりの笑顔でこう言って旅立っていった。
「大好きだよ、京介」
それを見た俺はこう思ったんだ。
桐乃は世界一、可愛い妹で…
そして


”俺の妹がこんなに可愛いわけがない”


ってさ。


終わり

Re: 俺の妹がこんなに可愛いわけがない 妄想(京介×桐乃END)1 ( No.26 )
日時: 2013/06/06 02:20
名前: あたらしPULS (ID: fhGKSFmU)

エピローグ

春がやってきて、俺は大学生になった。
桐乃が行ってしまってからというもの、俺は寂しがる暇もなかった。
べつに強がってもいねえし、留学の準備で忙しいってわけでもない。桐乃からほぼ毎日のようにメールが来るからなんかあんまり実感がないんだよね。
メールの内容はさまざまだ。仕事のことだったり向こうの学校のこと、友達のこと、「眠い」だの「喉渇いた」とか、たわいもないことも多い。
それでもたまに「早く会いたい」なんてのも来たりするわけで…その度に俺はたまらなくなってしまう。
桐乃はGWに一度、日本に帰ってくるみたいなことを言っていた。GWまであと何日もないせいか「俺だっておまえに早く会いてえよ」なんて送ってしまった。
少し前の俺達は、こんな風にお互い素直になることが出来なかった。一年前にも思ったことだが,
この一年で俺達兄妹の関係がまた大きく変わった。いや、変わろうとしている。
俺はいつかきっと、桐乃に想いの丈を伝えてしまうだろう。あいつが言っていた”覚悟してよね”というのは思いの外、効いてしまったようだ。
俺は覚悟してしまったのだ。想いを伝えるということはそれまでの関係を変えてしまう。俺は桐乃のことが妹としてだけではなく女としても好きで、桐乃も俺のこと兄貴としてではなく男として好きなわけで………そしたらさ、付き合うなってほうが無理なんだよ。
そう、俺は桐乃と付き合うことになる。だって本当はなんだかんだ言ったって、桐乃とそうなりたいんだよ。
それがどんなにいけないことなのかは重々承知だ。桐乃を不幸にしてしまうかもしれない。兄妹で付き合うってことは、結婚は出来ないしもちろん子どもだって作れるわけじゃない。なにより誰にも認めてもらえないだろうし、親父達を悲しませてしまうだろう。あるいは怒らせて勘当されるかもな。
それでも俺は自分自身を抑えられることができない。今はギリギリ踏ん張っているけど、この先俺は桐乃と2人っきりになるからだ。
正確には違うのかもしれないが、向こうには親父もおふくろも麻奈美や黒猫、あやせ達、つまり俺達の関係を詳しく知るやつがいない。傍から見ればただの男と女だ。それって俺にとっては耐えていたものがすべて取っ払われるのといっても過言じゃない。
だから俺はきっと我慢できなくなる。それでも俺は、それがわかっていて留学しようとしている。
少し前に麻奈美と話をした。これまでには絶対しなかった核心に触れるやりとり—
「きょうちゃん、留学を辞める気はないの?」
「ないよ」
「後悔しちゃうかもしれないよ?」
「後悔だぁ?そんなもんしねえよ」
嘘だ。これは俺のただの強がり。
「でも、きょうちゃんのしようとしてることって、きっと誰かが不幸になるってことなんだよ?」
「…俺が留学すると誰が不幸になるってんだよ」
「そんなこと言わなくてもわかるでしょう?それに…少なくとも、わたしは不幸になるかな」
「麻奈美……おまえ」
そこまで言えば俺にだってわかる。そのつもりで麻奈美も言っているのだろう。…でもな
「俺は誰になんて言われようが今さら留学を辞めるつもりはない。誰かが不幸になるなんて百も承知だ。でも…俺が他のやつと付き合えば桐乃が悲しむんだよ!桐乃が嫌な思いをするんだ!だから俺は行く!どっちにしたって後悔すんだよ!なら俺は………俺は、桐乃を選んで後悔したほうがいい!!」
これが偽りのない俺の本音だった。少し前はこんな風に思うことなんてないと思っていた。どんな事が起きたって、桐乃は俺にとって大事な妹でそれ以上でも以下でもない。…そう思ってたのにな。
「あーあ、やっぱりこうなちゃった。だから気づかせたくなかったのに。」
やっぱりって…麻奈美はそんな風に思っていたのか。 
「ったく、やれやれ仕方ねえな」
「…なんの真似だ」
俺の真似だっていうなら、全然似てねえぞ。
「やっぱり何を言っても無駄だったなー。もうきょうちゃんは誰にも止められないね。わかってはいたけど、残念」
「悪いな」
「本当にそっくりな兄妹なんだから。きょうちゃん…きりのちゃんをまもってあげてね」
「言われなくたってわかってるさ」
それが俺に出来る唯一のことなんだから。
「麻奈美?その…認めてくれるのか?」
「だーめ、認めてなんてあげません。これからわたしなんかより、もっとすごい障害とかあるんだよ?わたしは応援しない。わたしはきょうちゃんのことが、2人の幼なじみのことが心配だから応援はしてあげられない」
「…そっか」
それが麻奈美の出した結論なのか。
「そんな顔しないで。応援はしてあげられないけど、きょうちゃんのことが好きな1人の女の子としてなら…」

「頑張って」

俺と麻奈美の決別の瞬間だった。
俺が思っていた幼なじみの関係は予想通りにはならず、ずっと傍で見守ってくれた幼なじみはこの先はいない。
それでも俺は、最後のあいつの一言で頑張れる気がしたんだ。

これが俺と幼なじみの結末。今後はどのような形になるかはわからないが、俺が今語れることはここまでだ。
麻奈美にはいくら感謝しても足りないくらい世話になっちまった。麻奈美がいなかったら、今の俺はなかったかもしれない。
あのとき救われていなかったら、俺はどうなっていたのかわからないから。
麻奈美、本当にありがとう。
できることなら、いつか…またな。

結局、桐乃はモデルの仕事が入ってしまいGWに帰って来ることは叶わなくなった。
なので、黒猫と沙織はさっそく行ったようだ。桐乃から写メが送られてきたからな。
本当は沙織から誘われていたんだけど、バイト入れちまったと断った。正確にはその後に入れたんだが、このくらいの嘘は勘弁してほしい。
俺は桐乃を行ってからは、あいつらとたまに近況を報告するぐらいのメールのやりとりだけで会っていなかった。
そのかわりと言っちゃなんだが、沙織から”クラッシャー京介”というありがたくないあだ名で呼ばれることもしばしば。
さすがに徹底的過ぎたか?と思ったが、桐乃からは特になんも言ってこないのでこのままでいいんだと思っている。
よくわからねえし正直自覚もなかったのだが、俺はフラフラしていたらしい。桐乃曰く、いろんな女にちょっかい出していたのだと。
桐乃がイラついていた原因はそこにあるわけで…俺がちゃんとしないといけないんだよな。
ちなみに、俺も桐乃で想像してみたら、確かにイラっとした。俺はつくづく最低な野郎だったんだ、と自己嫌悪に陥ったこともあったよ。
「だったら尚更、ちゃんとするしかねえよな」

それから日が経つのは早いもので、あっというまに俺の出国の日がきた。
駅にも空港にも、俺を見送る姿はない。
べつにみんなに嫌われて、ぼっちなわけじゃあないんだぜ。俺がわざと出国の日をずらして伝えたからだ。
幸いにも俺の嘘を麻奈美も見逃してくれたみたいで、あやせや加奈子にも本当の日付は伝わっていないらしい。どーせ平日なんだし、見送りなんて元から無理だったんだろうけど。

「そんじゃ、行ってくるわ」

空港に着いた俺は素早く入国手続きを済ませ、出口へと向かう。
そこには駆け寄って来る桐乃の姿があった。
見つけると同時に、俺も駈け出していた。
「京介、会いたかった」
「俺もだよ、桐乃」
人目もはばからず身を寄せ抱き合う俺と桐乃。
俺達が兄妹であることを周りの人達は知らない。
きっと恋人同士に見えているはずだ。
だからさ、ここから俺達の新しい日々が始まるんだ。
そして、これから俺達2人の新しい関係が今まさに始まろうとしてる。
俺と桐乃、俺達兄妹がこんな関係になるわけがない。誰もが思っていただろうよ。
だからこれは奇跡なんだよ。
この物語は、いくつもの偶然が重なりあって生まれた奇跡。
幾度の試練や障害を経て、結ばれた絆。一度はほどけてしまったものの、それを取り戻しより一層強く結び直した。今度こそ、ほどけてしまわぬよう力強く握りしめ、俺達は明日へと向かっていく。

「桐乃、今幸せか?」
「わかってるでしょ?あんたと同じ」
「そっか。桐乃、ずっと一緒にいような」
「うん!ずっと一緒に。いつまでも…」

Re: 俺の妹がこんなに可愛いわけがない 妄想(京介×桐乃END)1 ( No.27 )
日時: 2013/06/10 00:52
名前: あたらしPULS (ID: fhGKSFmU)

桐乃エピローグ1

あたしは高坂桐乃。眉目秀麗でスタイル、センス抜群。スポーツ万能で成績優秀。おまけにチョー可愛くて、チョー美人。それがあたしだ。自分で言うのもなんだけど、本当のことなのでしょーがない。
あたしは今、高校に通いながらプロのモデルをし始めたばかりだ。心機一転頑張るぞ、って時なのだが、そうも言ってられない。
その理由は、もうすぐあいつがこっちに来るからだ。
あいつとは、あたしの兄貴で、あたしの……好きな人でもある、高坂京介のことである。
…自分でもわかってるつもりなんだけど、文字にしてみると………ありえないよね…?兄貴のことが好きとか…!
でも、今さら隠しても仕方ないので、割り切ることにしよう。
あたしが京介のことを、男として意識し始めたのはいつの頃だったろうか。
小6?小3?それよりもずっと以前からのような気もする。
気づいたら—
これが1番しっくりくる言葉だ。
あたしは小さい頃、お兄ちゃんっ子だった。兄貴は誰からも頼られてて、カッコ良くて、あたしの憧れのスーパーヒーローだった。あたしもいつかあんな風になりたいと心から思っていた。
でも、そんなスーパーヒーローみたいな兄貴は、最初から、いなかった。
当時のあたしは、そんなこと信じられなくて、頑張るのをやめて、あたしにカッコ良いところを見せてくれなくなった兄貴を嫌いになった。あんなやつが、あたしの兄貴なわけがない。そう思い込んでいた。
でも、それは間違っていた。
あの日、兄貴にメルルのDVDを拾われてからというもの、あたしは兄貴に何度も人生相談をした。兄貴は嫌な顔をしつつも、あたしの相談に乗ってくれた。それが嬉しくて、一度に終わりにするはずだったのに、ことあるごとに人生相談と称しては兄貴に無茶なお願いをしてきた。しぶしぶではあったものの、最後にはいつもなんとかしてくれた。あたしのことを助けてくれた。
アメリカでダメになりそうな時なんて、わざわざ連れ戻しに来てくれた。
兄貴は、俺がそうしたいからそうした、なんて言うんだろうけど、それは嘘だ。
あたしがもしも、アメリカで上手くいっていて、そんでもって京介には電話もメールも一切しなかったとしても、あいつはアメリカに来なかったはずだ。
なぜなら、あたしはあいつの妹で、あいつはあたしの兄貴、なのだから。
本当は寂しくて死にそうなくせに、いなくてせいせいしてらっ、なんて言っていたと思う。だから、兄貴の言っていることは嘘なのである。
兄貴はいつだって、あたしのことを心配してくれる。時には、叱ったり慰めてくれたり、笑わせてもくれる。あたしのことを考えてくれる。それが、今いる、あたしの兄貴だ。
あたしは、兄貴のことを京介と呼んでしまってから、兄貴と呼ぶことを躊躇っていた。自分でもよくわからないのだけれど、あたしは京介のことを兄貴と呼びたくなかった。
そりゃあ、京介の前以外でなら、兄だろうと兄貴だろうとかまわない。でも、京介に対しては兄貴とは呼びたくなかったのだ。
本当は理由なんてわかっていた。ただ、それを認めたくなかっただけ。
だけど、認めないわけにはいかなかった。
あたしは、ニセ彼氏を作って家に連れてきた。そんで、京介にも思い知らせてやろうと思ったってワケ。
でも、全然気づいてくれなかったけどね。まぁ…京介があたしに彼氏なんて作らないで欲しい、って言わせることが出来たし、よかった…かな?
なんて思ってたら、黒いのが京介に、告白してもいい?なんて聞いてくるし!……ダメなんて言えるわけないじゃん。
結局、京介は黒いのと付き合うことになった。でも、それも上手くはいかなかった。
黒いののなんとかってゆうノートのおかげで、あたしは我慢していた気持ちを吐き出すことができ、京介はその後、黒いのとは寄りを戻すのをやめた。
京介があたし以外の女と楽しく話したり、デレデレしてるのが嫌!兄貴に彼女が出来るなんて、絶対、嫌!あたしが1番じゃなきゃ嫌!兄貴はあたしだけの兄貴なのっ!
そう、これがあたしの本音であり、認めなくないものの一部。
その後も、お母さんに変な勘違いされて、京介は一人暮らしをし、模試でA判定を取らないと家に戻れなくなったりもした。
まぁ、あたしが『A判定取れたら、なんでも1つだけいうことをきいてあげる』
って言ったら張りきちゃって、無事帰って来ることが出来た。ホント、シスコンでしょーがないっての!
にしても……京介のやつ、モテすぎじゃない?!あのバカ、無駄にフラグ建てまくってさっ!
……まあ?京介は優しくて、頼りになるし?あと…割とカッコいいし?…わかんなくもないケド。
でも!あたしのだけどね!
みんなには悪いけど、京介はあたしのことが大好きなシスコンだから、あんたらになんか見向きもしないの!……………いま、黒いのとどーのとか思ったやつら、即刻、死ネエ!あれはあくまで、あたしの気持ちを知る前の話だったから、ノーカンなワケ!わかった!?
でも……それでも、あたしの想いが報われることはなかった。あの日、京介の返事を聞いたとき、何故だか涙が止まらなかった。最初からわかっていたはずなのに……兄妹でそんなこと、ありえないもんね………。結局、あたしは妹でしかなかったのだ。妹以上の存在になんてなれないのだと、あたしは自分に言い聞かせた。
ってのに、京介は!あんなこと、今さらになって言うなんて、信じられない!あたしには、あんな事言っておいて、自分はどの面下げて、あんなコト言えるってゆーのよ!?
まさか、あんなコトにレイのなんでもいうことをきくって権利、使ってくるなんて思わなかったし……ホント、ズルいやつだ。
いやー、あたしはチョー嫌だったんだけど、京介が「おまえのことが大好きだ!おまえがいないと俺は死ぬ!だから、ずっと傍にいてくれ!」なんて言うから、しょーがなく、しょーがなくね?一緒にいてあげることにしたってワケ。
これからも京介と一緒だなんて考えただけで……やばっ、………鼻血、出そ…。
そーゆうわけだから、あたしと京介の物語はまだまだ続く?カモ?しれないってワケ!機会があったら、また話してあげてもいいかな。その頃には京介も我慢できなくなって、あたしに襲い掛かってるころかもね。
さーて、今回はこのくらいにしておいて、京介のことを落とす計画練らないと!ふひひ。


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