二次創作小説(紙ほか)

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俺の妹がこんなに可愛いわけがない 妄想(京介×桐乃END)1
日時: 2013/05/14 04:25
名前: あたらしPULS (ID: tKz6b/Pj)

俺の名前は高坂京介。平穏をこよなく愛する至って普通の高校3年生だ。
俺には3つ下に桐乃という妹がいる。
桐乃は、成績優秀で容姿端麗、スポーツ万能のちょうハイスペックなやつである。
故に、俺はそんな妹と自分を比べ打ちのめされてきた。
だがそんなすごい妹にも、周りにひた隠しにしていた秘密があった。それはオタクだということ。アニメやゲームが大好きで、その中でも一番のお気に入りなのがほしくず☆うぃっちメルルというお子様向け魔法少女のアニメである。これこそが、俺が桐乃の趣味を知ることとなった原因でもある。だが俺の妹の底はしれなかった。これよりももっとやばい趣味。どちらかといえば、こっちを知られることの方が恐怖だろう。そいつは、妹モノのエロゲーにドハマリしていることだ。そいつのせいで俺の愛してやまなかった平穏はどっかにいっちまった。
きっかけはこうだ。俺があいつのDVDを拾って犯人捜しを始めてしまい、結果あいつのものだと判明。どうでもいいと思いながら俺が口にした言葉に妹は俺に人生相談してみようと思ったらしい。それであいつの人生相談されてエロゲをやらされたり友達を作るためのオフ会に付き合わされたり、親父に妹の趣味を認めさせるために頑張って、あげく親父にぶっ飛ばされたり、妹の親友に近親相姦上等の変態に思われ殺人ハイキックをくらったり、例をあげればきりがない。
それなのにあいつときたら、兄を慕うどころか「きもっ」だの「変態」だのと俺を罵り殴られ蹴られ、兄を兄とも思っちゃいねー。
だけど、一時に比べれば大分ましになったと思う。一緒に出掛けたり(大抵荷物持ちだけど)一緒にゲームしたり(一方的にエロゲを押し付けられてるだけだが)…やっぱ、ちょーむかつく妹だな。
それでもたまに、ほんとごくたまにだが、素直な時もあって、…可愛いと思ってしまう、ときもある。そんな妹に俺はいかれちまったらしい。あいつがアメリカに留学して、離れ離れになって初めて気付かされた想い。俺はあいつがいなくて寂しくて寂しくて死んじまうんじゃないかと割とまじに思った。俺は妹がいないとつまらないと感じていた。愛してやまなかった平穏を退屈だと思うようになっていた。あいつの人生相談に振り回される日々こそが俺にとっての日常なんだ。俺はあいつのことが、大嫌いだ。大嫌いで、大嫌いで…大好きなんだ。そう、俺は妹のことが大好きなシスコンだったんだ!ってな。
だから俺は、無理してダメになっている妹をアメリカから連れて帰ってきた。あいつのあんな姿見ちゃいられなかったし、何より俺がそうしたかったからだ。
それからも色々なことがあった。彼氏のフリをさせられたり、偽彼氏騒動では嫉妬して盛大に自爆した。せっかく出来た彼女ともあいつが「あたしが1番じゃなきゃ嫌」なんていうから別れちまった。おふくろには、俺と桐乃の仲を疑われたあげく家を追い出されるようなはめにもなった。…結局、おふくろの策略だったわけだけど。その甲斐あってか、模試でA判定取ることが出来たよ、ちきしょー!そして、俺と桐乃と麻奈美での話し合い。俺の恥ずかしい中学時代のエピソードを語らせられただけの気もするが…。結果だけいえば、麻奈美の思惑通りにいかず、俺と桐乃は仲直りすることは叶わなかった。それでも、桐乃と麻奈美の方は一応?仲直りした…のか?だけど、その話し合いによって分かったことがある。ずっと心の奥底で眠っていた想い。気付きそうで気付けなくて、気付きたかったような気付きたくなかったような複雑な想い。だけど、この想いは間違いなく俺の本当の想いで、気付いちまった以上どうしよーもねーもんだし、否定しようもんならそれは俺が俺自身を否定するようなもんだ。そんなこと俺には出来ないね。いつも言ってるだろ?俺は蔑むような真似だけは絶対しないと心に決めている。それが妹のことであっても他人のことであっても…もちろん、俺自身のことであてっも…だ。だから、何が言いたいのかと言うとだな、つまり、俺と妹の話も終わりに近づいてるってことだよ。
そして、俺の出した結論は…

Re: 俺の妹がこんなに可愛いわけがない 妄想(京介×桐乃END)1 ( No.18 )
日時: 2013/05/11 04:50
名前: あたらしPULS (ID: tKz6b/Pj)

あの日から、すでに1カ月近くの月日が過ぎていた。
ちなみに、あの日帰宅した俺達を待っていたのはおふくろ特製のスペシャルカレー。俺と桐乃は、がっくりと肩を落とした。それでもさすがに、次の日にカレーが食卓に並ばなかったことがせめてもの救いだ。
そして、俺と桐乃の関係はというと…今まで以上に一緒に居る時間が増えた。海外に行くまでの間、いまこの瞬間を大事に過ごしていた。
俺の返事を受け入れた桐乃は、これまでのように兄妹として接し、また、兄妹として俺に甘えるようになってきた。
くだらないことで言いあったりけんかしたりはこれまで通り。でも、そんな日は必ず俺の部屋にやってきてはベッドに潜り込み、「ごめん」と謝ってくる。
俺の妹はこんなにも素直になったのだ。
あの日の夜、ベッドでうとうとしていると桐乃がやってきた。
「兄貴、入っていい?」
いつもよりも幾分しおらしい様子だった。
「ああ、入れよ」
部屋に入ってきた桐乃は、手をもじもじさせながら
「…一緒に寝てもいい?」
なんて言ってきやがった。
てっきり、もしかしたら昼間の続きがあるのかと思っていたので思考回路が停止しかけたが、よくよく考えれば、これも昼間の続きなのだろうと思いなおした。
もちろん、俺の答えなんて決まっている。
「…勝手にしろ」
俺の言葉を了解の意味だと取った桐乃は俺のベッドに潜り込んでくる。
「へへっ、兄貴、暖かいね。もっと早くにこうできてたらよかった」
なんて言いやがる。
でも俺は、照れ隠しに茶化したりしようとは思わなかった。桐乃の気持ちを理解していたから。
「おまえがそうしたいってんなら、いつでもこうしてやるよ」
「うん」
そうして、俺と桐乃は布団の中で自然と抱き合うような形で眠りに落ちた。
桐乃はあの日以来、俺のことを「京介」とは呼ばなくなった。それが桐乃の中で折り合いをつけた結果なのだろうと思った。
だからベッドに潜り込んできても変に意識することもない。
最初はそりゃあ、いくら妹とはいえ中学3年ともなると、体はもうりっぱな女として発達しているわけで…、まっ、そういうわけだ。
それで、こういうことが桐乃の妹として兄貴の俺に望む、したいことしてもらいたいことなのだろう。
この際、京介と呼ばれるか兄貴と呼ばれるかの違いだけで、この年齢にもなって兄妹で寝るとかまずいんじゃないの?ってことは伏せておこう。俺とこいつの間には、兄妹としてのブランクが存在するのだから。

ある日、桐乃と2人で出掛けていたら黒猫と出くわした。
「「…」」(俺と黒猫)
「あれ、黒猫じゃん。奇遇だね♪」
黒猫に会ったというのに、臆することなく声をかける桐乃。俺は正直、気まずいのだが…。いつの日かと同じように腕組んでたわけだからな。
黒猫の方はといえば、前のときとおんなじ反応。今、目の前で起きていることを目では認識できても、頭では認識できていないのだろう。
見ているだけで黒猫の頭の上に?がたくさん浮かんでいることが想像できる。
「…あなた達、なにをしているのかしら?」
黒猫はようやく落ち着きを取り戻した…ように見えたが声震えてんぞ!言っとくけど、全然取り繕えてないからな!?
「なにって、見ればわかるじゃん!兄貴とデートだよ♪」
さっきも思ったけど、やたらと機嫌いいな。俺としては微笑ましい限りだ。
「な、なんですって?!兄妹で、そ、そんな…あなた達…正気?」
「なによ、そんなにおかしい?兄妹だってデートくらいするって!」
「ふっ、またそうやって私を騙そうとしているのね?…どーせ、またフリなのでしょうけど」
「お、おい」
「いいでしょう、あなたがそのつもりなのだというのならば、その勝負受けてあげましょう!後悔しないことね?私のこの力を解放すれば、もう私にすら止めることができない—」
いつからバトル系作品になったんだよ。そうなったら俺必要なくなるから、是非やめてくれ。
こいつは相変わらず、我を見失うとわけわかんねーな。普段もだが。こいつのコレは、もはや素だな。
「…あんたも相変わらずだね。えいっ!」
桐乃は黒猫の頭にチョップをくれてやがった。
正気に戻そうっていうのはわかるんだが、それなら頬つねるくらいでとかったんじゃないのか?
「?なにするのよ、あなた」
頭を押さえながら訴えかける黒猫。
「あんたが邪気眼発症させてるからじゃん!元に戻してあげたんだから、感謝しなさいよ」
「どうやら、気はたしかなようね」
「「おあんたには言われたくない!!」」
あ、ちょっとびくってなった。
「で、あなた達はなにをしているのかしら?」
「だから、デートだって!あんた、話聞いてなかったの?」
「ほ、本当なの?」
今度のは俺に聞いているようだ。目で「嘘よね?」って、訴えるのは止めろ。
「あぁ、そういう事らしい」
「な、なんですって!?」
そこまで驚くようなことかね。
「そう。…ふっ、ふっ、ホントにやるなんて。まさかここまでとは…。わかってはいたのだけれど、私はまだあなたのことをみくびっていたようね?」
「なんのこと言ってんの?あんた、大丈夫?」
黒猫の言っていることが桐乃にも理解できないらしい。
そして黒猫は、さらにとんでもないセリフを口にしやがった。
「べ、べつに、もう隠さなくていいのよ?あなた言っていたじゃない。エロゲーよりもすごいことしてやるって。忘れてはいないわ。そういうこと、なのでしょう?」
エロゲーよりもスゴイことってー?!
「ちょっ!たんま!それ、ダメなやつだから!」
「何よ?もう済ませてしまったのでしょう。いまさら駄目もなにもないでしょう。ふっ、まさか本当に…実妹に負けてしまうなんてね。先輩も本当に、とんだ変態のシスコンね」
「あ、あんた!なに、話進めてんのよ!あー、もう!」
俺を睨むなよ!なんとかすりゃーいんだろ!
出来れば俺だってこんなこと言いたくないんだからな!?
「…なぁ、黒猫」
「なによ?いまさら隠す必要などないでしょう」
だから!
「エロゲーよりもスゴイことってなんだ?」
「え?…」
俺の問いに、プシューと音を立てそうなほど真っ赤になり、あわあわとしだした。
すごいオナニー発言といい、この間のあやせと遭遇した時といい、こいつの感覚おかしくない?
「…なんか、納得いかないんだけど」
なんとかしてやったのに、なんで不満そうな顔をしてんの、おまえは!
「ところで、桐乃。エロゲーよりもスゴイことって、なんの話だ?」
「あ、兄貴は知らなくていいことなの!」
おまえら、俺の知らないところでどんな話してんの?
「あーそうかい」
「…ところで、あなた達」
「「ひっ!」」
「そ、そんなに驚かないで頂戴」
復活した黒猫が不機嫌そうな声を洩らす。
いや、突然話しかけられたもんだから、ちょっと過敏に反応しちっまただけなんだよ。
つーか、復活すんのもはえーな。そーいう耐性がついてきたんじゃねーのか?
「さっきの反応からして、その、違うのはわかったのだけれど。なら、どういうことなのかしら?」
「いや、さっき言った通り兄妹で出掛けているだけなんだけど」
「だから言ってんじゃん!兄貴とデートだって!」
「おまえがそーいう風に言うから、ややこしくなってんだよ!」
「だ、だって!あたし、間違ってることいってない!」
だから、言い方の問題なんだよ!そんぐらいわかってくれよ、頼むからさ。
「…いま気づいたのだけれど。あなた、先輩のこと”京介”とは呼ばなくなったのね」
「え?そ、そんなの、どーだっていいでしょ!」
「そう…。そういうことだったのね」
「黒猫?」
「なら、邪魔者は退散するとしましょう」
なにかを悟った黒猫は、そう言い残し行ってしまった。
この時、俺はその背中をただ見送ってはいけないと思った。俺には黒猫に話さないといけないことがあったからだ。
だから、追いかけないと
「すまん、桐乃。先、行っていてくれないか?」
「え?…ちゃんと戻ってくるんでしょうね?」
「もちろんだ」
「なら、いいよ。行ってきな、兄貴。」
「さんきゅー」
「でも!30分ね!それ以上は待てないから!」
「わかった。じゃあ、行ってくる」
そう言って俺は、黒猫の後を追いかけるため、走り出した。

Re: 俺の妹がこんなに可愛いわけがない 妄想(京介×桐乃END)1 ( No.19 )
日時: 2013/05/11 18:18
名前: あたらしPULS (ID: tKz6b/Pj)

合格発表当日。
俺は桐乃と麻奈美の3人で見に来たわけなんだが…
「…ない」
掲示されている番号の中に、あるはずの俺の番号がなかった。
「ちゃんと確認したの?見間違いってこともあるじゃん」
「確認したよ!で、ねえんだよ!」
「ウソでしょ?どーすんの、兄貴」
どーするもこーするもないだろ。あんなに頑張ったのに…模試でA判定だったのに!
そんな俺達をよそに、すでに番号を見つけ合格が決まった麻奈美は「えへへ」と喜びに浸り、未だ俺達の様子には気づいていない様子だ。
「あんたもいつまでそーしてんのよ!?兄貴が、あんたの幼なじみが落ちたっていうのに!」
桐乃、八つ当たりはやめてやれ。せっかく浸ってんだから。はぁー。
「ん・きょうちゃんは受かってるから大丈夫だよー」
「だ・か・ら!落ちたって言ってんじゃん!番号がないんだってば!いい加減、こっちの世界に戻ってこいっての!」
「わたしはちゃんと目覚めてるよー。きょうちゃんはただ勘違いしてるだけ」
「あんたホントに頭、大丈夫?」
「きょうちゃん、試験受けたとき、わたし達別々の部屋だったでしょう?」
ん?そう言われてみれば…………………やべ。
「なに言ってんの?」
「そういやそうだったな」
「…ねえ、どーゆーこと?」
「俺、麻奈美と番号が前後してるもんだと思い込んでたわ」
ちなみに麻奈美の番号は1000番、なので俺の番号は勘違いしていた999番、ではなく666番だったわけだ。
「ねえ、どーゆーコト?」
「す、すまん!ってきり麻奈美と前後してるもんだと思ってた…っていてえよ!」
「このバカ兄貴!」
「…とりあえず、小便行ってくるわ」
「はぁ?番号確認してから行きなさいいよ!ってホントに行っちゃうし」
「桐乃ちゃん、向こうで待ってよう?」
「ちょっ、あんたまで、どーしちゃったワケ?」
「そんなに心配しなくても大丈夫。きょうちゃんは受かってるから」
「そんなのあたり前でしょ!じゃないと困るっての!」
「じゃ、行ってよう」
そんなやり取りを背中で聞いていた。
麻奈美は何もかもわかっているようだ。べつに隠しているつもりはないが、特に話をした覚えもない。それでも麻奈美にはわかっているんじゃないかと俺は思っていた。

小便と言って戻ってきた俺を確認した桐乃はすかさず
「どーだった?」
「受かってたよ」
「ホントに?」
「今さら嘘言うかよ。今度は本当だ」
「そっかぁ」
受けていない桐乃のほうが安心してかへたり込んでしまった。
それだけ心配してくれてたんだな。へへっ、やっぱ嬉しいもんだな。
「大丈夫か?」
「うん。だいじょーぶ…かな?」
「桐乃、俺と麻奈美は手続き行ってくるから、そこで休んでろ。な?」
「うん、そーしとく。…兄貴、合格おめでと」
「ああ。さんきゅーな、桐乃」
「どういたしまして。あとお、母さん達に電話しといてあげるね」
「おう、頼む!じゃあ行くか、麻奈美」
「うん。桐乃ちゃん、ちょっと行ってくるねー」
「はいはい、行ってらっしゃい」

「じゃあ、わたしこっちだから。きょうちゃん、遅くなったけどおめでとー」
「さんきゅー。麻奈美もやったな」
「ありがとー。でもやっぱり、ちょっと寂しい…かな」
「?」
どーしたんだ?麻奈美のやつ。
「ちょっと後悔してるんだ。やっぱりきょうちゃんのこと、止めておけばよかったかなって。あはは、今さら何言ってるんだろーね、わたし」
「…麻奈美」
………そりゃそうだよな。やっぱり麻奈美はすげーな、改めてそう思ったよ。
「早く手続き行こっか。遅くなると桐乃ちゃん怒っちゃうかもだよ?」
「ちげーねえ。じゃ、また後でな」
「うん。…またね」

Re: 俺の妹がこんなに可愛いわけがない 妄想(京介×桐乃END)1 ( No.20 )
日時: 2013/05/11 22:27
名前: あたらしPULS (ID: tKz6b/Pj)

兄貴が手続きに行ってから、もうそろそろ1時間近く経とうとしてた。
「遅い!兄貴はいつになったら帰ってくんのよ!」
「きょうちゃん、もうちょっとかかるんじゃないかな」
いったい何をちんたらしているのだろう。
「なんで一緒に行ったあんたはとっくに終わってんのに、兄貴はこんなに時間かかるワケ?」
「きょうちゃんの場合、色々あるから」
「は?なにわけわかんないこと言ってんの?」
なんだろう。麻奈美さん、今日はずっとこんな感じだ。まっ、もともとボケボケしてた人だけど今日はさらに磨きがかかっている。なんか調子くるうなぁ。
「わたし、そろそろ行くね」
「えっ、なに?兄貴待たないの?」
ちょっ、あんたが兄貴置いてくとかおかしくない?
「うん。家でお母さん達が待ってるから」
「そっか。麻奈美さん、色々とありがとね」
「桐乃ちゃん?」
「一応お礼言っとかなきゃって、ずっと思ってたの。兄貴のこととか、…あたしと兄貴のこととかも含めて」
「えへへ、そんなの当たり前だよ。きょうちゃんも桐乃ちゃんだって、わたしにとって大事な幼なじみなんだから」
「…うん」
「それに、お礼を言うのはまだ、早いんじゃないかなー」
「それ、どーゆー意味?」
「さーて、どーゆー意味だろうねー?」
「………まだなにか企んでるワケ?」
「ふふふ、今は教えてあげない。でも、わたしが企んでるわけじゃないってことは言ってもいいかな」
「なに、それ。全然、意味がわかんないんですケド」
「あとは秘密。それに、すぐにわかるんじゃないかな?それじゃあまたね、桐乃ちゃん」
「は?ちょ、ちょっと!って、ホントに行っちゃうし!」
中途半端にしてくなっつーの!いったい、なにがなんなのか全然わからないし!あんたじゃないってことは、あやせとか?まさか、加奈子!?で、でも、あいつらはとっくに兄貴にフラレてるわけだし、そーなると黒猫ってこと?たしかにこの中では一番、有力候補ではあるケド…。
っあぁ〜もう!こんなことならあのとき、黒猫とどんな話したのか聞いておけばよかった!
でもそーゆーのは、もうやめるって決めたんだし。
だからって!兄貴があいつらのうちの誰かと付き合うことになんのはムカつく!知らない女はもっとムカつくケド!いったい、あたしはどーしたらいいのよー!
くそーぉ!帰ったら、思いっきり兄貴に甘えてやるんだから!まだ当分の間は兄貴のこと、独り占めしてやる!どーせ、あたしが居なくなったら、あいつら絶対、兄貴のこと誘惑するつもりだろーし!ま、それとなく釘は指しておくケドね。
あたしが居なくなってスグなんてことは、絶対にさせてやるもんか!ブラコン舐めんなっ!!

手続きを済ませ、戻ってみると
「遅い!なにやってたの!?」
いきなり妹にキレられた。よくあることだから、いい加減なれたけど、ね。
「なにって、入学の手続きだって。それ以外ねーだろ?」
「ウソ!麻奈美さんはとっくに終わって帰ったってーの!」
「え、麻奈美帰ったの?」
薄情な幼なじみだな。そうか、帰ったのか。
「入学手続き以外にも何かやってたんでしょ!?正直に言えっての!」
「な、なにもねーって!」
「なに焦ってんの?あんたまさか、合格そうそう…女でも漁ってたんじゃないでしょーね!?」
「しねーっつーの!そんなこと!」
兄貴になんてこと言うんだ、こいつは!俺ってそんなチャラいイメージもたれてんの?そもそも、妹と一緒に来てるのに出来るかよ。つーか、俺にナンパとかそんな才能はねーよ。
「…じゃあ、なにやってたの?」
「だから手続きだって!」
「それにしては時間が掛かりすぎだと思うんだケド…」
たしかに、こいつの指摘は正しい。でも、手続き以外のことはしていない。これは本当だ。
内心、麻奈美が余計なこと言ったんじゃないかと思ったんだが…
「ま、いいわ。じゃあ帰ろっ、兄貴!」
大丈夫そうだな。今バレたら、すべてが水の泡になってしまう。
俺の口から言わないと意味がなくなるからな。

俺は大学に受かった。まぎれもない事実。
おふくろ達も喜んでくれていた。親父なんて珍しく、何度も俺によくやったと褒めてくれた。受験勉強が無駄にならなくて良かったと俺は心底安堵した。志望校に受かんないとやっぱ報われないしな。
「やっと終わったんだな」
これどようやくすべてが終わった。
いや、終わったなんて言い方はおかしいのかもな。これからが本当の正念場だ。高坂京介の今後の人生を大きく揺るがすことになるかもしれんのだ。俺にとって、ケリを付けるってことはそれぐらいの意味がある大問題なんだ。もちろん、ケリってのは桐乃とのことだ。
実は、俺はまだ桐乃にすべてを話してなんかいない。大事なことを伝えていない。それはまだ、準備段階だったからっていうのが一番大きい。その準備が整うまでは話せなかったんだ。それに…
「あと1つ、問題が残っていたな」
それは、まぁなんとかなるか。俺が今まで桐乃のためにしてきたことを思えば大したことじゃないだろう。
少し前の俺なら、こんな風には思えなかっただろう。桐乃の人生相談からもう少しで2年。俺も少しは成長した、ってことなんだと思う。
さて、その成果をいっちょ見せつけてくっかな。
そして俺は、親父達の部屋へと向かった。

Re: 俺の妹がこんなに可愛いわけがない 妄想(京介×桐乃END)1 ( No.21 )
日時: 2013/05/12 23:39
名前: あたらしPULS (ID: tKz6b/Pj)

桐乃の留学を明日に控えた晩、俺は桐乃の部屋を訪ねた。
「桐乃ー、ちょっといいか?」
「ん、入ればー」
桐乃は荷物の整理をしていた。
桐乃の部屋は渡米前よりも片づけられていて、妙にスッキリしている。こういうの見ちまうと、本当に行くんだなと感傷的になる。
「荷造り、もう終わったのか?」
「あたしを誰だと思ってんの?ただ忘れ物がないかチェックしてただけだし」
そりゃそうだな。俺と違ってしっかりしてんもんな。
「それじゃあ、話してもいいか?」
「うん…なんとなく、そんな気はしてた」
「そうなのか?」
「だってあたし明日行っちゃうわけだしさ、兄貴から話くらいあるんじゃないかって、ふつう思うじゃん」
ま、そりゃそうなるなわな。
「でもな、桐乃。おまえが思ってるような話じゃないぞ。たぶん」
「そうなの?」
「あぁ、…人生相談、してもいいか?」
「…え?兄貴が?あたしに?」
「あぁ。俺が、おまえに」
「うん、いいよ…わかってるつもりだから」
「…そうなのか?」
「要するに、兄貴は人生相談なんて回りくどい言い方してるけど、あたしが行ったら…彼女作ってもいいか、ってことなんでしょ?」
「………は?おまえ、なに勘違い—」
「わかってるって。あたしもそうするように、兄貴もシスコン卒業するってことぐらい」
「いやいや、待て!それ、おまえの勘違いってか、思い込みだから!」
「えっ、違うの?」
「違うって言ってるだろ?ちょっとは人の話を聞け」
「てっきりそのことかと。…じゃあ、人生相談ってなんのことなの?」
「だから、それをいま話そうとしてんのにおまえが勝手に喋りだすから。少し黙って聞いてろ」
「…うん、わかった」
「…おまえはさ、兄妹離れしなくちゃって思ってるんだろうけど、俺はな、そんなこと、これっぽちも思っちゃいねえんだよ。そりゃあ、いつかは…って思うことはあるよ。でもな、やっぱりおまえがいないと寂しいんだよ。傍にいて欲しいって思う。何よりも俺が傍にいたいんだ」
「…兄貴」
「だからな、俺はおまえの傍にいることにした!おまえから離れてなんかやるもんか!兄妹だからって、一緒にいちゃいけないなんて誰が決めたんだよ!世間体?そんなもん知るか!世間は世間、俺達は俺達だ!そんなもんに収まってやるつもりはねえんだよ!だからな桐乃…これからも、おまえの傍にいてもいいか?」
「………」
「これが俺の、おまえへの人生相談だ」
「………」
「桐…乃?」
「あ、あんたねー!自分がな、なに言ってるのかわかってんの!?」
「あぁ、わかってるつもりだ」
「いーや、わかってない!絶対にわかってない!あんた、あたしの気持ち無視してんじゃん!そもそも、あんたが…あんたが、あたしの気持ち受け入れなかったんでしょーが!それなのに、いまさらなんつーこと口にしてんのよ!あんたは!諦めたつもりでいるあたしはなんだったのよ!?」
「…えっとだな、俺はべつに…そういうつもりで言ったんじゃないんだけど」
「は?なにソレ!?いいわけするつもり!?」
「だから…さ、落ち着いて…落ち着いて、よく聞くんだぞ?」
「はぁ…はぁ…それで?」
「俺はおまえと、どーにかなるつもりはないんだ。だから兄貴として、これからもおまえのことを傍で見守りたいってだけで…」
「………」
「桐…乃、さん?」
「ハァーーーーーア!?なにソレ!?なにソレ!!?いったい、なにをどーしたら、そんなフザケたことが言えんの!?誰がどー聞いたって、さっきのあんた、あたしに告白してたじゃん!それ以外、ありえないっての!!なのに!…なのに、違うってどーゆーコトなわけ!?」
「…いやさ、だからね?なんつーか、シスコンを卒業しない…的な意味での…告白っつーの?」
「…それが、あんたに恋するあたしへのセリフだって言うの?」
「そんなこと言われてもだな…俺も言わないと後悔するだろうしさ」
「だったら!…せめて、あの時に言いなさいよ!!」
「あの時はまだ、心の準備っつーか、まだ色々と問題があってだな」
「なによ、問題って?いまさらそんなこと言うほうが、大問題だってことがわかんないわけ!?そもそも、傍にいたいってあたしは明日発つんでしょーが!」
「だから実はな…俺も行こうかなー、なんて」
「はぁあ!?せっかく大学受かったってのに、なに言ってんの?」
「だ、だから、留学だよ。留学」
「りゅーがく?なにそれ?」
「俺さ、実は麻奈美と一緒の学部に受けたんじゃないんだ。留学が可能な学部に受けたの」
「…だめ。あんたがなに言ってるのか、全然理解できない」
「そーいうわけでだな、俺も6月頭くらいにはおまえのいるとこに行くってわけなんだ!」
「………なにが、ってわけなんだ、じゃないでしょっ!?じゃあ、つまり…あんたも留学して、これからもあたしの傍にいるってことなの?」
「だから初めからそう言ってんじゃねーか。頭、大丈夫か?」
「誰のせいだと思ってんのよ!」
「うっ…ま、そういうことだから、これからもよろしく頼むぜ、桐乃!」
「………あ゛ーーーーーっもう!あたしのこの何カ月間はなんだったワケ!?」
「ははは、その分、嬉しかろう?」
「な…わけ…ないでしょーが!?」
「またまたー、素直だった最近のおまえはどこいったんだよ?」
「うっさい!しね!シスコン!あんたのことなんて、もう知るか!」
「おいおい、そりゃねーだろ」
「っさい…そろそろ黙れ」
「そんなに怒ったのか?黙ってたのは悪かったよ」
「………………あんたのその人生相談、却下」
「は?却下って…なぁ、おい」
「だ・か・ら!却下は却下なの!!」
「今さらそんなこと言ってもだな、もう手続きとか済んでるんだぞ?」
「行かなきゃいいんじゃん?そもそも、大学合格取り消してもらえば?」
「今さら浪人する気はねえよ!」
「はぁあ?なに言ってんの?あんたに大学行く資格とかないから!ってか、生きてる価値もないし。いっそ、死んでくんない?ねー、死んでよ」
「2度も言った!?兄貴に向かって死んでって…おまえ、そんなに怒ってんの?」
「あたりまえでしょっ!?あんたがあたしにしたこと思い返しなさいよ!今度ばかりは、さすがにひどすぎて話になんない!」
「ったく、どーしろってんだ」
「だから、死んでよ」
「妹に死んでって言われたら死ななきゃいけないの、俺?」
「大好きな妹のために死ねるなんて、シスコンのあんたからしたら本望でしょ?」
「いくらシスコンでも、それはねえよ!」
「ちっ」
「で、どーすりゃいいんだ?」
「ならやっぱ、留学取り消すしかないっしょ?」
「…いいだろう。おまえがそこまで頑なに却下するってんなら、俺にも考えがある」
「…なによ」
「ならば俺は、おまえがなんでも言うことを聞いてくれるっていう権利を行使させてもらう!」
「なっ!」
「俺の人生相談を了承しろ、桐乃!」
「あ、あんたねー!」
「なんでもいうこと聞くんだろ?」
「………ん〜」
「返事はどうした?my sisterよ」
「〜あぁっ、もう!…わかったわよ!認めればいいんでしょ?」
「ホントか?」
「はいはい、約束は約束だもんね」
「つーわけで向こうでもよろしくな」
「…ふん。勝手にすれば、いいんじゃん?」
「あぁ、そうさせてもらうよ」
「ねぇ、あんたの留学って…お父さん達も知ってるんだよね?」
「当たり前だろ。じゃなきゃ、おまえに話せんだろうが」
「…自分は最初に話してくれなかったこと怒ってたくせに。よく人に言えたもんだよねー、あんた」
「ぐ…お互いさまじゃねーか」
「そーだけどね。で、なんて話したの?」
「べ、べつに。ただ普通に話しただけだよ」
「なわけないじゃん!?あたしが行くとこに、あんたも留学するんだから!正直に言えっての!」
ま、そうなるわな。

Re: 俺の妹がこんなに可愛いわけがない 妄想(京介×桐乃END)1 ( No.22 )
日時: 2013/05/19 00:45
名前: あたらしPULS (ID: tKz6b/Pj)

俺は今、親父達の部屋に来ていた。ついに成果を見せるときがきたってわけだ。
「親父、おふくろ、話があるんだ」
「何よ、改まって」
「何だ、話してみろ」
「俺、留学することにした」
「えっ?留学?って突然なに言ってんのよ、あんたは」
「どういうことだ、説明しろ」
俺は受験する学部を勝手に変えた理由について、今後の自分の将来について考えていることを話した。
「—というわけだ。…駄目か?」
「駄目もなにも…ねえ?お父さん」
「そうか。…いいんじゃないか」
「ええっ!お父さん!?」
「本当か!?親父」
「あぁ。お前が将来についてそこまで考えているなんてこれっぽっちも思ってもみなかった。やれるだけやってみればいい」
「親父…ありがとうございます!」
「だがな、京介。もし中途半端に挫折して帰ってきても、この家には戻れないと思え。男なら決めたことは最後までやり遂げろ。それでも駄目なときは仕方ないが、ここまでやったんだということを証明するなにかをやり遂げてこい。俺が言いたいことはそれだけだ」
「あぁ、やってやるよ!」
「はぁ、お父さんがそういうならしょうがないわね。桐乃も明日、日本を発つっていうのに、あんたまでなんて。それししても妹の後を追うなんて…あんた本当に妹離れ出来るんでしょうね?ご近所になんて言って廻ろうかしら」
いや、ホントになんて言って廻る気なんだよ。
「べ、べつに?桐乃の後を追うわけじゃねーし?場所が同じなのは偶然だ」
「いまさらなに言ってんのよ、あんた」
「そ、それに今説明したろ?将来を見据えて決めたんだって」
「はいはい。学部を変えたことだって合格するまで黙ってたんだし、どーせあんたのことだから、それだけが理由じゃないんでしょう?」
「ぐ…」
「とにかく頑張んなさい。それと、桐乃のこと頼むわね」
「そうだな。京介、任せたぞ」
「あぁ、任せろ!」

「—という感じだったな」
「………すんなり行き過ぎな気もするんだけど。お父さん達、なんだかんだいってあんたにも甘いよね」
「そうか?そんなことないと思うんだが」
「そんなことより、あんたも将来のこと考えてたんだ。…意外」
「意外とか失礼なやつだな。俺だってもう18なんだぞ。考えたっておかしくないだろ」
「ってか、遅すぎるくらいなんですケド。…で、なにがしたいの?」
「教えねーよ。……気が向いたら、今度教えてやるよ」
「ふーん…ま、いいけどね。向こうに行ったら、どーせわかることだし」
「それより、さ………黒いのことは、どーするつもりなの?…この前、話したんでしょ?」
「…あぁ。黒猫とはさ—」

「—黒猫!」
「…先輩?どうしたの?そんなに息を切らして」
「はぁ、はぁ、お前にさ、話しておきたいことがあるんだ」
「え?…い、今?あ、あなた、妹が待っているのでしょう?」
「あぁ、それなら先に行ってもらってるから心配しなくても大丈夫だ」
「そう………べ、べつに私は今度でもいいのだけれど…こ、こういうことは、時間に余裕があるときに、し、してもらいたわ…」
……………どうしよう。こいつ、勘違いしてやがる。まぁ、そもそも俺が悪いんだろうけど。
そんな反応されると、言いにくいんだが………やっぱハッキリさせておかないといけないよな。
「…黒猫、俺な…………やっぱり、お前とは付き合えない!」
「そう、…私もよ」
「………は?」
「………え?……先輩、いまなんて言ったのかしら?よく聞こえなかったのだけど」
「…俺はお前と付き合わないって言ったんだ」
「!?」
「…」
「…どういうことかちゃんと説明してもらえるかしら?桐乃とは…普通の兄妹になったのではないの?」
「たしかに俺達は兄妹だよ。でもな…」
「ま、まさか、本当に一線を越えたとでもいうの!?その上で名前じゃなく、兄貴と呼ばせているなんて………先輩はホント、とんだ変態シスコン野郎ね」
「話は最後まで聞け!…俺と桐乃は兄妹だしこれからもそれは変わらない。でもな、やっぱり桐乃のことが大事なんだ!大事で大事で仕方ないんだよ!俺にとって桐乃が1番なんだ!だから俺はお前と付き合わない。誰とも付き合う気はない」
「…あなた、自分が何を言っているのかわかっているの?」
「わかってるさ。でもこれが俺の正直な気持ちだ」
「そう、自覚はあるのね。…尚更、性質が悪い。…なら改めて言うわ。私の儀式はまだ終わってはいない。たとえあなたでも、この儀式は止められないわ」
「つまりお前は、…それでも俺のことを…好き…でいる、っていうことなのか?」
「そ、そうよ…悪い?」
「あぁ、やめてくれ」
「!?………今日のあなたは、いつもと違うらしいわね。だけれど、それでも私は止めないわ」
「…詳しくは言えんが、俺はお前としばらく会えなくなる。今度いつ会えるかもわからん」
「……要するに、何処か遠くに行ってしまう…ということかしら?」
「そう思ってもらって構わない」
「………はぁ、あなたが考えそうなことね。今ので大体わかったわ。それならば私はこう言わせてもらうわ。地獄に堕ちるわけでもなし、魔界へ帰るわけでもないのでしょう?それにあなたが来なくとも、私が行くわ!…沙織と一緒に」
それはいつだったか、俺が桐乃を迎えに行く決心をさせた、こいつが俺に言ってくれたセリフにそっくりだった。
こいつなら、そう言うわな。…結局、無駄だったか。
「…そうか。なら、勝手にしろよ」
「えぇ、そうさせてもらうわ。それに…たとえ今世で叶えられなかったとしても来世で叶えてみせるから、あなたが気に病む必要はないわ」
「そうかよ」
よく本人を前にそんなセリフ言えるよな。ある意味感服するぜ。
「じゃあ俺、もう行くよ」
「そう、大好きな妹が待っていることだしね。いいわ、今は素直に行かせてあげることにしましょう」
「そりゃあ、助かる。じゃあな」
「えぇ」

「—ってな感じの話をした」
「あの黒いの、あんたのこと、全然諦めてないじゃん!」
「いや、俺も頑張ったんだぞ?でも、あいつにこれ以上なに言っても無駄だろ」
「それは!…そうだろうけど。って、あんた、黒いのに速効バレてんじゃん!」
「…なにがでしょう?」
「…」ポキッ
「…俺も海外行くってことか?」
「そう!あいつら、あたしんとこに遊びに来るって言ってたし!」
「あー、それで沙織と一緒にって言ってたのか」
金持ちってのはスゲーな。友達に会いに行くだけでいくら使うんだよ。
「つまり…あたしよりも、あいつの方が先に知ってたんだ?」
「しょーがねえじゃんか!そもそもがあいつの憶測なんだし、嘘でも否定なんてできないだろ?それがあいつに対する精一杯の誠意ってもんだ」
「…まぁ、あんなんでも一応、あんたの元カノだもんね。あー、思い出したらムカついてきた!殴ってもいい?」
「よくねーよ!」
おまえは思い出す度に俺を殴るつもりなの?そんなことになったら俺、何回殴られることになんの!
「ちっ」
「まーなんだ、俺なりに一応けじめをつけたつもりなんだが…」
納得…してくんないよね?我が妹は。
「あんたにしては、頑張ったほうなんじゃない?」
あれ?納得してくれたのか?
「でも!ツメが甘い!誰1人としてあんたのこと、諦めてないじゃん!」
ぬ………だが、それについては心当たりがある。
「それはだな」
「なに?」
「やっぱ、相手がおまえだからじゃね?たぶん」
「…ふん」
「だからしょうがねーってもんだ」
そう言って俺はいつものように桐乃の頭に手を伸ばした。
「さ、さわんな!べつに、あんたのこと許したわけじゃないんだからっ!」
すっかり前の桐乃に戻ってやがる。ま、こっちの方が桐乃らしいっちゃ、らしいか。
「へいへい。そんじゃ、明日早いんだろ?寝坊すんなよ
「は?なに言ってんの?」
「おまえがなに言ってんだよ」
「だから!ここで寝てけって言ってんの!」
「一言もそんなこと言ってねえじゃねーか!」
「うっさい!そんで、あんたが起こしなさいよね!」
…ホント素直じゃねえのな。
「ほら、電気消してよ」
「あぁ、消すぞ?」
「うん。それと、もう少しこっち寄りなさいよ」
注文の多いやつだ。
「桐乃、おやすみ」
「ん、おやすみ…京介」


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