二次創作小説(紙ほか)

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俺の妹がこんなに可愛いわけがない 妄想(京介×桐乃END)1
日時: 2013/05/14 04:25
名前: あたらしPULS (ID: tKz6b/Pj)

俺の名前は高坂京介。平穏をこよなく愛する至って普通の高校3年生だ。
俺には3つ下に桐乃という妹がいる。
桐乃は、成績優秀で容姿端麗、スポーツ万能のちょうハイスペックなやつである。
故に、俺はそんな妹と自分を比べ打ちのめされてきた。
だがそんなすごい妹にも、周りにひた隠しにしていた秘密があった。それはオタクだということ。アニメやゲームが大好きで、その中でも一番のお気に入りなのがほしくず☆うぃっちメルルというお子様向け魔法少女のアニメである。これこそが、俺が桐乃の趣味を知ることとなった原因でもある。だが俺の妹の底はしれなかった。これよりももっとやばい趣味。どちらかといえば、こっちを知られることの方が恐怖だろう。そいつは、妹モノのエロゲーにドハマリしていることだ。そいつのせいで俺の愛してやまなかった平穏はどっかにいっちまった。
きっかけはこうだ。俺があいつのDVDを拾って犯人捜しを始めてしまい、結果あいつのものだと判明。どうでもいいと思いながら俺が口にした言葉に妹は俺に人生相談してみようと思ったらしい。それであいつの人生相談されてエロゲをやらされたり友達を作るためのオフ会に付き合わされたり、親父に妹の趣味を認めさせるために頑張って、あげく親父にぶっ飛ばされたり、妹の親友に近親相姦上等の変態に思われ殺人ハイキックをくらったり、例をあげればきりがない。
それなのにあいつときたら、兄を慕うどころか「きもっ」だの「変態」だのと俺を罵り殴られ蹴られ、兄を兄とも思っちゃいねー。
だけど、一時に比べれば大分ましになったと思う。一緒に出掛けたり(大抵荷物持ちだけど)一緒にゲームしたり(一方的にエロゲを押し付けられてるだけだが)…やっぱ、ちょーむかつく妹だな。
それでもたまに、ほんとごくたまにだが、素直な時もあって、…可愛いと思ってしまう、ときもある。そんな妹に俺はいかれちまったらしい。あいつがアメリカに留学して、離れ離れになって初めて気付かされた想い。俺はあいつがいなくて寂しくて寂しくて死んじまうんじゃないかと割とまじに思った。俺は妹がいないとつまらないと感じていた。愛してやまなかった平穏を退屈だと思うようになっていた。あいつの人生相談に振り回される日々こそが俺にとっての日常なんだ。俺はあいつのことが、大嫌いだ。大嫌いで、大嫌いで…大好きなんだ。そう、俺は妹のことが大好きなシスコンだったんだ!ってな。
だから俺は、無理してダメになっている妹をアメリカから連れて帰ってきた。あいつのあんな姿見ちゃいられなかったし、何より俺がそうしたかったからだ。
それからも色々なことがあった。彼氏のフリをさせられたり、偽彼氏騒動では嫉妬して盛大に自爆した。せっかく出来た彼女ともあいつが「あたしが1番じゃなきゃ嫌」なんていうから別れちまった。おふくろには、俺と桐乃の仲を疑われたあげく家を追い出されるようなはめにもなった。…結局、おふくろの策略だったわけだけど。その甲斐あってか、模試でA判定取ることが出来たよ、ちきしょー!そして、俺と桐乃と麻奈美での話し合い。俺の恥ずかしい中学時代のエピソードを語らせられただけの気もするが…。結果だけいえば、麻奈美の思惑通りにいかず、俺と桐乃は仲直りすることは叶わなかった。それでも、桐乃と麻奈美の方は一応?仲直りした…のか?だけど、その話し合いによって分かったことがある。ずっと心の奥底で眠っていた想い。気付きそうで気付けなくて、気付きたかったような気付きたくなかったような複雑な想い。だけど、この想いは間違いなく俺の本当の想いで、気付いちまった以上どうしよーもねーもんだし、否定しようもんならそれは俺が俺自身を否定するようなもんだ。そんなこと俺には出来ないね。いつも言ってるだろ?俺は蔑むような真似だけは絶対しないと心に決めている。それが妹のことであっても他人のことであっても…もちろん、俺自身のことであてっも…だ。だから、何が言いたいのかと言うとだな、つまり、俺と妹の話も終わりに近づいてるってことだよ。
そして、俺の出した結論は…

Re: 俺の妹がこんなに可愛いわけがない 妄想(京介×桐乃END)1 ( No.8 )
日時: 2013/05/04 05:47
名前: あたらしPULS (ID: tKz6b/Pj)

あの日からすでに3日が経っていた。
俺と桐乃はあれ以来、口をきいていない。正確には、俺が桐乃を無視している。
今朝もおふくろに、
「あんた達けんかでもしてるの?」
この前のことは忘れているらしい。まぁ、俺達が言い合うなんて日常茶飯事だから、いちいち気にしてられないのかもしれない。
「「べつに」」
俺達の返事におふくろは本気で戸惑いはじめた。
「ほんとあんた達、どうしたのよ?」
「だからどーもしないって」
「はぁ…お父さんからも何か言ってあげて」
「うむ…京介、桐乃」
「なんだよ?」「はい」
「けんかの原因はわからんが、一体どうしたんだ?ここ2、3日のお前達はまるで2年前に戻ってしまったようだ。お前達の絆はそんなものだったのか?」
「「…」」
絆って、恥ずかしいこと口走ってんじゃねえよ。こっちが恥ずかしいっての!
それにな、
「これは俺と桐乃の問題だから」
俺は親父の目を見て、きっぱりとそう告げた。
「…そうか。なら、俺が口出しするまでもない」
「ちょっと、お父さん…」
親父はおふくろの不満には答えず、読んでいた新聞に目を戻した。
桐乃の方をさりげなく見ると、微妙な顔をして小さく唸っていた。どうしたってんだ、俺の言ったことがそんなに気に入らなかったのか?こいつの考えることは、俺にはさっぱり読み取れない。まぁ、もとから俺にそんな能力はないけどな。
夕食後から勉強していた俺は、一区切りついたところで時計を見た。そろそろ桐乃が風呂に入る時間帯だな、ふとそんなことを思った。
あいつは一体、どんなことを考えこの数日を過ごしてるんだろう。
顔を合わせる度に何か言いたそうな顔をしているのだが、俺があいつに声を発する隙を与えずにあいつの前を素通りするので、あいつは何も言いだせない。我ながら最低な兄貴だよ、俺は。
だけど、今はあいつと話をしたくないし、あいつの顔を見てるとムカムカしてしょうがない。べつにあいつのことが嫌いになった、ってことじゃないんだ。いや、もともと嫌いなんだが。俺の言いたいことはそうじゃない。ただ、あいつはまだ、俺に本音をぶけちゃいない。なぜだかわからないが、そう思う。だから俺はむかつくんだよ。…そして、俺自身にも、だ。
あの日の俺はホント最低だったと思うよ。言うだけ言って逃げ帰ったのだから。逃げ帰ったことを除いても、最低だったよな。そんで、あいつに言ったすべてが俺の本音なんだと思ったら、やっぱりむかついた。あれから色々と考えてはみたものの、わからないことがありすぎて何を喋っていいのかわからないし、あいつになにを伝えたいのかもわからなくなってしまっている。これがあいつを無視している理由だ。
だから俺は勉強をすることしかできなかった。今、俺に出来ることはこのくらいなんだと自分に言い聞かせていた。
その結果、どんなことになろうとも、ただそれを受け入れるだけなんだって開き直っていたのかもしれない。
そんな事を考えていたら、予想通り桐乃が部屋を出る気配があったので、あいつが風呂上がるまでもう少し勉強しようと思い、問題集に手をつけようとしていたら部屋を誰かがノックした。
まさか桐乃か?なんて思っていたら、
「京介、入るぞ」
「親父…?どうしたんだよ」
「どうしたはこっちのセリフだ。今朝は母さんや桐乃の手前、言わないでおいたが、お前らしくないんじゃないのか?」
「…なんだよ、それ」
俺らしくないだと?
「以前、俺はお前に、桐乃のことはお前に任せてある、といったはずだがもう忘れたのか?」
「覚えてるよ」
「なのにここ2、3日のお前は、桐のを無視しているように見える。違うか?」
「違…わない」
親父にはすべてお見通しってわけか。
「理由はわからんが、もし、お前が桐乃のことを負担に思ってしまっているのであれば…」
「ちげえよ!そんなんじゃないって!」
「なら、なんだ?」
「…詳しいことは言えないけど、この前桐乃から海外に行くって聞かされて、それでけんかっつーか、俺のほうが一方的に…ってわけでもないような…」
くそっ、上手く伝えることが出来ねえ。
「…つまりは、お前は桐乃が海外に行くことに反対なわけだな?」
「端的に言うとな。そんなこと聞かれるまでもない」
親父だってそうだろ?
「そうか…うむ」
親父は何を考えてるんだ?そう思った瞬間、親父の目が光った。ような気がした。
「よし!そういうことなら、お前の好きなようにやってみろ!」
「はあ!?」
「そして桐乃を止めてみせろ!」
「って、親父が桐乃を行かせたくねーだけだろ?!」
「当たり前だ。桐乃はまだ15才だぞ?まだまだ子どもだ。そんな我が子を海外なんて危険なところに行かせたい親がどこの世界にいる?」
何考えてんだ、この親父!危険って、あんたの仕事場にはそういう情報しか入ってこねーのか!?
ったく、ホントは俺に嫌な役回りを押し付けたいだけなんじゃねーの?
「親父の言いたいことはわかった。でも、親父の希望通りになるかはわかんないからな。そもそも、このことは俺と桐乃の問題なわけだし、俺がケリを付ける。
ただ、もう少し時間をくれ」
「わかった、母さんには俺から伝えておこう。ふっ、やっとお前らしくなってきたな。まぁ、俺には初めからお前が桐乃のことを2度とほっとく様な真似するはずがないとわかっていたがな」
「なら、なんであんなこと言ったんだよ」
俺が桐乃のことを負担に思ってしまっているなら、なんてさ。続きはこうだったんだろうよ。
”お前に桐乃を任せてはおけない”
そんなセリフ、冗談でも聞きたくねえよ。
「そんなこと決まっているだろう。あーでも言わないと、お前は本音を言わんからな」
よくわかってるじゃねーか。さすが俺の親父だよ。
「なら、もう用は済んだんだろ?」
「あぁ、邪魔したな。それともう1つ」
まだなにかあんのかよ
「京介、お前は俺と母さんの自慢のバカ息子だということを忘れるなよ。…それだけだ」
は?いま、親父なんて言った?自慢のバカ息子って…。親父があんなこと言うなんてな。うちの家族は、揃いも揃ってどうかしてるぜ。
「…はは」
やってやるよ!受験も絶対に受かってやるし、桐乃とのこともちゃんと解決してやる!
なんせ俺は、自慢のバカ息子で、あいつの兄貴なんだからな。あともう少しだけ待っていてくれ、桐乃。せめて受験が終わるまでは…。

Re: 俺の妹がこんなに可愛いわけがない 妄想(京介×桐乃END)1 ( No.9 )
日時: 2013/05/04 06:33
名前: あたらしPULS (ID: tKz6b/Pj)

センター試験当日の朝。
部屋で準備をしていると、予想外の侵入者があらわれた。桐乃だ。
「準備、大丈夫?ちゃんと受験票もった?」
「お、おう、持った。ってあれ?どこだ?」
おかしいな、上着のポケットに入れたと思ったんだが。
「机の上にあるの、なに?」
「そうだった。目に付く場所に置いといたんだった、あぶねー」
「はぁー、やっぱり心配だからついてく。昔っからあんた、緊張するとがちがちになって何もできなくなるしさ」
いやついてくって、さっきからなんでおまえはそんなに普段通りなんだよ。
「なに?なんか文句あるの?」
「べ、べつにねえよ」
「一応言っとくけど、とりあえず一時休戦にしておいてあげる。あんたにとっても、あたしにとっても大事な日だから」
あたしにとっても…か。
「わかったよ。さんきゅーな、桐乃」
そう礼を言うと桐乃はいつものように、プイっと顔をそむける。せっかく礼を言ってやってるのに相変わらず失礼なやつである。
だが俺は、そんな妹の態度を微笑ましく思っていた。…けして、シスコンの度合い指数が酷くなったたは思いたくはないがな。
「ほら、早く朝ご飯食べないと遅れるってば」
「いや、俺あんまり食欲ないからいいわ」
「はぁ?食べていかないとかダメに決まってるでしょ!こういう時にこそ、食べておかないといつも通りの力が発揮できないんじゃん!だからあんたも早く降りてきなさいよ」
「へいへい…てめーは俺の母親かっての」
「なにか言った?」
「すぐに降ります」
「…早くしなさいよね」
まじこえー!そんなに母親おばさんくさい扱いされたのが気に食わなかったのか?女子中学生には禁句だったか。世の中には、ばあさん扱いしても怒らない女子高校生もいるのに。まぁ、後者の方がまれなのか。
今朝の食卓は割と普通な感じだった。ここしばらくは、俺と桐乃のせいでずっと重苦しい空気だったんだが、親父とおふくろもも俺達の雰囲気がいつもと変わらないものになっていると悟り、会話も大分弾んだ。
ただ「あんた達、仲直りしたの?」とは間違っても聞いてこない。親父から伝えられたであろう内容から察してくれているようだ。今日がセンター試験だということ踏まえているのだろう。親子なんだから、そのくらいことはお互いわかるさ。だから絶対に口にすることはなかった。わざわざ家族団欒の時間に水を差そうとはしない。少なくとも俺の家族にはそんな奴はいないってことだ。
だから俺はさ、そんな両親に感謝して桐乃と絶対仲直りするって強く思ったんだ。

Re: 俺の妹がこんなに可愛いわけがない 妄想(京介×桐乃END)1 ( No.10 )
日時: 2013/05/06 03:40
名前: あたらしPULS (ID: tKz6b/Pj)

麻奈美との待ち合わせ場所に行くと、麻奈美はすでに来ていた。麻奈美は俺と桐乃の姿に気づき、一瞬だけ意外そうな顔をしたがすぐにいつもの笑顔をみせた。
「よう、待たせて悪いな」
「全然。私もさっき来たところだから」
いや麻奈美のことだから5分以上は待っていたはずだ。もとより、約束の時間通りなんだけどさ。
「おはようございます、麻奈美さん」
「おはよう、桐乃ちゃん」
ホントにこいつの麻奈美への態度は変わったと思う。だって、おはようございますだぜ?以前のこいつなら、自分からこんな風に挨拶なんてしなかっただろう?
それどころか、「どちら様ですかぁ?」って態度だった。いま思い返してもひでえセリフだ。
それほどまでに”あの話し合い”は、こいつにとって大きかったってことか。
「桐乃ちゃんは、きょうちゃんが心配でついてきたんだよね?」
麻奈美ぃぃぃぃ!なんでお前は火に油を注ぐようなことを言うんだ!?殴られるの俺なんですよ?
「…だったら、なに?文句でもあんの?」
「そんなことないよー。聞いてみただけ」
「はあ!?なにソレ!そんなことでいちいち聞かないでくんない!」
「ごめんねー」
「あんた、ぜったい悪いなんて思ってないでしょ!むかつくー!」
「それじゃあ、行こっか」
「…おう」
「無視すんな!」
前言撤回。こいつの麻奈美への態度はよくなってない。相変わらず麻奈美に対して怒りをあらわにしやがる。普通に話せるようになっただけでも進歩した、ってところか。
結局、こいつらの仲直りってなんだったんだろうな。

電車の中での相も変わらずけんかでもしているように話をしている。よく見ると最近購入したスマホの使い方が判らない麻奈美に対して桐乃が色々と説明しているところだった。
ホント仲がいいのか悪いのかハッキリしないやつらだ。
俺は、ある光景を思い返していた。それは初めてのオフ会での桐乃と黒猫のやり取り。色々言い合ってはいたが、それでも桐乃にとって大切な友達が出来た瞬間であった。
今のこいつらを見ていると、あん時のような錯覚を覚える。それはきっと、麻奈美も桐乃にとって大切な幼馴染に戻れる可能性があるってことなのかもしれない。俺はそう思った。
「きょうちゃん」
麻奈美の呼びかけにふと我に戻った。
「どうした?」
「よっかたね」
何を指しているかは聞くまでもない。でも、
「…べつに仲直りした、っていうわけじゃないんだ」
「それでも、いつもの桐乃ちゃんできょうちゃんは嬉しいんでしょう?」
「まぁな」
麻奈美には桐乃と海外行きのことでけんかしちまったとだけ伝えてある。詳しく話すつもりもなかったし、特に聞かれることもなかったのでそれ以上のことは話してない。それでも麻奈美は麻奈美なりに俺たち兄妹のことを気にかけ、心配してくれる。今までのように。そしてきっと、これからも。
「心配かけて悪い。でもすぐ仲直りするから」
「…そう。今日、試験がおわったら、ってこと?」
こいつはこいつで、なんでもお見通しらしい。
「あぁ、そのつもりだよ」
俺はこういえば麻奈美は安心する。てっきりそう思っていたのだが…違った。
「…それは、今回のことの仲直り?それとも、」
なるほど、そういうことか。
「決まってんだろ。今回の件でだよ」
「そっかぁ」
予想と反し、安堵する麻奈美。
あれ?麻奈美って、俺と桐乃に仲直りさせたいんじゃなかったっけ?そんな疑問に首を傾げていると
「あんた達、さっきからなにイチャイチャしてんの!あたしもいること忘れてないでしょうね?」
「イチャイチャなんてしてねーよ!それに忘れてもいない!」
「なら、なんであたしはほっとかれてるワケ?」
ええと、なんでだ?麻奈美を見る。
「べつにほっといてなんかないよ?桐乃ちゃんが急に黙りこんで、すまほいじりだしたんじゃない。ひとのせいにしたらだめだよ?」
そういうことらしい。だが麻奈美よ、お前の言っていることはちょー正論だ。ちょー正論なんだが、残念ながらこいつにそんなこと言っても通用するはずがない。俺の妹は聞き分けが悪いのだ。そして案の定、
「はあ!?なに言っちゃってんの?!べつにあんたに聞いてないしさぁ。そもそもあんたが、スマホの使い方聞いてきたんでしょ!」
桐乃の言い分はめちゃくちゃで相変わらず理解できん。理解できんが、事態が悪化する前に収集を図るとするかね。
「それで、どうして黙りこんだりらんてしたんだ?」
「聞いてよ!スマホのアプリ開いて説明してたんだけど、急にニュースサイトからメール来てさ、ついに!ついにメルルの劇場版2ndの制作が決まったんだって!」
余程嬉しかったのだろう。嬉々としてメールを見せてきてメルルの映画について語り始めた。この様子じゃ、麻奈美が怒ってることなんか、もう覚えてないだろう。麻奈美も未だこの状態の桐乃には慣れていないらしく、戸惑っている。ここは兄貴として、ガツンと言ってやらねーとな。
「桐乃、おまえが嬉しいのはよくわかるんだ。そのメルルの映画化?だっけ…」
「劇場版って言え!」
そこ重要!?
「悪い。そのメルルの劇場版化(語呂わりぃな)が嬉しかったのはよーくわかるんだ。でもな、桐乃。だからって話してる最中に突然黙りこんだりとか相手に失礼だろ。そんなことされたら、おまえは嫌じゃないのか?」
「それは、…嫌だけど。でも!」
「おまえの嬉しいって気持はわかるって。大好きなアニメの劇場版化だもんな。でもさ、それはそれ。これはこれ、じゃねえの?」
「それは…あたしもそう思う」
「なら、おまえがしなきゃいけないこともわかるな?」
「うん…。ごめんなさい」
どうだ、みたか!俺もう、妹マスターって呼ばれてもいい域に達してるんじゃね?正直、ここまでやれるとは俺自身も思ってなかったが。俺の妹がこんなに聞き分けがいいわけないだ。
「わかってくれたんなら、もういいよー。桐乃ちゃんはきょうちゃんのいうことは聞くんだねー」
麻奈美のばか!そんなこと言ったら、
「うっさい!」
「いてえな!俺を殴るんじゃない!」
結局殴られたじゃねえか。麻奈美のやつ、俺に恨みでもあんのか?桐乃にだって…あってもおかしくはないわな。これまでの桐乃の言動を考えてみるとないほうがおかしい。でも、あの麻奈美が、か?
俺はまだまだ幼馴染の考えていることがわからんようだ。

そんなこんなで試験会場に到着して、試験開始まで残りわずか。
やべー、ちょー緊張してきた!こういうときは人って漢字を書いて口に入れるといいってよく言うよな?さっそく、人、人、人、入、入………
「って、入りって書いちまったぁぁぁ!?」
…思わず叫んじまって、周りがドン引きしてやがる。いや、そんなに睨まないで!わざとじゃないんですよ?
でも、今のでだいぶ緊張がほぐれたな。
「それでは試験用紙を配りますので時間になったら始めて下さい」
ついに来たか。これまでの成果を見せてやるぜ!伊達にエロゲばかりやってたわけじゃないんだぜ。
「時間になりましたので始めて下さい」
よし!うおぉーわかんねー!ナニ、コレ?いや待て、オチツケヨ、オレ。落ち着いてやればきっと…お。この問題、麻奈美に出してもらってやつまんまじゃねーか。よく見ればこっちのも、問題集にあったのにそっくりだ。なら応用すれば…。


Re: 俺の妹がこんなに可愛いわけがない 妄想(京介×桐乃END)1 ( No.11 )
日時: 2013/05/06 23:10
名前: あたらしPULS (ID: tKz6b/Pj)

すべての試験が終わった。麻奈美と合流し、桐乃に電話をかけようと思ったら出入り口に桐乃の姿があった。
「どうだった?」
「ばっちりだったよ」
「さすが麻奈美さん。で、京介は?」
「ああ、まぁ大丈夫じゃねえかな」
「ふ〜ん、手応えはあったみたいね」
「まぁな」
「そんじゃ、とりあえずお疲れ。京介」
「おう。ありがとな、桐乃」
「麻奈美さんもお疲れさま」
「ありがとー、桐乃ちゃん」
「終わったと思ったら、急にだるくなってきたわ」
「おじさんくさっ」
ほっとけ。
「さーて、帰るか」
「そだね」
「わたし、やくそくがあるから行くねー」
麻奈美のやつ、気遣ってくれてんのか?じゃなきゃ、こんなこと言い出すはずないもんな。
「きょうちゃん、何か失礼なことこと考えてない?約束があるのは本当なんだよ?」
「思ってないよ。あるんだよな、お前の中では」
「あんた…何気にひどいこと言うよね」
そんなことねえって、俺なりの優しさだよ。
「ふーんだ、このあとあやせちゃんや黒猫さん達がお疲れぱーてぃ開いてくれて、がーるずとーくで盛りあがっちゃんだからね」
「なんだとぉー!」
なんだよ、それ!俺、聞いてねーぞ?!
「いいでしょ?ぞれじゃあ、またね。きょうちゃん、桐乃ちゃん」
行っちまったよ…
「桐乃…おまえ、知ってた?」
「まーね。って言っても、さっきあやせと黒いのからメールが来て知ったんだけどね」
「そっかぁ」
こんなときでさえも呼んでもらえないんだなー、俺。
「べつにいいじゃん?あんたはあたしが労ってあげるんだからさ」
「そうか?」
うぅ…こんな風に妹が慰めてもらう日が来るなんて。
「それにさ、お母さんがご馳走用意してくれてるだろうし。元気だしなって」
「そうだな」
そこで桐乃は眉をひそめてこう言った。
「…ねぇ」
「どうした?顔、真っ青じゃねーか」
「まさか…とは思うんだけどさ、アレなんてことないよね?」
桐乃の言ってることに思い当った。こいつがこんな顔するのも当然だ。
「奇遇だな。俺もそう思ったところだ」
「さすがにないよねー?」
「ないだろ?…たぶん」
俺達が言っているのは、おふくろお手製スペシャルカレー。
以前、俺や桐乃の入学や卒業などの行事に出てくることが多い。もう3年近く食べていないが、我が家の食卓にはカレーが頻繁に並んでいる俺達兄妹にとっては具の中身が豪華になろうが、カレーはカレーでしかない。
「今のうちにお母さんに確認してみる?」
「やめとけよ。どーせもう手遅れだろ。俺達に出来るのは祈ることぐれーだって」
「だよね。なんでお母さんの中では、アレがご馳走になるんだろ?」
「我が家の謎だよな」
どうせ、エビとかカニ=豪華とか思ってるんだろうよ。そして、おふくろの中で家族の好物=カレーになっているにちがいない。だからって3日に一度、カレーはねえよ!そんなん絶対うちだけだって!
「一昨日もカレーだったよね?」
「それが?」
「もし今日がアレだったらさ…」
「あ、明日も、か…?」
「ははは…さすがにそんなことはないよね…ね?」
ないと思いたい。だが、
「…おふくろなら、やりかねんな」
「嘘!嘘でもいいから違うって、そんなことないって言ってよ、京介!」
「悪いな、桐乃。残念だが、これが現実なんだ!現実から目を背けるな、桐乃!」
「やだよ…兄貴」
…ひそひそ
ん?周りがやけに騒がしいみたいだな、何かあったのか?
「なにあれ?」「どうしたの?」「修羅場じゃない?」「こんなところでやんなよ、リア充が」「でも修羅場なんだし、リア充とは違くね?」「なら、ざまーみろだ」「てよーか、兄妹みたいよ」「まじで?」「兄妹で付き合ってるってこと?」「おえっ、気持ち悪っ」
「なっ!」
とんでもねえ勘違いされてやがる!?や、やべーぞ!
「とりあえず移動するぞ!」
「え?そ、そんなに引張らないでよ!」
そんなもん構ってられるか!これ以上ここにいたら社会的に抹殺されかねん。
ってか、どーしたら兄妹で修羅場とか勘違いされるんだよ!万が一にだが、浪人したら来年もここに来るんですよ、俺。

Re: 俺の妹がこんなに可愛いわけがない 妄想(京介×桐乃END)1 ( No.12 )
日時: 2013/05/07 01:33
名前: あたらしPULS (ID: tKz6b/Pj)

とりあえず危険を回避した俺達は今、なぜかラブホテルの一室にいた。
待ってくれ!はやとちりしないでほしい。俺はただ桐乃と2人きりで話がしたかっただけなんだよ。
それで桐乃に話したらさ、
「なぁ、桐乃。家に帰る前に話したいことがあるんだ」
「…それって、この間の続きってこと?」
「まぁ、そうだな」
「わかった。で、どこで話しするの?」
ファミレスとかだと、さっきみたいに勘違いされたら困るし、別にカラオケボックスとかでもよかったんだけどさ、
「あんた、カラオケ行ったことないでしょ?防音とかいってるけど、隣の歌声とかガンガン聞こえるから、あんまり落ち着いて話とかできないと思うんだ」
「多少なら気にならないんじゃないか?」
「だから!それはあくまでも、純粋にカラオケを楽しむんならそうだろうけど。あたし達にとって、大事な話じゃん?そんな最中に好きな曲とか流れてきたらさ…」
「そんなの平気じゃねえの?」
「ホントにそう思う?例えば、”めてお☆いんぱくと”が流れてきても?」
そんなのカラオケで歌うやついんの?って思ったことは、けして口に出さないでおこう。絶対キレる。
メルルの歌ねー

俺はなんて言い出したらいいかわからず、桐乃も俺が切り出すのを待っているようだ。そんな中、隣の部屋からメルルもイントロが聞こえてきて…今、反応したよな、こいつ。すげーうずうずしだした!こいつ…?
「メルルきたぁぁぁあlメルちゃん、メルちゃん!!あたしも歌うぅぅぅ!!!」

「駄目だな。話なんてできる気がしねー」
「でしょ?逆に嫌いな曲だったら、どお?」
いや、こいつの嫌いな曲って言われてもな。とりあえず嫌いそうな曲は、と…

俺は意を決して桐乃にはなしかけようとした。
「桐乃、俺…実はさ」
まさにその時だった。隣の部屋からマスケラのイントロが聞こえてきた瞬間、
「はぁあ!?なに、この選曲!ありえないっつーの!ま、まさか、黒いのが隣にいるんじゃないでしょーね?!」

「駄目だな」
「でしょ?」
「でしょ?じゃねえよ!全部おまえじゃねーか!どんだけ感情抑えられないんだよ!?」
「あたしは自分に素直なだけ」
けっ!普段から素直にしとけってんだ。
「…なに?いいたいことがあんなら言えば?」
「べつにねーよ。でも、どこならいいんだよ?」
「うーん、そーだなー、防音がしっかりしていて、なおかつ人目を気にしなくて済む場所かー」
もう、なんなら公園とかでよくね?なんて思っていたら
「あ、…でもあそこはなー」
なんて言い出した。
「なんだよ、思いついたのか?どこなんだ?早く行こうぜ」
時間もそんなにねえしな。
「いや、でもぉ」
「なんだってんだ、条件に当てはまる場所なんだろ?」
「そ、そうなんだけど、…あたしはべつにいいんだよ?…でも、あんたがなー」
「俺?俺はべつに、落ち着いて話ができるんならどこでも構わないぞ」
「…一応確認するけど、家に帰ってからじゃダメなんだよね?」
「ああ。親父やおふくろが気にしてるだろうから、お互い落ち着かないだろ?今日はおふくろ、1日中家にいるだろうしな」
「わかった。…なら、覚悟してよね。あたしも覚悟するから」
「おまえ、なに言ってんの?だから、どこに行くんだよ?」
「…いいから、ついて来て」
「お、おい、行き先言えって!」

で、今に至るわけだ。
さすがにラブホテルを前にした時は
「…ここか?ここなのか?おまえの言う条件にぴったりの場所は?」
「そう、ここ」
「そうって、ラブホじゃねーか!」
「だってしょうがないじゃん…ここしか思いつかなかったんだから!」
「だからって、ここはねえだろ!?選択肢から外しとけよ!」
「そんなこと言ったって、今から他のとこ行くには時間かかるし。京介は他にいい場所があるっていうの?」
「そ、それは思いつかねえけどよ」
「…今さら、今日はもうやめようとか言うつもり?」
「そんなこと思ってねーよ!」
「なら、もうここでいいじゃん!前に1度入ったことあるわけだし、1度入ったら2度も3度も変わらないって!」
おまえが言うんじゃない!
「入る相手がおまえじゃなきゃな」
「あ、あんた、妹相手に、またへんなことするつもりじゃないでしょーね!?」
「し、しねーよ!妹相手になんぞ!」
つーか、またってなんだよ!したことないだろうが!
「なら、もういいでしょ?…早く入ろ?」
「急にどうしたんだよ?」
もじもじしやがって、なんなんだよ。
「わかんないの?こんなところで…は、入るとか…入らないってやってんのが、どんだけ恥ずかしいと思ってんの、あんた!」
こんなところで、ねー。…あ、ラブホの前じゃねーか!バカじゃねーの、俺達!?
「…よし、入るぞ」
「うん、…って先行くな!バカ!」
はぁー、また何やってるんだ俺達は。
幸いにも?、知り合いに目撃されなかっただけいいけどよ。もし見られてたら、俺終わったね。
それにだ!そもそも桐乃ならその辺のこと考えて行動しているに違いない!だからこれはセーフ!ノープロブレム!1度ならぬ2度までも妹とラブホにいること自体は完全にプロブレムだがな。
この際、気にするのはやめだ。入っちまったもんはしょーがねーだろ?妹とラブホ入って何が悪いんだ!もうつっこまねーぞ、ちきしょー!
でもよー、なんだってあいつはまた、シャワー浴びてくるとか言い出してくんのかねー。そういうつもりなくても、えっ!?って思うじゃんか。
「せっかく来たんだから、入らないともったいなくない?どーせなら、あんたも入っとけば?ラブホのバスルームってスゴいんだよ!」
そんなこと間違っても誰かに言ったりしないことを祈ってるぞ。信じてるからな?
でも桐乃のやつ、うっかり黒猫や沙織に言っちまいそうだなー。
今度あいつ等に会って

「あら、誰かと思えば変態のシスコン先輩じゃない。そういえば、あなた、ついに人間辞めたそうね?」
「聞きましたぞ、京介氏。きりりん氏とラブホテルに入ったらしいではありませんか?」
「それでよくもまぁ、何もしていないなんて戯言が言えたものね?誰がそんなこと信じるとでも?このムシケラが!」
「そうですわね。さすがに妹のきりりんさんと…なんて信じがたいお話ではありますが、友人のおっしゃることを疑うわけにはいきません。正直、いつかこんな日が来るんじゃないかと思っていましたわ。本当に最低ですわね、京介さん」

カオスだ。我ながら想像がリアルすぎて恐ろしい。
後で桐乃にはしっかりと口止めしておくとしよう。
にしても、やっぱねーよな。この状況は。


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