二次創作小説(紙ほか)
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- トリップする話
- 日時: 2018/03/16 00:40
- 名前: ぜんざい (ID: fVY/oVEd)
どうもはじめましてぜんざいと申します。ここではとりあえずいろんな漫画に夢主がトリップする話を書こうかと思ってます。
夢主は色々。
中途半端になるだろうと思われます。
ぜんざいの自己満足ぶちまけてます。暖かい目で見ていただければ幸いです。
夢もやる。
好き勝手やりまくっててかつ愛想がまったくないぜんざいですが見守ってやってください。
- Re: トリップする話 ( No.24 )
- 日時: 2017/08/27 00:30
- 名前: ぜんざい (ID: nZVCHjgh)
シロガネ山の修行が終わり、レッドさんと別れたあと、こっちはゴールドに七島に行ってくると告げた。トライパス買いにいかないと。まあしかし、許してくれないのがゴールドだ。ガシッとこっちの腕を掴んでぐむむとこちらを睨んでいる。可愛い。どうしよう幼馴染みが可愛い。
「なんで七島行くんだよ!」
『観光や! せっかくカントー来たのに行かな損やろ!』
「俺も行く!」
『なんでやねん! お前お母さん家でグレン風火山ハンバーグ作って待っとるやろ!』
「ならお前もおばさん待ってるだろ!」
『その母さんに七島行ってこいって言われとんねんけど!』
ぬぐっ、と息を詰まらせたゴールドは呆れたようにこっちを見たあと、ハァと溜め息を吐いた。あーだのうーだの唸るゴールドの破壊力はイオリさんに効果抜群どころか一撃必殺だったがひたすら耐える。
「……なら、すぐ帰ってこいよ。三日、三日でだかんな! イオリいねぇとつまんねぇし! 絶対だぜ! 約束だ!」
真っ赤になってこっちを指差し、口を開いたかと思えばこれだ。イコール寂しいから早く帰ってきてね、はあと。ってことか。可愛い、可愛すぎる。
ゴールドのそれに頷いて、ライチュウの尻尾に乗って手を振る。
「土産頼むぜー!」
『……おー!』
とは言え。三日で戻る保証はない。なんせ、レッド、グリーン、ブルー、が最低でも二日。ゴールドで二ヶ月だ。いけるか、三日で。まあ約束してしまったし破るわけにもいかないから意地でもやりとげて見せるが、そこは実力だ。頼むで、バクフーン。そんで、ライチュウ。ブラストバーンとボルテッカーを覚えてもらわねば。
頼むで、とぽそりと言えばバクフーンのボールは激しく揺れ、ライチュウも力強くうなずいた。
さて、七島のキワメさんのいる島についたら、まず彼女を探さねば。
はっきりと言おう。キワメ婆さんを探すのに半日掛かってしまった。何番の島にいるのか知らなかったのだ。彼女は2の島にいましたよ、ええ、最後に行きましたよーくそー。
彼女を探すべく観光と言うなの捜索を続けていると、腕にいきなり輪がはまり、彼女が杖を持ってばっと目の前に現れる。上出来の万々歳だ。
「ビビッと来たよ! あんたなら、究極技を受け継ぐことが出来るかもしれないね!」
『マジすか、ありがとうございます』
胡散臭いと言われるだろうと思っていたらしい彼女は眉を潜めてやけにススッと理解するじゃないかと杖を向けてきた。もちろんこっちはこれを望んでいた訳なので、すんなりなのは当たり前だ。
『こっちは究極技の伝承を出来るいう人を探しとったんですから、当たり前っすわ』
「ほほぉう、見る目のある子もいたもんだ」
にまっと笑ったキワメさんは、こっちを修行の場にいざなうのだ。
**
究極技を身に付ける試練とは。「きわの岬」というところにあるキワメ婆さんの家にたどり着くものである。玄関に続く約3kmの廊下を渡りきることが条件だ。約1kmごとに試練があり、計三つ。それを走りきらねばならない思ったより過酷なものだ。どうやら22年前に挑んだ人は8時間かけて2/3でやめてしまったらしい。やはりマイナーというか流石伝承と言うか、あまり知られてはいないらしい。
第一の試練は『跳ノ道』
「跳ノ道はな、ポケモンに縄を持たせ、ピョンピョンと縄跳びをしながら10町(約1.1km)を走りきる、そういう試練じゃ。一度でも引っ掛かるとスタターッと最初からやり直しじゃよ」
『……はー、なるほど』
ちゃらりと両腕にキラリと光る腕輪を見る。事情を話してブラストバーンだけでなく、ボルテッカーも教えてもらうことにしていただいた。キワメ様様である。
それにしてもキツい。1kmをジャンプしながら走りきらなければならないとは。予想ではもうすぐ走り終わる筈だ、頑張れバクフーンとゲンガー。今のところ大きな戦いで姿を表していないゲンガーだが、その事を謝るといいよいいよ気にしないでと微笑まれ頭を撫でられた。相変わらず可愛らしいゲンガーらしくないゲンガーだ。イタズラもまったくしないし、むしろライチュウのイタズラをダメだよと諭すように止めるし。何この子ホントいい子。しかし母に育てられたからかめっちゃ強い、鬼強い。シャドーダイブ使えるとは恐れ入ります。つるふわのその体は気持ちいいよゲンガー姉さん。
そして前世でまったくと言っていいほど体力のなかったこっち。今世ではポケモン世界の常識として組み込まれているのか、はたまたチャンプ経験を持つ母と世界中をその足で本当に比喩でもなく駆け回った医者の父を持ったからか体力と運動神経は有るようだ。ここは安心した。前世のこっちは患者を見るときは体力が切れないと言われていたが、長距離がホントにダメたったのだ、そのまま全力で1kmも走るとなると死んでいた筈。この体に大いに感謝だ。飛ぶ度に上下に揺れるブルーと同じかそれ以上の大きさの胸がかなり邪魔だが。
どうしてここに伝承技があると知っていたのか、と始める前にキワメさんに問われた。もちろん原作知識があったのも有るが、母に七島に行けと言われたのは「伝承技を教える婆さんがいるから」と聞かされたからだ。母さんのリザードンもブラストバーンを覚えている、即ち究極技を覚えにここにやって来たと言うことだ。常々母はチートではないのかと思わされる。なんであんた結婚したの第四回ポケモンリーグ優勝者が。
そういううまを伝えると、あぁそんな生意気な娘も居たなと返された。どうやら22年前の男よりも遅くに来たらしく、単純に忘れていたようだ。それもどうかと思いますけど。
『……ぜぇ、はっ、はぁ……ぬ、抜けた……』
地面に座り込んでぜぇはぁと激しく息を切らすこっちにゲンガーがお疲れ様と言うように微笑んでくれた。お前ゴーストタイプのクセに天使とかどんだけやねん。殺す気か。いつかカロスかホウエンに行ってメガゲンガーナイト手に入れてやる。待ってろメガシンカ!
汗だくの服をばざばさと仰ぎ、呼吸を整える。足がいたい。とりあえずひたすら揉みほぐし、キワメさんにもう大丈夫ですと伝えた。
次は拾ノ道。用意されたドードリオに乗り、アップダウンする廊下を駆け抜ける。その途中で落ちてくる木の実をひとつ残らず地面に落ちる前に自力で拾えと言う。これは簡単だった。目が悪いこっちは眼鏡をかけているものの、動体視力は悪くない。全て拾い集め、息を切らすことなく達成した。
次は戦ノ道。形式は二対二のポケモンバトル。所有はこっちが三体しか持っていないため三体で入れ換えあり。ここの廊下もスピードがアップダウンするが、こっちの対戦するバーチャルトレーナーのポケモンと、こっちのポケモンの攻防でスピードは変わるらしい。ここはバーチャルトレーナーより先に抜けた方が勝ち。ポケギアを見て時間を確認する。まだ一時間、とんでもないハイペースだ。ヤバイ、こうなりゃとっととクリアしたい。
そんな想いが通じたのか、ゲンガー姉さんが頑張ってくれました。タイプ不一致でもシャドーダイブシャドーボールと一撃で敵を沈めていく。感服です。そうしてこっちは最後の道をずいぶんあっさりクリアしたのである。
- Re: トリップする話 ( No.25 )
- 日時: 2017/08/27 15:03
- 名前: ぜんざい (ID: nZVCHjgh)
『偉い、よくやった、偉い!』
無事に究極技を習得したライチュウとバクフーンを誉め、今回のMVPであるゲンガーを撫で回す。つるふわ最高。
キワメさんもこの習得の早さに驚いていたが、まぁアイツの娘だしなと納得していた。母さん何したの。わりと気になる疑問を残してこっちは習得した究極技のコントロールを行うため、練習を繰り返す。二匹は撃つと体に負担がかかるらしい。ごめんねもうちょっとだけでエエから頑張ってくれ、頼むから。今度レベルあげしようね、頑張ろ。
うんうん唸りながらコントロールを完璧にし、出来上がった頃にはもう二日目の夜だった。あと一日あるが早く帰るに越したことはない。
キワメさんに帰ることを伝えるとまた遊びにおいでとにっかり笑って告げられた。キワメさんめっちゃええ人や……。あ、ゴールドに土産買って帰らなあかんわ。
**
三日目、家に帰宅するとゴールドがリビングで自分の手持ちや母のミロカロスや色違いのロズレイドと戯れて居てわりと驚いた。帰ってきた瞬間の輝く笑顔は忘れない。反応かなり早かったぞゴールド。
「おかえりーイオリー」
「早かったな! おかえり!」
『ん、ただいま。母さん、ゴールドぉう゛っ』
ゴールドにすりよっていた母のミロカロスが腹に突進を決めてきた。どたんと尻餅を着いたこっちに頭をグリグリ押し付けて撫でろ撫でろの攻撃を食らわせてくるミロカロスに負け、わしゃわしゃとひんやりとしたその気持ちのいい身体を撫でてやる。世界一美しいと言われるこのポケモン、母の手持ちなのだが、どういうわけだか母よりこっちになついている女の子だ。本当に甘えたなこの子はゴールドにもなついており、こっちへの抱擁が終わったとたん弾かれたようにゴールドに突撃しにいく。やだこの子愛情表現激しい……。
うははと笑っているゴールドを横目に母に手持ちを見せる。
『ゲンガーがよお役に立ってくれたで。あとバクフーンと、ライチュウ』
「へえ、三体だけ?」
『おん、三体だけ。バクフーンは博士に貰った御三家のヒノアラシやし、ライチュウは患者やってな、診たら着いてきた』
「野性捕まえてへんのやね、イオリ」
手持ちをボールから出し、バクフーンとライチュウにここが家やで、と探索させる。手に持つ花が黒と紫の色違いのロズレイドとミロカロス、あとはリザードンとオオスバメが二匹を案内しにかかる。シンオウのポケモンがいるのは母がそこらを旅したからだ。
ライチュウが「そらをとぶ」と「なみのり」が出来ることを伝えると母はライチュウにすっ飛んでいった。目が夏の虫取り少年のように輝いていたわ、子供か。
荷物をリビングの端に寄せ、ゲンガーを抱えながらゴールドの座るソファに腰を下ろす。
「相変わらず騒がしいっつーか賑やかっつーか、元気なおばさんとポケモンたちだな!」
『ほんまな、やかましい』
「楽しいなー!」
にこにこけらけら笑うゴールドを見て、なにかを紛らわすようにゴールドのバクフーンをわしゃわしゃと撫でる。ダメだにやける。その横でゴールドがバクフーンを睨んでいるとは知るよしもないのだが。
ゲンガーにくいくいと服を引っ張られ、どうしてかぶすっと拗ねているゴールドの頭を撫でる。帽子を被っていないからか、髪が跳ねているのがよくわかる。なんだよ! と赤くなって噛みついてくるゴールドがもう可愛すぎてしんどい死ぬ。
すると母が思い出したように言った。
「イオリ、あんたにめっちゃなついとるミロカロスとロズレイドやるわ」
『やっからっ……軽いねんお前!』
だんっとソファの前のコーヒーテーブルを拳で叩く。からからと笑ってる母になんでこんなにアンタは楽観的なんだと苦悩が詰まる。隣のゴールドでさえ肩にエーたろうを乗せて苦笑いしてんぞクソババア。あっナイフ飛んできたごめんなさいお母さん。
こっちの手持ちになると聞いたミロカロスが再び突撃してきた。ロズレイドも嬉しそうに花を振り回す。散る散る、やめてよ散るよ花。
早速図鑑で確認すると、ミロカロスは認識したが、ロズレイドを図鑑が認識しなかった。……今度全国版にしてもらおう。母に視線をやると任せろとばかりに親指がたてられた。
**
あれから一年と半年。ミロカロスがハイドロカノン、ロズレイドがハードプラント覚えてるとか聞いてないよ母さん。そんなこんなごたごたがあったが、こっちは現在キワメ婆さんに呼ばれ、2の島に向かっている。ゴールドを引き剥がすのは大変だったが。どうやらレッドとグリーンが来たようだ。原作通り、ブルーはポケセンで寝ているらしい。
そうして2の島に到着したは良いのだが、メタモンがデオキシスになりきり、ブルーのその場がどうだったかをキワメ婆さんに説明しているところを誤解したレッドとグリーンが覚えたての究極技を撃ち込んだところだった。何やら頭を下げて二人が「ありがとうございました!」と主にレッドが叫ぶ。
不意に上を向いたキワメ婆さんがこっちを見てニヤリと笑った。
「おお、ババンと助っ人が来たな」
「へ、助っ人?」
ライチュウも理解したのか、ゆっくりと下降する。たんっと地面に降りると二人が目を見開く、どうしてお前がここにいるんだと言うように。
『どーも、レッド先輩、グリーンさん。久しぶりっすわ』
そういってライチュウにお礼をいったあと、ボールに戻す。キワメ婆さんにもお久しぶりですと頭を下げるとうむと頷かれた。
放心から立ち直ったのか、レッドが「ど、どうしてイオリがここに!? 助っ人って!?」とキワメ婆さんを見る。彼女は満足そうにこっちを指差した。
「あの子は一年とちょっと前にここに来てね、自分から究極技を教えてくれと頼んできたんだよ。バクフーンはブラストバーン、ライチュウにはボルテッカーを教えた。彼女はたった一人、一時間でこの試練をクリアしたさ」
グリーンに本当かと問われたのでブイサインを作るとため息を吐かれた。
どうやらこちらが呼ばれたのはコントロールの練習に付き合わせるためらしい。なんだと。そんな文句をタラタラ言いつつも手伝ったよえらいイオリさん。
そこから、家に戻る暇もなくその戦いに巻き込まれいった。ブルーさんにはなんでここにいるのかと驚かれたが、同性がいて安心したのか笑っていた。レッドが拗ねる、オーキド博士が三人から図鑑を返してもらったその真相が次々と発覚したり、ミュウツーの参戦、アンノーンの襲撃、ビルでの戦い、飛行船での戦闘。それら全てにおいてこっちは彼らが戦いやすいようにサポートに回った。ついていったのかと言う文句は聞かないからな。絶対にだ。
シルバーがいることは予想済みだ、クチバで落ちてくる戦闘挺を水と風の力で押し返す、とグリーンが言うのでミロカロスを出し、みんなでレッドとデオキシスの乗るそれを押し返すことに成功した。
出てきたレッドを真っ先に駆け寄って支えたのがグリーン。寝ているイエローを抱いて膝枕をするのがブルー。それを微笑ましく見守るのがシルバーで、一旦気を抜いて情けなく笑うのがこっちだ。さっきの戦いで上半身の服が切り裂かれ、現在はバンダナを巻いているが、さて。石になったときに誰か服を持ってきてくれるだろうか。そう考えていると、ブルーが告げた。
「うふふ、何て言うかこれで本当に、図鑑所有者が再集合した。って感じがするね」とブルーが全国版になった新しい図鑑を手に笑う。こっちも図鑑を手にして微笑んだ。周囲を見るとみんなそんな感じである。一段落ついた、と言う雰囲気のなか、デオキシスは個体壱を探すと旅だった。まさに大団円。そんな中、無粋だとは思いつつ、腰のベルトからポケモンを全て放ち、ガラリと物音のする方を警戒した。現れたのはロケット団の幹部、サキ。
「図鑑所有者たちよ、正直ここまで粘られるとは思っていなかったぞ。とくにそのポニーテール。ポケモンと気を同調させて能力を高めるやつなんて始めてみた」
「イエローのことを言ってるのか!?」
グリーンが話し掛けたところで、こっちは後ろの五匹に離れろと命令した。いやいやとすがりつくミロカロスを一喝し、頼むからと掠れた声を出すと、五匹は渋々と言ったように物陰に隠れる。それでいい。
「今、素直に感服している。お前たちは、強い! それほどの強さを持つお前たちをそのまま放っておくのは危険だ、出来ることなら今ここで倒してしまいたいが、逃げるのがやっとと言うところだな。だが……手ぶらでは逃げぬ」
彼女がそういった瞬間、落ちてくるソレ。先程飛び去ったデオキシスだ。彼女は「あれほどの能力を持ったポケモンを逃がす手はない」と何かのポケモンが入ったボールを向けた。そこから放たれる攻撃に、みんなが応戦し、ミュウツーの攻撃がサキの攻撃とぶつかり合い、激しく目映い光を発生させた。じわじわとしかしすごいスピードで体が石と化していく感覚は不思議なものだ。最後に視界に入った、凄まじいスピードでやって来た手持ちたちに心配するなと目を瞑る。体は、そこで動かなくなった。
- Re: トリップする話 ( No.26 )
- 日時: 2017/09/03 23:10
- 名前: ぜんざい (ID: iF1kOIUK)
ゴールドside
先日のオーキド博士から聞かされた先輩たちとシルバー、イオリの石化に、酷くショックを受けた俺だが、だんだんとちゃんと立ち直り、クリスと連絡を取り合いながらもあいつらをもとに戻す方法がないか、と探し回っていた。クリスのショックも多大だったに違いない。オーキド博士に聞かされたあと、クリスと会ったのだが目が腫れていたし、声も震えていた。しかし、目に見えていたのは俺の方だったのかもしれないが。先輩たちにはとてもよくしてもらった記憶がある。クリスは先輩たちの図鑑データを借りて図鑑を完成させ、俺はレッド先輩に修行に付き合ってもらったりもした。シルバーだって、無愛想な奴だが悪いやつではないし、同じジョウトの図鑑所有者としての仲間意識も固いほどにある。しかし、それよりもダメージを受けたのはイオリのことだ。クリスはイオリと親友と言っても過言じゃない。イオリが以前『初めて女の子で同い年の友達が出来たわ、めっちゃ嬉しい』としばらくその事しか話していなかったのには妬けたが。博愛主義のクリスにとってイオリはその中でも大きく大事な人物にあたる。
だが、それは俺も例外じゃないんだ。何をするにもずっと一緒だった。ガキの時から、それこそ成り行きでも旅を始めた時だって一緒だった。俺の中であいつの存在は半分を占めるほどに大きい。俺はアイツが大切なんだ、大好きなんだ。だから今回のことは精神的攻撃としては効果抜群だった。
しかし、何もせずに終わるのは俺じゃないし柄でもないからやみくもでもいい、ひたすらにもとに戻す方法を今、オーキド博士やイオリの母さん、クリス達とでがむしゃらに探している。生きているか、死んでいるかもわからないなら俺は『生きている』方に賭けるんだ。
そして、オーキド博士から渡されたイオリの手持ち五匹も同じ気持ちらしい。当初は全員が俺にすりよって泣いて、それを見て俺や俺の相棒たちもも泣いてを繰り返したが、みんなで次は敵になんか負けないと言わんばかりに特訓をしている。
今日は手掛かりを探すその途中で、クリスと今日も収穫は無し。愚痴を言いながら帰路を歩く。
「あー、見つかんねええ!」
「そうね……でも、必ずもとに戻す方法はあるはずよ」
「やっぱり地道に探すしかねえってことかよ……あーもー! 石化を解くにはどうすりゃ良いんだぁ!?」
道端で頭を抱えながら歩いていたら、後ろから「あのぉう」と女らしく間延びした声が俺たちに掛かった。
二人で振り向くと、そこには一人の美少女が立っていた。オレンジの腰まで届くふんわりカールしたロングヘア、精巧な人形のように整った容姿、小柄でピンクのトップスに淡い紅色のカーディガンを羽織っていて、白のミニスカートを履いている。
普通ならなんだこの美少女超可愛い、と思っただろうが、今の俺はかなり神経質になっているらしい。顔が作り物のようで怖いと思った。それと同時に、本能がコイツを激しく拒絶する。隣のクリスはそう感じないようで、首をかしげて「どうしたのかしら?」と声をかけた。
しかし、彼女はクリスには見向きもせずに俺を一心に見つめていた。ぞくりと訳のわからない悪寒が背筋を走る。
「さっき、石化を解くにはどうすりゃ良いんだ〜、ってそこのゴーグルくん言ったよねぇ!」
「……言ったけどなんだよ、カンケーねぇだろ」
少し声に不機嫌を混ぜるとクリスが驚くように俺を見た、目が言っている。あのゴールドが、と。
目の前の女は少し不思議そうにわざとらしく首をかしげたあと、ああ! と納得してからにっこりと笑って俺たちに、いや、多分俺に言った。
「わたし、ホウエン出身のアヤメって言うの! よろしくね、ゴールドくん!」
どうして俺の名前を知ってんだ、この女。ホウエン出身なら二年前のあの事件は知らねぇから俺のことも知らねぇ筈なのに。クリスはそれに気付かず、再び「どうしたの?」と問うた。ぁ、クリスキレそう。
「あのね、わたし……その石化を治せる方法を知ってるかもしれないの!」
「ええっ!?」
「はぁっ!?」
俺たち二人は唖然とその女、アヤメを見て顔を合わせ、デマでもなんでもいい、生理的にコイツが受け付けられなくてもいい。情報を得るため、アヤメを連れて俺たちはジョウトのオーキド博士の研究所に走り出した。
**
アヤメside
キャー、やったやった! やっと、念願の夢が叶った!
かっこいいキャラクターたちのいるポケスペの世界にトリップ出来たの! 一人、生贄として駅のホームから突き落とした甲斐があったわ!
わたしの推しはもちろんジョウトのゴールド! 最初に出会ったときはぶっきらぼうに返されたけど、わたしが可愛くて照れただけなのよ! きっと!
だってわたしはカミサマに可愛くしてもらったしポケモンも一匹もらったし、好きな時間軸から飛ばして貰えたし、逆ハー補正もつけてもらった! 特典は三つまでって言ってたけどわたしはカミサマに愛されてるから大丈夫!
今はオーキド博士のジョウトの研究所。わたし、五章からあとが好きなのよね、それより前はそんなに興味ないの。
今から石化したレッドたちを助けに行くのよね。ゴールドたちがジラーチを見つけてないのには驚いたから教えてあげることにしたの。
あと、博士にはわたしは医療の知識があるって伝えるわ、あと手助けもするって。医療の知識は前の世界でそういう高校に入っていたから。まぁトリップしたから知識は高二までなんだけど。そしたらわたしはオーキド博士に信用されて図鑑を貰って図鑑所有者になって代名詞をもらえるはず!
クリスが些か邪魔だけど仕方ないわ、原作だもの。
わたしたちがソファーに座っていると、厳しい顔をしたオーキド博士がやって来た。わたしも疑われないように真面目な表情を作る。
「……アヤメさんと言うようじゃな」
「はい、わたしの名前はアヤメです」
「じーさん、俺相棒たちの様子見てくるわ」
そう告げて隣から立ち上がったゴールドにえ、とわたしは不安そうな表情を見せる。これで行くなんて言わないはず。
だけどゴールドはわたしを一瞥もせずに研究所を出ていった。なんなのよ。
そう思っていると、オーキド博士がゴールドの方を見て首をかしげる。
「……はて。どうしてあいつはあんなにピリピリしとるんじゃ? それに、こんなに可愛いお嬢さんを前に一度も視線をやらないな……」
「……多分、ちょっと神経質になってるんだと思います、多分……」
「……そうか、それほどまでにか……。今はそっとしてやろう」
全く話が読めない。ゴールドってこの章、神経質だったかしら?
そんなことを思考の隅に寄せながら、わたしは口を開いた。
「あの……その、偶然聞こえた石化を解くと言うお話ですが……」
「おお、そうじゃったそうじゃった」
「ホウエンの幻のポケモンに、『ジラーチ』と言う願い事ポケモンが存在するのです」
「……願い事、ポケモン?」
「はい。そのジラーチは、三つまでのお願いことを聞いてくれます」
「なら、それなら!」
「しかし、ジラーチは千年の眠りについています。そして目覚めるのはそのうち七日間だけ」
そう伝えると、二人は早速調べに掛かろうとした。七日間目覚めるのはいつなのか。それを調べるために。
しかし、ここで立たれちゃ困るのよね。図鑑をもらうイベントが無くなっちゃう。
「わたしも同行します! いえ、同行させてください!」
「……なんじゃと?」
「わたしには医療の知識や心得もあります、ゴールドくんやクリスちゃんが怪我をしても手当てぐらいなら! それに、わたしのポケモンだって鍛えています!」
オーキド博士は少し怪訝な顔をしたけど、わかったとコクリとうなずいた。やっと図鑑所有者になれる、とほっとするもオーキド博士はクリスに「わしはジラーチがいつ七日間目覚めるのか調べるから、あとは任せたぞ」と出ていった。
……え、図鑑、は?
「じゃあアヤメちゃん、協力ありがとうね。雰囲気が重苦しくてごめんなさい、外を散歩してきたらどうかしら……」
「あっ、はい! ありがとうございます!」
わたしは疑問を抱えつつ研究所を出た。……ゴールドさーがそうっと。
- Re: トリップする話 ( No.27 )
- 日時: 2017/11/02 00:15
- 名前: マメツキ (ID: QJD7iA8Z)
上記はまた今度。
ネギま!→マギの早乙女ハルナポジション成り代わり女主。ちょこちょこ違う。スリーサイズとかもろもろ。前世持ちの転生したお話。お相手はネギま!のアルビr…クウネル・サンダースさん。
小原 伊織(こはら いおり)
2-A→3-A所属出席番号14番。
身長162cm。スリーサイズB87W58H76。
漫画研究部、図書館島探検部所属。
原作ハルナと髪型や髪色、二本のアホ毛、容姿等は変わらないものの、ロングヘアではなく肩までのセミロング。毛先は外にばらばらと跳ねている。前世が関西出身だからか原作と違って関西出身の関西弁。性格はほとんど変わらないがハルナよりかなり冷静。
漫画家志望で貴腐人なのは変わらず、そのペン速も最早神の域であり神速と言っていい。画力も原作同様レベルが高い。
アーティファクト『落書帝国』はネギとの仮契約でなく、アルビレオ・イマとのもの。このハルナポジション成り代わり女主はのどか達ネギパーティをとことん煽るクセにアルとの関係はかなりモダモダする。
特徴として野心がでかい。
七年後の姿は原作と違ってあまり変わらず、胸と身長だけ大きくなったらしい。メガロに本低を構えて二つの世界で有名な少年漫画家をやっている。
そんな彼女がネギ達のラブコメをにまにまちょいちょい煽りながら卒業、刀太は生まれないヨルダ・バオトを倒したあとの全部が全部ハッピーエンドな世界でアルといちゃいちゃしつつなぜかマギの世界にトリップした話。
服装は魔法世界にて調との交戦時のあのベルトが複数ついた露出の高い全体的に黒い服にローブを被った感じ。赤いネクタイが映えます。
**
前世で不慮の事故で死亡し気づけばネギまの早乙女ハルナポジションに成り代わっていた今世のあたしの名前は「小原伊織」、ペンネームは「イオ」。
中二の夏ごろ、ネギくんが来る前になんやかんやあって図書館島最深部に行けてしまったあたしは龍種に殺されそうになったところをアルビレオ・イマ、もといクウネル・サンダースさんに助けられ、魔法を知ってしまったとのことで言葉巧みにだまくらかされ彼と仮契約を結んでいたのでのどか達より魔法に関してはちょっと先輩だ。そこからアルさん直々に重力魔法を教えてもらうに至り、土日はずっとアルさんの住処に入り浸り、ほぼ魔法戦ならネギくんとまではいかなくともフェイトくんぐらいならタイマンはれるぐらいにはなった、魔法戦だけやったらな。あたしは落書帝国があるので召喚術士がメインです。
その後、ネギくん達には学園祭編までずっと原作に乗じて魔法を隠し、のどか達が魔法を打ち明けてくれるまで黙っていた。たのしい。アルさんとくっついたのはこの時だ。
夏休み編は平穏に楽しく落書帝国を駆使して影でアルさんといちゃいちゃして、翻弄し魔法世界編で世界を救い、体育祭編でアルさんといちゃらぶしつつネギ本命作戦には参加せずネギくんのサポートに回った。あたしは誰だか知ってたしね。当てたときのネギくんの顔はヤバかった。あんぐりだ。
五年後にヨルダ・バオトを討ち取り、ナギさん救ってついでに世界も救ってハッピーエンド。アルさんといちゃいちゃらぶらぶしていた。
……筈やのに。
『ここは一体どこなんやー!?』
暗い洞窟。あたしの立つ地面の八芒星、神秘的な光景、なんか知らない化け物。コミカライズしたい超したい!
そんな思考は放っておいて、確か私はアルさんとあの住処でのんびりしていた筈だ。おんなじソファに座って肩寄せあってな! 微笑むアルさん好き、超好き、大好き。
とかなんとか呑気なことを飛行ゴーレムに乗りながら考え、襲ってきた化け物を炎のおっさん改で蹴散らし、恐らく最深部だと思われるところまでやって来た。
『……おっも! 開かへんやん!』
ぐいぐいとでかい扉を押すも微動だにしない。仕方がないので炎のおっさん改にグーで殴ってもらって、目の前で風を斬って前方に勢いよく飛んでいった扉を満足気に見つめ、ずんずんと進んでいく。
中は石化した、本物だったら売れば相当金になりそうなものばかり。その中で一際異彩を放つ壺に触れてみた。
するとどうだろう、周囲の石は輝きを取り戻し金銀財宝の山、目の前の青い巨人に私は叫んだ。
『うおおおお!? あたし今までヤバイ状況に幾度となく遭遇してきたけどなんやこれすげええええ!』
ぴょんぴょん跳ねるあたしに青い巨人は呆れた目をしながら告げる。『陰影と刹那のジン、ミシャンドラ』と。
要するに、王の器とか選んで金属に憑依してこの力貸してやるぜってやつね。ふぉおおお、すげええええ。
『これからよろしくな! 王になるつもりはないけどな!』
「……ああ、そうか。よろしくな」
帰還後、あたしの右耳のピアスには小さな八芒星が浮かんでいた。
- Re: トリップする話 ( No.28 )
- 日時: 2017/11/02 01:27
- 名前: マメツキ (ID: QJD7iA8Z)
あたしはそのあと、魔装を習得し、もとの世界への帰還方法を探りながら町や国を転々とする旅をした。魔装は全体的に露出が高く、ゆったりした黒や赤等の布を纏っていた。腕の手袋は高音さんの黒衣の影が腕に巻き付いたみたいな。
能力はコタ君みたいな影を操る魔法でした。影から影への転移とか。某鋼の錬金術作中内で出てくる某ホムンクルスの子供長男のような攻撃力と防御力を誇る。ある意味無敵じゃねとか思わないでもない。
そんな私は転々とする中腐った話が無いのに気づき、漫画を各地で出版、一攫千金。現在大海洋国家のバルバッド一高級なホテルで豪遊中だ。現在バリバリとネームを書き上げている。
『ホンマ締め切りが無いって素晴らしいわ! けれどあの修羅場が懐かしいな!』
ひょおお、とか言ってもう数日籠りきりだったので外の空気を吸おうと思い、ガチャリと扉の音を立てて部屋を出る。途端、あたしはピタリと固まった。
紫の髪のイケメンが壁に筒を押し当てて隣の部屋の話を盗み聞きしていたのだ。側には緑のクーフィーヤを被った銀髪のイケメンと目付きのキツい赤髪のイケメン。
相手もあたしを見て目を見開き固まっている。目があった。
これはもう外の獣のにらみ合いの世界だ、目をそらせば殺られる。いや、多分やられないけど。目を合わせたままあたしは後退し、ぱたりと扉を閉めて部屋に舞い戻った。
ぶは、と扉に背を預けて思いきり息を吐く。
……イケメンや、……イケメンがおった……居ったで……。
『……なんやこの沸き上がる創作意欲! 天があたしに賜った的なアレ!? そうなん!? マジかやべえ! これはそう! 言うなればあたしヘの閑話休題、素材提供! これは描かねば漫画家が廃るっちゅーな! あかんたぎる! たぎりまくる! あたしのペンが唸るで全国の読者様!
それにしてもアルさんネギくんコタくんフェイトくんに負けへん久々のイケメンやったな! ごちそうさまでした! やっぱりアルさんが一番やなうん!』
ふぉおおお! とか叫びながら机に向かって原稿用紙に物凄いスピードでペンを走らせる。その速度、最早神速。
『世界があたしを呼んでいる! 神が描けと語りかける! 分かったでファンの皆様、待ってろ全世界! すぐ書き上げてみせるからな! いずれあたしの名を轟かしてみせるからな覚悟せい! ハーッハッハッ! あの夏の大冒険と小惑星の戦い以来の熱狂やでえええ! ハーッハッハッハ、あたしの野心は止まらない!』
椅子の上に立ち、机に片足を乗っけて右腕を突き上げる。ついでに高笑いをしながら叫んでいると、後ろから視線を感じた。
パッと振り返るとそこには扉の隙間からこちらの様子を伺うさっきの三人。やっぱりイケメンや! あたしの目に狂いはなかったで!
つかつかとその三人の元まで勢いよく歩いていき、半開きだった扉を全開にしてキラキラした目で真ん中の紫の髪の太い眉が凛々しいイケメン……いや、超絶美形の手を取る。相手はちょっと呆然気味だ。
『ありがとうどこの誰とも知らんイケメン! お陰で作品の続きが書けそうやで! リフレッシュキタコレ的なアレやコレなイケメンたちいやほんまごちそうさまってやつやわホンマ!! ええタイミングであそこに居ってくれてありがとう! 相手の部屋はわからんけど盗み聞きしてくれとってありがとう!』
うおおお、と両手で名前も知らない彼の手を握り両手を上下にシェイクシェイク。がくんがくんと揺れていた彼につられるようにあたしの胸もたぷんたぷんと揺れるが知ったこっちゃない。彼はようやく正気を取り戻したのかちょっと驚いたような顔で「いや、何か知らないが、役に立ててよかったよ」と優しい言葉を紡ぎ人懐っこい笑みを浮かべた。声がアルさんや。アルさんや。最近聞けてないアルさんの声や。アルさんもっと落ち着いた感じやけど。
『そっちのお兄さんたちもありがとう! お陰で仕事が捗るわ!』
そんじゃ! とぱっと名前も知らない彼の手を話し、バタンと扉を閉める。さて、今日は仕事かなひゃっはー!
途端、隣の部屋から大爆音。驚いていると壁が壊され誰とも知り得ぬ武装した男や女がぞろぞろ入ってきた。
椅子に腰を掛けようとした状態だった訳だが、いったい全体どう言うことだ。目の前でにやにやと下品に笑う男どもにとりあえずパクティオーカードが手元に有ることを確認して固まっていると部屋の扉がバンッと開き、先程のイケメン三人組が慌てたように入ってくる。
真っ先に駆けてきた紫の髪の彼があたしを抱いてその男たちから距離を取った。
全く状況を理解できてないあたしは紫の彼を見、赤い彼を見、緑の彼を見る。緑のクーフィーヤを被った銀髪のイケメンはすみません事情はあとで、と申し訳なさそうに言ってくれた。大方助けに来てくれたのだろう。先程見たってだけなのになんと優しい人たちだ。
赤い髪の彼が降ってきた矢を大理石の机を傾けて防ぐ。え、大理石やんな。緑のクーフィーヤの彼からは暗殺具が飛び出し、紫の髪の彼は剣を持って前に出る。なんか相手の剣が触れたものを腐食させる的なあれだったらしく、緑のクーフィーヤの彼に役立たずと言われていた。その後、魔力を込めた掌底、おお。
……なるほど状況把握。イコール敵ってことか。なら。カードを取り出しアデアット。
現れたクロッキー帳と羽ペンに驚く三人組や敵を尻目に、とりあえずシンと呼ばれた紫の彼に武器だ。
ペン速0.2秒で書き上げた剣を具現化させた。
『お兄さん! コレ使ってや!』
「っ!? 剣!? どこから……」
『エエから! 前から来とるで!』
反応が間に合わなかった彼に迫る敵を『炎のおっさん改』を召喚し、その拳で凪ぎ払う。彼らは一時目が点になっていたが、おっさんが全部伸してくれたのでよしとしよう。