社会問題小説・評論板
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- それでも僕らは生きていく。
- 日時: 2014/02/19 19:39
- 名前: 月 −RUNAー (ID: khxqjExY)
初めまして、月です。
この世界は簡単な、漫画のような世界じゃない。
きっと、みんなそう思ってると思います。
題名のように、それでも、私たちは生きて行かなきゃなりません。
この小説を読んで、少しでも希望が湧いてくれればうれしいです。
- Re: それでも僕らは生きていく。 ( No.1 )
- 日時: 2014/02/19 19:47
- 名前: 月 −RUNAー (ID: khxqjExY)
ー プロローグ −
「天は人の上に人を作らず、人の下に人を作らず。」
一万円札の人の言葉だ。小学校の時習った。
でもさ、そんなことあるハズないよ。
一万円札の人は夢見すぎたんだと思う。
生まれたときからその人間が歩むべき道は決まってる。
金持ちの家の子は幸せな道を。
貧しい家の子は苦しい道を。
馬鹿は何をやっても馬鹿。
この世界は格差社会。
だれかが決めたランクごとに構成されてる。
あたしはそのランクにはりついて生きていく。
所詮私たち人間はいつかは死ぬはかない存在なんだから。
- Re: それでも僕らは生きていく。 ( No.2 )
- 日時: 2014/02/20 17:59
- 名前: 月 −RUNAー (ID: khxqjExY)
ー 1話 ー
日本中にホテルを経営している相沢グループの取締役社長の父親。
世界でも活躍している女優の母親。
そんな二人の一人娘のあたしは、二人のDNAを全部きれいに受け継いで生まれてきた。
あたしはずっと愛されてきた。
「真希ちゃんは可愛くて頭が良くて天使みたいな子ねぇ」
「本当に。」
「お父さんとお母さんに似て真希ちゃんは幸せね。」
「真希はお父さんとお母さんの宝物だ。」
「真希ちゃんのことママ大好きよ。」
でも、その言葉があたしに投げかけられるのは、5歳までだった。
あたしが5歳の頃、妹の優愛(ゆあ)が産まれてから、優愛は私からその言葉を全部横取りした。
優愛はあたしとは違って生まれつきの天才だった。
顔もお母さんと瓜二つで、本当に天使だった。
素直で優しくて笑顔が似合う優愛はみんなに愛され、あたしの場所はなくなりすべて優愛のものになった。お父さんとお母さんの間にいるのは、優愛だけ。
あたしが作文で佳作をとったとき、優愛は優勝だった。
あたしがピアノで準優勝したとき、優愛は優勝だった。
あたしが何かを始めたら、優愛も一緒についてきた。
あたしの上にはいつも優愛がいた。
「俺たちの子は、優愛だけでよかったのに・・。」
「本当に。」
小さい頃、夜にトイレに行こうとしたときに、聞いてしまった。
涙が止まらなかった。あたしはいらない人間になってしまったんだって。
「相沢さんはいいわね。あんなお父さんとお母さんで。」
なんど言われただろうこの言葉は。
そう言われる度にあたしは泣きながらそいつを殴り言った。
「お前らに何がわかんだよ!?」
「愛してくれるお父さんとお母さんがお前らにはいんだろ!?」
「金持ちでも貧乏でも関係ねえよ。」
「あたしが幸せなんて思ったこと一回もねえよ。」
「変わりたいなら変わってやるよ。あたしの人生とあんたの人生」
悔しくてたまらなかった。
何がわかんの!?って何度も思った。
でも、そんな世界を15年間生きてやっとわかった。
あたしはお父さんとお母さんの愛がなくても、相沢グループの令嬢なのは変わらないのだ。
それなら、この地位を使って、こんな馬鹿げた世界に復讐してやろうと。
あたしはそうやってこの世界を生きていく。
- Re: それでも僕らは生きていく。 ( No.3 )
- 日時: 2014/03/02 11:29
- 名前: 月 −RUNAー (ID: khxqjExY)
−二話ー
「学校」
それはあたしが大好きな世界。
「おはよーー!」
「今日の宿題マジ難しくなかったー?」
「うち最後の問題わかんなかったーーぁ。 教えてよお!」
「駅前のドーナツおごるなら考えてやってもいいけど・・。」
当たり前の会話。
でもあたしはそうは思わない。
(お前らクズ共がそこでたまってんじゃねーよ。)
そんな心の声は心の中にしまっておき、あたしは何度も練習した、優雅なほほえみを浮かべお嬢様言葉で言った。
「あなた達、邪魔よ(ニコ)どいてくれる??」
「こっここはみんなの場所なんだけど!?」
「お前ら真希さんに逆らってんじゃねえよ」
「待ちなさい」
今にも手を出しそうな、あたしの取り巻きをとめておき、そばにあったゴミがたんまり入った、ゴミ箱をつかんで言った。
「ふふ、私たちの前にただのゴミが立っていいと思ってるの?」
言い返そうとしたであろう、名前も知らない同級生にあたしは冷たい目でゴミを頭から降りかけた。状況に言葉が付いて行かなくて、パニックになってるゴミに言った。
「邪魔よ。どいて。 こういってもどかないなら、あなたたちの家庭メチャクチャになるわよ(ニコ」
あたしは自分の思い通りに動かない人間がいたら、パパに言ってあんたの家庭メチャクチャにしてもらうわよって言う。
それで信じるやつらが本当に笑える。
あたしのためにお父さんが動くわけないのに。
最悪?
そんなの自分でわかってる。
優愛は絶対こんなことしない。
でも優愛のマネごとなんてしたってあたしは愛されない。
これがあたしらしいんだもん。
あたしはキング、そこらへんの生徒や教師はドレイ。
そして、キングはドレイの中から、えりすぐりの奴を何人かあたしの下に置いてやってる。
そっちの方がなかなかうまくいくしね
- Re: それでも僕らは生きていく。 ( No.4 )
- 日時: 2014/03/07 17:38
- 名前: 月 −RUNAー (ID: khxqjExY)
ー三話ー
あたしの一日は、苦しみから始まる。
「優愛おはよう^^」
「おぉ、優愛この前の模試の結果観たぞ。全国一番なんだってな。」
「おはよう〜。この前の模試はねぇ〜そんな難しくなかったもん!」
「そんなこと言ったら、ほかの子たちが可哀想じゃない。」
「本当に優愛はお父さんの誇りだ。」
「あら!お母さんの方が優愛よ?」
「あははっ! 優愛もパパとママ大好きだよ!」
いつもと変わらないセリフ。
いつもと変わらない風景。
かっこよくて頭がよくて大きな会社の社長の父
美人で世界で活躍する女優の母
そして美人で素直で優しくてメチャクチャ頭がいい娘
最高でだれでも憧れる家族だろう。
その風景はここにあって、そこにあたしはいない。
「あっ!お姉ちゃん!おはよう!」
なんて美しくて明るい笑顔なんだろう。
でもあたしわかってるよ。その裏ではあたしを馬鹿にしてるんでしょ?
お母さんとお父さんから冷たい目で見られ、邪魔者のように扱われるあたしを。
あんたになんか騙されない。
あたしは無言で優愛の横を通り過ぎた。
「おっお姉ちゃん?」
「その態度はないんじゃないか?真希。」
「そうよ。優愛はあんたと違うのよ。仲良くしてもらえるだけありがたい想いなさい。」
あたしはわざとらしく大声で笑った。
「あははは。ホント笑える。あたしに居なくなってもらいたいなら、はっきりそう言えば?マジうけるw あたしなんていなかったら良かったのにね。 あっ優愛いい子ぶんのやめて?あと話しかけんなマジきもいから。」
ははっ。
お母さんとお父さんの今の顔マジうけるよ。優愛の顔はそれ以上。
あんたらがまるであたしの事なんてどうでもいいように扱うから悪いんじゃんww
「真希っ!お前いつからそんな子になったんだ。」
「ホント恥ずかしいわ。私たちの子は優愛だけでよかったのに・・。」
「あっ元からこんな性格でーす!ビックリ!?まああんたらの子だしね。てか私だってあんたらみたいな夫婦の子供になりたくなかったし。あーぁクズの相手してたら疲れちゃった。クズが作った料理なんて食べたくないからあたし行くね。じゃぁね。」
一気にまくし立てた。でも、お母さんたちの罵声は聞きたくないから、そこに置いてあったバックをとって、学校に行こうとするあたしをいい子ちゃんの優愛は呼び止めた。
「お姉ちゃん! ぁあのごめんなさい!」
「優愛はあやまることはないんだぞ?」
「そうよ、真希が馬鹿なだけなのよ。相手しなくていいわ。」
はい。
自分たち自ら言っちゃいましたー!
優愛が大事なんだってーww
心の中で爆笑しながら振り向き言った。
「はい。優愛はいい子ね! お母さんたちに好かれて羨ましいわー」
「行ってきまーす」
そう言いあたしは家を出た。
大きく息を吸い込んではいた。
やっと口にできた。
ホントの気持ち。
「真希・・。すごいよ。あいつらに勝てたんだよ・・?」
でも。
なんでなんだろう。
凄く嬉しいハズなのに。
こうも涙があふれて止まらないのは。
「うぅ。うわあぁぁぁん!」
大声で泣いた。
声が、涙が枯れるまで泣いた。
はは。
あたし馬鹿だな。
こんなにも。
お父さんとお母さんに認められたいんだ。
優愛に勝ちたくて仕方ないんだ。
私を認めて欲しいんだ。
どうしても。