社会問題小説・評論板

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それでも僕らは生きていく。
日時: 2014/02/19 19:39
名前: 月 −RUNAー (ID: khxqjExY)

初めまして、月です。

この世界は簡単な、漫画のような世界じゃない。

きっと、みんなそう思ってると思います。

題名のように、それでも、私たちは生きて行かなきゃなりません。

この小説を読んで、少しでも希望が湧いてくれればうれしいです。

Re: それでも僕らは生きていく。 ( No.5 )
日時: 2014/03/16 13:52
名前: 月 −RUNAー (ID: khxqjExY)


ー第四話ー

赤くはれ上がり、充血した目で学校へ向かった。
すれ違うやつらは全員、私を二度見する。
まあ当たり前だろう。
現在10時
学生がこんなとこうろついてたらそりゃ気になるだろう。
視線にムカつき、立ち止まり空を見上げた。
青く、雲一つない快晴。
幼き日の思い出がよみがえる。

ー過去ー

あれはあたしが3年生の頃だった。
優愛は4歳。本当なら幼稚園生だ。
だが、優愛はあたしの宿題を見よう見まねで解き、1000年に一人の天才少女として囃し立てられ、幼稚園なんて通わせなくていいだろうとなんと4歳で小学校に入学した。
9歳と4歳
だけど
3年生と一年生
苦しくてたまらなかった。

授業参観の日だった。
あたしのクラスは親子で工作。
優愛のクラスは一人ひとりが夏休みの読書感想文を読み上げる。
お父さんもお母さんも仕事を休んでくれた。
きっとどちらかがあたしのクラスにきてくれるだろうと思ってた。

そんな期待するあたしが馬鹿だっただけなんだ。

「みなさん!お父さんかお母さんが隣にいますね?」
「はーい!!」

担任の呼びかけに幼い生徒たちの返事が鳴り響き、明るい空間の中、あたしは無表情で椅子に座っていた。
隣の男子の横にも後ろの友達の横にも前の問題児の横にも笑顔のお母さんかお父さん又はどちらもが座っていた。

「あれ?真希ちゃんのお父さんとお母さんは今日は来れなかったのかな??」

明らかに担任の声と表情から同様が感じられた。
きっとみんな知っていたのだろう。あたしのお父さんとお母さんは優愛の事にしか興味がないことを。
同情の視線が、痛くて、冷たくて、苦しくて。
もう我慢できなかった。
次の瞬間あたしは走りだした。
行けるとこまで必死で走った。
あたしはたぶん心のどこかでお父さんとお母さんが追いかけてきてくれることを期待してたんだと思う。
そんな期待はすぐ打ち砕かれたけど。

ふと見上げた空は雲一つない限りなく青い快晴だった。
知らないうちに涙があふれ出してた。
何が嫌なのかなぜか自分でも分からなかった。
その時気づいた。
あの空の色はあたしの心の色だって。
自分のホントの気持ちさえも伝えられない
弱虫なあたしの色だって。


Re: それでも僕らは生きていく。 ( No.6 )
日時: 2014/03/19 14:45
名前: 月 −RUNAー (ID: khxqjExY)


ー第五話ー

「弱いところは絶対に誰にも見せたくない」

幼い頃からずっと思ってた。
誰かに弱さを見せるなんて絶対にしなかった。

あたしもただの女の子だなんて絶対に思われたくなかった。
あたしは誰にも操られないお嬢様でありたい。
トップじゃなきゃやだ。

そう思ってたから。

だから泣き顔なんて、うざいクズ共になんて見られたくなかった。
だから学校をサボることにして、幼い頃よく一人で来てた公園のベンチに一人ボーっと座っていた。




どれくらいたったのだろう、いつのまにか眠っていた。
いろんな不安が渦巻いて頭が混乱して、ふと気が付くと意識がなくなっていたのだ。

「一生目が覚めなければいいのに」

そっとつぶやいた。
白雪姫やいばら姫に何度も憧れた。
一生の眠りに。
自分で死ぬのは自分自身のプライドが許さないから。

まだ夢の中にいるような頭でボーっとどこかを見つめていると。

「ここらへん臭くなーい!?」
「まぢでww」
「うわっコイツからぢゃね!?」
「うええぇーー、お前毎日身体洗ってんの!?」
「毎日おんなじ服なんでしょーwww」
「まぁコイツんちは貧乏なんだからしょうがない!ww」
「まぢうけるww」

一人の少女が複数の少女らに身体を蹴られ、うめきながら小さくなっていた。

「あいつらうちのクラスの奴らじゃん・・。」

名前など憶えてないから知らないが、顔は見たことある。

「おとなしいグループだと思ってたのに・・。」

別に助ける気なんぞ少しもなかった。
あたしがいつもやってることだし・・w
でも、あいつらが中心グループ面してることに無償に腹が立った。
ベンチから立ち上がりそいつらの方へ向かった。

「ねえ・・」

得意のほほえみでそいつらに話しかけた。

「何だよ・・?」

そう言って振り返りあたしを見たリーダー的な奴の顔が青く染まった。

「まっ真希さん!」
「今日は休みのハズじゃ・・!」
「そんなのあなたたちには関係ないわよね?」
「ねえ何してるの?ニコ」
「あっこれは・・。すみませんッ!」

馬鹿なクズ共はあたしが一言か二言しゃべっただけで怖がって去ってた。
どうでもよかったが、一応蹴られてた子の顔を見てみた。
その子の顔は、バラの様に美しくてきれいな顔立ちだった。
少し外国の血が流れているのだろう。
明るい茶髪や青い瞳は。

Re: それでも僕らは生きていく。 ( No.7 )
日時: 2014/03/24 13:18
名前: 月 −RUNAー (ID: khxqjExY)

ー第六話ー

「ねぇ大丈夫?」

倒れている美少女そんままにして帰るのは、さすがに人の目もあるし、一応話しかけてやった。

「・・。」
「ごめんなさい。私、ちょっとあなたの名前思い出せなくて、何だったかしら?」

どうせすぐ忘れるだろうけど、このまま名前も知らないのに話を続けるのは、不可能だ。

「・・・。」
「ねぇ、私の事怖い?心配しないで私何もしないからニコ」
「・・。」

何なんだ。
コイツはこのあたしがクズに丁寧に話しかけてやっているんだ。
しかも、自分の為とはいえ、一応アイツらから救ってやった。
まじむかつく。

「おい、お前シカトぶっこいてんじゃねぇよ。いちおー救ってやったんですけど!?なんだ?あたしになんて興味ねぇってか?同じクラスならわかるよね!?あたしのこと。お前死にてぇの?」
「・・・。」

やばい。
ついいつもの口調に戻ってしまった。
ポカンとしてやがる。

・・。
少し時間がたった。

「ねぇ・・。アンタなんなのよ・・?」

クズ共があたしにはむかうなんて今までなかったのに。
困り果てていると、美少女さんは意を決したように、カバンの中からメモ帳とペンを取り出して、さらさらと字を書きだした。
そしてそのメモ帳を切り取りあたしに差し出した。

助けてくれてありがとうございます。
私は同じクラスの沢渡莉麻(さわたりりま)です。
実は声がでません。
お礼の言葉も言えずすみません。

「しゃ・・べれないの・・?」

美少女、いや莉麻は小さくうなずいた。

「生まれつき?」

莉麻は悲しそうな顔で首を振った。

「あの・・ごめん。。」

こんなに素直に謝ったの何年ぶりだろう。
良く見たら莉麻の身体は砂だらけだった。

「ねぇ、アンタその恰好じゃ親とかに心配されんでしょ。うちに来な。」

驚いたような目をして、莉麻は顔の前で手を振った。

「行くよ。」

私は莉麻のジェスチャーを無視して、細い腕をつかみ家にかけて行った。
小柄な莉麻は抵抗できず結局素直についてきた。



Re: それでも僕らは生きていく。 ( No.8 )
日時: 2014/03/24 13:47
名前: 月 −RUNAー (ID: khxqjExY)

ー第七話ー

同級生を家に連れてくるなんて初めてだ。
いつだって他の奴らは私にとってクズだったから。

「シャワー浴びてきなよ。」

莉麻はキラキラした目でいつかいたのかメモ帳を見せてきた。

すごい豪邸ですね!
さすが真希さん。
こんな恰好の私が来てもいいんですか?

「大丈夫だよ。あたしが誰連れてきたってお父さんもお母さんも気にしないから。」

莉麻はキョトンとした目であたしを見つめてきた。

「あーもー早く入ってきな。あ!その包帯も外さなきゃ。」

あたしは莉麻の腕に巻いてある包帯をとった。

「何これ・・?」

包帯をとった腕は熱湯をかけたみたいに皮膚がはがれて、ヤバい状態になっていた。
何もメモ帳に書こうとはしない莉麻を見つめて言った。

「あたしには関係ないか・・。」

莉麻は悲しそうな瞳でやけどを見つめ、美しく微笑みメモ帳に書いた。

シャワー借りますね(≧∇≦)

可愛いメモ帳に書かれた可愛い字、可愛い絵文字。
なのに切なさが感じられるのはなぜだろう。

(何なんだよ。アイツがどんだけひどい怪我してたってあたしには関係ない。アイツはクズなんだよ。なのになんでこんなにアイツが心配でならないの・・)

優しさ、愛情、友情なんて感じたことなんてない。
だからそんなあたしが考えたって無駄なこと。
小さく一つため息をついた。

しばらくすると莉麻が上がってきた。

ありがとうございました。
そんな瞳であたしを莉麻は見つめ、微笑み礼をし部屋から出て行った。

「帰んの?」

莉麻はうなずいた。
あたしたちは無言でドアまで向かった。
ふとあたしは言ってみた。

「なんかあったら言えよ。」

莉麻はまた微笑みうなずいた。


「お姉ちゃん。ただいま!」

最悪。
やな奴に出会ってしまった。 コイツ朝のこともう忘れたんだろうか?

「友達? めずらしいなぁお姉ちゃんが友達を家に連れてくるなんて。。 初めまして、妹の優愛です。いつもお姉ちゃんがお世話になってます!」

もういいからどっかいけよ。。
ここでいい子ぶっても意味ねーだろ。
莉麻は慌ててメモ帳を取り出し何かを書き始めた。

初めまして。
私しゃべれなくて、こんな挨拶ですみません。
真希ちゃんとクラスメートの沢渡莉麻です。
さすが真希ちゃんの妹さん。すごい可愛い!

「あっすみません私知らなくて!本当にごめんなさい。」
「優愛。もういいから。莉麻はもう帰んの。」
「ごめんなさいっ!じゃあまた。 お姉ちゃんをよろしくお願いします」

優愛を無視して、あたしは莉麻の腕をひっぱていった。

可愛い妹さんだね。

「あー。ホントなんでもできる奴なんだよ。ウザいくらい。」
「じゃあね。また。」

莉麻はいっつまでも笑顔で手をブンブン振っていた。

だいっきらいな快晴は莉麻の微笑みのように美しい夕焼け空になっていた。

「ありがと。」

小さくなっていく莉麻に向かってつぶやいた。

Re: それでも僕らは生きていく。 ( No.9 )
日時: 2014/03/25 11:07
名前: 月 −RUNAー (ID: khxqjExY)

ー第八話ー

「相沢さんよ」
「早くいこ!」
「あの人に目つけられたら大変な事になるって噂よ」
「ホント最悪」
「両親の権力を使っていじめをするなんて」

復讐を始めたあの日から与えられる言葉はいつも一緒。
あたしを神のようにたたえる言葉かあたしを恨む言葉か。
でもいくらクズ共に文句言われたって悲しみなんてまったく浮かんでこない。

「おはようございます!真希さん」
「真希さん昨日はどうしたんですか?」
「真希さんがいないと楽しくないですよ♪」

なんだその気持ち悪い敬語は。
媚び売ってるのが見え見えなんだよ。
キモいしww
でもあたしも女優のお母さんの血を少しは受け継いでるらしい。
馬鹿にしてるなんて絶対にバレない絶対的な微笑みとお嬢様言葉で我儘な社長令嬢の仮面を被れる。

「あらおはようニコ 昨日はちょっと風邪気味でお母様から休みなさいと言われて・・。本当は行きたかったのだけれど・・。」
「えっ大丈夫ですか??」
「えぇ薬を飲んでちゃんと眠ったらほぼ元気になれたわよ」
「いいなぁ〜あんなお母さんとお父さんに心配して頂けて」
「そんなことないわよ〜」

うへぇ気持ち悪い会話。
漫画かよ。自分でも気持ち悪くなってくる。
コイツらは少女マンガのいじめグループみたいに一団結したグループなんて思ってのだろうか。

当たり前のように過ぎていく時間。
今日もいつものようにくだらないまま終わるのだろう。
当たり前の時間が宝物ー。
なんていうやついるけど。
ただの地獄としか思えないw
優愛の毎日は充実してんだろうな。
両親から愛され、先生からも信頼され、友達もたくさんいて、だれからも愛される。
素直で優しくて可愛くて頭もよく完璧の少女。
だもんね。
だれだってそんなふうになりたいと夢見てあきらめるんだ。
くだらない授業を退屈に過ごしていると、教室のドアが開いた。
ボロボロの制服を着て慌てた様子で入ってきた少女は
莉麻だった。

「沢渡!遅刻だぞ!」
「・・。」
「はぁ。そういえば声が出なかったな・・。理由は後で聞く。座れ」
「・・。」

うつむきながら莉麻は席に向かった。
すると、莉麻は足をかけられ転んだ。
昨日の奴らに。

「クスクス・・。」

かすかに笑い声を上げるそいつらを莉麻は今日の空の色の様にきれいな瞳でそいつらを見つめ無表情で席に着いた。
あたしは今まで誰かの為に動いたことなんてなかった。
でも、なぜかあいつらに無償に腹が立った。

「ねぇ・・。」
「えっ何ですか?」

後ろの席のあたしの取り巻きに話しかけた。

「あのりっ沢渡を転ばして笑ってたやつら誰?」
「憶えてないんですか・・w えっとあの転ばしたのが園田美鈴、でポニテが飯塚里奈。ショートカットが山田凛。茶毛で下してるのが舞浜リリカです。たぶん舞浜がリーダー的な奴です。」
「どうかしたんですか?」



「あいつらシメるよ。」
「ウザいから。」





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