BL・GL小説 (オリジナルで全年齢対象のみ)
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- 終焉の王【短編集】
- 日時: 2017/07/23 00:22
- 名前: マリ ◆pTJVFJNEto (ID: Nt.wHtNX)
クリック有難う御座います。
創作や商業作品の短編が主です。
バッドエンド多めなので苦手な方はお気をつけください。
基本的に会話文と語りが3:7くらいで読みづらいかと思われます。
(2017.7.23)これまでの作品で、新たに追加されたルールに違反していると思しきものは削除しましたが、なにか不備やその他の違反がありましたらご指摘ください。
注意
連レスはあまり好ましくないです。申し訳無い。
誤字、脱字等気をつけてはいますが目に余るようでしたらご指摘ください。
リクエスト頂いたもの
>>007 まあや様へ
>>020 レモンのど飴様へ
>>021-022 亜区徒様へ
>>024 亜区徒様へ
- Re: 【進撃】カラタチの白い花【黒バス】 ( No.40 )
- 日時: 2013/08/06 00:31
- 名前: マリ ◆pTJVFJNEto (ID: Da2si9iJ)
エレアル
昔を思い出してるエレンの話
(→カラタチの白い花)
『どうしてエレンは、外の世界に行きたいと思ったの?』
目が覚めた時には遅かった。俺は地下牢の中で鎖に繋がれていて、周囲は四方八方、暗闇に包まれていた。見えるのは、鉄格子が松明の灯りに応えて不気味に輝く姿だけだった。恐いとか不安とか、痛いとか寂しいとか、泣きたいとか、不の感情は腐るほどに在るけれど、今の俺はどの言葉にも填まらない。(外の世界に行きたい)ただ純粋に、一途にそう思えてならなかった。
俺はジャリ、という金属音を無視して寝返りを打つ。その度に見張りの兵の肩がびくりと揺れて、蒼白した表情でこちらを確認していた。こんな子供
一匹にここまで怯えるなんて、憲兵も大した事はない。思わず溜め息まで溢れそうだった。
俺は重い目蓋をのろり、と開けてみると、自分の右手を一瞥して目を細めた。あんなに噛み千切った筈の傷が、もう跡形もなく姿を消している。(あぁ、俺はやはり化け物だ…)
どうやったら外に行けるかな。やはり調査兵団に入団して、壁外調査で出て行くのが一番いいよな。でも壁外なんかじゃ巨人に喰われておしまいになっちまう。周囲の人間は邪魔だ。死にたくない奴は逃げた方がいいだろう。そしたら俺が巨人になって、奴らを殺しまくりたい。もっと、もっと。
- Re: 【進撃】カラタチの白い花【黒バス】 ( No.41 )
- 日時: 2013/08/10 22:50
- 名前: マリ ◆pTJVFJNEto (ID: Da2si9iJ)
殺したい、奴らが苦しみの中でどう啼くのかをこの五感で感じたい。俺や、母さん、ミカサ、アルミンの大事なものを奪い貪った奴らに報いを。死ね、死ね死ね死ね死ね死ね。俺が駆逐しなければ誰がやる?俺しかいないんだろう。俺しか、皆を守ってやれない。アルミンの事も俺だけが守れるんだ。
「アルミン…」
数日振りに発した自分の声は酷くしゃがれていて、耳にツンと突いた。しかしアルミンというだけで俺は思わず口角を上げてしまうほど、快適な脳内を持っていたのか。そんな自分を笑い飛ばしながら、目に蓋をする。
(いま、何をしてんだろ…)
黄色い髪をなびかせ、その瞳をきらきらと輝かせるあいつを思い浮かべる。いつだってあいつは輝いてた。俺の大事な親友。
俺はお前の為に戦っているのかもしれないぞ、アルミン。
(すべてが終わったら、君の元へ行こう。その時は、この赤く染まった汚い体で君を抱き締めてもいいだろうか)
FIN.
うへえ、gdgd
- Re: 【進撃】カラタチの白い花【黒バス】 ( No.42 )
- 日時: 2013/08/14 23:23
- 名前: マリ ◆pTJVFJNEto (ID: Da2si9iJ)
エレリのようなリヴァエレ
ていうかもうBLじゃない感じ
壁外調査前のいつかの夜の話。
「リヴァイ兵長…?」
「なんだ、エレン。さっさと寝ろ、見回りになんねぇだろうが」
すいません、と小さく謝りエレンは後ろ頭を掻きむしった。この無駄に広い古城の中でエレンの部屋となる地下室は、俺の持っている欄単の小さな灯火で照らされていた。初日の掃除の成果もあって、今見える範囲は埃もなく清潔に保たれているようだ。視線を上げて、床からエレンの座っているベッドを睨んだ。エレンはさっきまで何か作業をしていたらしく、傍らに箱のような物が置いてあった。
エレンは困ったように微笑むと、「今日の監視は兵長なんですか」と遠慮がちに尋ねてきた。俺は一つ溜め息をついた。
「壁外調査の前は部下達に余計な精神的苦痛を与えたくない。俺はどうにでもなるが、あいつらには生き残ってほしいからな…」
「そうでしたか…」
エレンが相槌を打ったが、その後何と続ければよいのか悩み、沈黙が続いてしまった。するとエレンは唐突に顔を上げ、「俺にとっては……その、兵長に生き残ってもらうのも大切です…」と声を張った。
その言葉の意味を理解した俺は、目を丸くしてエレンを見つめた。今まで、ただの馬鹿だの腰抜けだの巨人だのと思っていたが、こいつにも人並みの感情はあるようだ。
「お前、不安で仕方ないんだろ」
俺は欄単を近くにあった木のテーブルに置いて、部屋全体を薄いオレンジ色に染めた。エレンの元へ歩み寄って、隣に座る。
「い、いえ!そんな事は…」
「黙ってろ」
「へ、兵長……!こここコレは」
「煩ぇぞ、バカが。ここの真上はペトラの部屋だぞ」
エレンは黙ったが、肌越しにとくんとくんという不規則なこいつの心拍が伝わってきた。緊張しているのだろうか。俺はエレンを抱き締める力を強めた。絶対に言葉には出さない。だからこうやって触れて、心の中で言葉を渡す。
(絶対に死ぬな)(俺を残して死んだらタダじゃおかない)(ペトラ、オルオ、グンタ、エルド……あと俺だ。とにかく信じろ)(俺たちがお前を守る)
「兵長、俺は絶対に生きて戻ってきます」
俺が体を離して、部屋を出ようとした時だった。不意に背中に誓われた力強い決意に、俺はエレンから見えないように微笑んで、小さな声で「頑張れよ」と呟いた。
(→ちっぽけな勇気だけど、)
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- Re: 【進撃】サマータイムレコード【セカコイ】 ( No.44 )
- 日時: 2013/09/20 22:22
- 名前: マリ ◆pTJVFJNEto (ID: Da2si9iJ)
本誌ネタバレ注意です
リヴァエルなのかエルリヴァなのか…
「リヴァイか?」
戸を開ける音と共に、暫く聞いていなかった優しい声が耳を通る。振り返らなくとも分かる。やっと、壁外から帰ってきたんだ。
「…エルヴィン」
俺は小さく微笑み、足を引き摺りつつエルヴィンの元へ歩み寄る。怪我はしていないようで、安堵の溜め息をつく。一方のエルヴィンは、複雑な表情で俺を見据えていた。
「おかえり」
「ただいま」
お互いの顔を見つめ合って、無事を確認する。俺はエルヴィンの背中に手を回し、優しく抱き締めてやった。こいつは優しいから、今回の調査で死んだ奴に対しての悲しみに流されているのだろう。そんな傷も全部、抱き締めてやる。
ドクン、とエルヴィンの音が聞こえてきた。気がつくとエルヴィンは左手だけで俺の背中を抱き締めていた。何か不自然だ、と一度と空いているはずのエルヴィンの右腕に触れて、掴んだ。しかし掴めたのは空気だけだった。
そこに、右腕はなかったのだ。
「お前、腕は…?」
「すまない。巨人に、やってしまった」
「…そうか」
俺は目を細める。目頭が熱くなって、視界がぼやけてきた。頬を伝う涙は静かに溢れ落ちた。
「そうか」
自分に言い聞かせるように、もう一度呟く。その声はひどくしゃがれていて、正に今の俺にぴったりだった。
俺がヘマしてなけりゃ、エルヴィンを守れた。こんな姿にしてしまった。俺の壊れた足は直るけど、なくなってしまったエルヴィンの腕はもう元には戻らない。
罪悪感が込み上げてきて、また滴が溢れ落ちていった。それが赤い血に見えて、なぜか自分の右腕の付け根がキリキリと痛み出した。
「守ってやりたかった」
FIN.
- Re: 【進撃】サマータイムレコード【セカコイ】 ( No.46 )
- 日時: 2013/09/30 22:37
- 名前: マリ ◆pTJVFJNEto (ID: Da2si9iJ)
- プロフ: 塾おわた
りんちゃんを好きなはるちゃんを好きなれいちゃんのお話。
「遥センパイは、僕の事なんて見ていない」
怜はそう吐き捨てると、気分が悪いのか眉間に手を当て小さく溜め息を溢した。彼の青い髪は、潮風に吹かれて右へ左へとゆらゆら揺れた。凛はそれを横目に、遠くで波打つ海の音を感じていた。そんなものを見ていても特に利点はないのだが、”水”というだけで遥を思い出せたのだ。
凛は静かに怜へと目を向け、哀れなそいつを見下ろした。俺はハルの事なんて、ただの速い奴としか考えていなかった。しかし目の前で頭を抱えているこいつは、それだけではないらしい。
「ハルが見てるのは、俺の残像だ」
凛はそう呟いた。トゲを優しく撫でれば、きっと元の平面に戻るのだから。それを信じて、言葉をかけてやる。
…つもりだった。
「お前はハルに特別な感情でもあんのか?男同士だろ、気色悪ィな。そんな感情持ったところで、ハルはお前を軽蔑するだけだ。そんで離れていく。あいつだけじゃねぇよ。……真琴も、渚もな。で、お前は一人で後悔するんだよ。涙を堪えながら、水泳なんてやめてやるって言う。そしてな……ただ、意味もなく、ハルを傷付けんだ」
誰かに似ている、と思った。気付けば一人ぼっちで、でも今さら変える事はできない。ああ、そうか。これは××か。
怜は静かに「僕はあなたとは違う」と吐き捨てた。苦虫を噛み潰したように歪んだ顔は、忘れられない。
「ハルが見てんのは、俺だ」
凛は掠れた声で確かめるように言う。そうだ、怜じゃない。俺なんだ。
「ハルにお前は見えてない」